バックオフィスのトレンド情報をまとめて解説!

所得金額調整控除とは?対象者や計算方法、確定申告時の申請方法をわかりやすく解説

公開日:2023/06/17

監修 岡崎 壮史 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

所得金額調整控除とは?計算方法や確定申告時の申請方法をわかりやすく解説

所得金額調整控除とは、税負担を軽減するための控除制度です。本記事では、対象者や計算方法、確定申告・年末調整での申請方法などを解説します。

所得金額調整控除の適用を受けるためには、年末調整や確定申告で手続きが必要です。

申告漏れを起こして税金が高くならないように、どのような手続きが必要なのか確認しておきましょう。

目次

所得金額調整控除とは?

所得金額調整控除は、2020年から導入された制度です。2018年度の税制改正によって、給与所得控除の金額が一律10万円引き下げられたことに伴い導入されました。

会社員やパート、アルバイトなどの給与所得者は、給与収入から給与所得控除額を差し引いて所得税・住民税を計算します。

たとえば、給与所得者の所得税額を算出する方法は、以下の通りです。

● 収入 - 給与所得控除 = 所得金額
● 所得金額 - 所得控除 = 課税所得
● 課税所得 × 税率 = 所得税額
給与所得控除額が引き下げられると、その分所得金額が増えるため、税負担も増える可能性があります。

このような給与所得控除額の引き下げによる影響を緩和するために、所得金額調整控除が導入されました。

ただし、全ての給与所得者が、所得金額調整控除の適用を受けられるわけではありません。

子どもや特別障害者等がいる世帯、年金受給者がいる世帯など、一定の要件に該当すると所得金額調整控除の適用を受けられます。

また節税に利用できる控除は、ほかにもたくさんあります。

詳しくは「確定申告の所得控除は15種類! 対象となる条件や控除額、税額控除との違いについて解説」をご覧ください。

所得金額調整控除の種類

所得金額調整控除には、以下の2種類があります。

所得金額調整控除の種類

● 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
● 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
それぞれの所得金額調整控除について、詳しく解説します。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除とは、本人や家族に障害がある場合や、23歳未満の扶養家族がいる場合に適用される控除制度です。

適用するためには、その年の諸手当などを含めた給与等の総支給額が850万円を超える給与所得者で、以下のいずれかに該当する必要があります。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の要件

● 本人が特別障害者に該当する
● 年齢23歳未満の扶養親族を有する
● 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する
出典:国税庁「No.1411 所得金額調整控除」

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除とは、年金と給与両方の収入がある人に適用される控除制度です。

以下の要件に該当する場合、適用されます。

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の要件

● その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある
● 上記の合計額が10万円を超える
出典:国税庁「No.1411 所得金額調整控除」

所得金額調整控除の計算方法

所得金額調整控除の控除額は、以下の計算式で算出します。

所得金額調整控除の計算方法

【子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除】
● {給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)-- 850万円} × 10%(最高15万円)

【給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除】
● {給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)} - 10万円
出典:国税庁「No.1411 所得金額調整控除」

所得金額調整控除の申告方法

所得金額調整控除の申請方法は、年末調整で申告する方法と確定申告で申告する方法の2つです。

2種類ある控除制度のどちらを適用するかによって申告方法が変わるので、以下で紹介する申請方法に則って手続きを行いましょう。

年末調整

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整で申告できます。

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記入方法は以下です。

● 「所得金額調整控除申告書」欄の該当する要件にチェックを入れる
● 扶養親族等の氏名や個人番号、生年月日などを記入

令和4年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
出典:国税庁「令和4年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」

確定申告

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の適用を受ける場合は、確定申告で申告します。

なお子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整でも申告できますが、確定申告で申告することも可能です。

確定申告で所得金額調整控除を申請する場合は、第一表と第二表に記入します。第一表の給与収入の区分欄には、適用する控除の種類に応じて1~3の番号を記入しましょう。

申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】
出典:国税庁「申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】」

給与収入の区分欄に記入する番号

● 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除を適用する場合:「1」と記入
● 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除を適用する場合:「2」と記入
● 両方の控除を適用する場合:「3」と記入
また所得金額調整控除の適用を受ける場合は、第二表の「配偶者や親族に関する事項」のその他欄の「調整」に丸を付けます。

申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】
出典:国税庁「申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】」

年末調整や確定申告では申告漏れに要注意

所得金額調整控除は、2020年に始まった比較的新しい制度です。人によっては、所得金額調整控除があることを知らず、自分が要件を満たしていても気付かない場合があります。

