法定調書の電子提出義務とは、一定枚数以上を提出する事業者に書面以外での提出を求める仕組みで、その判定枚数が30枚以上へ下がります。
対象かどうかは令和7年に提出すべきだった枚数で決まるため、判定材料はすでに手元にあります。
本記事では、30枚の数え方・対象になりやすい法定調書の種類・給与支払報告書への波及・freeeでの備え方を解説します。
目次
電子提出義務、2027年1月から30枚基準へ
令和6年度税制改正により、法定調書の電子提出義務の判定枚数が100枚以上から30枚以上へ引き下げられました。令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書から適用されます。
書面不可の3つの提出方法
判定枚数に達した法定調書は、e-Tax・国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等・光ディスク等のいずれかで提出しなければなりません。書面での提出は認められませんが、e-Taxへの一本化ではなく、光ディスク等も引き続き選べます。
電子提出義務は法定調書の種類ごとに判定
法定調書は63種類あり、電子提出義務は種類ごとに判定します。給与所得の源泉徴収票と報酬等の支払調書を合算して30枚とは数えません。
ある種類は電子提出、別の種類は書面提出という組み合わせも起こります。法定調書の一覧や基本的な提出方法は「法定調書とは?種類や提出方法・作成時の注意点をわかりやすく解説」で確認できます。
対象判定の基準年は令和7年
電子提出義務の判定に使うのは、提出期限が属する年の前々年(基準年)に提出すべきであった枚数です。令和9年1月提出分の基準年は令和7年です。
提出年ごとの基準年と判定枚数
国税庁は、令和7年に提出すべき「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の枚数が30枚以上であった場合、令和9年に提出する同じ支払調書はe-Tax等での提出が必要と例示しています。
過去の提出実績で判定するため、令和9年に向けた枚数調整はできません。
<表:提出年ごとの基準年と判定枚数>
| 提出する年 | 基準年 | 判定枚数 |
|---|---|---|
| 令和8年(2026年) | 令和6年(2024年) | 100枚以上 |
| 令和9年(2027年) | 令和7年(2025年) | 30枚以上 |
| 令和10年(2028年) | 令和8年(2026年) | 30枚以上 |
30枚は従業員30人という意味ではない
税務署への提出範囲は、給与を支払った全員分ではなく、支払金額が一定基準を超えたものに限られます。従業員数から見積もると、対象判定を誤ります。
源泉徴収票の税務署提出範囲
税務署への提出範囲は、年末調整の有無と支払金額の組み合わせで決まります。令和7年分までは、電子提出義務の枚数もこの範囲で数えます。
市区町村への給与支払報告書は、中途退職者への支払金額が30万円以下の場合を除き、すべての受給者分が対象で、税務署への枚数とはそろいません。
<表:枚数を数えるときの給与所得の源泉徴収票の提出範囲(令和7年分までの範囲)>
| 区分 | 提出範囲 |
|---|---|
| 年末調整をした・法人の役員 | 年間150万円超 |
| 年末調整をした・弁護士・司法書士・税理士等 | 年間250万円超 |
| 年末調整をした・上記以外の方 | 年間500万円超 |
| 年末調整をしなかった・扶養控除等申告書を提出した中途退職者等 | 年間250万円超(法人の役員は50万円超) |
| 年末調整をしなかった・扶養控除等申告書を提出し主たる給与が2,000万円超の方 | 全部 |
| 年末調整をしなかった・扶養控除等申告書を提出しなかった方 | 年間50万円超 |
従業員がいなくても届く支払調書の枚数
弁護士・税理士等への報酬や原稿料・講演料等は、同一人への年間支払金額の合計が5万円を超えると提出範囲に入ります。外交員・ホステス等の報酬や広告宣伝のための賞金は、50万円超という別の基準です。
基準が5万円のため、従業員のいない個人事業主でも、外注先が30人いれば対象です。
不動産の使用料等の支払調書は、法人と不動産業者である個人が提出義務者で、同一人への年間支払金額が15万円を超えると対象です。
