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介護クライシスとは?注目されている背景や企業、従業員の対策について解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

介護クライシスとは?注目されている背景や企業、従業員の対策について解説

介護クライシスは、介護に関する危機的な状況全般を指す言葉です。高齢者の増加によって介護ニーズが高まるなか、介護の担い手は足りない状況です。このままでは適切な介護を受けられない高齢者が続出しかねません。

また、老親介護の負担から仕事を辞めざるを得ないケースも増えており、年間約9.5万人が介護・看護を理由に離職しています。

本記事では、介護クライシスの概要注目される背景を解説します。介護クライシスについて詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

目次

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介護クライシスとは

介護クライシスとは、介護職員の不足や老親介護による離職など、介護に関する危機的な状況全般を指す言葉です。

超高齢社会の日本では、高齢者の増加によって介護ニーズが高まっているのに対し、介護の担い手は足りていません。

また、近年子どもが親や祖父母の世話をする「ヤングケアラー」とともに、「ビジネスケアラー」が増加しています。ビジネスケアラーとは、仕事をしながら家族の介護をする人です。

このように、介護サービスの需要に供給が追い付かないなどで、介護制度が崩壊する状況を介護クライシスと呼びます。

介護クライシスが注目されている背景、今後想定されること

近年、「2025年問題」などに向けて介護の問題が盛んに取り上げられるようになりました。

今後も高齢者の増加や介護職員の減少が続けば、適切な介護を受けられない高齢者が続出する可能性もあるでしょう。介護のために離職しなければならない人が増加するなど、迫り来る「介護クライシス」への対応が求められます。

介護クライシスの注目が高まっている理由と、今後想定される問題を解説します。

介護クライシスが注目されている背景

介護クライシスの注目が高まっている背景にあるのは、少子高齢化や介護職員の不足です。

日本では、少子高齢化が進行し続けています。団塊世代が75歳以上になる2025年には、国民の6人に1人が75歳以上になると推計されています。

高齢者の増加とともに介護サービスを必要とする人が増えるなか、介護職員は足りていません。

厚生労働省によると、2000年に244万人だった要介護(支援)認定者数は増加し続け、2021年には688万人にのぼっています。

一方、2023年には約233万人の介護職員が必要だと推計されていますが、2021年の職員数約215万人と比べると、約18万人不足している状況です。

介護クライシスが注目されている背景
出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

2022年には離職者が入職者を上回り、介護業界からの人材流出が深刻化しています。

また、ビジネスケアラーの増加も、介護クライシスが注目される背景のひとつです。ビジネスケアラーの数は2030年時点でピークを迎え、約318万人になると推計されています。

介護は終わりが見えず、仕事と介護の両立による身体的・精神的な負担は小さくありません。介護の負担による離職や生産性の低下は、企業にとっても重大な課題です。

厚生労働省によると、介護による労働者の生産性低下が与える経済的な損失額は、2030年時点で約9兆円にのぼる見込みです。

団塊ジュニア世代が抱える問題

ビジネスケアラーになりつつある団塊ジュニア世代の大きな問題は、親の人数に対して介護する側の人数が少ないことです。

超高齢化社会が訪れる「2025年問題」は、間近に迫っています。団塊の世代が75歳以上になれば、介護問題に直面する団塊ジュニア世代はますます増えるでしょう。

団塊ジュニア世代とは、第一次ベビーブーム(1947年~1949年)に生まれた「団塊の世代」の子ども世代を指します。具体的には、1971年~1974年の間に生まれた世代です。

団塊ジュニア世代は、共働き家庭や兄弟が少ない家庭、未婚者が多い傾向があります。そのため、働きながら介護しなければならないケースが増えているのが現状です。1人で複数人の親を介護しなければならない場合もあり、介護の負担から離職せざるを得ないケースも増えています。

また、団塊ジュニア世代には管理職を含め企業の中核的な人材も多く、介護による離職が増えれば企業にとっても大きな損失となります。

介護クライシスに備えるためにできること

国や地域は、不足する介護人材の確保に向けてさまざまな取り組みを実施しています。

介護人材確保のための国の取り組み例

● 介護職員の収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置
● 介護業界への参入を促進する取り組み
● 介護ロボットやICTなどのテクノロジーの活用促進
● 生産性向上ガイドラインの普及
● 介護職の魅力の発信
● 外国人材の受入れ環境整備
年間約9.5万人が介護(看護を含む)を理由に離職しており、介護クライシスは企業や労働者にとっても目を背けられない問題となっています。

