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下請かけこみ寺とは?相談できる内容や利用方法、事例をわかりやすく解説!

監修 松浦絢子 弁護士

下請かけこみ寺とは?相談できる内容や利用方法、事例をわかりやすく解説!

下請かけこみ寺とは、中小企業の取引に関する悩みを相談できる窓口です。本記事では、下請かけこみ寺で相談できる内容利用方法を解説します。

企業間の請負関係で優位な企業が下請に不当な対応を行うことを、「下請いじめ」と言います。下請かけこみ寺は、下請いじめを解決する手段のひとつです。

下請かけこみ寺での相談事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

下請いじめに関しては「下請いじめとは?具体的な事例や防止策、実際に起こった場合の相談先を紹介」で詳しく解説しています。

目次

下請かけこみ寺とは?

下請かけこみ寺とは、中小企業の取引に関する悩みを、下請代金法や企業間の取引などに詳しい相談員・弁護士へ無料で相談できる窓口です。

下請かけこみ寺は、全国48ヶ所に設置されており、中小企業庁の委託事業です。公益財団法人全国中小企業振興機関協会(下請かけこみ寺本部)と、47の各都道府県下請企業振興協会で実施されています。

相談内容などは秘密として取り扱われるため、安心して利用できます。また弁護士への相談を除いて、匿名での相談が可能です。

下請かけこみ寺で相談できること

下請かけこみ寺では、企業間のトラブル・悩みに対し、次のような対応を行っています。

下請かけこみ寺でできること

● 相談員や弁護士による無料相談
● 調停による紛争解決(ADR)
実際に、「支払日を過ぎても代金を支払ってくれない」「原材料が高騰しているのに単価引き上げに応じてくれない」といった内容の相談が寄せられています。

2022年度の相談分類別割合によると、主な相談内容は以下の通りです。

2022年度の相談分類別にみた相談内容

● 代金の未払い
● 契約書・約款等のトラブル
● 代金の減額
● 単価の引き下げ要求
● 損害賠償
● 取引中止
相談件数を業種別で見ると、サービス業や建設業、製造業に関する相談が多い傾向にあります。全体の相談件数は、2020年度は9,727件、2021年度は10,778件、2022年度は11,614件であり、年々増えています。

出典:公益財団法人 全国中小企業振興期間協会「下請かけこみ寺 相談実績」

下請かけこみ寺の利用方法・流れ

まず電話・メール・面談のいずれかの方法で、相談員による無料相談もしくは移動弁護士相談会を利用しましょう。

その後は以下の通り、相談内容に適した窓口に案内されます。

案内される窓口

● 弁護士による無料相談
● 裁判外紛争解決手続(SDR)
● 中小企業庁への通報
● より適切な相談機関の紹介

下請かけこみ寺の利用方法・流れ

出典:公益財団法人 全国中小企業振興機関協会「下請かけこみ寺事業(無料相談)」

中小企業庁への通報は、下請代金法違反のおそれがある場合に行われます。

以下では、弁護士による無料相談と裁判外紛争解決手続の流れを詳しく解説します。

弁護士による無料相談

弁護士に無料で相談するには、下請かけこみ寺を経由して申し込む必要があります。申し込みから相談までの流れは、次の通りです。

弁護士への無料相談手続きの流れ

1. 電話・オンライン・対面のいずれかの方法で、相談員と話をする
2. 相談員が「弁護士リスト」からトラブルの内容に応じた弁護士を選定し、相談者に紹介する
3. 相談者は弁護士と面談し、助言を受ける
弁護士への無料相談は、匿名では利用できません。

原則として土日祝日および年末年始を除いて、毎日対応しています。相談時間は、1相談者につき1時間以内です。なお取引あっせん・融資・労働・交通事故などに関する相談はできません。

調停による紛争解決(ADR)

裁判外紛争解決手続(ADR)とは、弁護士による調停によって、双方納得いくまで話し合い、解決を図ることができる手段です。

主な手続きの流れは、次の通りです。

ADRの流れ

1. 調停を希望する中小企業は、下請かけこみ寺本部または都道府県の下請かけこみ寺に相談する
2. 下請かけこみ寺本部から、調停申立書様式などが送付される
3. 申立人(中小企業)は、署名または記名押印した調停申立書と添付書類を返送する
4. 下請かけこみ寺本部は、書類受領後、当事者双方に対し、調停申立ての受理の通知を行う
5. 相手方へ、調停手続きの説明と参加要請が行われる
6. 相手方が調停手続きへの参加を応諾し、「調停手続実施依頼書」の提出があった場合、調停人を選出する(相手が調停への参加を応諾しなかった場合、調停手続きは終了する)
7. 調停人が調停期日を調整し、当事者に対し和解案を提示する
8. 当事者間で和解が成立した場合、和解契約書を作成する(和解する見込みがない場合、調停手続きを終了する)

