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産休中の社会保険料は免除になる?手続き方法や注意点をわかりやすく解説

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

産休中の社会保険料は免除になる?手続き方法や注意点をわかりやすく解説

この記事では、産休中の社会保険料の扱いや、社会保険料の免除の手続きをする方法などを解説します。社会保険料の免除についての理解を深めましょう。

手続き方法や提出期限が分からないまま放置すると、社会保険料の免除が受けられない可能性もあるため注意してください。

目次

社会保険料とは

まずは社会保険料の定義をご紹介します。社会保険料には広義の意味と狭義の意味があります。広義の意味では「健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険」の5つの保険の保険料を社会保険料といいます。

そのなかでも「健康保険・介護保険・厚生年金保険」は狭義の社会保険料、「雇用保険・労災保険」は労働保険料と呼ばれています。

社会保険を適用している会社で条件を満たした場合、社会保険に加入する義務が発生します。一般的に会社に勤めている従業員は「健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険」の保険料を会社と折半する形で負担し、労災保険は全額会社負担です。

一般的に毎月の給与から社会保険料が控除されます。

産前・産後休業を取得する際は、所定の手続きを行うと社会保険料が一定期間免除されます。

産休中の社会保険料はいつから免除になる?

産休中の社会保険料の免除期間は、産休、育休の「開始月」から終了日の翌日の属する月の前月(終了日が月末の場合は終了月)までです。従業員だけではなく、会社側も社会保険料が免除されます。

社会保険料が免除される期間は、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)と産後56日の産前産後休業期間のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間とされています。

また、育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間についても、条件を満たせば社会保険料は免除されます。

従前は育児休業のみ社会保険料免除が認められていましたが、2014年4月から産前産後休業も社会保険料の免除の対象となりました。

社会保険料が免除された期間は社会保険料を支払ったとみなされるため、将来受け取れる年金額などに影響は及ぼしません。

産休中の社会保険料の免除額

では、実際どれくらいの金額が免除になるか試算しましょう。

東京勤務の40歳未満の方を例として計算します。標準報酬が月200,000円として、13ヶ月産休育休を取った方の場合、健康保険料が9,810円×13ヶ月=127,530円、厚生年金保険料が18,300円×13ヶ月=237,900円で、合計365,430円も免除されます。

手続きをしておかなければ、このような免除は受けられないため、忘れずに行いましょう。

産休中の社会保険料免除の手続きはどのように行う?

ここからは産休中の社会保険料免除の手続き方法をご紹介します。この手続きを期日までにしておかないと、社会保険料の免除が受けられない場合があるので注意しましょう。

手続きの基本的な流れ

まず産休を取得したいという従業員は、会社に産休を取得したい旨を伝え、会社は申し出を受け日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に「産前産後休業取得者申出書」を提出します。

「産前産後休業取得者申出書」の提出期限は従業員の産休取得中から産休終了後1ヶ月以内となっているので、忘れずに提出を行いましょう。

「産前産後休業取得者申出書」の提出方法は電子申請や郵送、年金事務所に限り窓口受付があります。

必要書類

社会保険料免除に必要な書類は、基本的に「産前産後休業取得者申出書」のみです。

しかし、「産前産後休業取得者申出書」を提出後に従業員が出産予定日と異なる日に出産したり、予定よりも早く復職したり、当初申請していた産前産後休業期間に変更があった場合などは別途「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出する必要があります。 イレギュラーな事態が発生した際は必ず必要書類を確認しましょう。

産休中の社会保険料免除の注意点

最後に産休中の社会保険料の免除の申し出をする際に知っておきたい注意点を2つご紹介します。免除の申し出前に確認しておきましょう。

社会保険料免除の申出は出産直後がおすすめ

産休中の社会保険料免除に必要な「産前産後休業取得者申出書」には、出産予定年月日と産前産後休業開始年月日、終了予定年月日を記載する欄があります。

「産前産後休業取得者申出書」を出産前に提出して、実際の出産年月日と出産予定年月日が異なる場合、再度変更届を提出しなければならず二度手間になってしまいます。少しでも申請にかかる手間を減らしたい方は、出産後に書類を記載して提出をおすすめします。

2022年10月から社会保険料免除の取り扱いが変更となった

2022年10月までは、月末の時点で育児休業などを取得している場合に社会保険料が免除となっていました。

この制度は人によって月末をまたがない場合もあり、その月の社会保険料が免除にならず不平等な取り扱いになる可能性もありました。

また、賞与月に関しても月末時点で育児休業を取得すると社会保険料が免除となっていたので、月末の時点で休業しているかによって大きく免除額が変わっていました。

しかし2022年10月からは月末に育児休業を取得している条件に加え、以下の2つの要点が追加になりました。

社会保険料免除の追加要件

  • 同一月内に育児休業等の開始日と終了日があり、その月内に14日以上の育児休業等を取得していること
  • 賞与に係る社会保険料は、1ヶ月を超える育児休業等を取得していること

賞与の社会保険料は、賞与を支払った月の末日を含む連続した1ヶ月を「超える」育児休業が免除の対象で、ちょうど1ヶ月の育児休業は免除の対象にならないので注意が必要です。

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まとめ

産休中の社会保険料は、従業員からの申し出を受けて、会社が「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構の事務センターや年金事務所に提出し、受理されると免除されます。

「産前産後休業取得者申出書」の提出期限は従業員の産休取得中から産休終了後1ヶ月以内と短いので忘れずに提出するようにしてください。また2022年10月から免除に対する要件が一部変更となったため注意が必要です。あらかじめ制度の詳細を確認して提出しましょう。

よくある質問

産休中の社会保険料はいつから免除になる?

産休中の社会保険料は、産休、育休の「開始月」から終了日の翌日の属する月の前月(終了日が月末の場合は終了月)まで免除されます。

産休中の社会保険料がいつから免除になるかを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

産休中の社会保険料免除の注意点は?

2022年10月から社会保険料免除の取り扱いが変更となりました。主な変更点は以下が挙げられます。

社会保険料免除の取り扱いの変更点

  • 同一月内に育児休業等の開始日と終了日があり、14日以上の育児休業等を取得していること
  • 賞与にの社会保険料は、1ヶ月以上の育児休業等を取得していること
産休中の社会保険料免除について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場 康高氏