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デジタル給与払いが解禁! メリット・デメリットや企業が行うべき対応を解説

公開日:2023/05/31

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

デジタル給与払いが解禁! メリット・デメリットや企業が行うべき対応を解説

2023年4月、デジタル給与払いが解禁されました。本記事では、デジタル給与払いのメリットやデメリットや開始にあたって企業が行うべき対応を解説します。

給与は現金による支払いが原則ですが、労働者の同意がある場合、デジタル給与払いが可能となります。

目次

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デジタル給与はどんな仕組み?

デジタル給与とは、従業員への給与を支払う際、労働者の同意がある場合に限り、資金移動業者の口座への入金を認める仕組みです。

資金移動業者とは、資金決済に関する法律に基づき、内閣総理大臣の登録を受けて為替取引を行う銀行以外の業者を指します。

代表的な決済サービスとして、PayPay・楽天ペイ・LINE Pay・auPAYなどがあります。

厚生労働省がデジタル給与を推進する理由

これまで、給与は現金で受け取るか、銀行口座や証券総合口座に振り込まれるかの二択でした。しかし、デジタルマネーでの給与支払いが解禁され、25年振りに給与の支払方法が増えました。

厚生労働省がデジタル給与の解禁を行なった背景を解説します。

キャッシュレス化によるデジタルマネーニーズの高まり

2020年から国内で流行した新型コロナウイルス感染症によって、人々の生活様式は大きく変化しました。これから先、ウィズコロナ・アフターコロナの時代では、非接触での支払いが可能な「キャッシュレス決済」の普及も進むと考えられます。

また、デジタルマネーの利用によって、割引やキャッシュバックなどがあるため、ユーザーの人気を集めています。

公正取引委員会の実態調査によると、デジタル給与が実現したらキャッシュレス決済口座への振込を検討している人の割合は全体の約40%です。調査の結果から、デジタル給与払いに一定のニーズがあることがわかります。

出典:公正取引委員会「令和2年4月 QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書」

雇用の増加につながる

2022年10月末時点で、日本にいる外国人労働者数は約182万人です。前年に比べて約9.5万人増加しており、過去最高を更新しました。
※出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」

外国人労働者は年々増えていますが、来日してすぐに銀行口座を作れる外国人労働者は多くありません。デジタル給与は、口座開設が難しい外国人労働者などにとって、給与を受け取れる最適な手段です。

また、国内でも海外でも利用できる決済サービスを使えば、外国人労働者にとっても本国へ送金しやすいメリットがあります。

デジタル給与払いが選択肢にある企業は、外国人労働者を雇いやすくなり、雇用のチャンスが増えます。

デジタル給与のメリット

ここでは、企業がデジタル給与を開始した際のメリットを3つ紹介します。

デジタル給与の導入でコストを削減できる可能性がある

デジタル給与のメリットのひとつは、コストを削減できる点です。

導入に伴うコストに関する情報がまだ明確ではありませんが、銀行・証券口座に送金する際の振込手数料などのコストは抑えられる可能性があります。

また、デジタル給与の利用が増え、現金を取り扱う機会が減れば、現金の輸送・警備・確認など管理に関わるコストダウンも期待できます。

デジタル給与で作業効率アップが期待できる

電子帳簿保存法の改正により、経費精算に関しては、すでにキャッシュレス決済の利用が普及しています。

実際に、経費精算のデジタル払いを導入している企業では、「精算のために出社する必要がなくなり、在宅ワークを実現できるようになった」など生産性の向上につながった事例もあります。

