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NFTで利益が出たら税金がかかる?課税対象となるケースや確定申告方法を解説

公開日:2023/10/19

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

NFTで利益が出たら税金がかかる?課税対象となるケースや確定申告方法を解説

NFTとは、非代替性トークン(Non-Fungible Token)の略称です。本記事では、NFT取引において課税されるタイミング注意点を解説します。

NFTは、ブロックチェーンをもとに作られたデジタルデータです。デジタルアートを紐づけたNFTが、高値で取引されたニュースが話題となりました。しかし、NFT取引で生じた利益の税務上の扱いは、まだ法整備を進めている途中の段階です。

アートだけでなく、スポーツやファッションなどの分野でも注目を集めているNFTに関して、現状での税法上のルールを把握しておきましょう。

目次

NFTで課税される税金の種類

まず、NFT取引で課税される可能性のある税金は以下の通りです。

NFT取引で課税される可能性のある税金の種類

● 所得税
● 法人税
● 相続税
● 贈与税
● 消費税
それぞれの概要を説明します。

1 所得税

所得税とは、個人の所得に課せられる税金であり、以下の10種類です。

所得税の種類

● 利子所得
● 配当所得
● 不動産所得
● 事業所得
● 給与所得
● 退職所得
● 山林所得
● 譲渡所得
● 一時所得
● 雑所得
役務提供などによって取得したNFTに課せられる所得区分には、給与所得・事業所得・雑所得が挙げられます。

また所得税の税率は、5〜45%の7段階に分かれており、所得が多くなるにつれて税率が上がる累進課税制度を採用しています。

※関連記事
所得税の計算方法は?税率や控除についても分かりやすく解説

2 法人税

法人税は、法人の企業活動で得た所得に対して課税されます。

たとえば、法人がデジタルアートを制作し、デジタルアートが紐づけられたNFTを譲渡して対価を得た場合、法人税の課税対象です。

法人税は資本金が1億円以下かそれ以外で、税率が異なります。

法人資本金額税率
・普通法人
・一般社団法人
・人格のない社団
1億円より多い一律で23.2%
1億円以下年800万円まで15%


法人税の税率は、そのほかの税とのバランスを図りながら、財政事情や経済情勢などを反映して決まります。役務提供などによって取得したNFTに課せられる所得区分には、給与所得・事業所得・雑所得が挙げられます。

※関連記事
法人にかかる税金の種類は?税率や計算方法を個人事業主と比較

3 相続税

亡くなった親族から財産を受け継いだ場合に、その財産に対して課せられるのが相続税です。取得した財産の価額の合計額が、基礎控除額を超える場合に課税対象となります。

相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額に応じて、10〜55%まで段階的に引き上げられていきます。所得税と同様に累進税率が適用されており、資産の再分配を図るためです。

ただしNFTに関しては、税額を決める評価通達に定めがありません。そのため、評価通達5(評価方法の定めのない財産の評価)の定めに準じて評価します。

4 贈与税

贈与税は、個人から贈与によって財産を取得した場合に課せられる税金です。生前に贈与することで、相続税を逃れようとする行為を防ぐ役割があります。

課税方法は次の2種類であり、贈与者(贈与をした人)ごとに選択できます。

贈与税の課税方法

● 暦年課税
● 相続時精算課税
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額に基づいて税額を算出します。税率は、課税財産額によって決まる10〜55%の超過累進税率です。

一方、相続時精算課税は、親子間など一定の要件を満たす場合に選べます。非課税枠2,500万円を超えた部分に、一律で税率20%を乗じます。

※関連記事
贈与税とは?かかるときや税率の計算について紹介

5 消費税

消費税は、商品やサービスの提供といった取引に対して課せられます。

消費税は消費者が負担し、事業者が納付します。商品やサービスが消費者に届くまで、各取引(販売や運送、広告など)で広く公平に課税されますが、二重三重に税がかからない仕組みです。

消費税の税率は、標準税率が10%、軽減税率が8%です。軽減税率は、酒類や外食を除く飲食料品など、一部の商品・サービスに対して適用されます。そのため、NFT取引では軽減税率の対象になりません。

※関連記事
消費税の課税事業者と免税事業者とは?仕組みやインボイス制度導入の影響を解説

NFTで税金がかかるタイミング

NFT取引で税金がかかる、主なタイミングの例は以下の通りです。

課税対象となるNFT取引の例

● デジタルアートを制作し、マーケットプレイスを通してデジタルアートが紐づけられたNFTを有償で譲渡したとき
● 購入したNFTを第三者へ転売したとき
● 役務提供の対価として、取引先のトークン(※)を取得したとき
● ブロックチェーンゲームの報酬としてトークン(ゲーム内通貨)を得たとき
● 経済的価値のあるNFTを、贈与または相続によって取得したとき
※お金の代わりに使われる代替貨幣

