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キャッシュレスで税金を支払える?納付方法やメリット・デメリットを解説

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

キャッシュレスで税金を支払える?納付方法やメリット・デメリットを解説

キャッシュレスで税金を納付する方法が広がっています。2022年12月からはスマホアプリが導入され、さらなるキャッシュレス化が予測されます。

キャッシュレス納税なら、税務署や金融機関の窓口を訪れなくても納税手続きが可能です。

本記事では、キャッシュレスによる税金の具体的な納付方法、メリットやデメリットを解説します。

目次

キャッシュレスでも税金が支払えるようになった

キャッシュレスによる新たな納税手段として、2022年12月1日から国税のスマホアプリ納付が始まりました。

スマホアプリ納付は2022年5月に施行された、「キャッシュレス法」の一環で導入された政策です。

出典:デジタル庁「情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律」

すでに従来の現金と納付書を使わない、キャッシュレス納付法はいくつか導入されています。納税する側の利便性を高めるだけでなく、現金の取り扱いに関わるコストを軽減する役割も期待されています。

2020年に実施された調査では、税金の支払いを金融機関や税務署の窓口で行っている人の割合は全体の4分の3でした。キャッシュレス納付はまだ普及しているとは言えない状況です。

国は2025年までにキャッシュレス納付を促進しており、納税比率の4割達成を目指しています。

キャッシュレスで納税できる国税は多岐にわたります。自分の納める税金がすでにキャッシュレスに対応済みか、一度確認しておきましょう。

キャッシュレスで納税できる税目
● 申告所得税及び復興特別所得税
● 消費税及び地方消費税
● 法人税(連結納税を含む)
● 地方法人税(連結納税を含む)
● 復興特別法人税(連結納税を含む)
● 相続税
● 贈与税
● 源泉所得税および復興特別所得税(告知分)
● 源泉所得税(告知分)
● 申告所得税
● 消費税
● 酒税
● たばこ税、たばこ税およびたばこ特別税
● 石油税
● 石油石炭税
● 電源開発促進税
● 揮発油税および地方道路税
● 揮発油税及地方揮発油税
● 石油税
● 石油石炭税
] ● 電源開発促進税
● 揮発油税および地方道路税
● 揮発油税及地方揮発油税
● 石油ガス税
● 航空機燃料税
● 登録免許税(告知分)
● 自動車重量税(告知分)
● 印紙税
● 国際観光旅客税(告知分を含む)
出典:国税庁「国税クレジットカードお支払サイト」

固定資産税・不動産取得税・自動車税・軽自動車税など、都道府県や市区町村に対して支払う税金についてもキャッシュレス化が進んでいます。

たとえば東京都では、2023年4月からキャッシュレス納税に対応する税金が8種から14種に増加しました。しかし、自治体により対応が異なるので、詳しくはお住まいの自治体のウェブサイトなどでご確認ください。

キャッシュレスで税金を納付する方法

税金支払い時、以下のような払込取扱票が送付され、印字された内容をもとに、キャッシュレスで納税が可能です。

地方税統一QRコード(eL-QR)を活用した地方税の電子納付について」」
出典:総務省「地方税統一QRコード(eL-QR)を活用した地方税の電子納付について」

キャッシュレスで税金を納付する方法は以下4つです。

キャッシュレスで税金を納付する方法

● ダイレクト納付
● インターネットバンキング・モバイルバンキングからの納付
● クレジットカード納付
● スマホアプリ納付

ダイレクト納付

ダイレクト納付は、パソコンやスマートフォンを使い、e-Tax(国税電子申告・納税システム)経由で金融機関の口座から引き落として税金を納める方法です。

e-Taxに届いたメッセージから該当する通知を開き、納付ボタンをクリックすれば納税手続きが完了します。即日納付も指定日納付も可能です。

利用するには、e-Tax利用開始届出書とダイレクト納付利用届出書を、税務署か金融機関へ提出しなくてはなりません。どちらの届出書も、個人が利用する場合にはe-Taxで提出できますが、事前に準備が必要です。