デジタル給与も同様に、銀行への振込手続きを省略できるなど、業務の効率化が見込めるでしょう。

企業のイメージアップを狙える

デジタル給与払いを導入し、時代の変化にいち早く適応できれば、企業のイメージアップも期待できます。

昨今は新型コロナウイルス感染症の流行によって、リモートワークや非接触など新しい生活スタイルが浸透しています。

働き方が多様化するなか、給与受け取りの手段を増やせば、労働者のさまざまなニーズを満たせるでしょう。

デジタル給与のデメリット

ここでは、メリットとあわせて知っておきたいデジタル給与のデメリットを2つ説明します。

デジタル給与と銀行振込の二重手続きが必要になる可能性

労働者の希望によっては、二重で手続きが必要となる場合があるため、事業者側の手続きの負担が増える可能性があります。

労働者がデジタル給与に同意した場合でも、全額を資金移動業者の口座に入金するとは限りません。

また、デジタル給与払いを選択するかは、労働者の自由なので強制はできません。

そのため、労働者が希望すれば、賃金の一部をデジタル給与として支払い、残りは銀行へ振り込む必要が発生するケースも考えられます。

制度の仕組みを労働者側へ周知させる手間がかかる

デジタル給与を導入するにあたって、事業者側は、制度の仕組みや注意点などを従業員に知らせなければなりません。

資金移動業者が破綻した場合、預金保険制度の対象ではなく、保証委託契約等を結んだ保証機関によって弁済される仕組みなど、デジタル給与のリスクも労働者に理解してもらう必要があります。

労働者に対する丁寧な説明が求められるため、デジタル給与の制度に慣れるまでは、一定の時間や手間がかかるでしょう。

デジタル給与の開始によって企業が行うべき対応とは

デジタル給与には、従業員の同意が必要であり、制度には注意すべき点もあります。以下では、デジタル給与を導入する際、企業側で行うべき対応を3点説明します。

労働者側と労使協定を締結する

まず、デジタル給与を導入するには、労働者と労使協定の締結が必須です。

事業場の労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)と、デジタル給与払いの対象となる労働者の範囲や、取扱指定資金移動業者の範囲などを記載した労使協定を締結します。

なお、2023年4月から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を開始します。申請を受け付けた後、基準を満たしているか審査されるため、政府が指定する資金移動業者が公表されるまで数ヶ月かかる見込みです。

取扱指定資金移動業者の範囲を設定するには、政府が指定する資金移動業者の中から選択する必要があります。そのため4月に解禁されたからといって、すぐにデジタル給与払いを開始できるわけではない点には注意が必要です。

デジタル給与払いの留意事項を説明する

資産移動業者の口座は「預金」するためではなく、「支払」や「送金」のために利用する口座です。銀行口座とは役割が違うため、支払や送金に使う見込みの額を受け取るように設定しなければなりません。

また、口座の上限額は「100万円以下」です。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに出金されます。ATMや銀行口座への出金により、現金化も可能です。

このように、企業側は労働者に対して、留意すべき事項を説明したうえで、銀行口座や証券総合口座という選択肢も提示する義務があります。

労働者から同意書を提出してもらう

企業側は、デジタル給与払いの仕組み・留意事項を、労働者側に理解してもらうために丁寧に説明しなければなりません。

そのうえで、デジタル給与払いを選択した労働者にから、個々に同意書を提出してもらいます。同意書には、受け取る賃金額や代替口座の情報などを記入してもらいます。

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まとめ

2023年4月に解禁された「デジタル給与払い」とは、給与をキャッシュレス決済アプリなどへ直接入金が可能な給与の支払方法です。

企業側の手続きやコストの負担はまだ明確になっていませんが、外国人労働者などへの支払い方法として有効な手段であり、イメージアップを期待できるなどメリットも多くあります。

デジタル給与の導入にあたり、企業側で必要な対応は、労働者側との労使協定の締結や制度の注意点を周知させるなどが挙げられます。

よくある質問

デジタル給与とは?

従業員への給与を支払う際、労働者の同意がある場合に限り、資金移動業者の口座への入金を認める仕組みです。

デジタル給与を詳しく知りたい方は「デジタル給与はどんな仕組み?」をご覧ください。

なぜデジタル給与は推進されている?

キャッシュレス化によるニーズの高まりや、デジタル給与払いは雇用の増加につながることから厚生労働省が推進しています。

デジタル給与が推進されている背景を詳しく知りたい方は「厚生労働省がデジタル給与を推進する理由」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