監修 好川寛 プロゴ税理士事務所
確定申告に際して、源泉徴収票や各種控除証明書などの内容を申告書に転記する作業には、多くの労力と時間がかかります。こうした作業の負担を大きく軽減するのが、政府が推進する「書かない確定申告」の取り組みです。
書かない確定申告では、e-Taxとマイナポータルを連携することで、医療費・ふるさと納税・源泉徴収票などの情報を申告書の該当欄に自動で入力できます。年々対応する控除証明書も拡大しており、令和6年分の確定申告では約310万人が利用しました。
本記事では、書かない確定申告の概要や自動入力できる項目、事前準備の流れ、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
目次
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書かない確定申告とは
「書かない確定申告」とは、e-Taxを利用したオンライン確定申告で、マイナポータルと連携することで情報入力の手間を省略する取り組みです。
e-Taxは、所得税や法人税などの申告や納税をインターネットを通じて行える、国税庁のシステムです。e-Taxとマイナポータルを連携させると、給与所得の源泉徴収票など収入関係の情報や、医療費・ふるさと納税・生命保険料・住宅ローン控除といった控除関係の情報が一括で取得され、確定申告書の該当欄に自動で入力されます。
従来は、紙の源泉徴収票や控除証明書などを保管して申告書に1件ずつ転記し、入力ミスがないかを確認するのが一般的でした。書かない確定申告では、こうした作業の多くを「データを取得して内容をチェックするだけ」の流れに変えられます。
e-Taxやマイナポータルの仕組みについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
マイナポータル連携の対象となるもの
マイナポータルと連携することで、以下の情報を確定申告書に自動入力できます。
マイナポータル連携の対象となるもの
- 医療費控除:医療費通知情報
- ふるさと納税(寄附金控除):寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書
- ふるさと納税以外の寄附金控除:寄附金受領証明書
- 生命保険料:生命保険料控除証明書
- 地震保険料:地震保険料控除証明書
- 住宅ローン控除:年末残高等証明書・年末残高等情報・住宅借入金等特別控除証明書
- 株式等に係る譲渡所得など:特定口座年間取引報告書
- 社会保険料控除:社会保険料(国民年金保険料)控除証明書・社会保険料(国民年金基金掛金)控除証明書
- 雑所得(公的年金など):公的年金などの源泉徴収票
- 小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済等掛金控除証明書
- 給与所得:給与所得の源泉徴収票情報
- 一時所得:生命保険契約などの一時金の支払調書・損害保険契約などの満期返戻金などの支払調書
- 雑所得(その他):生命保険契約などの年金の支払調書・損害保険契約などの年金の支払調書
給与所得の源泉徴収票については、勤務先(給与などの支払者)が税務署に対してe-Taxなどで「給与所得の源泉徴収票」を提出している場合に限り、自動入力の対象となります。給与のデータを取得したい場合は、勤務先がこの要件を満たしているか確認しましょう。
また、ふるさと納税・生命保険料控除・地震保険料控除は、控除証明書を発行する保険会社や自治体がマイナポータル連携に対応している必要があるなど、証明書類のマイナポータル連携にはそれぞれ条件があります。
連携対象や条件の詳細は、国税庁サイトの「マイナポータル連携の対象となる控除証明書等」で公表されているため、利用前にご確認ください。
マイナポータルと連携するための事前準備
医療費や源泉徴収票などの情報を自動入力するには、マイナポータルとの連携手続きを事前に行う必要があります。手順は以下の通りです。
マイナポータル連携の事前準備
- マイナポータルで利用者登録する
- 「確定申告の事前準備」ページにアクセスして、取得したい証明書などを選択する
- マイナポータルとe-Taxを連携し、民間送達サービス・ねんきんネットを連携する
- 民間送達サービスと証明書などを発行する企業と連携する
- (給与所得の源泉徴収票の情報を取得する場合)e-Taxマイページで情報取得希望の登録を行う
民間送達サービスとは、銀行・証券会社・保険会社などからのお知らせをインターネット上で受け取れる、自分専用のメッセージ受信ボックスのような仕組みです。
事前準備には、以下のものが必要になります。
事前準備に必要なもの
- マイナンバーカードとパスワード
- マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタ
マイナンバーカードを持っていない場合、まず発行手続きから始めます。発行までに一定の時間がかかる場合があるため、事前準備は早めに進めましょう。
事前準備が完了すれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やマイナポータル連携に対応した会計ソフトから、必要な情報を自動入力した申告書を作成できます。
マイナポータルと連携するメリット・デメリット
マイナポータルと連携して確定申告をする場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。
マイナポータル連携のメリット・デメリット
【メリット】
- 控除証明書や源泉徴収票などの管理・保管が不要になる
- 入力ミスを防げる
- 事前準備が完了していれば、書類作成がスムーズに進む
【デメリット】
- 証明書ごとに設定された条件を満たさないと自動入力の対象にならない
(勤務先が税務署への源泉徴収票の提出に未対応である場合など) - 事前準備に時間と手間がかかる
紙の控除証明書を保管し、入力・確認していく作業は、申告者にとって毎年の負担になります。データで一括取得・自動入力できるようになれば、こうした手間を大きく減らせる点が、書かない確定申告の最大のメリットです。
一方、勤務先がe-Taxなどによる税務署への提出を行っていない場合の源泉徴収票や、マイナポータル連携に未対応の発行主体から受け取った寄附金受領証明書などは、これまで通り手動で入力する必要があります。
また、事前準備には一定の手間がかかりますが、初年度に一度設定しておけば翌年以降の申告はスムーズに進められます。
マイナポータル連携の利用者は年々増加
国税庁によると、マイナポータル連携の利用者は年々増加し、令和6年分の確定申告では約310万人にのぼりました。 書かない確定申告の利便性が広く認知されつつあることがうかがえます。
連携対象となる控除証明書の種類も毎年拡大しており、確定申告にかかる手間は今後さらに軽くなっていくと考えられます。
まとめ
書かない確定申告とは、e-Taxとマイナポータルを連携することで、医療費・ふるさと納税・給与所得の源泉徴収票などの情報を申告書に自動入力できる、政府の取り組みです。控除証明書の管理や数字の転記といった作業の手間を大幅に削減でき、入力ミスを防げる点が大きなメリットです。
要件を満たす「給与所得の源泉徴収票」も自動入力の対象となり、給与所得者の確定申告も格段に楽になりました。利用するには事前準備が必要ですが、一度設定しておけば翌年以降の申告手続きはスムーズに進められます。
毎年の確定申告の手間を減らしたい方は、書かない確定申告の活用を検討してみてください。
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- 確定申告時、税額控除の金額を自動算出
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また、確定申告の際には質問に回答すると税額控除の金額を自動算出できます。ご自身で面倒な計算をする必要がなく、スムーズな書類作成が可能です。
さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。
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よくある質問
書かない確定申告とは?
書かない確定申告とは、e-Taxとマイナポータルを連携することで、医療費・ふるさと納税・給与所得の源泉徴収票などの情報を申告書に自動入力できる仕組みです。
詳しくは、記事内「書かない確定申告とは」をご覧ください。
マイナポータル連携によって自動入力されるものは?
マイナポータル連携によって、給与所得の源泉徴収票や医療費通知情報、ふるさと納税・iDeCo・小規模企業共済掛金などの情報を自動入力できます。
自動入力の対象となる内容について詳しくは、記事内「マイナポータル連携の対象となるもの」をご覧ください。
参考文献
監修 好川寛(よしかわひろし)
元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。
