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税務調査から逃げ切ったり拒否したりできる? 調査対象期間や加算税に関しても解説

監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

税務調査から逃げ切ったり拒否したりできる? 調査対象期間や加算税に関しても解説

税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行っているか税務署が調査することです。本記事では、税務調査の対象期間加算税の内容を解説します。

税務調査が入って加算税が課されると、課税額が高額になって負担が重くなる場合があるので注意が必要です。税務調査に当たりづらくする方法も紹介するので、税務調査対策を考える際の参考にしてください。

目次

税務調査は逃げ切れる?

税務調査には、強制調査と任意調査の2種類の調査があり、いずれも拒否できません。拒否すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

任意調査と聞くと応じるかどうかは任意であって、拒否できるかのような印象を抱くかもしれません。しかし任意調査でも、拒否すれば罰則の対象になります。

そのため強制調査・任意調査いずれの税務調査であっても、拒否したり拒否し続けて逃げ切ったりすることはできません。

税務調査でさかのぼる期間

税務調査が入ると、過去3年分を調査されて終わることが一般的です。

しかし税務調査によって問題が判明した場合は、5年分をさかのぼって調査される場合もあります。さらに重大な問題が判明した場合には、最長7年分をさかのぼって調査されるケースもあるようです。

税務調査は拒否できず、問題を隠そうとしても税務調査の担当者はプロなので見逃してはくれません。税務調査でごまかしたり逃げ切ったりすることはできないと考えておきましょう。

税務調査で課される加算税

税務調査によって申告・納税漏れが発覚すると、本来納税すべき額の納付だけでなく附帯税も課されます。

附帯税として課される加算税は次の4つです。

税務調査で課される加算税

● 過少申告加算税
● 無申告加算税
● 不納付加算税
● 重加算税
また上記4つの加算税に加え、延滞税も課されます。以下では、各附帯税の概要を解説します。

過少申告加算税

過少申告加算税は、期限内に申告・納税をしたものの、本来納めるべき税額より少なかった場合に課される加算税です。

過少申告加算税として収める金額は、新たに納税することになった金額の10%です。新たに納税することになった金額が、当初の申告納税額または50万円のいずれか多い金額を超えている場合は、超過分に対し15%の過少申告加算税がかかります。

ただし税務調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税は課されません。また税務調査の事前通知後に修正申告をした場合、50万円までは5%、50万円を超過した部分は10%に減額されます。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告・納税を行わなかった場合に課される加算税です。

無申告加算税の金額は、原則として納税額に対し15%、50万円を超過する部分は20%です。税務調査を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合は5%減額されます。

また期限後の申告でも、以下の要件をすべて満たす場合は無申告加算税は課されません。

1.その期限後申告が、法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に行われていること。
2.期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。

なお一定の場合とは、次の(1)および(2)のいずれにも該当する場合をいいます。

(1)その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること。
(2)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

申告を忘れていたなどで申告していない場合、速やかな対応が必要です。

不納付加算税

不納付加算税は、源泉徴収して納税が必要な法人や、個人事業主が期限内に納付しなかった場合に課される加算税です。

不納付加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%です。ただし、税務調査を受ける前に自主的に納付する場合は5%に減額されます。

また正当な理由がある場合や、法定納期限から1月以内にされた一定期限後の納付の場合には、不納付加算税は課されません。

重加算税

重加算税は、意図的に隠ぺいや仮装などを行った場合に課される加算税です。

重加算税の金額は、原則として、過少申告加算税・不納付加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%です。

重加算税は税率が高く、実際に課されると納付額が大きくなります。税務調査をごまかしたり逃げ切ったりしようとすると、意図的な隠ぺいとみなされて重加算税を課される可能性があるので注意が必要です。

延滞税

加算税とあわせて、納期限の翌日から実際に納付した日までの期間に応じて延滞税が課されます。

令和5年の延滞税の税率(年率)は、納期限から2ヶ月を経過するまでは2.4%、それ以降は8.7%です。延滞税は、納付が1日遅れるごとに金額が上がって負担が重くなります。

申告・納税漏れに気付いた場合は1日でも早く納付しましょう。

税務調査に当たりづらくするには?

自分が税務調査の対象になるのではないか、ある日突然税務調査が入るのではないかと、不安に感じる人もいるでしょう。

税務調査に当たりづらくする方法として、以下の2つの方法を紹介します。

税務調査に当たりづらくする方法

● 税金の申告・納税を期限までに適切に行う
● 税理士と顧問契約を締結する
それぞれの方法を詳しく解説します。

税金の申告・納税を期限までに適切に行う

当然ながら、税金の申告・納税では期限を守り、適切な内容での申告が大切です。

悪意がない場合でも、申告内容に不備があれば税務署から指摘を受けたり、税務調査が入ったりする可能性が高くなります。税金の計算や申告書の作成は、間違いのないように慎重かつ丁寧に行いましょう。

また申告・納税の期限に遅れれば、税金のルールを守れない人とみなされ、税務署から目を付けられることになりかねません。

期限ぎりぎりで対応すると焦ってしまい、計算ミスや申告書への記入ミスを起こす可能性が高くなります。申告・納税の準備は早めに始めましょう。

税理士と顧問契約を締結する

税金の申告・納税を税理士に任せれば、適切な内容で申告・納税を終えられるので、税務調査が入る可能性を下げられます。

税金の計算や申告書の作成を自分で行う自信がない場合には、税理士と顧問契約締結して申告・納税を任せるとよいでしょう。

もし申告・納税後に税務調査が入った場合でも、税理士に対応してもらえれば自分で税務調査に対応せずに済みます。

国税庁は、法人税の申告で不正が発見された件数が多い業種を公開しています。以下の業種は、不正が発見される割合が高い業種です。

順位業種目不正発見割合
1その他の道路貨物運送32.8%
2医療保健31.2%
3職別土木建築工事29.6%
4土木工事28.7%
5その他の飲食28.4%
6化粧品小売28.0%
6美容28.0%
8機械修理27.9%
9一般土木建築工事27.3%
10貨物自動車運送27.3%
出典:国税庁「令和3事務年度法人税等の調査事績の概要」

不正発見割合が高い業種は、税務署が重点的にマークしている業種と考えられるため、他業種に比べると税務調査が入る可能性が高くなります。

自社の業種が該当する場合は、税理士と顧問契約を締結して申告・納税の手続き等を依頼することも検討してみましょう。

【関連記事】
税理士とは?仕事内容や相談する際の注意点、費用などをわかりやすく解説

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まとめ

税務調査には、強制調査と任意調査の2種類があります。税務調査を行う旨の連絡があった場合、いずれの調査も逃げ切ったり拒否したりすることはできません。拒否すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

税務調査では多くの場合、3年分をさかのぼって調査が行われますが、場合によっては7年分までさかのぼって調査されるケースもあります。

税務調査を受けて加算税を課されないよう、税金の申告・納税は期限までに適切に終えましょう。

よくある質問

税務調査は逃げ切れる?

税務調査は拒否できず、拒否すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

税務調査から逃げ切ったり拒否したりできるのか、詳しく知りたい方は「税務調査は逃げ切れる? 」をご覧ください。

税務調査を回避するには?

税務調査を回避するには、期限までに適切な内容で申告・納付を終えることが大切です。

税務調査を回避する方法を詳しく知りたい方は「税務調査を回避するには?」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