支払調書の書き方は「支払調書とは?税務署への提出義務のある範囲から書き方までわかりやすく解説」で確認できます。
出典:国税庁「No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等」
給与支払報告書の電子提出も30枚基準
給与支払報告書にもeLTAX等による電子的提出義務があり、基準年に税務署へ提出すべきであった給与所得の源泉徴収票の枚数で判定します。市区町村へ出す書類ですが、国税側の枚数を使います。
みなし提出は判定枚数に影響しない
令和9年1月1日以後に提出すべき令和8年分以後の源泉徴収票からは、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば税務署へ提出したものとみなされます。受給者本人への交付は引き続き必要です。
判定に使う語は「提出すべきであった枚数」で、実際に提出したかどうかでは動きません。
令和8年分以後は源泉徴収票の提出範囲自体が給与支払報告書と同じ範囲へ広がりますが、枚数は改正前の提出範囲で数えます。義務の重さを提出書類の実数ではなく提出範囲で測るため、提出ルートが変わっても判定は動きません。
給与支払報告書の書き方は「給与支払報告書とは?書き方や提出不要なケースについて解説【2025年(令和7年)版】」で確認できます。
freeeで法定調書の電子提出に備える
freee人事労務で年末調整を行うと、給与支払報告書・法定調書合計表・税務署提出用の源泉徴収票を出力できます。電子申告は、freee申告へ連携して送信します。
freee申告でe-Tax・eLTAXへ送信
年末調整の画面で[電子申告]をクリックし、freee申告の[年調・法定調書]メニューから[電子申告送信]へ進みます。源泉徴収票等・法定調書合計表はe-Taxへ、給与支払報告書はeLTAXへ送信します。
年末調整の電子申告は、freee人事労務の新プランのスターター以上、または旧プランのベーシック以上で利用できます。
出典:freeeヘルプセンター「年末調整をfreeeで電子申告する(手続き編)」
支払調書はfreee申告 支払調書で作成
報酬等の支払調書はfreee申告 支払調書で作成します。freee会計で作成できるのは2023年分までで、2024年分以降はfreee申告 支払調書プランの契約が必要です。
作成上限は、freee申告支払調書スタータープラン等が10枚、アドバンスプラン等は無制限です。
30枚以上の種類が見つかったら、次は提出手段の選択です。制度改正への対応は、freee法対応ガイドでも確認できます。
まとめ
令和9年1月1日以後に提出すべき法定調書は、電子提出義務の判定枚数が30枚以上へ下がります。種類ごとに、令和7年に提出すべきであった枚数で判定します。
30枚は従業員30人ではありません。税務署への源泉徴収票は支払金額の基準を超えた分だけで、報酬・料金の支払調書は同一人に5万円超が対象です。
よくある質問
令和9年提出分は、何年の枚数で判定しますか?
令和7年1月1日から12月31日までに提出すべきであった枚数で判定します。法定調書の種類ごとに数え、種類をまたいで合算しません。
詳しくは「対象判定の基準年は令和7年」で解説しています。
従業員が30人いれば電子提出の対象ですか?
従業員数と税務署への提出枚数は一致しません。給与所得の源泉徴収票の提出範囲は支払金額の基準を超えたものに限られ、報酬等の支払調書は同一人に5万円超で対象です。
詳しくは「30枚は従業員30人という意味ではない」で解説しています。
e-Tax以外の方法で提出できますか?
国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等や光ディスク等を選べます。書面での提出は認められません。
詳しくは「電子提出義務、2027年1月から30枚基準へ」で解説しています。
給与支払報告書も電子で提出しなければなりませんか?
基準年に税務署へ提出すべきであった給与所得の源泉徴収票の枚数が30枚以上であれば、給与支払報告書もeLTAX等での提出が必要です。みなし提出により実際の提出が0枚でも、この枚数は0枚となりません。
詳しくは「給与支払報告書の電子提出も30枚基準」で解説しています。
