バックオフィスのトレンド情報をまとめて解説!

IT導入補助金2023とは? 申請の類型や2022年度との変更点、申請方法を解説

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

IT導入補助金2023とは? 申請の類型や2022年度との変更点、申請��方法を解説

IT導入補助金2023は、中小企業や小規模事業者などのITツール導入を支援する事業です。本補助金は会社のデジタル化や生産性向上に役立ちます。

近年、業務効率化につながるさまざまなITツールが提供されています。しかし、中小企業や小規模事業者の場合、ツール導入にかかる費用や手間などが課題となることもあるでしょう。

そのような状況を踏まえて、中小企業や小規模事業者のITツール導入を促進するために実施されているのが「IT導入補助金2023」です。

本記事では、IT導入補助金2023の内容や申請枠、スケジュールや申請方法を解説します。

目次

IT導入補助金とは?

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)とは、中小企業や小規模事業者などを対象に、ITツールやクラウドシステムなどを導入する際の経費を一部補助する制度です。

自社の課題やニーズに合ったITツールの導入による、業務効率化や売上向上の支援を目的としています。

IT導入補助金には「通常枠(A・B類型)」や「セキュリティ対策推進枠」、「デジタル化基盤導入枠」などの申請枠があり、導入する目的にしたがって申請を行います。

IT導入補助金2023とは?

IT導入補助金は2017年以降毎年実施されており、2023年度も「IT導入補助金2023」として実施されます。大枠は「IT導入補助金2022」と変わりませんが、いくつかの変更点があるので注意しましょう。以下、IT導入補助金2023を申請枠ごとに解説します。

IT導入補助金の最新スケジュールや申請方法はこちらをご覧ください。

通常枠(A・B類型)

通常枠(A・B類型)は、中小企業や小規模事業者が労働生産性の向上に役立つITツールを導入する際の費用を補助する枠です。

通常枠には機能要件によりA類型とB類型に分けられます。各類型の補助額や補助率は下記の通りです。

項目A類型B類型
補助額5万円~150万円未満150万円~450万円以下
補助率1/2以内
対象経費 ● ソフトウェア購入費
● クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)
● 導入関連費
出典:中小企業庁「IT導入補助金2023」

IT導入補助金2022と比較すると、A類型の補助額が「30万円~150万円未満」から「5万円~150万円未満」へと変更されています。

また、対象となるクラウド利用費が「クラウド利用料最大2年分」へと拡大されている点にも注意が必要です。

セキュリティ対策推進枠

近年、ITツールの導入拡大とともにサイバー攻撃への対策が求められるようになりました。セキュリティ対策推進枠は、中小企業や小規模事業者がセキュリティサービスを利用する際の費用を補助する枠です。

セキュリティ対策推進枠の補助額や補助率などは下記の通りです。

項目セキュリティ対策推進枠
補助額5万円~100万円
補助率1/2以内
対象経費サイバーセキュリティサービス利用料(最大2年分)
出典:中小企業庁「IT導入補助金2023」

セキュリティ対策推進枠の補助額や補助率などは、IT導入補助金2022からの変更は行われていません。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

デジタル化基盤導入枠は、会計ソフトや決済ソフト・受発注ソフトやECソフト・パソコンやタブレット・レジや券売機などの導入を補助する枠です。

労働生産性の向上とともに、インボイス制度対応などを含めた取引のDX化をサポートします。

デジタル化基盤導入枠の補助額や補助率などは下記の通りです。

項目デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
補助額会計・受発注・決済・ECソフトパソコン、タブレットなどレジ、券売機
(下限なし)~350万円~10万円~20万円
内、~50万円部分内、50万円超~350万円部分
補助率3/4以内2/3以内1/2以内
対象経費 ● ソフトウェア購入費
● クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)
● ハードウェア関連費
● 導入関連費
出典:中小企業庁「IT導入補助金2023」

IT導入補助金2022と比較すると、IT導入補助金2023ではITツール導入に対する補助額の下限が撤廃されています。

デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

ITツールは会社や事業者が個別に異なるツールを導入するよりも、複数の会社で連携して導入するほうが、より業務の効率化を図れるケースがあります。デジタル化基盤導入枠は、このような複数社でのITツール導入を支援する枠です。

デジタル化基盤導入枠は、ITツールの導入費用とともに複数社のコーディネート費用や、専門家への謝金なども補助対象に定められています。

デジタル化基盤導入枠の補助額や補助率などは下記の通りです。

項目デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
補助額デジタル化基盤導入類型に属する経費デジタル化基盤導入類型に属さない複数社類型特有の経費
(1)基盤導入類型の対象経費(2)消費動向等分析経費(3)事業者とりまとめなどに要する事務費、外部専門家謝金、旅費
内、~50万円部分内、50万円超~350万円部分50万円×構成員数
補助上限: (1)+(2)で3,000万円
((1)+(2))×10%に補助率(2/3)をかけた金額か200万円の低いほう
補助率3/4以内2/3以内2/3以内
対象経費 ● ソフトウェア購入費
● クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)(※1)
● ハードウェア関連費導入関連費
(※1)消費動向等分析経費のクラウド利用料は、1年分が補助対象となります。
(※2)交付の額が50万円超の場合の補助率は、当該交付の額のうち50万円以下の金額については3/4、 50万円超の金額については2/3。
(※3)(独)情報処理推進機構(IPA)「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービス
出典:中小企業庁「IT導入補助金2023」

IT導入補助金2022と比較すると、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)と同様にITツール導入費用の下限が撤廃されています。

