国民健康保険料の年間上限が、令和8年度(2026年度)にまた引き上げられます。医療分の限度額が66万円から67万円へ1万円上がり、これに令和8年度から新設される子ども・子育て支援納付金分が加わります。
多くの自治体では6月に保険料の決定通知が届き、6月から納付が始まります。
本記事では、限度額引き上げの内訳から、新設される支援納付金分、保険料を抑える選択肢、freee会計での記帳と社会保険料控除までを解説します。
目次
国民健康保険料の上限と賦課限度額の仕組み
賦課限度額とは、世帯ごとの年間保険料に設けられた上限額です。所得が高くても、保険料はこの限度額より上がりません。
国民健康保険料は、用途の異なる複数の区分を合算して計算されます。
国民健康保険料を構成する区分
- 基礎賦課額(医療分):加入者全員の医療給付に充てる部分
- 後期高齢者支援金等賦課額:後期高齢者医療制度を支える部分
- 介護納付金賦課額:40歳から64歳の加入者が負担する介護分
- 子ども・子育て支援納付金分:令和8年度から新設される部分
各区分にそれぞれ賦課限度額が定められており、その合計が世帯の年間保険料の上限です。区分ごとの上限を超えた分は保険料に反映されません。
なお保険料の決定通知書には、これらの区分ごとの金額と合計額が記載されます。
令和8年度の賦課限度額引き上げの内訳
令和8年度の限度額引き上げは、医療分の1万円増と、子ども・子育て支援納付金分の新設が柱です。根拠は令和8年1月15日に公布された政令で、令和8年4月1日から適用されます。
引き上げの根拠は「国民健康保険法施行令及び国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令の一部を改正する政令(令和8年政令第2号)」です。
医療分・支援金分・介護分の限度額
令和7年度と令和8年度の区分別限度額は、以下のとおりです。
| 区分 | 令和7年度 | 令和8年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 基礎賦課額(医療分) | 66万円 | 67万円 | +1万円 |
| 後期高齢者支援金等賦課額 | 26万円 | 26万円 | 増減なし |
| 介護納付金賦課額 | 17万円 | 17万円 | 増減なし |
| 小計 | 109万円 | 110万円 | +1万円 |
医療分の限度額が66万円から67万円へ1万円引き上げられ、後期高齢者支援金分と介護分は据え置きです。子ども・子育て支援納付金分を除いた小計は、令和7年度の109万円から110万円へ上がります。
これに令和8年度から新設される子ども・子育て支援納付金分が上乗せされます。
子ども・子育て支援納付金分の新設
令和8年度から、国民健康保険にも子ども・子育て支援納付金分が新たに加わります。国民健康保険における同分の賦課限度額は3万円です。
これを含めた令和8年度の限度額の合計は、110万円に3万円を加えた113万円です。
支援納付金分は子育て支援の財源に充てられるもので、国保では世帯単位で賦課されます。同じ支援金でも後期高齢者医療制度の限度額は2万1千円で、国民健康保険の3万円とは金額が異なる点に注意が必要です。
医療分の引き上げと支援納付金分の新設が重なるため、限度額に達する世帯では負担増が大きくなります。
限度額引き上げが続いている背景
国民健康保険料の限度額は、近年ほぼ毎年度引き上げられています。子ども・子育て支援納付金分を除いた合計でみると、令和6年度106万円・令和7年度109万円・令和8年度110万円と推移してきました。
背景には、高齢化による医療給付費の増加があります。保険料率の引き上げだけで必要な収入を確保すると中間所得層の負担が重くなるため、高所得層により多く負担を求める形で限度額が段階的に引き上げられています。
このため限度額に達するのは主に高所得の世帯で、中間所得層への配慮という側面があります。
保険料決定通知書の見方と自分の保険料の確認
限度額の引き上げが自分の保険料にどう影響するかは、6月に届く決定通知書で確認できます。限度額に達していない世帯では、引き上げが直接の負担増につながるとは限りません。
通知書では、区分ごとの金額と合計額をまず確認します。
各区分の保険料は、所得に応じた所得割と、加入者数に応じた均等割を合算して算出されます。所得割の料率や均等割の金額は自治体ごとに異なり、6月に各自治体が公表します。
そのため同じ所得でも、住む自治体によって保険料は変わります。自分の保険料の目安は、自治体の公式サイトや窓口で確認できます。
国民健康保険料の計算方法や控除の考え方は、国民健康保険料の控除はいくら?計算方法や確定申告の手順を解説でも整理されています。
