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新NISA制度はいつから開始される?法改正に伴う変更点やメリット・デメリットを解説

監修 竹国 弘城 1級FP技能士・CFP

新NISA制度はいつから開始される?法改正に伴う変更点やメリット・デメリットを解説

新NISA制度では現行制度のデメリットが解消され、より柔軟に運用できるようになる予定です。今回は新NISA制度がどのような制度なのか解説します。

新NISA制度のメリットを活かすためにも、改正の内容をしっかりと確認して理解しておきましょう。

目次

現行のNISA制度と新NISA制度の違い

2024年1月から、NISAはより使いやすい制度に生まれ変わります。現行制度からの主な変更点は以下の通りです。

現行のNISA制度新NISA制度
一般NISAつみたてNISA成長投資枠つみたて投資枠
併用不可
年間投資上限額120万円40万円240万円120万円
生涯非課税限度額1,800万円
非課税保有期間5年20年無期限
口座開設期間2028年まで(※)2042年まで(※)恒久化
※2024年からの新しいNISA制度開始に伴い、現行制度の口座開設は2023年までとなる見込み

現行のNISA制度では投資額や投資期間が限られ、一般NISAとつみたてNISAの併用ができないなどのデメリットが指摘されてきました。

法改正後の新NISA制度では、現行の制度より使い勝手が良くなります。

そもそもNISAってどんな制度?

NISAとは、NISA口座(非課税口座)で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に税金がかからない制度で、少額から投資を行う人のための非課税制度です。

現行のNISA制度では成年が利用できる一般NISA・つみたてNISA、未成年が利用できるジュニアNISAの3種類あり、年間の購入上限額や非課税期間は制度ごとに異なります。それぞれのNISA制度の概要は以下の通りです。

一般NISAつみたてNISAジュニアNISA
非課税保有期間5年20年5年
年間非課税枠120万円40万円80万円
投資可能商品上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託


また、非課税期間が終了した際、一般NISAとジュニアNISAで保有している金融商品は翌年の非課税投資枠に移管できます。これを「ロールオーバー」と呼びます。

一般NISAの場合、ロールオーバーの手続きをすれば、非課税保有期間を5年間延長でき、最大10年間非課税で運用可能です。

ロールオーバーしない場合、一般NISA口座で保有している商品は、非課税期間終了後に課税口座(特定口座または一般口座)へ払い出されます。

【関連記事】NISAは確定申告が必要ない? NISAの始め方やメリット、デメリットを解説

新NISA制度とは?改正のポイントを解説

2024年から新NISA制度がスタートします。現行のNISA制度から変わる点は主に5つです。以下ではそれぞれの改正ポイントを解説します。

成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能に

現行のNISA制度では一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんでしたが、新NISA制度では、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能です。

一般NISAは成長投資枠に、つみたてNISAはつみたて投資枠にそれぞれ名称が変更され、より柔軟に資産運用ができるようになります。

年間投資上限額が拡大されて最大360万円に

新NISA制度では成長投資枠の年間投資上限額が240万円に、つみたて投資枠の年間投資上限額が120万円になり、2つの枠を併用すれば年間で最大360万円まで投資できます。

現行のNISA制度の年間投資上限額は、一般NISAでは120万円、つみたてNISAでは40万円です。併用ができないため最大でも年間120万円までしか投資できません。

NISAの種類年間投資上限額最大投資額
2023年までのNISA一般NISA120万円120万円
つみたてNISA40万円
新NISA成長投資枠240万円360万円
つみたて投資枠120万円


新NISA制度で投資できる金額が増えれば、投資戦略の幅が広がるだけでなく、資産形成のスピードも大きく早まります。

1,800万円の生涯非課税限度額の新設

新NISA制度では1,800万円の生涯非課税限度額が新設されます。生涯非課税限度額は買付額ベースで管理され、NISA口座内の商品を売却すれば売却した商品の金額分だけ非課税枠が復活します。

現行のNISA制度では生涯限度額という考え方はありません。そのため、NISA口座で購入した商品を売却すれば、まだ非課税保有期間が残っていても、その枠は使えなくなります。

