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くるみんプラスの認定条件とは?不妊治療と仕事の両立を目指す取り組みを解説

監修 松浦絢子 弁護士

くるみんプラスの認定条件とは?不妊治療と仕事の両立を目指す取り組みを解説

くるみんプラスは、不妊治療と仕事の両立をしやすい職場環境の整備に取り組む企業を認定する制度です。取得する企業はさまざまなメリットがあります。

くるみんプラス認定は、厚生労働省が創設した認定制度です。従来のくるみん制度に加え、不妊治療にも目を向け、妊娠を希望する従業員を支援する企業が取得可能です。

くるみんプラス認定は企業にとってもメリットがあり、企業と従業員、双方にとってよりよい労働環境の整備が求められます。

本記事ではくるみんプラス認定の概要や企業がくるみんプラス認定を受けるために必要な取り組み、認定取得のメリット、申請方法などを解説します。

目次

くるみんプラス認定とは?制度の概要や認定の種類

くるみん認定制度の概要や認定の種類を解説します。

くるみん認定制度の概要

くるみんは、「一般事業主行動計画」の目標達成など基準を満たす企業が申請し、厚生労働大臣が認定する制度です。

次世代育成支援対策推進法では、仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」の策定・届け出・公表・周知が義務付けられています。常時雇用の従業員が101人以上の企業が対象で、100人以下は努力義務です。

子育て世代のサポートが求められ、令和5年9月末現在で認定企業は4131社、より高い水準で取り組む特例認定企業は548社です。
出典:厚生労働省「【都道府県別一般事業主行動計画策定届の届出及び認定状況】令和5年度9月末」

「くるみん」の名称には、赤ちゃんを包む「おくるみ」と、「企業・職場ぐるみ」で仕事と子育てを両立させる意味が込められています。

男女ともに対象で、業種は問いません。

認証の種類により「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」などのマークを、自社サイトや名刺・パンフレットなどの印刷物に使用できます。

くるみん認定は、子育てと仕事を両立できる職場の証明です。

プラチナくるみん認定・トライくるみん認定とは?

より高い水準で課題に取り組んだ企業は特例認定「プラチナくるみん認定」を取得できます。

「トライくるみん認定」は、育児休業等取得率などの基準が、通常の「くるみん認定」と比較し緩和されています。

トライくるみんは、くるみん・プラチナくるみんの認定条件引き上げにともない、2022年4月から新設されました。

従来のくるみん認定条件が、トライくるみんの認定条件です。

くるみんプラス認定の特徴

「プラス認定」は、「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」を取得済の企業が追加取得できます。

不妊治療と仕事の両立が可能な環境整備が求められます。

くるみんプラスを取得すると、認定状況にあわせ「くるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」「トライくるみんプラス」のマークを使用可能です。

多様な働き方の実現は企業価値を向上させ、優秀な人材の確保にもつながります。

くるみんプラス認定企業になるために必要な取り組み

不妊治療と仕事との両立に関する認定基準を解説します。

くるみんプラス認定企業になるために必要な取り組み

● 不妊治療のための休暇制度や柔軟な働き方を取り入れている
● 不妊治療と仕事の両立の理解のために研修などを行っている
● 取り組みを従業員に周知している
● 対象の従業員の相談窓口がある

不妊治療のための休暇制度や柔軟な働き方を取り入れている

不妊治療のための休暇制度や働き方が必要です。

多様な目的で取得できる・または目的を限定しない年次有給休暇以外の特別休暇や、次のような働き方を設けましょう。

柔軟な働き方の例

● 半日や時間単位の有給休暇
● 所定外労働の制限
● 時差出勤
● フレックスタイム
● 短時間勤務
● テレワーク
円滑なコミュニケーションのため、厚生労働省が提供する「不妊治療連絡カード」を活用するのもよいでしょう。

不妊治療と仕事の両立の理解のために研修などを行っている

不妊治療と仕事の両立には、周囲の理解も必要です。研修などで理解を促進し、不妊治療者へのハラスメントを防止しましょう。

取り組みを従業員に周知している

不妊治療と仕事の両立させる対策の内容を社内に周知します。社内報や自社のウェブサイトなどを活用し、法人の代表者名で発信しましょう。

対象の従業員の相談窓口がある

不妊治療は検査・投薬や費用面などさまざまな負担が考えられます。

不妊治療と仕事の両立を相談できる担当者(両立支援担当者)を選任しましょう。また、担当者を周知し、相談しやすい環境を整備しましょう。

くるみんプラス認定取得で得られる企業側のメリット

くるみんプラス認定取得のメリットは以下の通りです。

くるみんプラス認定取得で得られる企業のメリット

● 従業員のモチベーション向上や人材の定着につながる
● 条件を満たして申請すれば助成金を受け取れる
● 貸付制度の利率が引き下げられる
● 公共調達で加点評価を受けられる
詳しく解説します。