ダイレクト納付で納付できる税目は以下の通りです。

ダイレクト納付で納税できる税目
● 源泉所得税
● 法人税
● 地方法人税
● 消費税及地方消費税
● 申告所得税
● 相続税
● 贈与税
● 酒税
● 揮発油税及地方揮発油税
● 印紙税
● 国際観光旅客税
● 石油ガス税
● 源泉所得税及復興特別所得税
● 申告所得税及復興特別所得税
● 復興特別法人税
● 加算税
● 延滞税
出典:国税庁 e-Tax「ダイレクト納付」についてよくある質問」

インターネットバンキング・モバイルバンキングからの納付

インターネットバンキング・モバイルバンキングからの納付はペイジーに対応する金融機関から納付する方法です。

「ペイジー」とは、スマホなどのデバイスにQRコードを表示し、それを読み取ることで決済を行うサービスです。

利用情報や納付情報の登録を完了すると、e-Taxのメッセージボックス内に受信通知が届きます。納付情報を確認後「インターネットバンキング」のバナーをクリックし、金融機関を選択します。画面に従い必要な情報を入力していくと納付完了です。

なお、事前にe-Taxの利用開始届出書を税務署へ提出する必要があります。

また、原則としてすべての税目で納税できるため便利な納付方法ですが、利用する金融機関ごとに納付できる上限額が異なります。あらかじめ金融機関で確認しておきましょう。

クレジットカード納付

国の委託を受けて民間業者(トヨタファイナンス株式会社)が運営する、「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカードで税金を納められます。

クレジットカード納付は専用サイトでのみ可能で、金融機関やコンビニ、税務署ではクレジットカードを使って納税できません。

原則すべての税目に対応可能です。ただし、源泉所得税及び復興特別所得税はe-Taxで徴収高計算書データを送信し、受信した通知から納税操作を行う必要があります。

スマホアプリ納付

2022年12月に始まった新しい方法が、スマホアプリ納付です。国が「国税スマートフォン決済専用サイト」を運営する民間業者に納付を委託して行われます。

スマートフォンと対応するペイ払いの登録があれば、納付書兼納入済通知書のバーコードを読み取るだけで納税できます。

2023年4月現在、対応するペイ払いは以下の6種類です。

スマホアプリ納付に対応するペイ払い

● PayPay
● d払い
● au PAY
● LINE Pay
● メルペイ
● Amazon Pay
専用サイトにアクセスして納付情報を入力し、決済手続きを行えば納税できます。事前に納める税目と税額がわかる書類を用意しておくといいでしょう。

スマホアプリ納付は原則すべての税目で利用可能ですが、納付上限額が30万円に設定されています。

振替納税

振替納税は、金融機関からの口座引き落としにより税金を納める方法です。ほかのキャッシュレス納付との大きな違いは、対応する税目が限られている点です。

振替納税で対応できる税目

● 申告所得税および復興特別所得税
● 消費税および地方消費税(個人)
税務署か金融機関、または-Taxから専用の口座振替依頼書を事前に提出しておけば、自動的に指定の口座から引き落とされます。

ただし、内容の変更や取りやめには手続きがいるので、転居の際には気をつけましょう。また、一部銀行では取り扱いのない場合もあります。

制約が多く感じられる振替納税ですが、確定申告で所得税や消費税を納める個人事業主には便利な仕組みです。

キャッシュレスで税金を支払うメリット

キャッシュレスで税金を支払うと、従来の現金と納付書を使う納税スタイルとは異なるメリットを実感できます。キャッシュレスで税金を支払うメリットは以下の通りです。

キャッシュレスで税金を支払うメリット

● 手元に現金を用意する必要がない
● 好きなタイミングで納付可能
● 支払金額に応じたポイント付与

手元に現金を用意しなくていい

税金には納付期限がありますが、キャッシュレスを選択すれば、慌てて現金を用意せずともスムーズに納税できます。

また、現金で納税しなくなると、大きな金額の現金を持ち運ぶ必要がなく、口座から現金を引き出す手間が省ける点がメリットです。

いつでも好きなタイミングで納付できる

パソコンやスマホ、インターネット環境があれば、キャッシュレスで税金を納められます。キャッシュレス納付は、現金と納付書を持って税務署や金融機関、コンビニに出向く必要がありません。