調停による紛争解決(ADR)

出典:公益財団法人 全国中小企業振興機関協会「下請かけこみ寺事業(裁判外紛争解決手続(ADR))」

裁判ではないため、当事者以外には秘密が守れられるうえ、比較的短い期間で手続きできるというメリットがあります。また一定の要件のもと、時効の中断や訴訟手続きの中止など、法的効果が認められます。

調停手続きには費用がかかりませんが、調停に出廷する際の交通費や書類の送料などは自己負担です。

下請かけこみ寺の相談事例

公益財団法人全国中小企業振興機関協会の「下請かけこみ寺活用事例集」(令和4年度)から、相談事例を紹介します。

なお個々の事情によって結果が異なるため、実際のトラブルに関しては最寄りの下請かけこみ寺へ相談しましょう。

工事代金の減額に関する事例

相談者および相談内容は下表の通りです。

相談者個人事業者A
相手方建設業者B
相談内容● AはBからマンションのリフォーム工事を請け負った
● 契約書および注文書がなく、工事完了後、口頭で約束した金額を請求したところ、工事の不具合を理由に一方的な減額をされ、請求した金額より大幅に少ない金額が振り込まれた

上記の相談事例では、「どのような工事をする約束をしたか」また「実際にどのような工事を行ったのか」を立証できるかどうかがポイントです。

下請かけこみ寺のアドバイスは、次の2点です。
● メールや記憶している内容を、時系列で文書にする
● 工事に関しては、施工前後・途中経過の写真を証拠として残しておくことが大切
なお上記事例については、弁護士の助言が適切と判断されたため、フリーランス・トラブル110番が紹介されました。

納入品の検収に関する事例

相談者および相談内容は下表の通りです。

相談者A社(資本金7000万円)
相手方B社(資本金30億円)
相談内容● A社はB社に委託を受けて製造した装置を納入した
● 見積もり段階で、仕様書に製造物の品質保証ができない旨を記載し、B社は了解している
● 上記に関わらず、B社は「製造物の品質が担保されない」旨を主張し、検収しない

この場合、下請法が適用される取引だと考えられます。下請かけこみ寺はA社に対し、「不当なやり直し」に該当するおそれがある旨をB社に説明し、説得を続けるように助言しました。

また公正取引委員会では、中小企業などからの相談を受ける「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」を設置しています。フリーダイヤル経由での電話相談が可能なので、上記のようなトラブルであれば、相談してみましょう。

裁判外紛争解決手続き(ADR)で和解した事例

以下のように、ADRでトラブルが解決したケースがあります。

相談者個人事業者A(飲食業)
相手方B社
相談内容● Aは、テイクアウト関連設備の販売やレンタルを行うB社から設備を購入した
● 購入直後から設備の不具合が生じ、B社に修理を依頼するが、3ヶ月が経過しても修理が終わらなかった
● AはB社に対して設備購入契約を解除し、設備代の返金と未稼働期間の遺失利益(200万円)を請求した
● B社は、「修理で対応する」旨と「遺失利益については妥当な額であれば応じる」旨を主張した

上記のトラブルは、調停弁護士による3回の調停の結果、次の内容で和解しました。
● Aは契約解除ではなく、早期の修理による対応で了承する
● 遺失利益は、B社が100万円を支払う
双方の主張が対立して解決できない場合、ADRは有効な手段です。トラブルの内容はもちろん、紛争していること自体、外部には漏れないため安心して利用できます。

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まとめ

下請かけこみ寺では、中小企業が取引上で抱えるトラブルや悩みを、専門家へ無料で相談できます。トラブルの内容によっては、調停による解決も可能です。

実際に相談される内容としては、代金の未払い・契約書や約款等のトラブル・代金の減額などが多い傾向にあります。

各事例によって事情や条件が異なるため、実際のトラブルについては、まず最寄りの下請かけこみ寺に相談してみましょう。

よくある質問

下請かけこみ寺とは?

企業間の請負関係において生じたトラブルや悩みに関して、中小企業が専門家に無料で相談できる窓口です。

詳しく知りたい方は、「下請かけこみ寺とは?」をご覧ください。

下請かけこみ寺で相談できることとは?

下請かけこみ寺で実施している弁護士への無料相談では、代金の未払い・契約書や約款等のトラブル・代金の減額・単価の引き下げといった内容が相談されています。

詳しく知りたい方は、「下請かけこみ寺で相談できること」をご覧ください。

監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

監修者 松浦絢子

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