従業員のモチベーション向上や人材の定着につながる

公表に了承したくるみん認定企業は、厚生労働省のウェブサイト上に掲載されます。

認定は、妊娠・出産・育児を安心して行える企業の証明です。

ワークライフバランスの推進は企業の価値を高め、社会的な信頼を獲得します。また、従業員の満足度の向上や人材確保・離職率の低減にも有効です。企業・従業員どちらにもメリットが存在します。

条件を満たして申請すれば助成金を受け取れる

条件を満たす場合、助成金を受け取れる可能性が考えられます。

こども家庭庁の「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」助成金は、「くるみん」「くるみんプラス」「プラチナくるみん」「プラチナくるみんプラス」を受けた常時雇用の従業員数300人以下の中小企業が対象です。

上限は50万円で、トライくるみんは対象外です。

令和5年12月時点で申請受付期間は令和6年2月15日とされていますが、予算上限に達した場合は早期終了します。

また、くるみん認定が直接の条件ではありませんが、不妊治療と仕事を両立できる環境整備に取り組めば「両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)」を受け取れる可能性があります。

支給には休暇取得日数などの条件が定められているため確認しましょう。

貸付制度の利率が引き下げられる

日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」で、基準より低い利率で貸付を受けられます。

一般事業主行動計画の届け出義務がない状態で労働環境の是正に取り組んだ企業や、このうちくるみん認定を受けた企業が利用する場合に適用されます。

働き方改革実現計画を実施する設備資金や、長期運転資金の用途で借り入れ可能です。

公共調達で加点評価を受けられる

国の指針により、公共調達の発注側はくるみん認定企業を積極的に加点評価するよう定められています。公共調達とは、国や自治体から受注する工事などの公的な契約です。

くるみんプラス認定の申請方法

申請は、基準適合認定一般事業主認定申請書・労働協約・就業規則の写し・社内通知などの添付書類を労働局に提出します。

郵送・持参・電子申請いずれも受付可能です。

くるみんプラス認定の注意点

くるみんプラス認定の注意点は以下の通りです。

くるみんプラス認定の注意点

● プラス以外の認定基準を満たしている必要がある
● 認定が取り消される場合もある
● 取り組みの情報を公開する必要がある
それぞれ解説します。

プラス以外の認定基準を満たしている必要がある

プラス認定は「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」に追加で取得するため、「トライくるみん」以上の条件を満たしていなければなりません。

くるみん認定の主な条件

● 「一般事業主行動計画」の策定
● 行動計画の計画期間が2年以上5年以下
● 行動計画の実施と、目標達成
● 行動計画の情報公開・従業員への周知
● 計画期間内に男性従業員が育児休業等を取得した割合
● 計画期間内に女性従業員が育児休業等を取得した割合
● 未就学児を育てる従業員のための措置を講じている
● 計画期間の終了日の属する年度の労働時間
● 労働環境を改善するための措置を具体的に目標を設定し実施
● 法令違反を犯していない
プラス認定のみの取得はできませんので注意しましょう。

認定が取り消される場合もある

次世代育成支援対策推進法の基準を満たさなくなった・法令に違反した・虚偽の情報公開を行った場合など、認定が取り消される可能性が考えられます。取り消されると、3年間は再取得ができません。

「プラチナくるみん」は、「くるみん」または「トライくるみん」から再取得が必要です。

取り組みの情報を公開する必要がある

「くるみん」「プラチナくるみん」は、休暇取得割合などの情報を厚生労働省のウェブサイトで公表します。

「プラチナくるみん」の場合、次世代育成支援対策の実施状況も最低年1回の公表が必要です。

公表の期限は、プラチナくるみん取得後おおむね3ヶ月以内、その後は事業年度終了後おおむね3ヶ月以内です。

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まとめ

くるみん認定は子育てと仕事を両立させるための制度です。プラス認定は不妊治療も支援する企業が取得できます。

人材の定着や低い利率での借り入れなどのメリットが存在しますが、条件を満たさなくなったときなどに認定を取り消される場合もあるため注意が必要です。

よくある質問

くるみんプラス認定取得で得られるメリットは?

ワークライフバランスの改善によって離職者が減り、人材の定着が期待できるほか、借り入れ時の利率の引き下げなどもメリットです。

プラス認定のメリットを詳しく知りたい方は「くるみんプラス認定取得で得られる企業側のメリット」をご覧ください。

くるみんプラス認定が取り消されたらどうなる?

くるみんプラス認定が取り消された場合は、3年間は再取得ができなくなります。

認定の取り消しを詳しく知りたい方は「認定が取り消される場合もある」をご覧ください。

監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

監修者 松浦絢子