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2025年問題とは? 社会に与える影響や企業が行うべき対応について解説!

公開日:2023/07/31

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

2025年問題とは? 社会に与える影響や企業が行うべき対応について解説!

2025年問題とは、人口の超高齢化がもたらす社会問題です。本記事では、2025年問題の概要や2040年問題との違い、社会・企業への影響などを解説します。

超高齢化によって社会保障費が膨らみ、現役世代などへの負担増加が懸念されています。また2025年問題では、社会保障費だけでなく、医療や介護におけるサービス提供者の人材不足なども課題です。

企業が取り組むべき対応に関しても解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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2025年問題とは

2025年問題とは、超高齢化社会を迎えるにあたり、社会保障費の急増などが見込まれる社会問題です。

2022年から団塊世代が75歳に到達し始め、2025年には75歳以上の後期高齢者は人口全体の18%を占めると予想されています。そして、高齢者の増加により、年金・医療・介護のニーズが高まります。

2025年問題に対応するため、政府は「全世代型社会保障検討会議」を設置しました。

全世代型社会保障検討会議では、すべての世代が公平に支え合う社会保障制度を目指し、下記のような対策が講じられています。

全世代型社会保障検討会議における対策

● 少子化対策
 ・ 不妊治療への保険適用
 ・ 待機児童の解消
 ・ 男性の育児休業の取得促進
● 医療に関する改革
 ・ 医療機関の役割分担の見直し
 ・現役世代の負担軽減
出典:厚生労働省「全世代型社会保障改革」

また持続可能な社会保障制度のためには、支え手を増やすことや疾病予防、健康づくりの後押しが重要です。高齢者の就労促進や、健康寿命を延ばす取り組みなどが必要になるでしょう。

似たものに「2025年の崖」があります。2025年の崖とは、各企業のDX推進が進まなければ、2025年から2030年で最大12兆円もの経済損失が起きるとされている問題です。

2025年の崖とは?問題の背景や企業の対策をわかりやすく解説」と併せて確認し、より理解を深めておきましょう。

「2025年問題」と「2040年問題」の違い

2025年問題は、超高齢化社会を迎えることで生じる問題の総称であるのに対し、2040年問題は、高齢者の人口がピークを迎えることで起こり得る問題の総称です。

2040年問題は、社会保障費の増大や労働力不足だけでなく、インフラや公共施設の老朽化などの課題も含まれます。

2040年に1970年代前半生まれの団塊ジュニア世代が65歳以上になるため、日本の総人口に占める高齢者数が過去最大の35%に達する見込みです。

出典:厚生労働省「我が国の人口について」

現役人口(20~64歳)は、2025年から2040年までの15年間で約1,000万人減少すると考えられています。人口急減・超高齢化による労働力不足はさらに深刻化するでしょう。

日本が直面する「2025年問題」と「2040年問題」を乗り越えるには、社会保障制度の見直しや多様な人材の確保、働きやすい職場環境の整備など早急な対応が求められます。

2025年問題による影響

2025年問題によって、どのような影響が生じるのでしょうか。ここで、2025年問題が社会や企業に与える影響に関して解説します。

社会に与える影響

2025年問題が社会に与える主な影響は、下記の通りです。

2025年問題が社会に与える影響

● 社会保障費(医療費・介護費など)の負担の増加
● 求められる医療・介護ニーズの変化
● 経済規模の縮小
後期高齢者の増加によって、医療や介護にかかる費用がさらに膨らむことが予想されます。

国内では、2050年を超えるまで75歳以上の人口が増加する見込みです。しかし都道府県単位でみると、高齢者数の増加や減少は地域ごとに異なります。そのため、地域の実態に応じた医療・介護サービス提供体制の確保が必要です。

内閣府によると、超高齢化・人口急減が進んだ結果、総人口に占める労働力人口の割合は、2014年の約52%から2060年に約44%まで低下します。

出典:内閣府「選択する未来-人口推計から見えてくる未来像-」

経済活動は働き手の人数によって左右されるため、超高齢化と人口急減が進むと、国内市場の縮小をもたらし、経済成長の妨げとなりかねません。

企業に与える影響

2025年問題が企業に与える主な影響は、下記の2点です。

2025年問題が企業に与える影響

● 人材が不足する
● 事業承継が難しくなる
超高齢化・人口急減に伴い生産年齢人口が減少し、今後ますます労働力の確保が難しくなるでしょう。働き手不足は、企業の業績にも影響を及ぼす可能性が高まります。

