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サラリーマン増税とは?現行制度との違いや行われた場合の影響を紹介

監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

サラリーマン増税とは? 現行制度の現状や行われた場合の影響を紹介

サラリーマン増税とは、給与所得控除や退職所得控除などサラリーマンを対象とした税制の見直し案に対して、世間がつけた造語です。

政府税制調査会がまとめた中期答申で、サラリーマンに対する増税を示唆する内容が議論され、世間では話題になっています。

サラリーマンは源泉徴収で給与から税金や社会保険料が天引きとなるため、担当部署の人は内容を理解しておいたほうがよいでしょう。

本記事では、サラリーマン増税の概要現行制度の現状を解説し、実際にサラリーマン増税が行われた場合の影響も紹介します。

目次

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サラリーマン増税とは?

サラリーマン増税とは、サラリーマンが対象の給与所得控除や退職所得控除に関する税制の見直し案に対し、世間がつけた造語です。

2023年6月に、政府税制調査会がまとめた中期答申で、サラリーマンに関わる税制の見直し案が盛り込まれました。そのことに関して、一部報道やSNSを通じて世論が反応した形になります。

答申とは

答申とは、諮問機関が諮問を受けた事項に関して、行政官庁に意見を具申することです。
サラリーマン増税で控除額が引き下げになると考えられる、控除の種類は以下の通りです。

サラリーマン増税で引き下げになる控除

● 給与所得控除
● 退職所得控除
給与所得者の所得控除の見直しに関して、同答申では、「給与所得控除によりマクロ的には給与収入総額の3割程度が控除されている」とされています。そのうえで、主要国と比べても「相当手厚い仕組」としているのです。

給与所得者の必要経費と指摘される支出は、給与収入の約3%程度と試算されています。

したがって、サラリーマン増税では、給与所得控除額が約3%まで引き下げになると懸念されている模様です。

また、所得控除に関する通勤手当などの非課税所得や配偶者控除、生命保険料控除に関しても「検討の必要がある」と指摘しています。

なお、これまでも、給与所得控除の引き下げは行われてきましたが、大きく影響するのは、主に高所得者層でした。

しかし、今回の答申通り税制が見直されれば、高所得者層だけでなく、中間所得者層以下にも大きな影響を与える可能性が高いです。

ただし提出された答申の内容はあくまでも検討段階であり、すぐに実施されるわけではありません。

サラリーマンの所得控除の現状

現状、サラリーマンの所得税が算出されるまでは、さまざまな控除がされています。

一般的なサラリーマンの所得税に関わる控除の種類は、以下の通りです。

所得に関わる控除の種類

● 給与所得控除(給与所得を算出する過程での控除)
● 基礎控除
● 社会保険料控除
● 配偶者控除
● 生命保険料控除
● 医療費控除
● 住宅ローン控除
● 特定支出控除 など
中でも給与所得控除はサラリーマンの必要経費とも言われ、控除額も大きくなっています。

現行の給与所得控除の収入範囲と控除額は以下の通りです。

給与などの収入金額給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」

たとえば、年収500万円のサラリーマンの給与所得控除額は、以下の通り算出されます。
500万円×20%+44万円=144万円
所得税や住民税は、年収から給与所得控除を差し引いた「給与所得」から、各種所得控除を差し引いた「課税所得」を基に算出されます。そのため、給与所得控除の重要度はとても高いと理解できるでしょう。

サラリーマン増税が行われた場合の影響

では、答申通りにサラリーマン増税が行われた場合、給与所得者にどのような影響をもたらすのかを以下で考察していきます。

サラリーマン増税が行われた場合の影響

● 支払う税金の金額が大きくなる可能性がある
● 実際にもらえる退職金が少なくなる可能性がある

支払う税金の金額が大きくなる可能性がある

所得税や住民税の算出に関わる控除が見直されると、必然的に支払う税金の金額が大きくなる可能性があります。

答申の内容では、給与所得者の必要経費として指摘される支出の試算は、給与収入の約3%程度です。

つまりサラリーマン増税では、具体的な計算式や割合の発表はされてはいませんが、3割程度の給与所得控除が、大幅に見直される可能性が示唆されています。

さらに、所得控除に関係する通勤手当などの非課税所得や配偶者控除、生命保険料控除に関しても「検討する必要がある」と指摘しています。

給与所得控除ほどではないにしても、これらが見直されると、納税額に影響を与えるでしょう。

サラリーマン増税が行われる可能性が否定できない以上、サラリーマンは何かしらの節税対策を考えたほうがよいかもしれません。

実際にもらえる退職金が少なくなる可能性がある

サラリーマン増税が行われると、もらえる退職金が少なくなる可能性があります。なぜなら答申では、退職所得控除に関しても言及しているからです。

現在の退職所得控除額は以下のように試算されます。

勤務年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤務年数
20年超800万円+70万円×(勤務年数-20年)
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

現行制度では、勤務年数20年を超えると、勤務年数20年以下の場合に比べ1年につき30万円も控除額が増えます。

しかし、控除額の見直しがされれば、勤務年数に関わらず、勤務年数に一律40万円を掛けた控除額になると予想されています。20年超継続して勤務した場合は、現行の制度より退職所得控除額が少なくなる可能性が高いです。

現行の退職所得控除額とサラリーマン増税が行われた場合の退職所得控除額を、勤務年数30年で試算すると以下のようになります。

サラリーマン増税後の退職所得控除の例

● 現行:800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
● サラリーマン増税:40万円×30年=1,200万円
上記の場合、サラリーマン増税が行われれば現行の制度と比べ、控除額が300万円も少なくなります。

