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税務調査される個人事業主の特徴は?3つの対策と対象になったときに取るべき対応を解説

監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

税務調査される個人事業主の特徴は?3つの対策と対象になったときに取るべき対応を解説

税務調査とは、税金が正しく納められているかどうかを国が調査する制度です。確率は高くないものの、個人事業主にも税務調査が入る場合があります。

税務調査で申告漏れや無申告が判明すると、追徴課税の対象となり、場合によっては加算税などの附帯税も納めなくてはなりません。

本記事では、税務調査に不安を感じている個人事業主に向けて、税務調査の概要税務調査が入りやすい個人事業主の特徴を解説します。

また日頃からできる税務調査対策や、税務調査が入ったときの注意点も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

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税務調査とは

税務調査とは、税金が適正に納められているかどうかを国が調査する制度です。帳簿書類などから申告内容が正しいかどうかを確認します。誤りがあった場合や申告していなかったことが判明した場合に是正を求めるものです。

税務調査は、「任意調査」と「強制調査」に分けられます。

任意調査原則として納税者の同意を得て行う税務調査
強制調査(いわゆる“マルサ”による調査)脱税の疑いがある納税者に対し、裁判官による許可状を得て強制的に行う税務調査

悪質な脱税の疑いなどがない限り、「任意調査」が実施されます。任意調査が入る場合は事前に連絡があるので、突然自宅や事務所に乗り込んでくるわけではありません。

ただし、任意調査という名前ですが、税務署の職員には質問検査権という権利があるため、実質的には調査を断ることはできません。

個人事業主に税務調査は入らない?

税務調査は、個人事業主に対しても実施されます。国税庁の「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、令和3年度には個人に課される所得税について、3.1万件の税務調査が実施されました。

新型コロナウイルス感染症の影響で例年と比べると低水準ですが、回復傾向にあります。

実地調査の種類調査件数
特別調査・一般調査(※1)2.4万件
着眼調査(※2)0.7万件
合計3.1万件
出典:国税庁「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」

また、国税庁によると、令和3年分の申告納税者数は656.9万人でした。調査件数と申告納税者数をもとに計算すると、個人に税務調査が入る確率は0.5%程度と予想できます。
3.1万件(調査実施件数)÷656.9万人(申告納税者数)×100=0.4719…
なお、実地調査による申告漏れ所得金額は4,198 億円、追徴税額(加算税を含む)は804億円でした。また、1件あたりの申告漏れ所得金額がもっとも高額だった業種は「経営コンサルタント」です。

以下に、1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な上位 10 業種を記載します(事業所得を有する個人)。

順位業種1件あたりの申告漏れ所得金額1件あたりの追徴税額
1位経営コンサルタント2,266万円611万円
2位システムエンジニア2,150万円519万円
3位ブリーダー2,136万円518万円
4位商工業デザイナー1,752万円410万円
5位不動産代理仲介1,656万円453万円
6位外構工事1,517万円254万円
7位型枠工事1,507万円239万円
8位機械部品受託加工1,507万円319万円
9位一般貨物自動車運送1,493万円195万円
10位司法書士、行政書士1,440万円358万円
出典:国税庁「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」

(※1)特別調査・一般調査は、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に実施される調査です。
(※2)着眼調査は、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実施される調査です。

税務調査の流れ

税務調査は、以下の流れで実施されます。

税務調査の流れ

1. 事前通知
2. 調査官による身分証明書の提示等
3. 質問事項への回答と帳簿書類の提示または提出
4. 調査官による帳簿書類の預かりと返還
5. 取引先等への調査
6. 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨
事前通知とは、調査日時や場所、調査対象期間などを納税者に通知することです。業務上やむを得ない事情が生じたなどの合理的な理由がある場合、通知後も調査日時の変更を相談できます。

税務調査当日は、世間話から始まります。調査の一環と捉え、慎重に回答しましょう。事業に関する説明を求められたのちに、帳簿書類と申告内容が一致しているかの調査が行われ、以下のような書類も確認されます。

税務調査で確認される書類の例

● 預金通帳
● クレジットカードの利用明細書
● 請求書・領収書
● 棚卸表
必要に応じて、帳簿書類の留置き(預かり)を求められます。留置きの必要が生じるのは、主に納税者の事務所に十分なスペースがない場合や検査に時間がかかる場合などです。ただし、強制的には行われません。