役務提供とは、運送や仲介、飲食などのサービスまたは専門的知識の提供をいいます。請負契約の場合は事業所得または雑所得、雇用契約の場合は給与所得に区分されます。

なお、次のようなケースは課税対象となりません。

課税対象外のNFT取引

● デジタルアートを作って、無償で譲渡した場合
● ゲーム内で報酬を得たとき、そのトークンが、ゲーム内の資産以外の資産と交換できない場合
NFT取引において、「新たな経済的価値の取得の有無」が、課税されるかどうかを判断するポイントです。

NFTで利益を得た場合の確定申告方法

以下に該当する人は、確定申告を行わなければなりません。

確定申告をしなければならない人

● 個人事業主やフリーランスの人
● 給与の額面収入金額が2,000万円以上の人
● 給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以上の人
● 2ヶ所以上から給与を受け取っている人
また、NFTで利益を得た場合、次の手順で納めるべき税金の額を計算します。

NFT取引による利益にかかる税金の算出手順

1. 得た利益が、どの所得区分に該当するか確認する
2. 各所得区分のルールにしたがって、必要経費や控除額を差し引き、所得金額を算出する
3. 所得区分によっては、損益通算を行う
4. 算出された所得金額に税率を乗じて、納めるべき税金を申告する
NFT取引に関しては、税務上の取り扱いが明確でない部分も多くあるため、判断に迷った場合は専門家に相談しましょう。

確定申告の手順や確定申告書の書き方は、「【最新】確定申告のやり方は?必要書類の準備・提出を自分で行う方法を解説」で詳しく解説しています。確定申告が必要な方は、ぜひ参考にしてください。

NFTの税金に関する注意点

NFT取引にかかる税金について、気をつけるべきポイントを3点説明します。

NFTの税金に関する注意点

● NFTの取引データを管理しておく
● NFT取引で必要経費と認められるかは慎重に判断する
● NFTの所得を申告しないとペナルティが課せられる場合がある
それぞれ詳しく解説します。

NFTの取引データを管理しておく

購入したNFTを転売して利益を得た場合、譲渡所得の金額は次のように計算します。

譲渡所得の金額=NFTの転売収入−NFTの取得費−NFTの譲渡費用−特別控除額
所得金額を算出するため、NFTの購入代価や関連費用といった「取得費」を把握・管理しておく必要があります。

また、損益通算を行う場合、以下の情報を把握しておかなければなりません。

把握しておくべき取引データ

● 売買日時
● 購入・売却したNFT
● 支払った・取得した通貨名
● 支払った・取得した数量
● 手数料
NFT取引を頻繁に行う人などは、データを管理できる汎用フォーマットなどを上手く活用しましょう。

NFT取引で必要経費と認められるかは慎重に判断する

NFTで必要経費と認められるのは、以下のような費用です。

NFT取引で認められる必要経費

● NFTの譲渡収入を得るために必要な売上原価の額や販売費
● 一般管理費
● 報酬を得るために使用したゲーム内通貨の取得価額の総額
デジタルアートの制作費は、経費として認められません。取引の内容や様態などによって、必要経費と認められるか否か、また所得の区分なども異なってきます。

経費として扱うべきか悩むときは、専門家へ相談しましょう。

NFTの所得を申告しないとペナルティが課せられる場合がある

NFTの税務上のルールは、現状では曖昧な点もあります。しかし、「明確なルールがないから申告しなくてもいい」わけではありません。

原則、1月1日から12月31日までに生じた所得に関して、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、税金を納めなければなりません。

納付すべき税額を申告しなかった場合、無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があります。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告に関する作業を効率化したいとお考えの方には、確定申告ソフト「freee会計」の活用がおすすめです。

freee会計には、以下のような機能があります。

  • 銀行口座やクレジットカードを同期して出入金を自動入力
  • 家計簿感覚でできる帳簿付け
  • 確定申告時、税額控除の金額を自動算出
  • e-tax(電子申告)対応でオンライン申告も可能

日々の経費管理から確定申告の対応まで、さまざまな作業を自動化して時間や手間を大幅に削減できます。

勘定科目も予測して入力できるため、慣れない人でも安心して使用いただけます。

また、確定申告の際には質問に回答すると税額控除の金額を自動算出できます。ご自身で面倒な計算をする必要がなく、スムーズな書類作成が可能です。

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計を使うとどれくらいお得?

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

忙しい年度末の負担を減らすためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

まとめ

NFTを売ったり、譲渡したりすると税金がかかる場合があります。確定申告の際、NFT取得額などの情報が必要になるため、取引データはしっかり管理しておきましょう。

また、税務上のルールは明確でない部分も少なくありません。NFT取引を行っている人は、申告時に不明点がある場合、事前に専門家に相談しましょう。

よくある質問

NFTで課税される税金の種類とは?

主に所得税・法人税・贈与税・相続税・消費税などが挙げられます。

NFTで課税される税金の種類について詳しく知りたい方は、「NFTで課税される税金の種類」をご覧ください。

NFTで税金がかかるタイミングとは?

NFTを売ったり譲渡したりして利益を得たときや、経済的価値のあるNFTを贈与または相続したときに税金がかかります。

NFT取引に関して課税されるタイミングを知りたい方は、「NFTで税金がかかるタイミング」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