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保育DXで保育施設の業務はどう変わる?導入事例やメリット・デメリットを解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

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保育業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して保育施設の業務負担を減らし、保育の質を向上させる取り組みです。

保育士不足が続くなか、保育業界でもDX化が進み、ICTシステムを導入する保育施設が増えています。

保育園でDXを推進すれば、職員の業務負担を大きく軽減でき、人材定着や保育の質の向上も図れます。

本記事では、保育DXの概要メリットデメリットをまとめました。実際に保育園が取り組んでいるDX事例も紹介するので、保育業界で働く人はぜひ参考にしてください。

目次

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保育園のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

保育士不足が深刻な問題となるなか、保育園でもDX化が進んでいます。

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略語で、デジタル技術を活用し、人々の生活をよりよい方向に変革することです。

つまり、保育業界のDXは、デジタル技術を利用して保育施設の業務負担を軽減し、保育の質を向上させる取り組みを指します。

こども家庭庁は、「こどもまんなか社会」の実現に向けて「こども政策DX推進チーム」を立ち上げ、保育所でのDXを推進する取り組みなどを実施しています(※)。
(※)こどもまんなか社会とは、子どもに関する取り組みや政策を真ん中に捉える社会です。

2023年9月の議論では、保育業務にICTを導入する施設を増やし、そのうえで保育現場の業務負担を軽減すると結論付けました。

なお、デジタル技術の活用によって生活やビジネスモデルを変革する「DX」に対し、「ICT」は情報や通信に関する技術の総称です。つまり、ICTはDXを推進するための手段のひとつといえます。

保育園のDX化が推進されている背景

保育園のDX推進の背景にあるのは、深刻な保育士不足問題です。

働く女性が増え、保育園の利用ニーズが高まるなかで、保育の担い手が足りない状況が続いています。

女性の就業者数は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少したものの、2013年ごろから増加を続けています。

一方、厚生労働省によると、保育士資格を持っている人の6割超は、資格を持っているが保育士として働いていない「潜在保育士」です。

このように、保育士の確保が困難な状況が続くなか、人材確保に向けた対策のひとつとして保育園のDX化が推進されています。

また、子どもたちの命を守り、子どもたちが質の高い保育・教育を受けられるようにするのも、保育園でDX化を進める目的のひとつです。

保育園がDX化するメリット

保育園がDX化するメリット

出典:一般社団法人こどもDX推進協会「保育DXの実現に向けた提言」

保育業界のDXは、保育施設・保護者・子ども・地方自治体によい影響をもたらすことが期待されています。

保育業界で働く人にとっての主なメリットは、以下の通りです。

保育園がDX化するメリット

● 保育園の業務負担が軽減される
● 保育士の定着につながる
● 保育の質が向上する

保育園の業務負担が軽減される

保育業界がDX化すれば、保育園の業務負担が大きく軽減されます。

業務負担を軽減させる手段のひとつに、保育ICTシステムの活用が挙げられます。

保育ICTシステムとは、保護者との連絡や登降園管理、保育計画や記録などの業務をデジタル化し、サポートするシステムです。

保育ICTシステムを活用すれば、紙媒体での管理が減少します。そのため書類の作成事務や整理・管理事務の負担が軽減されるほか、情報漏えいのリスクも下がるでしょう。

負担が軽減される主な業務

● 入退室時間の管理
● 勤怠管理
● 連絡帳の作成
● 指導案・日誌の作成
● 保護者への連絡
● 検温・午睡チェック
● 保育料計算
● 請求管理
● 写真共有・販売
保育士不足は深刻な社会問題となっており、厚生労働省も保育所でのICT化を推進しています。ICTを進めるため、国や自治体によって補助・助成制度も導入されています。

保育士の定着につながる

DX化によって保育士の業務負担が軽減されれば、職場環境の改善や保育士の意欲向上につながります。保育士の定着、中長期での育成が可能になるでしょう。

日本には、保育士資格を有しているものの保育士として就業していない潜在保育士が多く存在します。

潜在保育士が保育士として就業することを希望しない主な理由は、処遇や職場環境によるものです。DX化で職場環境が改善されれば、潜在保育士の減少も期待できるでしょう。

保育の質が向上する

DX化によって、保育士がより専門的な業務に集中できれば、保育の質の向上も期待できます。

事務作業で多くの時間が取られると、子どもと向き合う時間や保護者とコミュニケーションをとる時間が少なくなってしまいます。

事務作業をシステムで代替すれば、子どもや保護者と向き合う時間が増え、質の高い保育・家庭支援へとつながるでしょう。

保育ICTシステムを導入すれば、パソコンやタブレットで必要な情報を一括管理できるため、保育士同士の情報共有もしやすくなります。

保育園をDX化するデメリット

国や自治体が保育園のDX化を推進する一方で、DX化が進んでいない、または有効に活用されていない保育施設もあります。

保育園でのDX導入を検討する際は、以下の注意点をおさえましょう。

保育園をDX化するデメリット

● 環境を整備する必要がある
● ITの知識やスキルが求められる
● サイバー攻撃などのリスクがある

環境を整備する必要がある

DX化するためには、ITインフラ環境を整えなければならず、初期費用がかかります。

DX化に必要なITインフラ環境

● インターネット環境、Wi-Fi環境
● パソコン・タブレット端末
● セキュリティシステム
● 保育ICTシステム
保育施設の環境整備が原因で、十分な効果が得られていない課題への対策のひとつとして、補助金制度の拡充が進められています。

