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就活セクハラ対策が2026年10月に義務化、対象と11の措置を解説

就活セクハラ対策が2026年10月に義務化、対象と11の措置を解説

就活セクハラ対策の義務化とは、求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐ11の措置が、2026年10月1日から事業主に義務づけられる改正です。

調査で最も多く挙がった行為者は、採用面接担当者ではなくOB・OG訪問で知り合った従業員でした。対象の場面は面接室の外にも広がります。

本記事では、義務化による変更点・対象になる場面・既存のセクハラ対策で足りる部分を解説します。

目次

就活セクハラ対策の義務化で何が変わるか

令和7年法律第63号による改正で男女雇用機会均等法に第13条が新設され、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が2026年10月1日から事業主に義務づけられます。

改正前は指針の「望ましい取組」にとどまっていた対策で、企業規模を問わず適用されます。

望ましい取組から法的義務への転換

就活セクハラは、法改正で新たに生まれた問題ではありません。改正前の指針にも求職者への配慮は記載されていましたが、義務ではなく「望ましい取組」の位置づけでした。

義務にできなかった理由は条文の射程にあります。既存の措置義務を定める均等法第11条は「その雇用する労働者」の労働条件・就業環境を対象としていたため、求職者を同条の対象にできませんでした。

今回の改正は第11条を広げず、第13条を新設しました。守る対象を「求職活動等」に置き換え、雇用関係が生じる前でも措置義務が成り立つ形にしています。

出典:厚生労働省「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」10頁・12頁

企業規模を問わない義務化

措置義務は、採用活動を行う事業主に企業規模を問わず課されます。個人事業主も対象で、規模による適用除外や猶予はありません。

カスタマーハラスメント対策も同じ日に義務化されますが、守る相手が異なります。カスハラ対策は自社の労働者、就活セクハラ対策は求職者等を守る仕組みで、カスハラ対策の内容は「カスハラ対策が2026年10月に義務化|全企業の3措置を解説」で解説しています。

措置を講じない場合、厚生労働大臣は報告を求め助言・指導・勧告を行い、従わなければ公表される場合があります。報告義務違反には20万円以下の過料が科されます。

出典:厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要」

対象になる求職者等と求職活動等の範囲

求職者等には求人に応募する人だけでなく、採用に資する活動に参加する人や、教育実習・看護実習等の実習を受ける人も含まれます。

求職活動等の例には、採用面接・就職説明会・OB訪問・インターンシップ・実習が挙げられています。

求職活動等に当たる5つの場面

男女雇用機会均等法第13条第1項は、自社の労働者による性的な言動で求職者等の求職活動等が阻害されないよう、事業主に体制整備等の措置を義務づけています。

指針が挙げる求職活動等の例は、次の5つです。

求職活動等に当たる5つの場面

  • 企業の採用面接への参加
  • 企業の就職説明会への参加
  • 企業の雇用する労働者への訪問
  • インターンシップへの参加
  • 教育実習・看護実習等の実習の受講

大学のOB・OG訪問やリクルーターによる学校・研究室への訪問は「企業の雇用する労働者への訪問」に当たります。SNS等のオンラインを介したものも含み、労働者の通常の就業場所に限られません。

<表:就活セクハラ対策の対象になる場面とならない場面>

場面扱い
採用面接・就職説明会・OB訪問・インターンシップ・実習の受講対象
SNS等のオンラインでのやり取り対象
授業の一環の社会科見学・企業を招いた講演会対象外
採用内定者労働契約の成立の有無で扱いが分かれる

派遣労働者を受け入れる場合、派遣先も措置を講じる必要があります。

社会科見学と内定者の扱いの線引き

授業の一環の社会科見学や企業を招いた講演会等、専ら教育を目的とする活動への参加者は求職者等に含まれません。採用に資する活動かどうかが線引きです。

判断が分かれるのは採用内定者です。内定によって労働契約が成立したと認められる人は労働者に当たり、従来のセクシュアルハラスメント防止指針が適用されます。

労働契約が成立したと認められない内定者は求職者等に該当し、求職者等セクハラ防止指針に基づく措置の対象です。どちらに当たっても、内定者が保護の対象から外れることはありません。

出典:厚生労働省「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」12頁・13頁・70頁

事業主が講ずべき11の措置

告示第52号が定める措置は11項目です。10項目は既存のセクシュアルハラスメント対策と枠組みが共通し、就活セクハラだけに求められるのは「求職活動等に関するルールの明確化と周知・啓発」の1項目です。

10項目は既存のセクハラ対策と同じ内容

厚生労働省が6類型のハラスメントの措置を横並びにした一覧で、求職者等セクハラだけに○が付く項目は「求職活動等に関するルールの明確化と周知・啓発」の1つです。11項目のうち実質的に新しいのは、この1項目に限られます。

