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累進課税制度とは?仕組みやメリット・デメリット、計算方法をわかりやすく解説!

監修 内山 貴博 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

累進課税制度とは?仕組みやメリット・デメリット、計算方法をわかりやすく解説!

累進課税制度の仕組みやメリット・デメリット、累進課税制度が採用されている税金の種類や税率の考え方など、わかりやすく解説します。

累進課税制度とは課税方法のひとつです。日本では所得税を始めとしたいくつかの税金で累進課税制度が採用されています。

目次

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累進課税制度とは

課税方法にはさまざまな方法があり、累進課税制度もそのひとつです。累進課税制度とはどのような制度なのか、まずは概要から紹介します。

所得や資産が多い人ほど税率が高くなる

課税方法には、住民税の均等割のように課税金額(課税所得金額)に関係なく一定額を課す方法や、消費税のように同一の税率で課す方法など、いくつかの方法があります。

累進課税制度は、課税金額が高くなるほど税金が高くなる仕組みです。たとえば課税金額が195万円未満なら税率5%、195万円以上なら税率10%のように、所得や資産が多い人ほど税率が高くなります。

単純累進課税制度と超過累進課税制度の違い

累進課税制度には単純累進課税制度と超過累進課税制度の2種類の制度があります。

両者の違いは以下の通りです。

単純累進課税制度超過累進課税制度
課税金額が一定額を超えると、課税金額全体に高い税率が適用される課税金額が一定額を超えると、超えた部分のみに高い税率が適用される

たとえば、課税金額が195万円未満で税率5%、195万円以上で税率10%の累進課税制度で、課税金額が200万円の場合、それぞれの税額は以下のようになります。

税額の比較

  • 単純累進課税制度の場合
    200万円×10%=20万円
    税額:20万円
  • 超過累進課税制度の場合
    195万円×5%=9.75万円
    5万円×10%=0.5万円
    税額:10.25万円

累進課税の代表的な税金は「所得税」「相続税」「贈与税」の3つ

日本では、所得税・相続税・贈与税の3つの税金でいずれも超過累進課税制度が採用されています。

所得税とは個人の所得に対して課税される税金です。会社からもらう給料や個人で事業をして稼いだ所得が多いほど税率が高くなります。

相続税は遺産を相続する人に対して課税される税金です。相続する遺産額が大きいほど高い税率が適用されます。

贈与税とは贈与を受ける人に対して課税される税金です。贈与額が大きいほど税率が高くなります。

累進課税制度のメリット・デメリットは?

どの課税制度でも長所・短所がありますが、累進課税制度にもメリットとデメリットの両方があります。

以下では、累進課税制度のメリット・デメリットについて解説します。

累進課税制度のメリット

所得や資産が多い人ほど税率が高くなって税金を多く納めれば、貧富の格差を是正できます。

また、所得や資産が多い人は税金をより多く納める能力があります。支払能力が高い人に高い税率を適用して税金をより多く徴収する累進課税制度は、支払能力に応じて税金を課す公平な課税制度です。

累進課税制度のデメリット

累進課税制度では多く稼ぐと税負担が増えるので、人によっては「税金が高くならないように所得を減らそう」と考える場合があります。労働意欲の減退につながれば、経済の発展や社会全体にとってマイナスに働きます。

また、所得や資産が多い人ほど税率が高くなる仕組みを不公平に感じる場合があります。「税率が低い海外に移住しよう」と考えた人が他に国に移住してしまうと、自国での税収減や人口減による経済・社会の衰退につながる恐れもあります。

【累進課税の計算①】所得税

所得税は以下の流れで計算します。

所得税の計算

  1. 収入から費用を引いて所得額を計算する
  2. 所得額から所得控除額を引いて課税所得金額を計算する
  3. 課税所得金額に税率をかけて税額を計算する
  4. 税額控除の適用を受ける場合は税額から税額控除額を引く

収入から費用を引いて計算する所得額とは、個人事業主の事業所得であれば売上から経費を引いた金額、会社員・パート・アルバイトなど給与所得者であれば給与収入から給与所得控除額を引いた金額です。

所得税の税率は以下の通りです。

課税所得金額税率控除額
195万円未満5%0円
195万円以上330万円未満10%97,500円
330万円以上695万円未満20%427,500円
695万円以上900万円未満23%636,000円
900万円以上1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円以上4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

【累進課税の計算②】相続税

相続税は以下の流れで計算します。

相続税の計算

  1. 相続税の課税対象となる遺産額を合計する
  2. 遺産額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を計算する
  3. 課税遺産総額を各相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して税率を適用し、相続税の総額を計算する
  4. 相続人が2人以上いる場合は、各相続人の実際の遺産取得割合に応じて相続税の総額を按分し、各相続人の納税額を計算する
  5. 税額控除の適用を受ける場合は税額から税額控除額を引く

相続税の基礎控除額とは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算した金額です。遺産額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。

相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応じた取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

