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キャッシュレス決済を導入するメリットとは?導入方法や発生する費用を解説

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

キャッシュレス決済を導入するメリットとは?導入方法や発生する費用を解説

キャッシュレス決済には、利便性の向上や業務の効率化などのメリットがあります。本記事では導入のメリット・デメリットや費用などを解説します。

キャッシュレス決済は顧客の利便性向上や業務効率化などがメリットですが、導入の手間や費用がかかります。

キャッシュレス決済の導入は、メリットやデメリットを理解したうえでの検討が大切です。

目次

キャッシュレス決済は現金を使わない決済方法

キャッシュレス決済は、現金を使わない決済方法全般を指します。

クレジットカードやプリペイドカード、デビットカードのほか、さまざまな電子マネーも登場し、現金を持ち歩かなくても買い物が可能です。

最近では、スマートフォンの専用アプリで、指定のQRコードを読み取れば決済できるサービスも普及しています。

キャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済の種類は、大きく4つに分けられます。

キャッシュレス決済の種類支払方法
クレジットカード後日、代金を請求される(後払い)
デビットカード連動する口座から即時、支払われる(即時払い)
プリペイドカード・電子マネー事前に購入または入金して支払う(前払い)
スマホ決済(QRコード決済)銀行口座やクレジットカード、電子マネーと連動させて支払う(連動する支払い方法で後払い・即時払い・前払いにわかれる)


クレジットカード決済では、支払った代金が後日まとめて請求され、指定口座から引き落とすケースが一般的です。しかしデビットカードでは、支払時に連動する口座から代金分が即時差し引かれます。

また、プリペイドカードや電子マネーは、事前に購入または入金して支払う前払い方式です。

スマートフォン決済(QRコード決済)は、紐づけた決済方法によって支払い方が異なります。

キャッシュレス決済を導入するメリット

キャッシュレス決済を導入するメリットは、利便性の向上や業務の効率化、盗難防止などです。

顧客の開拓や売上増を狙える

日頃からキャッシュレス決済を活用している人は、非導入の店の利用を見送るケースがあります。せっかく商品やサービスに興味を持ってもらえても、キャッシュレス決済ができないために利用を見送られてしまうのは機会の損失です。

一方で、キャッシュレス決済を導入すれば、新規顧客になってもらえる可能性も出てきます。また、キャッシュレス決済なら、手持ちの現金以上の買い物もできるため、客単価のアップも期待できるでしょう。

会計時の接触・滞在時間が減少する

キャッシュレス決済の場合、現金を受け取って確認し必要に応じてお釣りを渡すという顧客との接触機会と手間を減らせます。

会計にかかる時間を短縮できて業務効率が向上し、会計を待っている顧客の不満やストレスを減らせるため、クレーム対策にもつながるでしょう。

レジでの売上金や釣り銭の管理業務が減る

キャッシュレス決済が増えれば、レジで取り扱う現金の量が減り、管理の手間が軽減されます。

釣り銭のために多くの現金に準備する必要がなくなり、両替に行く頻度も減らせます。また、現金を取り扱う機会が減れば、釣り銭の渡し間違いの減少につながるでしょう。

現金の盗難を防げる

レジで取り扱う現金が多いと、盗難される危険性が高まります。キャッシュレス決済を導入すると、取り扱う現金が減るため、狙われにくくなる点もメリットです。

また、万が一売上金の盗難に遭っても、取り扱っている現金が少なければ被害額も抑えられます。

キャッシュレス決済を導入するデメリット

キャッシュレス決済の導入には、売上アップや業務の効率化、盗難防止などが期待できますが、デメリットも存在します。

導入時の費用や手間、利用料・手数料負担がある

キャッシュレス決済を導入するにあたって、導入費用や手間がかかり、利用料や手数料が必要です。

導入時には利用契約の手続きや、機器設置のコストがかかります。また、決済時はインターネット通信も必要です。

利用する決済サービスごとに金額は異なりますが、一般的には月額利用料や決済手数料は導入する事業者の負担が必要です。

利用料や手数料を事業者が負担する場合、コストが増えるため利益が目減りします。

さらに、決済用の端末操作を覚える、従業員に操作方法や注意点を指導するなど、手間や時間もかかります。

災害やシステム障害時に使えない恐れがある

キャッシュレス決済を使う際は、インターネット回線へ接続し、通信できる状態でなければなりません。

回線の不具合や災害発生で通信障害が起きると、決済できなくなる可能性が生じます。

また、停電して決済端末やインターネット回線への接続装置が使えない場合も、キャッシュレス決済は利用できません。

お金が振り込まれるまで時間がかかる

現金決済なら、すぐに売上金が現金で手に入ります。しかし、キャッシュレス決済の場合、売上金が後日振り込まれるため、すぐには現金が手に入りません。

事業者の手元資金が少ない状態でキャッシュレス決済が多いと、資金繰りに困る事態も考えられます。

キャッシュレス決済の導入が推進される背景

キャッシュレス決済の導入が推進された背景には、海外からの観光客の利便性を向上させ、インバウンド消費による経済効果を高める狙いがあります。

経済産業省は2019年10月からキャッシュレス・ポイント還元事業を行い、キャッシュレス決済の利用を推進しています。

当時は2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外から多くの観光客の来日が見込まれている状況でした。しかし、日本は諸外国と比較して、キャッシュレス決済の導入比率が低い状態でした。