退職所得控除額が少なくなると、実際にもらえる退職金も少なくなるため、退職金に関しても対策を講じる必要があるでしょう。

サラリーマンにもできる節税方法

サラリーマン増税が行われると、所得が少なくなる可能性が高いため、今からでも何かしらの節税対策を検討することが大切です。

サラリーマンにも対応した主な節税対策としては、以下が挙げられます。

主な節税対策

● ふるさと納税をする
● iDeCo(確定拠出年金制度)を活用する
● NISA(少額投資非課税制度)を活用する
各内容を詳しく解説するので、参考にしてください。

ふるさと納税をする

ふるさと納税は、故郷や応援したい自治体に寄附をし、確定申告を行えば、寄附金の大半を所得税や住民税から控除される制度です。

ふるさと納税の特徴として以下が挙げられます。

ふるさと納税の特徴

● 税金還付・控除が受けられる
● 出身地に限らず、さまざまな地域の自治体に寄附ができる
● 寄附した自治体から名産品などの返礼品を受け取れる
ふるさと納税では、控除される金額に上限額はあります。ただし、控除上限額の範囲内であれば、寄附額のうち自己負担の2,000円を超える部分が全額控除されます。

たとえば、30,000円のふるさと納税を行った場合、自己負担額の2,000円を差し引いた28,000円の控除が可能です。

またふるさと納税は、ただ税金が控除されるだけでなく、ふるさと納税を行った自治体から、名産品などを返礼品の形で受け取れます。

なお、自己負担分を引いた全額が控除される、ふるさと納税の年間上限額の目安に関しては、総務省の公式ホームページで確認できるので参考にしてください。

iDeCo(確定拠出年金制度)を活用する

iDeCoは、厚生年金や国民年金のような公的年金と別に、個人で積み立てて運用する私的年金制度です。

公的年金ではないため、加入が任意となり、満60歳以降に運用した分の金額を受け取れます。

ただし、月の掛け金は無制限に増やせるわけではないことに加え、加入には制限がある点に注意してください。

サラリーマンがiDeCoに加入する場合の加入対象者と、掛け金の上限は以下の通りです。

iDeCoの上限掛け金

● 確定給付型の年金及び企業型DCに加入していない:23,000円/月
● 企業型DCのみに加入している:20,000円/月(企業型DCの事業主掛金額との合計額が55,000円の範囲内)
● 確定給付型の年金のみ、または確定給付型と企業型DCの両方に加入している:12,000円/月(企業型DCの事業主掛金額との合計額が27,500円の範囲内)
iDeCoでは、掛金が全額所得控除になるほか、運用によって運用益が出ても収益に税金がかからないため、節税効果は高いです。

ただし運用商品には、元本確保型のほかに投資信託などもあるため、元本を下回る可能性も考慮して選択するようにしてください。

NISA(少額投資非課税制度)を活用する

NISAは2014年にスタートした、少額からの投資を行う方のための非課税制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合は、売却益や配当に対して税金が発生します。

しかし、NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。

現状でサラリーマンが利用できるNISAの種類と特徴(2023年時点)は以下の通りです。

NISAの種類と特徴

● つみたてNISA:非課税保有期間20年、年間40万円まで
● 一般NISA:非課税保有期間が5年間、年間120万円まで
出典:金融庁「NISAとは?」

NISAを活用する場合は、長期の積み立てや分散投資に向いた「つみたてNISA」または、上場株式や投資信託などの「一般NISA」のどちらかを選択しなくてはなりません。

なお、2024年から「一般NISA」「つみたてNISA」をあわせて内容が強化された「新しいNISA」が導入される予定です。

導入予定の「新しいNISA」には、以下の特徴があります。

新NISAの特徴

● 非課税期間が無期限
● 「つみたて投資枠」は年間120万円、「成長投資枠」は240万円まで拡大
● 非課税保有限度額1,800万円まで(成長投資枠は1,200万円まで)
● 「つみたて投資枠」「成長投資枠」の併用が可能
出典:金融庁「NISAとは?」

新しいNISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方に投資が可能です。また、NISAへ投資した場合の非課税期間が無制限になるなど、制度の拡充がなされています。つまり、現行のNISAに比べ、より長期間・より自由に投資ができます。

ただし、NISAは投資であるため、必ず元本が保証されるわけではない点に注意してなければなりません。

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まとめ

サラリーマン増税は、給与所得控除や退職所得控除に関係する税制の見直し案に対して、SNSを中心に世論が反応してできた造語です。

現段階ではあくまで検討中のため、すぐに税制が改正されるわけではありません。

もしもサラリーマン増税が行われた場合は、支払う税金の金額が大きくなる可能性や退職金が少なくなる可能性が高いです。

現状でも政府公認のサラリーマンができる節税対策があるので、税負担を抑えられるような対策に関しての知識を身につけることをおすすめします。

よくある質問

サラリーマン増税とは?

サラリーマン増税とは、サラリーマンを対象とした税制の見直し案に対して、SNSを中心に世論が反応してできた造語です。

サラリーマン増税を詳しく知りたい方は「サラリーマン増税とは?」をご覧ください。

サラリーマン増税が行われた場合の影響は?

サラリーマン増税が行われると、以下の影響が出る可能性があります。

サラリーマン増税が行われた場合の影響

● 支払う税金の金額が大きくなる可能性がある
● 実際にもらえる退職金が少なくなる可能性がある
サラリーマン増税が行われた場合の影響を詳しく知りたい方は「サラリーマン増税が行われた場合の影響」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