ハラスメントの類型ごとの違いは「ハラスメントとは?職場での適切な対応方法をわかりやすく解説」で解説しています。

<表:就活セクハラ対策で講ずべき11の措置>

区分措置の内容既存との関係
方針等の明確化・周知啓発就活セクハラを行ってはならない旨の方針の明確化・周知共通
行為者への対処方針の明確化・周知共通
求職活動等に関するルールの明確化・周知就活セクハラのみ
相談体制の整備相談窓口の設置・求職者等への周知共通(周知先拡張)
相談窓口担当者が適切に対応できる体制共通
事後の迅速かつ適切な対応事実関係の迅速・正確な確認共通
被害者への配慮措置共通
行為者への措置共通
再発防止措置共通
併せて講ずべき措置プライバシー保護の措置・周知共通
不利益な取り扱いの禁止・周知共通

既存のセクシュアルハラスメント対策の規程があれば、そのまま対応済みと考えがちです。ただし共通しているのは枠組みであり、対象者を求職者等へ広げる規程改定・相談窓口の社外周知・求職者等のプライバシー保護という3点の調整が必要です。

出典:厚生労働省「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」24頁・27頁・28頁・71〜72頁

就活セクハラ固有の措置は求職活動等ルールの明確化

職活動等のルールをあらかじめ明確化し、労働者と求職者等に周知・啓発します。取組例は面談の時間と場所の指定・実施体制・使用するSNSの種類を定めることです。

この項目が上乗せされた理由は、被害が起きる場所にあります。厚生労働省の実態調査では、インターンシップ以外の就職活動中に就活等セクハラを受けた人が挙げた行為者として、大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員が38.3%・学校や研究室へ訪問した従業員やリクルーターが37.0%を占め、採用面接担当者の25.1%を上回りました(n=235)。

被害は面接室よりも、人事部門の管理が届きにくい個別の接触場面に集中しています。だから固有の1項目の中身が、面談時間・場所の指定・実施体制・使用するSNSの種類の指定という接触のルール化になっています。

同じ調査では、企業の取組のうち「リクルーターの行動指針やマニュアルの策定・周知」が4.9%で最も低い割合でした。行為者として最も多い経路への対策が、10月までに最も手つかずな1項目です。

出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要」11頁・24頁・27頁

10月1日までに中小企業・個人事業主が整えること

方針と行為者への対処方針は、就業規則その他の服務規律等を定めた文書に規定します。

相談窓口の求職者等への周知は、自社の採用ページ等の広報手段で行います。

方針の明確化と相談窓口の周知

労働政策審議会の資料では、就活等セクハラへの取組が「特にない」企業は従業員99人以下で65.6%でした。100〜299人55.7%・300〜999人48.0%・1,000人以上42.1%と、規模が小さいほど未着手の割合が高くなっています。

最初に着手するのは、就業規則その他の服務規律等を定めた文書への規定と、相談窓口の求職者等への周知の2点です。既存のセクシュアルハラスメント規定があれば、求職活動等における性的な言動を対象に含める形で書き加えられます。

就業規則の作り方は「給与計算にも必要!就業規則を作成するうえでのポイントとは」で解説しています。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメント対策についての現状等」17頁

freeeでできる規程整備と情報収集

freee人事労務のサービスサイトでは、freee就業規則で就業規則・賃金規程・育児介護休業規程を作成できると案内しています。作成・ダウンロード・保管は無料で、社労士業務や弁護士業務ではないサポート機能と明記されています。

求職者等への防止措置の義務化は今回が初めてで、自社の規程のどこを見直すべきか判断に迷う場面も出てきます。freee法対応ガイドでは、こうした法改正の最新情報を確認できます。

出典:freee「就業規則を無料でかんたん作成」

まとめ

2026年10月1日から、求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置が事業主に義務づけられます。改正前に指針の望ましい取組だった対策が、企業規模を問わない義務へ移りました。

対象は採用面接だけでなく、就職説明会・OB訪問・インターンシップ・実習やSNS等のオンラインのやり取りも含まれます。

講ずべき措置は11項目で、うち10項目は既存のセクシュアルハラスメント対策と共通し、固有の措置は求職活動等のルールの明確化です。

10月までの実務の中心は、就業規則その他の服務規律を定めた文書への規定と、求職者等に届く相談窓口の周知です。

よくある質問

就活セクハラ対策はいつから義務化されますか?

2026年10月1日からです。改正法(令和7年法律第63号)は令和7年6月11日に公布され、指針(令和8年厚生労働省告示第52号)は令和8年2月26日に告示されました。

詳しくは「望ましい取組から法的義務への転換」で解説しています。

OB訪問やインターンシップも対象に含まれますか?

含まれます。求職活動等の例として、指針に企業の雇用する労働者への訪問とインターンシップへの参加が明記されています。

SNS等のオンラインを介したやり取りも含みます。

詳しくは「求職活動等に当たる5つの場面」で解説しています。

措置を講じなかった場合の罰則はありますか?

措置義務違反そのものへの罰則はありません。厚生労働大臣が助言・指導・勧告を行い、従わなければ公表される場合があります。

20万円以下の過料は、報告義務に違反した場合のものです。

詳しくは「企業規模を問わない義務化」で解説しています。

既存のセクハラ相談窓口をそのまま使えますか?

窓口を兼ねること自体は問題ありません。ただし求職者等が外から見つけて利用できるよう、周知先を広げる必要があります。

詳しくは「10項目は既存のセクハラ対策と同じ内容」で解説しています。

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