税務調査の結果、申告内容に誤りがあった場合や無申告が判明した場合は、修正申告や期限後申告で正しい内容を申告します。内容によっては、納めるべき本税に加えて、附帯税(延滞税や加算税)の納付が必要です。

税務調査に入られやすい個人事業主の特徴

国税庁の調査からわかる通り、個人にも税務調査が実施されています。税務調査のきっかけとなりやすいのは、主に所得の不一致や大規模な現金取引、多額の経費申告などです。

税務調査に入られやすい個人事業主の特徴

● 税務署の把握している売上と申告書の売上に相違がある
● 1,000万円近くの売上がある
● 多額の経費を申告している
● 大規模な現金取引をしている
● 新分野のビジネスを行っている

税務署の把握している売上と申告書の売上に相違がある

売上に不審な点があると、税務調査が入る可能性が高まります。

税務署は、特定の業種については個人事業主の売上も把握できます。なぜなら、取引先が毎年税務署に1年間の支払内容や金額をまとめた「支払調書」を提出するからです。

申告内容と実際の売上に相違があると疑われた場合、税務調査が入る確率が高くなるため、正確に申告しましょう。

1,000万円近くの売上がある

800~900万円程度の売上があると、税務調査が入る可能性が高まります。

課税売上高が1,000万円を超える事業者は、その2年後から課税事業者として消費税を納めなくてはなりません。

そのため、1,000万円近くの売上がある個人事業主に消費税回避の疑いが生まれやすく、税務調査の対象となりやすいです。

税務調査が入り、意図的に隠ぺいしたと判断されれば、重加算税(35~40%)の対象となります。

多額の経費を申告している

事業と関係ないと考えられる経費を多く申告しているなど、経費に不審な点があると税務調査が入る可能性があります。

たとえば交際費が多額の場合、私的な支払いを経費に計上しているのではとの疑いを持たれかねません。

特に、個人事業主はプライベートの支出と事業用の経費の線引きが曖昧になりやすいため注意が必要です。

大規模な現金取引をしている

規模の大きい現金取引がある場合、税務調査が入る可能性が高まります。

預金通帳に明細が残らない現金取引は、意図的に売上を隠す「所得隠し」の疑いを持たれやすくなるためです。

現金取引が多い個人事業主には、正確な現金管理や記帳の徹底が求められます。

新分野のビジネスを行っている

国税庁は、市場規模が拡大している新分野に関わる取引を行っている個人に対して、積極的に税務調査を行っています。

令和3年度のデータでは、インターネット取引を行う個人に対する税務調査を積極的に行うと公表されました。具体的には、以下のような経済活動が該当します。

インターネット取引の例

● 民泊
● カーシェアリング
● クラウドソーシング
● 配達代行業
● アプリ作成・配信
● 有料メルマガ
● ネット通販
● ネットオークション
● ドロップシッピング
● アフィリエイト
実際に、新分野の経済活動にかかる取引を行う個人に対して839件、暗号資産等の取引を行っている個人に対して444件の税務調査が実施されています(令和3事務年度)。

今後はChatGPTなどのAIを利用したビジネスが、積極的な調査対象とされる可能性も高いでしょう。

個人事業主が行うべき3つの税務調査対策

不必要な税務調査が入るのを防ぐ、または税務調査が入ったときに問題にならないために、個人事業主ができる対策は、以下の3つです。

個人事業主が行うべき3つの税務調査対策

1. 日々の取引を正確に記帳する
2. 経費を正しく申告する
3. 税理士に相談する

1. 日々の取引を正確に記帳する

税務調査の予防に何よりも大切なのは、日々の取引状況を正しく記帳し、適切に申告することです。申告しない・意図的に売上を少なくする・領収書を捏造する行為は絶対にしてはいけません。

故意でなくとも、申告内容に怪しい点があれば税務調査が入りやすいため、注意が必要です。発生主義・現金主義などの会計の考え方、帳簿のつけ方を正しく理解し、正確に記帳しましょう。

【個人事業主向け】帳簿の種類とつけ方は? 単式・複式簿記や現金・発生主義について徹底解説!」の記事が参考になります。

確定申告前にまとめて行うとミスが起きやすくなるので、こまめに進めるのがポイントです。税務署では、簡単に記帳できる会計ソフトの利用を推奨しています。

2. 経費を正しく申告する

私的な支出を経費として申告しないよう、経費に計上できるもの・できないものを正しく把握しましょう。たとえば、以下のような費用は経費に計上できません。

経費に計上できない費用の例

● プライベートの費用(例:個人的な飲食代、私服や美容院代)
● 個人事業主の福利厚生費(例:健康診断費、人間ドック費用)
また、自宅を仕事場にしている個人事業主の場合、家賃や光熱費、通信費などは家事按分して経費に計上します。