また後継者不足によって、事業継承も難しくなるおそれがあります。

中小企業庁によると、2022年時点で中小企業経営者の多くは60~74歳です。75歳以上の経営者の割合も高まっています。

そのうえ中小企業経営者の多くが60~80歳で事業継承・廃業を予定しているため、事業継承の必要性が高まると考えられています。

出典:中小企業庁「2023年度版 中小企業白書」

今後懸念されるのは、経営者の高齢化と後継者不足によって、廃業・解散せざるを得ない企業が増えることです。

2025年問題に向けて企業が取り組むべき対応とは?

2025年問題に向けて企業が取り組むべき対応は、以下のようなものが挙げられます。

2025年問題に向けて企業が取り組むべき対応

● 多様な働き方の推進
● ビジネスケアラーへの対応強化
● 早期の事業継承対策
それぞれ詳しく解説します。

多様な働き方の推進

人材を確保するには、多様な働き方を推進することが大切です。

総務省統計局の調査によると、非労働力人口のうち就職希望者が多い年齢階級は、男性では65歳以上、女性では35~44歳がもっとも多いことがわかりました。

出典:総務省統計局「令和4年 労働力調査年報」

企業は高齢者や女性、外国人など、さまざまな立場の人が多様で柔軟な働き方を選べる環境整備を行うことが求められます。

また政府が高齢者の就労を促進するために進める政策は、下記の通りです。

高齢者雇用促進のための政策

● 65歳超雇用推進助成金の支給
● 高齢・障害・求職者雇用支援機構による事業主に対する相談、援助
● シルバー人材センター事業の推進
● 生涯現役支援窓口事業の実施
出典:厚生労働省「高年齢者雇用対策の概要」

65歳以上への定年引き上げなどを実施する企業に対して、助成金制度が設けられています。政府が目指すのは、高齢者が年齢に関わらず、意欲や能力がある限り働き続けられる「生涯現役社会」の実現です。

ビジネスケアラーへの対応強化

ビジネスケアラーとは、仕事をしながら高齢の家族を介護する人のことです。65歳以上の高齢者が増えることで、ビジネスケアラーの増加も予想されます。

経済産業省の推計によると、2030年時点で、家族介護者833万人のうちビジネスケアラーは約40%を占めます。さらに、ビジネスケアラーの離職や労働生産性の低下により予測される経済損失額は、約9兆円です。

出典:経済産業省「介護対策」

企業は、ビジネスケアラーが仕事と介護を両立できるような職場環境を作り、社内の制度を整えなければなりません。たとえば、短時間勤務や在宅勤務制度など、ビジネスケアラーが安心して仕事に取り組める職場環境の整備や制度の導入が必要です。

早期の事業承継対策

中小企業などで、「後継者がいない」問題に直面する可能性がある場合、早めの対策が重要です。

主な事業継承のケースは、下記の通りです。

主な事業継承のケース

● 親族内承継
● 従業員承継
● 第三者承継(M&A)
なかでも、株式譲渡や事業譲渡などにより社外の第三者に引き継がせる方法(M&A)は、企業規模に関わらず、近年増加しています。

政府による中小企業の事業承継をサポートする相談窓口や補助金制度などもあるため、上手く活用しながら、早期の対策を行いましょう。

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まとめ

2025年問題では、75歳以上の後期高齢者の増加に伴い、社会保障費の増大や生産年齢人口の減少など喫緊の課題が生じます。企業にとっても、働き手や後継者の不足は深刻な問題です。

2025年問題に対応するには、現行の社会保障制度の見直しや医療・介護体制の改革が必要です。企業には、多様な人材を増やすための雇用環境の整備や、事業承継に向けた取り組みなどが求められます。

よくある質問

2025年問題とは?

団塊世代が65歳以上になることで高齢者が増えるため、社会保障費の急増などが見込まれる社会問題です。

2025年問題について詳しく知りたい方は、「2025年問題とは」をご覧ください。

2025年問題による影響は?

社会保障費の増大のほか、生産年齢人口の減少や医療・介護ニーズの増加が予想されます。企業にとっては、人材不足や事業承継が課題となるでしょう。

2025年問題による影響について詳しく知りたい方は、「2025年問題による影響」をご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高