IT導入補助金2023のスケジュール

IT導入補助金2023の交付申請は2023年3月28日(火)から受付が開始しています。2023年4月1日時点で公表されているスケジュールは下記です。

申請枠区分日時
通常枠1次締切分 ・申請締切:2023年4月25日(火)17:00(予定)
・交付決定:2023年5月31日(水)17:00(予定)
2次締切分 ・申請締切:2023年6月2日(金)17:00(予定)
・交付決定:2023年7月11日(火)17:00(予定)
セキュリティ対策推進枠1次締切分 ・申請締切:2023年4月25日(火)17:00(予定)
・交付決定:2023年5月31日(水)17:00(予定)
2次締切分 ・申請締切:2023年6月2日(金)17:00(予定)
・交付決定:2023年7月11日(火)17:00(予定)
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)1次締切分 ・申請締切:2023年4月25日(火)17:00(予定)
・交付決定:2023年5月31日(水)17:00(予定)
2次締切分 ・申請締切:2023年5月16日(火)17:00(予定)
・交付決定:2023年6月21日(水)17:00(予定)
3次締切分 ・申請締切:2023年6月2日(金)17:00(予定)
・交付決定:2023年7月11日(火)17:00(予定)
出典:IT導入補助金2023「事業スケジュール」

デジタル化基盤導入枠のスケジュールや通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠の追加の募集回などは、随時公式サイトで公表される予定です。

枠の種類ごとにスケジュールが異なるので、こまめに公式サイトをチェックして、新たな募集回はないか、申請締め切りはいつか確認しておくとよいでしょう。

IT導入補助金2023を申請する方法

IT導入補助金2023を申請する主な流れを紹介します。

IT導入補助金2023を申請する流れ

1. 事前準備
2. 「gBizIDプライム」アカウントを取得する
3. 交付申請に必要な事業計画を策定し申請する

1. 事前準備

IT導入補助金には先述のように申請枠にいくつかの種類があり、枠ごとに目的や要件などが異なります。

IT導入補助金2023の公式サイトには交付規定や公募要領などが公表されているので、事前に目を通しておきましょう。特に、「交付申請の手引き」のパンフレットには、申請に必要な情報がわかりやすく盛り込まれています。

「交付申請の手引き」のパンフレットはこちらからダウンロードできるので、確認してみてください。

なお、IT導入補助金でITツールを導入する際には、登録された「IT導入支援事業者」のなかから希望する事業者を選び、相談しながらITツールの導入や申請の手続きを行います。

そのため、自社の経営課題やデジタル化したい部分にあわせてIT導入支援事業者を選択し、導入するITツールを検討していきましょう。

2. 「gBizIDプライム」アカウントを取得する

補助金の申請はオンラインで行います。申請システムへのログインには「gBizIDプライム」と呼ばれるアカウントが必要なので、事前に取得しておきましょう。

「gBizIDプライム」アカウントの取得には携帯電話、印鑑証明書もしくは印鑑登録証明書、登録印が必要です。必要なものを揃えたら、gBizIDの公式サイトの申請書作成画面でアカウント取得の申請ができます。

「gBizIDプライム」アカウントの取得にかかる期間は約2週間です。補助金申請の直前にアカウント取得を申し込むと、申請締め切り日に間に合わない恐れもあるため、早めの取得がおすすめです。

また、「SECURITY ACTION」の宣言や「みらデジ」ポータルサイトでの「経営チェック」も必要となるので、あわせて実施しておきましょう。

3. 交付申請に必要な事業計画を策定し申請する

交付申請の際は、事業計画の入力が必要です。そのため、選定したIT導入支援事業者と相談し、交付申請に必要な事業計画を作成してください。

その後、IT導入支援事業者から送られる「申請マイページ」より、申請を行います。自分で入力する部分のほか、IT導入支援事業者が入力する部分もあるため、協力して申請手続きを行いましょう。

経理を自動化し、業務を効率的に行う方法

経理業務は日々の入出金管理だけでなく、請求書や領収書の作成から保存まで多岐にわたります。業務を効率化するなら、会計ソフトの活用がおすすめです。

シェアNo.1(*1)のクラウド会計ソフト「freee会計」は面倒な仕訳作業や書類作成を簡単に行え、経理業務にかかる時間を半分以下(*2)に削減できます。

※1.シミラーウェブ、ローカルフォリオ(2019年10月)
※2.自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数


freee会計には、以下のような機能があります。

  • 出入金の自動入力&記帳
  • 見積書/請求書/納品書の発行
  • 証憑管理(電子帳簿保存対応)
  • 決算関連書類の作成
  • 関連書類のクラウド内保存
銀行口座やクレジットカードを同期することにより、利用明細を自動的に取り込めるだけでなく、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、資金の移動などの記帳も可能です。

お金の流れをリアルタイムで把握できるレポートも自動で作成できるため、会計管理の見える化も図れます。

また、貸借対照表や損益計算書の出力などにも対応し、決算業務を全般的にサポートします。

すぐにfreee会計を使ってみたい方は、freee会計アカウントの新規作成(無料)ページからお試しください。

まとめ

IT導入補助金2023は、2023年3月28日(火)より受付が開始されました。

IT導入補助金2022に比べ大幅な変更はありませんが、通常枠のA類型の下限が引き下げられるなど、より制度を利用しやすいような改正が行われています。

業務のデジタル化やITツール導入に悩む中小企業・小規模事業者の方にとって、IT導入補助金2023は有用な制度です。この機会に利用を検討してみましょう。

よくある質問

IT導入補助金とは?

中小企業や小規模事業者の方などがITツールやセキュリティ対策サービスなどを導入する費用の一部を補助する制度です。

IT導入補助金を詳しく知りたい方は「IT導入補助金とは?」をご覧ください。

IT導入補助金を申請する方法は?

IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者の選定や「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。

IT導入補助金の申請方法を詳しく知りたい方は「IT導入補助金2023を申請する方法」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