同時に、労働人口の減少が予想される日本では、決済作業を効率化させて生産性を高める観点でも、キャッシュレス化が望ましいとされています。

キャッシュレス決済の導入が広がれば、店舗ビジネスの効率化を図れ、支払データの利活用や不透明な現金流通の抑制にもつながるでしょう。

国内消費者の利便性も向上し、現金決済で発生する造幣や運搬、両替や入出金、セキュリティなど、さまざまなコストを抑えられます。また不正や犯罪を抑止する意味でも、キャッシュレス決済の導入は推奨されています。

キャッシュレス決済を導入する方法

キャッシュレス決済を導入する方法には、キャッシュレス決済事業者と直接契約する方法と決済代行会社経由で契約する方法があります。

キャッシュレス決済事業者と直接契約する

キャッシュレス決済事業者との直接契約は、クレジットカード会社や電子マネーを提供する企業と加盟店契約を結ぶ方法です。

事業者ごとに契約が必要で、締め日や振り込み日が事業者ごとに異なります。

顧客の利便性を高めるため、さまざまなキャッシュレス決済を導入したい場合、個別契約の手間や締め日・振り込み日を管理する手間が発生します。

決済代行会社を経由して契約を行う

キャッシュレス決済事業者と直接契約ではなく、決済代行会社を経由して契約を結び、キャッシュレス決済を導入する方法もあります。

クレジットカードブランドや電子マネーごとの手続きが不要で、決済代行会社が対応しているキャッシュレス決済をまとめて利用できる点がメリットです。

決済時は、決済代行会社が用意する端末やカードリーダーを使用します。

キャッシュレス決済の導入と維持にかかる費用

キャッシュレス決済の導入・維持には、端末導入コストや決済時の手数料、通信費用がかかります。

端末導入コストは、端末の購入やレンタル費用、サービスの月額利用料などです。決済代行会社のなかには、初期費用無料キャンペーンを実施している場合もあります。導入を検討する場合は複数のサービスを比較するとコスト削減につながるでしょう。

決済時の手数料は、取り引き金額の3%前後に設定されているケースが多く、決済ごとに発生します。

通信費用は、決済時に必要なインターネット回線の接続費用です。インターネット接続の契約をしていない場合、回線契約や通信機器の設置にも費用と手間がかかります。

キャッシュレス決済の導入費用を支援する補助金

キャッシュレス決済の導入・維持には費用がかかりますが、導入する事業者を支援してくれる補助金制度が存在します。

以下の補助金はキャッシュレス決済の導入に利用可能です。

キャッシュレス決済の導入に利用可能な補助金

● IT導入補助金
● 小規模事業者持続化補助金
● 各自治体によるキャッシュレス決済導入補助金
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者が、ITツールを導入する場合の費用を補助してくれます。ITツールには会計用ソフトウェアや決済用ソフトウェアの購入・クラウド利用料、レジ・券売機などのハードウェア導入費用も含まれます。

2022年分の申請は終了していますが、2023年も補助制度が展開される予定です。

小規模事業者持続化補助金は、地域の生産性・持続的発展を目的とした補助金です。申請類型「通常枠」の、借料(機器・設備のリース・レンタル料)で、キャッシュレス決済導入の費用も補助対象です。

また、多くの自治体でも地域内のキャッシュレス化を促進するため、支援事業を展開しています。

申請期間が終了している補助金もありますが、今後もキャッシュレス化推進を目的に補助制度が展開される可能性があります。地元自治体で取り組みがないかチェックしてください。

経理を自動化し、業務を効率的に行う方法

経理業務は日々の入出金管理だけでなく、請求書や領収書の作成から保存まで多岐にわたります。業務を効率化するなら、会計ソフトの活用がおすすめです。

シェアNo.1(*1)のクラウド会計ソフト「freee会計」は面倒な仕訳作業や書類作成を簡単に行え、経理業務にかかる時間を半分以下(*2)に削減できます。

※1.シミラーウェブ、ローカルフォリオ(2019年10月)
※2.自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数


freee会計には、以下のような機能があります。

  • 出入金の自動入力&記帳
  • 見積書/請求書/納品書の発行
  • 証憑管理(電子帳簿保存対応)
  • 決算関連書類の作成
  • 関連書類のクラウド内保存
銀行口座やクレジットカードを同期することにより、利用明細を自動的に取り込めるだけでなく、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、資金の移動などの記帳も可能です。

お金の流れをリアルタイムで把握できるレポートも自動で作成できるため、会計管理の見える化も図れます。

また、貸借対照表や損益計算書の出力などにも対応し、決算業務を全般的にサポートします。

すぐにfreee会計を使ってみたい方は、freee会計アカウントの新規作成(無料)ページからお試しください。

まとめ

キャッシュレス決済を導入すると、利便性の向上や新規顧客の開拓、売上増、業務の効率化、現金の盗難を防げるなどの点がメリットです。

一方で、導入・維持のコストや手間、災害や障害発生時に利用できなくなる恐れがあり、売上げの現金化までに時間がかかる点はデメリットです。

キャッシュレス決済の導入を検討する際は、メリット・デメリットの両方を理解したうえで判断しなければなりません。

よくある質問

キャッシュレス決済を導入するメリットとは?

キャッシュレス決済を導入すると、顧客の利便性が向上し、新規顧客開拓や売上げの増大、業務の効率化、盗難防止を期待できるなどの点がメリットです。

キャッシュレス決済を導入するメリットを詳しく知りたい方は「キャッシュレス決済を導入するメリット」をご覧ください。

キャッシュレス決済を導入するデメリットとは?

キャッシュレス決済の導入には、導入時の費用や手間、毎月の利用料・手数料負担がある点や、災害時やシステム障害時に利用できない、売上の現金化に時間がかかる点がデメリットです。

キャッシュレス決済を導入するデメリットを詳しく知りたい方は「キャッシュレス決済を導入するデメリット」をご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高