令和6年度概算要求では、延長保育料などの徴収について、キャッシュレス決済の導入をする費用を補助対象とする旨が盛り込まれました。

また、業務のICT化のシステム導入にかかる費用や、研修のオンライン化に必要な費用を支援する補助なども実施されています。

条件や補助額は自治体によって異なるため、ホームページなどで交付要綱や申請方法を確認しましょう。

ITの知識やスキルが求められる

保育園のDX化を進めるには、ITの知識やスキルが求められます。

しかし、ITに不慣れな園長や保育士が多く、ICTシステムを導入しない、導入後も十分に活用できていない保育施設も少なくありません。

効果的に活用する対策として、ICTシステムを導入する際のガイドライン作成や、研修費用の補助などの施策が進められています。

また、保育DXに関する説明会を実施している自治体もあります。

ICTシステムを導入するだけでなく、国や自治体による支援を活用し、職員のICTスキル習得への取り組みも実施しましょう。

サイバー攻撃などのリスクがある

デジタル技術の活用には、サイバー攻撃などのリスクが伴います。

過去には、保育園向け連絡帳アプリにて、不正アクセスによる個人情報流出の事例が起きています。

セキュリティ対策を行っているシステムを選ぶことも重要ですが、以下のような対策を行い、保育職員のITリテラシーを高めましょう。

保育職員のITリテラシーを高めるための対策

● ITリテラシーに関する研修を実施する
● 情報を取り扱う際の園内規定を作成する
また、電子データのパックアップ体制や情報漏えい時の対応、機器破損・システム不具合時の対応も考えておかなくてはなりません。

保育園のDX事例

保育の現場では、ICTを活用してDXを推進する事例が増えています。保育園で実施されているDX事例をいくつか紹介するので、参考にしてください。

保育園のDX事例

● ICTシステムの導入で業務時間を削減した事例
● ICTシステムの導入で働きやすさ・保育の質の向上に成功した事例
● 午睡センサーの導入で保育士の心理的負担が軽減した事例

ICTシステムの導入で業務時間を削減した事例

ある保育園では、多大な業務量による残業が問題となっていました。その主な原因は、計画・記録・連絡帳など手書きの文書が多く、記入に時間がかかっていたことです。

そこで、保育士への影響が少ない業務からICTシステムとタブレット型端末を段階的に導入しました。

手書き記入していたものをタブレット型端末で入力し、ICTシステムで保管・共有することで、平均1.3時間/月(1クラスあたり)の業務時間削減に成功しています。

この保育園では、文書印刷のコストが削減されたほか、保育園内の情報共有が円滑になり、情報共有漏れの防止にもつながりました。

ICTシステムの導入で働きやすさ・保育の質の向上に成功した事例

業務負担の大きさによる保育士の離職が懸念されていた保育園で、ICTシステムを導入した事例です。

この保育園では、保育士の定着を図るため、働きやすい環境をつくる必要性が高まっていました。

そこで、タブレット型端末で週案・月案や保育記録などの文書作成を行い、バックオフィス業務の削減に成功しています。

その結果、子どもと向き合う時間が増え、保育の質が向上しました。保育士同士が保育を振り返る時間や、コミュニケーションをとる時間も増加しています。

さらに、保護者とのコミュニケーションにもICTシステムを利用し、保護者が保育中の様子を知れるようになりました。

午睡センサーの導入で保育士の心理的負担が軽減した事例

ある保育園では、午睡中の見守り業務に関して、保育士の心理的負担の大きさが課題となっていました。

そこで、職員に午睡センサーの説明をし、ITリテラシーが比較的高い保育士から午睡センサーの使用を開始しました。結果、心理的負担の軽減に成功しています。

また、センサーが午睡中の体動に伴う心拍や呼吸を監視できるようにしたことで、体の向きを記入する手間がなくなりました。そのため、手書きによる人的ミスも防止できました。さらに、保護者の安心感の高まりにもつながっています。

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まとめ

保育業界のDXとは、デジタル技術を活用して引く施設の業務負担を軽減し、保育の質を向上させる取り組みです。

保育施設の業務負担を軽減し、保育士が働きやすい環境を整えるために、保育業界でもDXが推進されています。

保育ICTシステムを活用すれば、登降園管理・日誌・連絡帳の作成・保育料の計算など、日々の業務負担軽減が図れます。

事務作業が減り、子どもと向き合う時間が増えれば、保育の質も向上するでしょう。

保育施設では、今後ますますDXの動きが進むと予想されます。

実際に使いこなせるか不安を感じる人は、利用時のサポート体制が整ったサービスを選択することが賢明です。

業務効率化による保育の質の向上や保育士の確保、コスト削減を実現するためにも、DX化を検討しましょう。

よくある質問

保育園のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

保育業界のDXとは、デジタル技術を利用して保育施設の業務負担を軽減し、保育の質を向上させる取り組みです。

保育業界のDXの概要を詳しく知りたい方は「保育園のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?」をご覧ください。

保育園がDX化するメリットとは?

保育園がDXを推進するメリットは、主に以下の3つです。

保育園がDX化するメリット

● 保育園の業務負担が軽減される
● 保育士の定着につながる
● 保育の質が向上する
保育園がDX化するメリットを詳しく知りたい方は「保育園がDX化するメリット」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史