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登録免許税の軽減措置をわかりやすく解説! 要件や手続きに必要な書類も紹介

監修 竹国 弘城 1級FP技能士・CFP

登録免許税の軽減措置をわかりやすく解説! 要件や手続きに必要な書類も紹介

登録免許税は国税のひとつで、不動産を購入して登記する場合などに納める税金です。本記事では、登録免許税の計算方法軽減措置の要件を解説します。

所得税や住民税ほど身近な税金ではないため、聞き慣れない人も少なくないでしょう。しかし、土地・家屋の相続や購入時に関わる重要な税金です。

また2023年度の税制改正では、登録免許税の軽減措置の適用期限が延長されました。いつまで延長されるかも解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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登録免許税とは?

登録免許税とは、不動産・船舶・航空機・会社・人の資格などの登記や、登録・免許・認可に対して課税される税金(国税)です。登録免許税は、「登記や登録などを受ける者」に納税義務があります。

登記や登録の種類によって、利用できる納付方法や期限は異なります。一般的な納付方法は、以下の通りです。

登録免許税の一般的な納付方法

● 現金納付
● 印紙納付
● キャッシュレス納付
● インターネットバンキング
● クレジットカード

登録免許税の計算方法

登録免許税は、下記の計算式で算出されます。

登録免許税額 =(課税標準) × (税率)
課税標準とは、税額を算出する際の基準となるもので、税金の種類によって異なります。不動産に関する登録免許税の課税標準は、下記の3種類です。申請する登記の内容によって、異なる課税標準が適用されます。

不動産に関する登録免許税の課税標準

● 不動産の価額
● 債権金額
● 不動産の個数
たとえば、土地を購入する(売買による不動産の所有権移転)場合は、不動産の価額が課税標準です。

一般的に、固定資産課税台帳の固定資産課税明細書に記されている価格(または評価額)を課税標準とします。価格が登録されていない場合は、登記所(登記官)が認定した価格が課税標準となります。

また固定資産課税台帳の価格は「価格」または「評価額」と表記された価格で、「固定資産税課税標準額」とは異なるため注意しましょう。

登録免許税の税率

登録免許税の税率は、登記の内容によって異なります。

土地の所有権の移転に関しては、下表の通りです。

土地の所有権移転の内容課税標準税率
売買不動産の価額20/1,000
(2.0%)
相続・法人の合併・共有物の分割不動産の価額4/1,000
(0.4%)
その他(贈与・交換・収用・競売など)不動産の価額20/1,000
(2.0%)


建物の登記では、次の通り税率が定められています。

建物登記の内容課税標準税率
所有権の保存不動産の価額4/1,000
(0.4%)
売買・競売による所有権移転不動産の価額20/1,000
(2.0%)
相続・法人の合併による所有権移転不動産の価額4/1,000
(0.4%)
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用など)不動産の価額20/1,000
(2.0%)
たとえば、固定資産課税台帳の価格が5,127,300円の土地を相続した際、所有権の移転登記にかかる登録免許税の金額は、下記のように計算します。
(課税標準)5,127,000円×(税率)4/1000=20,508円→20,500円
課税標準は1,000円未満を切り捨てるため、5,127,000円です。また算出した税額に100円未満の端数がある場合は切り捨てになるため、登録免許税額は20,500円になります。

軽減措置の内容や適用要件について

登録免許税には軽減措置が設けられています。以下では、登録免許税の軽減措置の内容や適用要件について、土地と建物ごとに解説します。

土地の売買に関する登録免許税の軽減措置

土地の売買に関する登録免許税の税率軽減措置の内容は、下表の通りです。

登記の内容軽減措置前(本則)軽減措置後
所有権移転の登記2.0%1.5%
所有権信託の登記0.4%0.3%


また、相続による土地の所有権移転の場合、下記の免税措置があります。

相続による土地の所有権移転の免税措置

● 相続により土地の所有権を得た個人が、所有権の移転登記を受ける前に亡くなった場合、2025年7月31日までに受ける登記(死亡した個人を登記名義人とする)に対して、登録免許税は課せられない
● 個人が、2025年7月31日までに、土地の所有権の保存登記(※)または相続による所有権の移転登記を受ける際、登録免許税の課税標準となる不動産価額が100万円以下の場合に限り、登録免許税は課せられない

(※)不動産登記法第2条第10号に規定する表題部所有者の相続人が受けるものに限る

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

住宅に関する登録免許税の軽減措置

住宅用家屋の所有権の保存登記などに関する、登録免許税の税率は以下の通りに軽減されています。

(売買・競売)
登記の内容軽減措置前(本則)軽減措置後
一般住宅特定の住宅
所有権の保存登記0.4%0.15%0.1%(※1)
所有権の移転登記
2.0%0.3%0.1%(※2)
0.2%(※3)


