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契約書で使うフォントに決まりはある?書類に適した種類や注意点も紹介

公開日:2023/10/19

監修 松浦絢子 弁護士

契約書で使うフォントに決まりはある? 書類に適した種類や注意点も紹介

ビジネスでは目にする機会の多い契約書ですが、一部を除いて使用するフォントやサイズを自由に選択しても問題ありません。

ただし、フォントひとつで相手の印象を大きく変えてしまう可能性があるため、使用するフォントは適切なものを選ぶことが大切です。

本記事は、契約書で使われるフォントの決まりに関して解説し、契約書で主に使われるフォントフォント設定時の注意点を紹介します。

契約書の作成にたずさわる担当者や経営者の人は、ぜひ参考にしてください。

目次

契約書で使われるフォントに決まりはない

ビジネスで目にする機会が多い契約書は、一般的に使用するフォントに法的な制約がなく、自由に選べます。

つまり、契約書がどのようなフォントで書かれていても、契約自体の効力には影響がありません。

そもそも連帯保証契約のような一部の契約を除いて、契約は当事者の合意のみで成立します。契約書の作成は契約成立の要件に含まれていないからです。

極端に言うと、口約束でも契約は成立するということになります。ただし、口約束だけでは、さまざまなトラブルの種になる可能性があります。

後日契約に関する余計な争いを生まないためにも、契約時には内容を明確にした契約書を作成しておくのが一般的です。

また、契約書のフォントに決まりがなくても、契約書のフォントは見やすく、わかりやすいものに設定するのがいいでしょう。

なお、契約相手からフォントを指定される場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

契約書でよく使われるフォントの種類

契約書で使われるフォントに決まりはありませんが、基本的には見やすく、わかりやすいものを使用したほうがよいでしょう。

明朝体やゴシック体は、書籍や新聞など普段の生活で見慣れている人も多いので、契約書のフォントにおすすめです。

契約書で使用が好まれる代表的な明朝体・ゴシック体は以下の通りです。

契約書で好まれるフォント

● MS明朝
● 游ゴシック
● メイリオ
各フォントの特徴を解説します。

MS明朝

MS明朝はWindowsのパソコンに標準搭載されているフォントです。

契約書以外でも、新聞や小説などのさまざまな場面で使われているため、目にすることも多いでしょう。MS明朝の主な特徴は以下です。

MS明朝の特徴

● 縦画が太く横画が細い
● 文字が潰れにくい
● 文章がすっきり見える
MS明朝は字体にメリハリがあり、文章の作成に適しているフォントと言えます。ただし、Windowsのバージョンや使用しているOSよって、出力時に上手く表示されない可能性があるので、使用する際は注意しましょう。