家事按分とは、事業使用分とプライベートでの使用分の割合を分ける作業です。具体的な計算方法は決まっていませんが、合理的に説明できるよう明確に決めておかなければなりません。たとえば、家賃の場合は面積や事業に使用している時間で按分するのが一般的です。

経費についての理解が怪しい人は、「【最新】個人事業主が経費にできるものとは?経費にできる・できないものの判断基準や具体例を解説」を参考にしてください。

3. 税理士に相談する

税理士の助言を受けることも検討しましょう。申告漏れのリスクを防止できるほかにも、以下のようなメリットがあります。

税理士に相談するメリット

● 税金に関する不明な点を質問して解消できる
● 経理事務の負担を軽減できる
● 節税につながる
また、税理士に相談すれば、税務調査が入ったときにも立ち会ってもらえます。

税理士の理解や相談の検討には「税理士とは?仕事内容や相談する際の注意点、費用などをわかりやすく解説」の記事を役立てて下さい。

実際に税務調査された際の対応と注意すべき点

税務調査(任意調査)が入るときは、原則として事前に調査の日時や場所・対象税目・対象期間が通知されます。基本的に、前触れなく調査官がやってくるわけではありません。

ここでは、実際に税務調査が入るとき、個人事業主が考慮すべき重要なポイントを解説します。

税務調査が入ったときの対応と注意点

● 税務調査に必要な書類を用意しておく
● 協力的な態度で接する
● 正確な情報を提供する

税務調査に必要な書類を用意しておく

税務調査が入ることになったら、調査官の指示に従い、調査に必要な書類を準備しておきましょう。必要となるのは、主に次のような書類です。

調査に必要な書類の例

● 3期分(通常)の総勘定元帳
● 現金出納帳
● 請求書
● 領収書
● 預金通帳
なお、帳簿書類や領収書、貯金通帳などは原則として7年間保存しなければなりません。調査の際に必要な書類をすぐに提示できるよう整理しておきましょう。

協力的な態度で接する

税務調査には協力的な態度で挑み、調査官からの質問や書類提出の要求には誠実に対応しましょう。

税務調査の調査官には、質問や帳簿書類などの検査や、提示・提出を求める「質問検査権」が与えられています。

税務調査を受ける納税者は、必要な検査を受け、質問に答えなくてはなりません。

虚偽の回答をした場合や検査を拒否した場合、正当な理由がなく書類の提示または提出の要求に応じない場合は、罰則が課されます。

正確な情報を提供する

調査官からの質問には、事実のみを答えましょう。虚偽の回答をすると罰則が課されます。

記憶が曖昧な場合や、その場で正確な回答ができないときは、正直に分からない旨を伝えて確認するようにしてください。

また、調査の際は余計な話をせず、聞かれたことにのみ回答しましょう。聞かれていない項目まで回答すると、その内容から疑いを持たれてしまうケースもあります。

まとめ

税務調査は、正しく納税されているかどうかを確かめる調査です。個人事業主も対象になる場合があります。令和3事業年度には、個人に対して3.1万件の税務調査が実施されました。

不必要な税務調査が入るのを防ぐ、または入ったときに問題にならないためには、日頃の取引を正確に記帳し、領収書や帳簿を適切に保管することが重要です。

また、税務調査が入ったときは調査官の質問に正確に回答し、書類の提示・提出の求めには誠実に対応する必要があります。税務調査に不安がある人は、税理士への相談も検討しましょう。

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よくある質問

税務調査は個人事業主には来ない?

個人事業主も税務調査の対象となります。令和3年度には、個人に対して3.1万件の税務調査が実施されました。

個人に税務調査が入る確率を詳しく知りたい方は「個人事業主に税務調査は入らない?」をご覧ください。

税務調査時に個人事業主が注意するべき点は?

税務調査が入ったとき、考慮すべきポイントは以下の通りです。

税務調査時に個人事業主が注意すべき点

● 税務調査に必要な書類を用意しておく
● 協力的な態度で接する
● 正確な情報を提供する
税務調査が入ったときの対応と注意点を詳しく知りたい方は「実際に税務調査された際の対応と注意すべき点」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