間近に迫っている介護クライシスに対して、企業や労働者ができる対策を解説します。なお、介護と仕事の両立に関して詳しくは、「仕事と介護の両立支援ガイド」(企業向け)や「仕事と介護 両立のポイント」(労働者向け)を活用しましょう。

企業としての介護クライシス対策

企業が介護クライシスに備えるには、介護と仕事を両立するための支援が必要です。アンケートや面談を通じて、従業員の介護に関する実態を把握し、以下のような制度の見直しや支援を行いましょう。

企業ができる介護クライシス対策

● 介護に関する情報提供を行う
● 相談できる環境を整える
● フレックスタイム制を導入する(※1)
● 短時間勤務制度や介護休業制度などの利用を促進する(※2)
● 在宅勤務を導入する
(※1)フレックスタイム制とは、あらかじめ一定期間の総労働時間を決めたうえで、労働者が始業・就業時間や働く時間の長さを自ら決められる制度です。
(※2)短時間勤務制度とは、要介護状態にある家族を介護するために所定労働時間を短縮する制度です。

介護は突然始まるケースが多いため、情報提供を行うことが重要です。

ある民間調査では、2023年8月までの1年間に介護離職が発生した企業は10.1%あり、介護離職した従業員の半数以上(54.5%)が、介護休業または介護休暇を利用していなかったことがわかりました。

また、仕事と介護の両立支援をマニュアルなどで明文化している企業は50.2%という結果から、従業員への制度周知や会社による利用の働きかけの不足や、周囲に遠慮してしまい休暇が取りにくいといった状況が考えられるでしょう。

介護と仕事の両立を支援する方針を明確に示し、介護に関するセミナーや利用できる制度や相談窓口を作り、積極的に発信していくことが大切です。

また、介護と仕事を両立しやすいよう制度を見直し、フレックスタイム制や在宅勤務などの柔軟な働き方の導入も検討しましょう。

さらに、介護に直面した従業員に対して、フォロー面談を実施するなどの支援も求められます。

労働者としての介護クライシス対策

労働者は、突然介護が始まっても対応できるようあらかじめ準備しておくことが重要です。具体的には、以下のような対策を行いましょう。

労働者ができる介護クライシス対策

● 介護に関する制度やサービスへの理解を深める
● 親が元気なうちに介護に直面したときの方針を話し合っておく
● 介護に直面したときの相談先を知っておく
現時点で介護に直面していなくても、介護保険制度・介護休業・お勤め先の支援制度(短時間勤務制度など)の内容を把握しておくことが大切です。また、介護と仕事の両立が必要になったときは、以下のような対応をとりましょう。

介護に直面したときの対応

● 介護が必要になったときはなるべく早めに相談する
● 上司や同僚に家族を介護している旨を伝える
● お勤め先の両立支援制度を利用する
● 介護保険サービスを積極的に利用する
介護は育児と違っていつ終わるのかが分かりません。深刻に捉えすぎると、精神的な負担が大きくなり、仕事との両立も難しくなります。

まずは、ひとりの抱え込まず、お近くの地域包括支援センター又は市区町村経由で民生委員に相談するところから始めましょう。公的介護サービスや会社の制度を上手に利用して、自分の時間をいかに確保できるかが大切です。

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まとめ

高齢者の増加によって介護ニーズが高まり、適切な介護を提供できない、老親介護による離職が増加するなどの問題が深刻化しています。

介護に関する危機的な状況を指す「介護クライシス」は、現役の労働者だけでなく企業側にとっても大きな問題です。団塊ジュニア世代の介護離職の増加は、企業にとって大きな損失となるでしょう。

今後もビジネスケアラーの増加が予想されるなか、企業には仕事と介護を両立するための支援が求められます。従業員の介護に関する実態を把握し、柔軟に働ける制度の導入やサポートを行いましょう。

よくある質問

介護クライシスとは?

介護クライシスとは、介護職員の不足や老親介護による離職など、介護に関する危機的な状況全般を指す言葉です。

介護クライシスの概要を詳しく知りたい方は「介護クライシスとは」をご覧ください。

介護クライシスが注目されている背景は?

少子高齢化や介護職員の不足、ビジネスケアラーの増加などを背景に、介護クライシスへの注目が高まっています。団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」が間近に迫っているのも背景のひとつです。

介護クライシスが注目されている背景を詳しく知りたい方は「介護クライシスが注目されている背景、今後想定されること」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史