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PPP(官民連携)とは?PFIとの違いや推進される背景・事例をわかりやすく解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

PPP(官民連携)とは? PFIとの違いや推進される背景・事例をわかりやすく解説

PPP(官民連携)とは、行政が行うサービスを行政と民間が連携して実施する仕組みです。本記事では、PPPの概要事例メリットを解説します。

行政サービスを効率的で持続可能的に提供するには、民間事業者のもつ資金や技術、マネジメントの活用は有用です。

PPPは行政側だけでなく、民間事業者や地域の住民にもメリットをもたらします。

目次

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PPP(官民連携)とは?

PPP(官民連携)とは、行政と民間が連携して公共施設の建設や維持管理、運営などを行う枠組みです。

PPPは「Public Private Partnership」の略称で、行政(Public)と民間(Private)が連携(Partnership)して事業を進める方式を意味しています。

PPPは、行政が主に提供してきた公共のインフラやサービスに、民間企業がもつノウハウや技術、創意工夫を加える仕組みです。

結果として限られた財政資金を有効的に活用でき、行政の効率化が図れます。

PPPで公共サービスが整備されれば、良質な公共サービスの提供や地方財政の健全化など、さまざまなメリットが期待できます。

2023年には、PPP充実のため内閣府より「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)」が策定されました。

PPPは、地域の課題解決と経済成長を同時に実現し、国の成長に寄与する枠組みとして、新しい資本主義の中核に位置付けられます。

PFIとは

PFI(Private Finance Initiative)は、PFI法に基づき、公共施設の建設や維持管理、運営などに民間の資金や経営能力などを活用する手法です。

官民連携としてPPPとPFIはほぼ同じ意味で用いられる場合もあります。

しかし、PPPにはPFI以外の手法も含まれるため、厳密には異なります。PFIを含めたPPPの主な手法は以下の通りです。

PPPの手法

● PFI
● 包括的民間委託
● 指定管理者制度
● DBO方式
● 公的空間利活用
● 官民連携開発事業
たとえば、行政が指定する団体に公共サービスの管理運営を委託する「指定管理者制度」は行政が資金調達します。建設や管理運営を民間に委託する「DBO方式」もPPPに含まれます。

官民連携の大きな枠組みとしてPPPがあり、手法としてPFIや指定管理者制度などの方式があると覚えておくとよいでしょう。

PPP(官民連携)が推進される背景

PPPの背景には、地方公共団体がさまざまな行政課題に直面する一方で、人材や資産などが限られている現状が挙げられます。

近年、地方公共団体では人口減少や財政的な制約により、公共のインフラやサービスに配分できる予算は減少しています。

また、厳しい財政が続くなか人件費削減も進んでおり、行政サービスに対応する職員の数も減少している状況です。

一方、対応が必要なインフラは増加しています。建設後50年以上が経過する道路や橋は2028年で全体の約63%、河川管理施設で約62%、港湾岸壁で約58%に達する見込みです。

従来の行政主体の手法では、公共のインフラやサービスの維持は難しくなると予想されます。そのため、PPPにより民間事業者と協働し、地域の行政課題を効率的に解決する方法が模索されています。

PPP(官民連携)の重点分野と事例

PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)では、住民の生活と密接したサービスを優先的に充実させる目的から、以下を重点分野に定めています。

PPPの重点分野

● 空港
● 水道
● 下水道
● 道路
● スポーツ施設
● 文化・社会教育施設
● 大学施設
● 公園
● MICE施設
● 公営住宅
● クルーズ船向け旅客ターミナル施設
● 公営水力発電
● 工業用水道
各分野で「5年件数目標」や「事業件数10年ターゲット」を設定し、PPPの加速化を図る狙いです。

なお、PPPはこれまでにもすでに実施されています。以下では、3つの事例をピックアップして紹介します。

道路施設や公園施設などの維持管理を委託した事例

新潟県三条市(人口9.3万人)では、市道や橋梁などの一部の維持管理を地元の民間事業者へ委託する際にPPPを活用しています。

三条市がPPPに踏み切った理由は、人口減少とともに市職員が減少し、十分な対応ができない状況があったからです。

三条市は特定エリアのインフラを包括的に民間業者へ委託し、市の行政コストを抑えつつインフラの整備を進めました。

結果、市民サービスが向上し、従業員が減少していた市内の建設業者の受注が増加しました。また、今後のインフラ整備の担い手育成にもつながっています。

官民連携してバスセンターを再建した事例

岩手県盛岡市(人口28.9万人)では、旧盛岡バスセンターの整備事業にPPPの枠組みを活用しています。

旧盛岡バスセンターは住民の交通手段や市街地の回遊性向上に貢献していたバスターミナルでした。しかし、建物の老朽化などの理由により、2016年3月に閉鎖の方針が示されました。

バスセンターが閉鎖してしまうと、周囲の住民や商店街の大切な交通手段がなくなってしまいます。

バスセンターのターミナル機能を存続するため、盛岡市では民間業者と連携してバスセンターの再建に取り組みました。

旧盛岡バスセンターの跡地を市が取得し、バスターミナルなどの公共・民間施設について、事業実施協定を結び一体的に整備しています。

PPPによる連携した整備事業により、バスセンターは地域住民の日常的な場所となり、利用者数の増加や再開発に貢献しています。

水道の維持管理運営で連携した事例

広島県(人口279万人)では、県内の水道事業の管理運営を維持するため、県と民間事業者が共同で官民出資会社を設立しています。

広島県では、水需要の減少による収益や職員数の減少、水道事業の経験のある職員の退職などの問題を抱えていました。

問題を解消するため、広島県はパートナー企業である水ing株式会社と共同して「株式会社水みらい広島」を設立しました。県営の2つの用水供給事業と工業用水道事業を委託しています。

