監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

スマホアプリ納付は、各種のPay払いサービスのスマホアプリで支払う納付方法です。2025年4月現在、PayPay・d払い・au PAY・メルペイ・Amazon Pay・楽天ペイの6種類の決済サービスが利用可能です(※LINE Payは2025年4月30日でサービス終了予定)。
所得税や消費税などほぼ全ての国税に対応しており、決済手数料が不要、24時間いつでも納付可能といったメリットがあります。一方で、納付上限額(30万円)や領収書が発行されないなどの注意点もあります。
本記事では、スマホアプリ納付の概要や対応する税目、メリット・デメリットとスマホアプリ納付の手順も解説します。
目次
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スマホアプリ納税とは
スマホアプリ納付(スマホアプリ納税)は、国税スマートフォン決済専用サイトからPay払いで国税を納める方法です。国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営しています。
国税では、2022年12月1日から「スマホアプリ納付」が始まり、地方税では、2023年4月1日から「地方税統一QRコード」による納付がスタートしています。
対応しているPay払いは、PayPay・d払い・au PAY・メルペイ・Amazon Pay・楽天ペイの6種類の決済サービスが利用可能です(※LINE Payは2025年4月30日でサービス終了予定)。
スマホアプリ納付は国税のほぼすべての税目に対応
国税のほぼすべての税目でスマホアプリ納付が利用可能です。
スマホアプリ納付の対象税目の例
- 申告所得税および復興特別所得税
- 消費税および地方消費税
- 法人税
- 相続税
- 贈与税
- 酒税
- たばこ税
本税だけでなく、加算税や延滞税などの附帯税にも対応しています。
ただし、印紙を貼り付けて納付する場合などは利用できません。また、複数の税目をまとめての納付はできないため、税目ごとに手続きが必要です。
出典:国税庁「スマホアプリ納付のQ&A」
スマホアプリ納付の4つのメリット
スマホアプリ納付を使えば、より手軽に国税を納付できます。主なメリットは以下の4つです。
スマホアプリ納付の4つのメリット
- いつでもどこでも納付できる
- 事前の届け出が必要ない
- 決済手数料がかからない
- e-Taxで確定申告していれば納付情報の入力を省略できる
特にe-Taxで確定申告をしている人は、少ない入力で手続きができるためスマホアプリ納付がおすすめです。
いつでもどこでも納付できる
スマホアプリ納付は、休日や夜間を問わず、原則24時間いつでも利用可能です。
キャッシュレスで納付でき、現金を用意する必要がないため手間がかかりません。また、納付の際に家族の情報を入力すれば、家族分も納付できます。
ただし、メンテナンスなどで利用できない時間が生じる場合があるためご注意ください。
事前の届け出が必要ない
スマホアプリ納付は届出書を提出するなどの事前手続きの必要がなく、専用サイトにアクセスし、Pay払いの選択や納付情報の入力を行うだけで納付できます。
納付する税目・金額がわかるものと、インターネットに接続できるスマホを用意したうえで手続きをしましょう。スマホの推奨環境は以下の通りです。
対応OS | 対応バージョン |
---|---|
iOS | バージョン13.0以上 safari13.0以上 |
Android | バージョン10以上、Chrome バージョン107以上 |
決済手数料がかからない
決済手数料がかからないのもスマホアプリ納付のメリットです。クレジットカード納付では、納付税額に応じて決済手数料がかかります。
納付税額 | 決済手数料 |
---|---|
1円~1万円 | 83円 |
1万0,001円~2万円 | 167円 |
2万0,001円~3万円 | 250円 |
3万0,001円~4万円 | 334円 |
4万0,001円~5万円 | 418円 |
5万0,001円を超える場合も同様に、1万円を超えるごとに決済手数料が加算されます。手数料をかけずに支払いたいなら、スマホアプリ納付を利用しましょう。
ポイントが付与される場合がある
Pay払いによっては、各Pay払いでの還元として、支払いの際にポイントが付与されます。
たとえば、「au Pay」で支払いすると、0.5%還元でポイントを獲得できます。また、au Pay残高にチャージする際には、クレジットカードのポイントも貯まります。クレジットカードの還元率が1.0%だとすると、納税の際には合計1.5%分のポイントが獲得できる計算です。
そのほか、Amazon Payでは、Amazonギフトカードの残高で納税が可能です。Amazonギフトカードをクレジットカードで購入して残高をチャージすれば、クレジットカードのポイントが貯まります。
e-Taxで確定申告していれば納付情報の入力を省略できる
e-Taxでの確定申告後、受信通知からサイトにアクセスすれば情報が引き継がれるため、納付情報の入力は不要です。
入力を省略できる納付情報の例
- 住所
- 氏名
- 納付する税目
- 税額
また、確定申告書等作成コーナーから出力される納付用二次元コードを使ってアクセスした場合も、納付情報を入力する必要はありません。
スマホでのe-Taxを使った確定申告方法は「スマホの確定申告のやり方を解説!マイナンバーカードなどの必要な準備とは」で解説しています。
スマホアプリ納付のデメリット・注意点
スマホアプリ納付は、24時間いつでもキャッシュレスで納付できる便利な納税手段ですが、以下の点には注意が必要です。
スマホアプリ納付のデメリット・注意点
- 納付金額が30万円を超える場合は利用できない
- ポイントが付与されない場合もある
- 領収証書が発行されない
会計書類として領収証書を管理したい場合などは注意しましょう。
納付金額が30万円を超える場合は利用できない