国民健康保険料の負担を抑える選択肢
限度額の引き上げを機に、保険料の負担を抑える方法を検討する余地があります。所得が一定基準を下回る世帯には軽減制度があり、高所得層には社会保険加入や法人成りという選択肢を取れます。
軽減・減免制度の活用
世帯の所得が法令の定める基準を下回る場合、均等割額が軽減されます。軽減割合は所得に応じて7割・5割・2割の3段階です。
また災害や失業などで所得が大きく減った場合は、自治体独自の減免制度を利用できることがあります。適用の可否や手続きは自治体ごとに異なるため、窓口で確認する必要があります。
法人成り・社会保険加入の検討
所得が高く保険料が限度額に張り付いている個人事業主では、法人成りして社会保険に加入する選択肢があります。法人化すると、自身や家族の医療保険が国民健康保険から協会けんぽなどの被用者保険へ切り替わります。
ただし法人化には設立費用や社会保険料の会社負担などのコストも伴うため、保険料だけでなく税負担を含めた総合的な比較が必要です。
このほか青色申告特別控除の活用など所得を圧縮する方法もあり、保険料を抑える選択肢は個人事業主の国民健康保険料はおかしい? 高すぎると感じる理由や安くする方法を解説!で詳しく解説されています。
freee会計での記帳と社会保険料控除
国民健康保険料は事業の経費にはできませんが、確定申告では社会保険料控除の対象です。freee会計を使えば、支払いの記帳と控除への反映を進められます。
事業用口座から支払った場合の仕訳
個人事業主の国民健康保険料は、事業に関係のない支出として扱われます。事業用の口座から支払った場合は「事業主貸」で処理します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
プライベートの口座から支払った場合は、事業の帳簿に仕訳を入れる必要はありません。
勘定科目の考え方やケース別の仕訳は、国民健康保険料の勘定科目は?個人事業主の支払い時などケース別の仕訳例も解説で確認できます。
社会保険料控除への反映
確定申告では、1月1日から12月31日までに支払った国民健康保険料の全額が社会保険料控除の対象です。freee会計の確定申告書作成画面で、年間に支払った保険料の合計額を入力すると控除に反映されます。
控除の対象は実際に支払った金額のため、まとめて納付した分や過年度分も支払った年の控除に含めます。世帯主が同一世帯の家族の分を負担した場合、その分も世帯主の控除に含められます。
国民健康保険料は控除証明書の添付が不要です。ただし支払額がわかる通知書などは、申告時の確認用として手元で保管しておきます。
まとめ
令和8年度の国民健康保険料は、医療分の賦課限度額が66万円から67万円へ1万円引き上げられ、子ども・子育て支援納付金分が3万円で新設されます。支援納付金分を除いた小計は110万円、これを含めた合計は113万円です。
根拠は令和8年1月15日公布の改正政令(令和8年政令第2号)で、令和8年4月1日から適用され、多くの自治体では6月から納付が始まります。
限度額に達する高所得の世帯では負担増が大きくなる一方、所得が基準を下回る世帯には均等割の軽減制度があります。国民健康保険料は社会保険料控除の対象のため、freee会計では事業用口座からの支払いを「事業主貸」で記帳し、年間の支払額を確定申告の社会保険料控除に反映できます。
よくある質問
令和8年度の国民健康保険料の上限はいくらですか?
子ども・子育て支援納付金分を除いた小計は110万円で、内訳は医療分67万円・後期高齢者支援金分26万円・介護分17万円です。
令和8年度から新設される子ども・子育て支援納付金分3万円を含めると、合計は113万円です。
詳しくは「令和8年度の賦課限度額引き上げの内訳」で解説しています。
限度額が上がると自分の保険料も必ず上がりますか?
賦課限度額は、年間保険料に設けられた上限です。保険料がこの上限に達していない世帯では、限度額の引き上げが直ちに負担増につながるとは限りません。
限度額の引き上げで負担が増えるのは主に高所得の世帯で、自分の保険料は6月に届く決定通知書で確認できます。
詳しくは「保険料決定通知書の見方と自分の保険料の確認」で解説しています。
国民健康保険料は確定申告で控除できますか?
1月1日から12月31日までに支払った国民健康保険料の全額が、社会保険料控除の対象です。事業の経費にはできませんが、所得控除として申告できます。
freee会計では年間の支払額を入力すると確定申告の社会保険料控除に反映され、事業用口座から支払った分は「事業主貸」で記帳します。
詳しくは「freee会計での記帳と社会保険料控除」で解説しています。