そのため、いつでも自分の好きなタイミングで納付できるのもメリットのひとつです。

支払い金額に応じたポイントがつく場合がある

キャッシュレスで納税すると、選択した方法によってはキャッシュバックやポイント還元を得られる可能性があります。

たとえばスマホアプリ納付のLINE Payでは、一定条件のもと0.5%のポイントが加算されます。au Payでは残高チャージと税金支払いの組合せで、最大2.5%のポイント上乗せが可能です。

クレジットカード納付でも、利用するカード会社ごとに定められたポイントが、納税額に応じてもらえる場合があります。

ほかにも、キャッシュレス納税を進めるために、民間企業各社が開催するキャンペーンにも注目です。現在はペイジーにて、インターネットバンキング・モバイルバンキング納付で1万円が500名にあたります(2023年7月2日まで)。

キャッシュレスで税金を支払うデメリット・注意点

キャッシュレスで税金を支払う際には、現金を使わずインターネットのシステムを活用して納税するデメリットは以下の通りです。

キャッシュレスで税金を支払うデメリット

● 領収書が発行されない
● 納付手続きの誤りをすぐ取り消せない
● 選んだ方法によって負担や制限がある

領収証書が発行されない

キャッシュレス納税は、いずれの方法を利用しても、原則として領収証書が発行されません。たとえば自動車税の納税証明が必要な車検を控えている場合は、領収証書を受け取れる従来の現金での納付を行いましょう。

もしキャッシュレス納付を利用してしまい領収証書が発行されなくても、あとから納税証明書を請求できます。しかし、手数料がかかるうえ、発行までに数週間かかる可能性もあります。

納付手続きに誤りがあった場合もすぐには取り消せない

インターネットバンキング・モバイルバンキング納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付は、税金の支払い手続きが完了すると、誤りがわかってもすぐには取消しできません。

取消しするには税務署で還付手続きを行わなければならず、税目などの入力ミスがあった場合にも、税務署への連絡が必要です。

e-Taxに届く通知から納税手続きを行うダイレクト納付については、一度指定した納付日よりも前であれば、e-Taxから何度でも納付日の修正ができます。

納税額を自動引き落としする振替納税に関しては、最後に提出した申告書の内容で振替が行われます。そのため申告期限内であれば何度でも修正が可能です。

選んだ方法によって負担や制限がある

選んだキャッシュレス納税の方法によっては、何らかの負担や制限が生じる可能性があります。

クレジットカード納付では、納付する税額に応じた決済手数料がかかります。国に納める税金のほか、委託を受けた民間業者にも手数料を支払わなければなりません。

スマホアプリ納付は、納付書1枚あたり30万円以下のときのみ利用できます。延滞金や加算金も含めた金額で判断され、1円でも超えるとスマホアプリ納付の対象外となり、納付書にバーコードが印字されません。

また、ダイレクト納付と振替納付は対応する税目に制限があるため、自分が利用できるキャッシュレス納税を選ぶよう注意しましょう。

納付方法負担や制限
クレジットカード納付● 納税額に応じた決済手数料
スマホアプリ納付● 納付書1枚あたり30万以下のときのみ利用可能
● 1円でも超えると対象外となりバーコードが印字されない
ダイレクト納付・振替納税● 対応する税目に制限がある

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まとめ

キャッシュレスで税金を支払う仕組みは今まさに充実しつつあります。これから先、より利用者の拡大が見込まれるでしょう。

24時間どこでも納税できるため利便性が高く、現金を扱う負担が減って社会にも好影響をもたらすと考えられます。

ただし、方法によっては事前準備や手数料が発生したり、税目が限定されていたりします。

また、電子納付後の修正が難しいのもデメリットです。自分にとってより快適な方法を選びましょう。

よくある質問

キャッシュレスで税金を支払える?

キャッシュレスでさまざまな税金を支払えます。国税を始め、自治体によっては幅広い税金に対応しています。

キャッシュレスで支払える国税の種類を詳しく知りたい方は「キャッシュレスでも税金が支払えるようになった」をご覧ください。

キャッシュレスで納付するにはどんな方法がある?

2023年4月現在、以下の5種類があります。

● ダイレクト納付
● インターネットバンキング・モバイルバンキング納付
● クレジットカード納付
● スマホアプリ納付
● 振替納付

キャッシュレス納税の種類を詳しく知りたい方は「キャッシュレスで税金を納付する方法」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