スマホアプリ納付が利用できるのは、納付金額が30万円以下の場合です。国税庁ウェブサイトによると、スマホアプリ納付の支払いについて、以下のように記載されています。
30万円を超える納付税額の場合、アプリ納付を行う目的で複数回に分けて納付することはお控えください。
出典:国税庁「G-2-5 スマホアプリ納付の手続」
国税の納付手段は以下の6種類です。納付金額が30万円を超える場合は、スマホアプリ納付以外の納付方法を利用しましょう。
納付手段 | 概要 |
---|---|
スマホアプリ納付 | スマホアプリを利用してPay払いで納付する方法 |
振替納税 | 口座振替で納付する方法 |
ダイレクト納付 | e-Taxから簡単な操作で口座振替によって納付する方法 |
インターネットバンキング納付 | インターネットバンキングを利用して納付する方法 |
クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカードで納付する方法 |
現金納付 | 金融機関の窓口やコンビニエンスストアで納付する方法 |
また、スマホアプリ納付の上限とは別に、各Pay払いで設定された利用上限金額によって納付金額が制限される場合もあります。たとえば、PayPayでは過去24時間で上限50万円、過去30日間で上限200万円の利用上限額があります。
領収証書が発行されない
スマホアプリ納付で納税した場合、領収証書は発行されません。領収証書が必要な場合はスマホアプリ納付を利用せず、納付書を使って金融機関や税務署の窓口で納付しましょう。
また、国税スマートフォン決済専用サイトで納付した内容は、後日確認できません。後日確認が必要な場合は、以下のいずれかの方法を活用してください。
確認方法 | 内容 |
---|---|
納付内容のダウンロード | 納付手続き完了画面に表示される「納付内容をダウンロード」ボタンをタップしてダウンロードする |
納付手続完了メールの確認 | 「納付情報の入力」または「納付情報確認」画面でメールアドレスを登録することで送信される納付手続完了メールを確認する |
納付手続完了メールには、税額などの「納付情報」と支払手続完了日などの「支払情報」が記載されています。また、各Pay払いの取引履歴にもスマホアプリ納付を行った履歴が残るため、あわせて活用しましょう。
スマホアプリ納付のやり方
スマホアプリ納付を利用し、国税を納付する手順を解説します。事前に利用したいPay払いのスマホアプリをインストールし、アカウント登録と残高へのチャージを済ませておきましょう。
スマホアプリ納付の手順
- 国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスする
- 支払い方法を選択して納付情報を入力する
- 納付する
1. 国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスする
国税スマートフォン決済専用サイトのアクセス方法
- 国税庁ホームページから直接アクセスする
- e-Taxの受信通知からアクセスする
- 確定申告書等作成コーナーで出力される二次元コードからアクセスする
e-Taxでの確定申告後にスマホアプリ納付を利用する場合は、メッセージボックスに届く受信通知からアクセスできます。
確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成したあとに納付する場合は、出力される納付用二次元コードを読み取りましょう。
国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセス後、注意事項を確認して「次へ」をタップすると支払い画面に移ります。
2. 支払い方法を選択して納付情報を入力する
項目 | 入力内容の例 |
---|---|
利用者情報 |
・氏名 ・住所 ・電話番号 ・納付先税務署(郵便番号) ・メールアドレス |
納付内容 |
・納付税目 ・課税期間 ・申告区分 ・税額 |
メールアドレスの入力は任意ですが、納付手続完了メールを受け取りたい場合は入力しましょう。納付情報入力後、「次へ」をタップして次に進みます。
3. 納付する
納付情報の確認画面に切り替わったら、内容を確認して「納付」をタップします。選択したPay払いが起動するため、画面の案内にしたがって支払いましょう。
Pay払いでの支払いが完了し、「納付手続きの完了」画面が表示されると手続きは完了です。スマホアプリ納付では領収証書が発行されないため、「納付内容のダウンロード」をタップしてダウンロードしておきましょう。
まとめ
国税・地方税ともにスマホアプリでの納付が可能です。スマホアプリ納付なら、24時間オンラインでほぼすべての税目への納税が可能です。決済手数料なしで支払いができ、Pay払いの種類によっては、ポイント還元が受けられます。
上限は30万円に限られること、領収証書が発行されないことなどが注意点です。ぜひ所得税や消費税など、各種税金の支払いにスマホアプリ納付を活用していきましょう。
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よくある質問
スマホアプリ納税とは?
スマホアプリ納付(スマホアプリ納税)は、「国税スマートフォン決済専用サイト」を利用し、スマホアプリを使ったPay払いで国税を納める方法です。
2024年12月時点では、PayPay・d払い・au PAY・LINE Pay(2025年4月30日にサービス終了)・メルペイ・Amazon Pay・楽天ペイの7種類のPay払いが利用できます。
スマホアプリ納付の概要を詳しく知りたい方は「スマホアプリ納税とは」をご覧ください。
スマホアプリで納税できる税目は?
スマホアプリ納付は、原則として国税のほぼすべての税目に対応しています。たとえば、所得税・消費税・法人税・相続税・贈与税・酒税・たばこ税は、スマホアプリ納付が可能です。
スマホアプリ納付の対象税目を詳しく知りたい方は「スマホアプリ納付は国税のほぼすべての税目に対応」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