PPPで民間事業者と連携したことにより、業務の内製化や状態保全への切り替えができ、コストの削減を実現しています。

また、水みらい広島では新卒の若い職員が増え、ベテラン職員から若い職員への技術継承が進んでいる状況です。

PPP(官民連携)のメリット

PPPには、公共サービスの持続可能性に貢献するさまざまなメリットが挙げられます。主なメリットは以下の通りです。

PPPのメリット

● 行政のコストを抑えられる
● 民間事業者のビジネス機会が増える
● 市民サービスの維持・向上につながる
各メリットの詳細を解説します。

行政のコストを抑えられる

PPPは行政側のさまざまなコストを抑えられる点がメリットです。

従来の方式では、基本的に単年度の契約期間で、工事ごとに仕様を発注しなければなりません。

資金調達も自治体の一般財源や起債に頼っており、行政側の負担やリスクが大きい状況です。

PPPの枠組みを活用すると長期にわたる契約が可能です。

発注も包括的に行えるので、年度ごと、工事ごとに発注書や仕様書を作成し、事務処理を行う必要もありません。

したがって、行政側の事務処理にかかるコスト負担を大幅に削減できます。

また、資金調達のイニシアティブをとるところも、民間事業者です。税金や公債の負担を減らせ、行政の財政面のコスト改善に役立ちます。

民間事業者のビジネス機会が増える

PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)では、2022年度からの10年間で30兆円の事業規模を目標としています。

30兆円の需要が市場に投下されれば、民間事業者のビジネス機会の増加が見込めます。

長期にわたる契約も可能なため、民間事業者の安定的な収益の確保につながり、新たな設備投資や雇用も期待できるでしょう。

また、地元の民間事業者と連携すると、雇用や新たな産業につながり、地方創生に役立ちます。

三条市の事例のように地方のインフラ整備の担い手を育成でき、持続的な公共インフラ・サービスの維持に貢献します。

市民サービスの維持・向上につながる

PPPの活用が進むと、空港・水道・道路・スポーツ施設などさまざまな公共サービスの整備が進みます。

市民が利用する公共インフラ・サービスの維持、利便性の向上につながる点は大きなメリットです。

そのほか、地元の民間事業者の受注が増えれば、その地域に住む人の雇用増加が期待できます。

盛岡バスセンターの事例のようにPPPで整備された施設ににぎわいが戻り、地域活性化がなされる点も魅力です。

PPP(官民連携)のデメリット

PPPは多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットも挙げられます。主なデメリットは以下の通りです。

PPPのデメリット

● 事業開始まで時間がかかる傾向にある
● 行政と民間事業者の役割分担が難しい場合がある
各デメリットの内容を紹介します。

事業開始まで時間がかかる傾向にある

PPPのデメリットのひとつは、事業開始まで時間がかかる傾向にある点です。

行政の事業は税金で賄われます。

税金を適切に使用するため、行政内の各部署での検討や住民・議会との合意形成など、慎重に手続きを踏まなければなりません。

そのほか、PPPの活用が初めての場合、PPPのノウハウや対応する人材の不足も懸念されます。

今後、PPPが円滑に進めるためには、活用手法が自治体や民間事業者、住民の間で共有されることが大切でしょう。ノウハウや体制づくりが汎用化されることが望まれます。

行政と民間事業者の役割分担が難しい場合がある

行政のサービスは、民間事業と違って公共性が高い事業です。どこまでを行政が担い、どの部分を民間が行うのかの線引きは難しい部分があるでしょう。

たとえば、官民出資会社を設立した広島県では、民間ノウハウを最大化するために民間が過半数となる出資比率としました。

ただし、公共性の観点から、県単独で特別決議事項を拒否できる割合にし、指定管理者制度の導入や県職員の派遣なども併用しています。

引き続き行政が主体となってやるべき部分も多くあるため、PPPでは官民の役割分担を考え、進めていく必要があります。

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まとめ

人口減少やそれに伴う行政の職員数の減少、税収の減少などにより、行政サービスの維持が難しい局面を迎えています。

PPPは行政が民間と連携してインフラの整備や運営行うことで、上記の課題を乗り越えようとする取り組みです。

PPPは地域に起こるさまざまな課題に対応でき、「民間事業者のビジネス機会が増える」「市民サービスの向上が見込める」などのメリットが挙げられます。

一方、課題も残されているため、各地域の実情に合わせた事業の推進が大切です。

よくある質問

PPP(官民連携)とは?

PPP(官民連携)とは、行政と民間事業者が協力して公共サービスを提供する枠組みです。

PPP(官民連携)を詳しく知りたい方は「PPP(官民連携)とは?」をご覧ください。

PPP(官民連携)のメリットは?

PPP(官民連携)には行政のコストを抑えられるメリットがあるほか、民間事業者のビジネス機会創出などのメリットが挙げられます。

メリットを詳しく知りたい方は「PPP(官民連携)のメリット」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史