しかし新NISAでは、仮に5年間で生涯非課税限度額1,800万円の枠を使い切った場合でも、売却して枠を復活させれば6年目に再度投資できます。

新NISA制度では限度額の考え方そのものが変わり、保有商品の売却と新規購入によって商品の入れ替えをしやすいのが特徴です。

5年または20年の非課税保有期間の無期限化

現行のNISA制度では、非課税で商品を保有できる期間が一般NISAで5年、つみたてNISAで20年でしたが、新NISAでは、非課税保有期間の制限はなくなります。

現行のNISA制度の場合、一般NISAで買い付けた商品の非課税期間が終了した場合、以下のいずれかを選択する必要があります。

非課税期間終了後の選択肢

● 翌年の非課税投資枠に移管(ロールオーバー)する
● 課税口座に移管する
● 売却する
一般NISAの場合5年の限られた期間で投資戦略を考えなければならず、長期的な投資や資産形成に活用しにくい欠点がありました。

また、ロールオーバーでは移管した額だけ枠を使ってしまい、新たな買い付けができなくなったり、買付可能額が小さくなったりして投資の幅が狭まる点も欠点でした。

新NISA制度では、非課税保有期間の上限が撤廃されるので、現行のNISA制度の欠点が解消されます。

NISA制度の恒久化

現行のNISA制度では、一般NISAの口座開設期間は2028年まで、つみたてNISAの口座開設期間は2042年までですが、新NISA制度では制度そのものが恒久化されるため口座開設期間の制限もなくなります。

そのため、期間が限定されていた現行のNISA制度とは違い、新NISA制度では長期的な視点に立った資産形成が可能となります。

新NISA制度のメリット

2024年から始まる新NISA制度のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

新NISA制度のメリット

● 年間投資上限額が拡大され、より効率的な資産形成が可能になる
● 成長投資枠とつみたて投資枠の併用により、投資戦略の幅が広がる
● 非課税保有期間の制限がなくなり、より長期的な視点で運用が可能になる
新NISA制度では年間投資上限額が拡大されるため、投資余力があれば投資額を増やして、運用効率を高められます。

成長投資枠とつみたて投資枠が併用でき、運用目的に合わせて投資枠を使い分けられるのもメリットのひとつです。

また、新NISA制度は制度が恒久化され、非課税保有期間も無制限になります。現行のNISA制度のように、非課税保有期間やNISA制度の期限を気にせず投資できるため、より自由で長期的な資産運用が可能です。

新NISA制度のデメリット

2024年から始まる新NISA制度のデメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

新NISA制度のメリット

● 現行のNISA制度と同じく、損失が出たときにほかの口座との損益通算や損失の繰越控除ができない
● 現行のNISA制度とは別の制度であり、現行のNISA制度から新NISA制度へロールオーバーはできない
現行のNISA制度では、NISA口座内で損失が発生しても、特定口座や一般口座で生じた売却益や配当金と相殺できません。

損失を繰り越して翌年以降の利益と相殺する繰越控除もできません。損益通算や繰越控除ができない点は新NISA制度でも同じです。

また、現行のNISA制度から新NISA制度へのロールオーバーはできません。

そのため現行のNISA制度で保有している商品は、非課税保有期間が終了すると売却するか課税口座に移管する必要があります。

まとめ

2024年から開始される新NISA制度は、年間投資上限額が拡大され、1,800万円の生涯非課税限度額も新設されました。非課税保有期間の制限がなくなり、より効率的な資産形成が可能です。

また成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、資戦略の幅も広がります。

その一方で、損益通算や損失の繰越控除ができない点は現行のNISA制度と変わりません。現行のNISA制度と新NISA制度は別の制度として扱われるため、旧制度から新制度へのロールオーバーができない点にも注意しましょう。

現行のNISA制度で保有している商品は、非課税保有期間が終了したタイミングで、売却するか課税口座に移管しなくてはいけません。

制度の内容や改正ポイントをしっかり確認して、新NISA制度のメリットを活かしましょう。

よくある質問

現行のNISA制度と新NISA制度の違いは?

2024年から始まる新NISA制度では年間投資上限額が拡大され、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能になります。

新NISA制度を詳しく知りたい方は「新NISA制度とは?改正のポイントを解説?」をご覧ください。

監修 竹国弘城(たけくに ひろき) 1級FP技能士・CFP

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。

監修者 竹国弘城