適用対象であるにも関わらず申告をしないと、税負担が軽減されません。適用対象になる方は忘れずに申告しましょう。

年末調整や確定申告の違いについては、年末調整と確定申告の違いと関係性は? 両方必要となるケースや関係性を解説で詳しく紹介しています。

所得金額調整控除のポイント

所得金額調整控除のポイントは次の通りです。

所得金額調整控除のポイント

● 2つの所得金額調整控除の併用可否
● 2ヶ所以上から給与の支払いを受けている場合の取り扱い
● 共働き世帯における所得金額調整控除の適用要件
以下で詳しく解説します。

2つの所得金額調整控除の併用可否

2種類ある所得金額調整控除は、いずれか一方の選択適用ではなく併用が可能です。併用する場合は確定申告で申告し、確定申告書・第一表の給与収入の区分欄に3を記入してください。

併用する場合、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除が先に適用されます。

適用する順序を間違えると計算結果が変わる場合があるので、ご自身で税額を計算する際は注意しましょう。

2ヶ所以上から給与の支払いを受けている場合の取り扱い

諸手当などを含めた総支給額が850万円を超えるかどうかは、年末調整の対象となる主たる給与等により判定します。

年末調整の対象となる給与等とは、扶養控除等申告書を提出している会社から受け取る給与等を指します。年末調整の対象とならない、従たる給与等は含めません。

ただし、確定申告で子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける場合は、判定方法が異なります。

2ヶ所以上から給与等の支払を受けている場合は、すべての給与等を合計した金額により判定します。

年末調整と確定申告では、判定の方法が異なるので混同しないように注意しましょう。

共働き世帯における所得金額調整控除の適用要件

共働き世帯において、夫婦がともに適用要件を満たす場合、夫婦それぞれで所得金額調整控除の適用を受けられます。

扶養控除の場合は夫婦どちらかのみの適用ですが、所得金額調整控除では夫婦のどちらか一方にしか適用できないとする規定はありません。

そのため23歳未満の子どもがいて、夫婦いずれも年収が850万円を超えているようなケースでは、要件を満たせば夫婦それぞれで所得金額調整控除の適用を受けられます。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告に関する作業を効率化したいとお考えの方には、確定申告ソフト「freee会計」の活用がおすすめです。

freee会計には、以下のような機能があります。

  • 銀行口座やクレジットカードを同期して出入金を自動入力
  • 家計簿感覚でできる帳簿付け
  • 確定申告時、税額控除の金額を自動算出
  • e-tax(電子申告)対応でオンライン申告も可能

日々の経費管理から確定申告の対応まで、さまざまな作業を自動化して時間や手間を大幅に削減できます。

勘定科目も予測して入力できるため、慣れない人でも安心して使用いただけます。

また、確定申告の際には質問に回答すると税額控除の金額を自動算出できます。ご自身で面倒な計算をする必要がなく、スムーズな書類作成が可能です。

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計を使うとどれくらいお得?

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

忙しい年度末の負担を減らすためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

まとめ

所得金額調整控除は、2018年度の税制改正により、給与所得控除の金額が一律10万円引き下げられたことに伴い導入された制度です。

所得金額調整控除の適用対象であれば、税負担を軽減できます。

自分や家族が特別障害者に該当する場合や、給与収入と年金収入がある場合、一定の条件に該当すると適用対象となります。

所得金額調整控除は「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類です。

2種類の控除では適用要件や控除額の計算方法が異なるため、対象になるかどうかはそれぞれの要件を確認しましょう。

また所得金額調整控除の適用を受けるためには、年末調整や確定申告で申告が必要です。

適用を受けられる場合は忘れずに手続きを行い、申告漏れを起こさないように気を付けましょう。

よくある質問

所得金額調整控除とは?

所得金額調整控除とは、一定の要件を満たす給与所得者の所得税・住民税を計算する際、一定の金額を給与所得の金額から控除する制度です。

所得金額調整控除の適用を受けられると、税負担を軽減できます。

所得金額調整控除を詳しく知りたい方は「所得金額調整控除とは?」をご覧ください。

監修 岡崎壮史(おかざき まさふみ) 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

マネーライフワークス代表。現在は、助成金申請代行・活用コンサルとして、企業様の助成金の申請代行や活用に向けたサポート業務、金融系サイトへ多くの記事を執筆・記事監修を担当し、社労士試験の受験指導講師としての活躍の場を全国に展開している。

監修者 岡崎壮史