※1:特定認定長期優良住宅および認定低炭素住宅
※2:特定認定長期優良住宅(マンション)および認定低炭素住宅、特定の増改築等がされた住宅用家屋
※3:特定認定長期優良住宅(戸建住宅)
所有権の保存登記の軽減措置を受けるための要件は、下記の通りです。

所有権保存の登記の軽減措置を受けるための要件

● 1984(昭和59)年4月1日から2024(令和6)年3月31日の間に新築、または建築後使用されたことのない住宅を取得したもの
● 個人の住宅の用に供される
● 床面積50㎡以上
● 新築または取得後1年以内に登記するもの
所有権移転の登記の軽減措置を受けるための要件は、下記の通りです。

所有権移転の登記の軽減措置を受けるための要件

● 1984(昭和59)年4月1日から2024(令和6)年3月31日の間に新築または取得したもの(建築後使用されたことがある住宅用家屋のうち政令で定めるものを含む)
● 個人の住宅の用に供される
● 床面積50㎡以上
● 新築または取得後1年以内に登記するもの
● 中古住宅の場合、1982(昭和57)年1月1日以降に建築されたもの、または一定の耐震基準を満たしたもの
上記のほか、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合の抵当権設定登記の登録免許税は、0.1%(本則0.3%)に軽減されます。

軽減措置の適用期限はいつまで?

軽減措置には、適用期限があります。

登記の内容適用期限
土地の売買による所有権の移転登記2026年3月31日
(※)
住宅用家屋の所有権の保存登記2024年3月31日
(※)
住宅用家屋の所有権の移転登記2027年3月31日
(※)
特定の住宅用家屋の保存登記・移転登記
・特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記および移転登記
・認定低炭素住宅の所有権の保存登記および移転登記
・特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記
2027年3月31日
(※)
住宅取得資金の貸付け(住宅ローン)等にかかる抵当権の設定登記2027年3月31日
(※)


※2024年税制改正による改正法施行後の適用期限

「土地の売買による所有権の移転登記」に関しては、2023年度の税制改正により、軽減措置の適用期限が2023年3月31日から3年間延長されました。適用期限は2026年3月31日までとなっています。

さらに、「住宅用家屋の所有権の保存登記」「住宅用家屋の所有権の移転登記」も、2024年度の税制改正により2024年3月31日から3年間延長される予定です。

また、「特定の住宅用家屋の保存登記・移転登記」「住宅取得資金の貸付け(住宅ローン)等にかかる抵当権の設定登記」も同様です。これらの適用期限は2027年3月31日までとなります。

登録免許税に関する必要書類と手続き

不動産の登記は、法務局に書面またはオンラインで申請します。

本人が手続きすることも可能ですが、資格者代理人(司法書士や土地家屋調査士)に依頼するのが一般的です。

住宅家屋に関する登録免許税の軽減措置を受けるには、登記の申請書と一緒に住宅の所在する市区町村で交付を受けた、住宅用家屋証明書を添付しなければなりません。

住宅用家屋証明書は、床面積が50㎡以上であるなど、軽減措置を受けるための要件を満たすことを証明する書類です。

登記後に証明書を提出すると、軽減措置の対象とならないため注意しましょう。

まとめ

登録免許税とは、不動産や会社、資格などの登記・登録・認可に対して課せられる国税のひとつです。不動産に関する登録免許税は、土地や家屋の評価額に税率を乗じて算出されます。

土地を購入したり、住宅を新築・購入したりする際の登録免許税には、期限付きで軽減措置が設けられており、負担が軽減されます。

住宅用家屋の軽減措置を受けるには住宅の要件があり、証明書も必要になるので注意しましょう。

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よくある質問

登録免許税の軽減措置とは?

土地や住宅を売買で取得した場合や、住宅を新築した場合などに、登録免許税が軽減される措置です。軽減される税率や適用要件は、登記の種類によって異なります。

登録免許税の軽減措置を詳しく知りたい方は「軽減措置の内容や適用要件について」をご覧ください。

登録免許税の軽減措置はいつまで延長された?

2023年度の税制改正により、土地売買による所有権の移転登記に関する軽減措置が3年間延長されました。

軽減措置の適用期限を詳しく知りたい方は「軽減措置の適用期限はいつまで?」をご覧ください。

監修 竹国弘城(たけくに ひろき) 1級FP技能士・CFP

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。

監修者 竹国弘城