游ゴシック

遊ゴシックは、ゴシック体のフォントのひとつです。

基本的にゴシック体は、視認性が高く見やすいフォントです。中でも游ゴシックは、長文でも読みやすい標準的なゴシック体なので、契約書のような書面にも適しています。

游ゴシックの特徴は以下の通りです。

遊ゴシックの特徴

● 字面が小さめ
● 線が細め
● 文字間が広い

メイリオ

メイリオは、游ゴシックと同じく代表的なゴシック体のフォントです。

視認性が高く読みやすくなっており、プレゼン資料でもよく使用されています。メイリオの特徴は以下の通りです。

メイリオの特徴

● 文字が大きめ
● 游ゴシックに比べ線が太め
● 文字間が狭い
メイリオの文字は文字間が狭いため、文章が窮屈に感じられる可能性もあります。

契約書でよく使われるフォントサイズ

契約書のフォントには決まりがないので、フォントサイズも自由に選択可能です。

一般的に契約書等の書類に使われるフォントサイズは、10~12ptの場合が多いとされています。

フォントサイズを決める際は、小さ過ぎれば見づらく、逆に大き過ぎれば契約書の枚数が無駄に増えてしまう可能性があります。

そのためフォントの種類と同様に、契約相手が契約書を見たときの見やすさを重視するとよいでしょう。

また、特定の分野においては、消費者保護を目的として契約書のフォントサイズが指定されていることもあります。

たとえば、金融商品取引業務に関する契約締結前交付書面は、法令により8pt以上または12pt以上の文字を用いるとされています。

ただし、業法や法令で明示的に指定されていない場合は、契約相手や自社の指示にしたがってフォントサイズを選択すれば問題ありません。

契約書のフォントを設定する際の注意点

契約書のフォントは自由に選択できるものの、フォントの設定次第では、契約相手に悪い印象を与えかねません。

場面に適した契約書を作成し、内容だけでなく見た目からも信頼性・誠実性を与えられるよう、フォントを設定する際は以下3つの注意点をおさえておきましょう。

契約書のフォントを設定する際の注意点

● 過去の契約書と合わせる
● 環境依存するフォントを避ける
● スマートかつ見やすいフォントで統一させる
以下で詳しく紹介するので、参考にしてください。

過去の契約書と合わせる

契約を交わすたびにフォント設定が変わると、契約相手に整然とした印象を与えづらく、信頼感を損ねる可能性があります。

契約書は過去のものを確認して、契約書ごとでフォントが異ならないように、統一性を持たせるようにしましょう。

契約書以外の文書でフォントが異なると、フォントの混乱や業務の効率低下などの問題が生じる可能性があります。

社内のほかの文書も確認し、できれば統一的なフォントを定めておくのが望ましいです。

環境依存するフォントを避ける

一部のフォントは、使用ツールや端末によって文字の表示が変わったり、文字化けで正確に表示されなかったりする場合があります。

契約書の作成では環境問わずフォントを統一させることが大切です。そのため、環境依存する可能性があるフォントの使用は避けるようにしましょう。

万が一契約締結後に文字化けなどが発覚すると、契約の締結しなおしの負担が発生する場合もあります。

契約後のトラブルを避けるためにも、フォントを設定する際は、環境依存しないのかを事前に確認してください。

環境依存しづらいフォントとして、游ゴシックのような「遊」書体があります。WindowsとMacの双方に搭載されている汎用性の高いフォントで、契約書作成におすすめです。

スマートかつ見やすいフォントで統一させる

契約書は内容が正確で見やすいことが重要なため、同一契約書内でのフォントは統一性を持たせましょう。

契約書のタイトルや前文、契約条項でそれぞれ異なるフォントが使用されている場合、契約相手に乱雑な印象を与えます。

また、フォントが統一されていても、文字間が極端に狭かったり、コミカルな字体だったりすると読みづらくなる可能性が高いです。

したがって、同一契約書内では統一性を持たせつつ、スマートかつ見やすさを意識するようにしてください。

スマートかつ見やすいフォントで統一すると、内容がわかりやすくなるだけでなく、信頼が高い会社であることをアピールできます。

自社と契約相手がWindows環境同士の場合にはMS明朝、Mac環境同士ならヒラギノ明朝を選ぶとよいでしょう。

また、プラットフォームに関係なく使えるフォントとしては、游明朝・游ゴシックやメイリオがおすすめです。契約相手の業界や社風などを意識するのもいいでしょう。

電子契約システムで契約業務を効率化する方法

契約書の作成や郵送、締結後の管理など、契約業務は手間がかかる作業です。テレワークの普及で決裁に時間を要し、契約書の押印や郵送のために出社しなければならないなど、面倒な場面もあります。

面倒な契約業務を効率化するには、電子契約サービス「freeeサイン」がおすすめです。

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契約業務を安心して効率化したい場合は、ぜひ「freeeサイン」をお試しください。

まとめ

契約成立の要件に契約書の作成は含まれないため、基本的に契約書は自由にフォントの種類やサイズを設定して作成できます。

しかし、契約書の正確さ・見やすさは契約内容を提示するにあたって重要なため、見やすいフォント設定が大切です。

設定はフォントサイズが10~12pt程度、フォントの種類はMS明朝・游ゴシック・メイリオを推奨します。

契約相手や業界によってもフォントの好みや規定が異なることもあるため、相手方との調整も大切です。

近年は、電子契約も普及してきていますが、依然として紙ベースの契約書も多く存在します。相手に好印象を与えられるフォント選びを心がけましょう。

よくある質問

契約書はフォントに決まりがある?

契約書にフォントの決まりはないので、基本的は自由に設定しても問題ありません。ただし、契約相手から契約書のフォントを指定された場合はあわせたほうがよいでしょう。

契約書のフォントに関する決まりを詳しく知りたい方は「契約書で使われるフォントに決まりはない」をご覧ください。

契約書のフォントを設定する際の注意点は?

契約書のフォントを設定する際の注意点は以下の通りです。

契約書のフォントを設定する際の注意点

● 過去の契約書と合わせる
● 環境依存するフォントを避ける
● スマートかつ見やすいフォントで統一させる
契約書のフォントを設定する際の注意点に関して詳しく知りたい方は「契約書のフォントを設定する際の注意点」をご覧ください。

監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

監修者 松浦絢子