【累進課税の計算③】贈与税

贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類の課税方法がありますが、一般的には暦年課税が適用されて税額を計算します。暦年課税とは1年間の贈与額をもとに贈与税を計算する方法です。税額は以下の式で計算します。

贈与税 = {(1年間に贈与された財産の金額) - 基礎控除額110万円} × 税率 - 控除額

暦年課税における税率には一般税率と特例税率の2種類あり、18歳以上の人が父母・祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合に適用される税率が特例税率、それ以外のケースで適用される税率が一般税率です。

暦年課税における税率は、以下の通りです。

基礎控除額を引いた後の金額一般税率特例税率
税率控除額税率控除額
200万円以下10%0円10%0円
300万円以下15%10万円15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円20%30万円
1,000万円以下40%125万円30%90万円
1,500万円以下45%175万円40%190万円
3,000万円以下50%250万円45%265万円
4,500万円以下55%400万円50%415万円
4,500万円超55%640万円

税金の仕組みを活用した節税対策

累進課税制度では所得や資産が多いと税率が高くなりますが、税金の仕組みをうまく活用すれば税負担を軽減できる場合があります。

税金を安く抑えれば納税後に手元に残る資産が多くなるので、節税対策はしっかりと行っておきたいところです。以下では所得税・相続税・贈与税の節税対策について紹介します。

所得税の節税対策

所得税の主な節税対策としては、所得控除や税額控除を活用して節税する方法が挙げられます。所得控除額が大きくなれば税率をかける課税所得金額が小さくなり、税額控除を適用できれば控除額の分だけ税金が安くなるからです。

たとえば生命保険やiDeCoに加入して生命保険料控除や小規模企業共済等掛金控除を適用できると所得税が安くなる場合があります。所得税の所得控除・税額控除については以下の国税庁サイトに掲載されているので、活用できる控除制度がないか確認してみましょう。

出典:国税庁|所得控除のあらまし
出典:国税庁|税額控除

なお2024年度の税制改正により、16歳から18歳までの扶養控除額が所得税は38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円に引き下げられます。所得税は2026年、住民税は2027年度に適用される予定です。

高校生を扶養している人は、所得税や住民税の納税額が増加する可能性があるため、注意しましょう。

ただし、これまで対象外だった高校生にも児童手当が支給されることになります。扶養控除額の引き下げに伴い税負担が増加しても、実質的には手取りが増えるように設計されています。

そのほか、子育て世帯に対して住宅ローン控除の拡充や生命保険料控除の拡充が行われるため、子育て中の人は税制改正の内容を確認しておくとよいでしょう。

【関連記事】確定申告における扶養控除とは?配偶者控除との違いや控除金額についても紹介

相続税の節税対策

相続税の主な節税対策としては、生前贈与や資産の組み替え、相続税の特例制度の活用によって節税する方法が挙げられます。

たとえば生前に財産を贈与すれば、将来相続が起きたときに相続税の課税対象になる遺産が減って節税になる場合があります。

また、生命保険に加入して相続人が死亡保険金を受け取るようにすれば、「500万円×法定相続人の数」で計算した額まで相続税はかかりません。現金で相続すると全額が相続税の課税対象になりますが、現金ではなく死亡保険金で受け取るように財産を組み替えておくと節税になる仕組みです。

さらに、生前に土地や建物を購入して不動産として相続すれば、現金で相続する場合より相続税評価額が下がって節税になる場合があります。相続税の配偶者控除や小規模宅地等の特例など特例制度を活用して相続税を安く抑える方法もよく使われる相続税の節税対策のひとつです。

贈与税の節税対策

贈与税の主な節税対策としては、年間の贈与額を110万円以下に抑える方法や贈与税が非課税になる特例制度を活用する方法が挙げられます。

たとえば贈与税の計算では年間の贈与額から基礎控除額110万円を引いて税率をかけるので、贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。暦年課税制度のこの仕組みを活用した節税対策は、贈与税の節税対策として活用されるケースが多いです。

また住宅取得等資金の贈与の非課税制度を使えれば最大1,000万円の贈与まで、教育資金の一括贈与の非課税制度を使えれば最大1,500万円の贈与まで、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度を使えれば最大1,000万円の贈与まで、それぞれ贈与税がかからずに済みます。

各制度の利用可能期間など細かく条件が決まっているため誰でも使えるわけではありませんが、基礎控除額110万円より大きな額が非課税になるため節税効果が大きい制度です。

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まとめ

累進課税制度では課税金額が大きくなるほど高い税率が適用されます。所得や資産が多い人ほど税金が高くなるので富の再分配・格差の是正につながる点がメリットですが、労働意欲が減退する可能性がある点がデメリットです。

日本で累進課税制度が採用されている税金は所得税・相続税・贈与税の3つです。各種控除制度や特例制度をうまく活用すると節税になる場合があります。これらの税金を納める際には利用できる制度がないか確認し、税負担が少しでも軽くなるように検討してみてください。

よくある質問

累進課税制度とは?

累進課税制度は、課税金額が高くなるほど税金が高くなる課税制度です。

累進課税制度を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

監修者 内山 貴博氏