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デジタル庁の「認証スーパーアプリ」とは? マイナンバーカードの利用場面拡大へ

公開日:2023/08/29

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

デジタル庁の「認証スーパーアプリ」とは?マイナンバ�ーカードの利用場面拡大へ

認証スーパーアプリとは、マイナンバーカードを使った個人認証ツールです。本記事は、認証スーパーアプリの概要や公的個人認証サービスを解説します。

デジタル庁「業種別マイナンバーカード取得状況等調査」によると、マイナンバーカードの機能として、「マイナポイントがもらえる(81.3%)」、「健康保険証として使える(75.3%)」ことは多くの人に認知されています。

しかし、「e-Taxから確定申告がオンラインでできる(35.1%)」ことや「行政手続きがオンラインでできる(31.6%)」ことは、広く知られているとはいえません。

出典:デジタル庁「業種別マイナンバーカード取得状況等調査」

マイナンバーカードの交付が進んでいる一方、利用場面の広がりが十分ではない点は今後の課題です。デジタル庁が開発を進める認証スーパーアプリによって、公的個人認証サービスの利用場面が増えれば、官民ともにスムーズな手続きの実現が可能となるでしょう。

目次

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認証スーパーアプリ(新認証アプリ)とは?

認証スーパーアプリ(新認証アプリ)とは、デジタル庁が開発を進めているマイナンバーカードを使った個人認証ツールのことです。

政府は、2024年3月末までに認証基盤を開発し、2024年には認証アプリをリリースする予定です。

従来、マイナンバーカードによる本人確認手続きやログイン認証は、行政や民間サービスごとに異なっていました。認証スーパーアプリが完成すれば、国・地方自治体・民間サービスなど広範囲で利用可能になります。

2023年7月23日時点、マイナンバーカードの申請受付数は人口に対して約77.5%です。普及率は上昇しているものの、「利用シーンを増やす」という課題が残っています。

出典:総務省「マイナンバーカード交付状況について」

政府は、認証スーパーアプリによってマイナンバーカードの利便性を向上させ、日常生活におけるカードの利用場面の増加を狙っています。

マイナンバーカードがもつメリット・デメリットについて、関連記事で詳しく解説しています。

※関連記事
マイナンバーカードは作るべき?メリットとデメリットについて解説

マイナンバーカードの公的個人認証サービスとは?

ここで、マイナンバーカードの公的個人認証サービスに関して説明します。

公的個人認証サービスの基本知識

公的個人認証サービスとは、第三者によるなりすましや改ざんを防ぎ、オンライン上の本人確認手続き・電子申請などを可能にするサービスです。電子証明書をマイナンバーカードなどのICチップに記録することで利用できます。

行政機関だけでなく、民間の各種サービスでも導入可能です。2023年3月時点で174社の民間事業者が導入しており、銀行・証券口座の開設やローン契約などの場面で利用されています。

出典:デジタル庁「民間事業者におけるマイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス(JPKI)導入・利用のご紹介」

ただ認証スーパーアプリがまだないため、公的個人認証による利用手続きには、パソコン・利用者クライアントソフト・ICカードリーダライタ(ICカード読み取り機)が必要です。

電子証明書の仕組み

電子証明書には、下記の2種類があります。

電子証明書の種類

● 署名用電子証明書
● 利用者証明用電子証明書
署名用電子証明書は、インターネットで電子文書を送信する際などに、文書が改ざんされていないか確認できます。署名用電子証明書には、「基本4情報」と言われる以下の情報が記録されています。

署名用電子証明書に記録されている基本4情報

● 住所
● 氏名
● 性別
● 生年月日
e-Taxの確定申告や、文書を伴う電子申請などで利用されているのは、この署名用電子証明書です。

一方、利用者証明用電子証明書は、インターネットを閲覧する際などに、利用者本人であることのみを証明可能です。マイナポータルのログイン時などに利用されています。

上記のように、マイナンバーカードのICチップに記録されている電子証明書を利用して、公的個人認証サービスが運用されています。

マイナンバーカードの公的個人認証が利用されているサービス

マイナンバーカードの公的個人認証が利用されているサービスは、主に以下の4つです。

公的個人認証が利用されている主なサービス

● マイナポータル
● e-Tax
● コンビニ交付
● 民間サービス
それぞれ詳しく解説します。

マイナポータル

マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスです。

マイナポータルにログインする際、利用者証明用電子証明書によって本人確認を行います。マイナポータルで利用できる主なサービスは、下記の通りです。

マイナポータルで利用可能なサービス

● 健康保険証利用の申し込み
● 子育てや介護など、行政手続きの検索・申請(ぴったりサービス)
● 社会保障や税金などの個人情報の確認(あなたの情報)
● 行政の審査・手続きなどで利用された個人情報の履歴の確認(やりとり履歴)
マイナンバーカードの公的個人認証によってログインすることで、すべての機能を利用できます。

マイナポータルとは?利用方法やメリットやデメリットをわかりやすく解説」も併せてぜひご覧ください。

e-Tax

e-Taxとは、スマートフォンやパソコンから、オンラインで確定申告や納税の手続きが可能なサービスです。確定申告会場へ出向いたり、書類を郵送したりする必要がないため、納税義務者の負担が軽くなります。

e-Taxのログイン時には利用者証明用電子証明書を、申告や申請時に電子署名を行う際には署名用電子証明書を利用します。

会社員など給与所得者であれば、基本的に確定申告の必要はありません。しかし、医療費控除や寄附金控除を受ける場合、確定申告が必要です(※)。時間がなくてもe-Taxを利用すれば、窓口へ行かずにオンラインでスピーディーに手続きできます。

※寄附金控除について、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する場合は、確定申告を行う必要はありません。

e-Taxを使った確定申告については、「e-Tax(電子申告)で確定申告をするには?やり方や必要書類、提出方法について解説」で詳しく解説しています。

コンビニ交付

コンビニエンスストアなどに設置されたキオスク端末を操作する際、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書を使って各種証明書を発行できます。

取得可能な主な証明書類は、下記の通りです。

利用者証明用電子証明書で発行できる各種証明書

● 各種税証明書
● 住民票の写し
● 印鑑登録証明書
● 戸籍証明書(全部事項証明書、個人事項証明書)
● 新型コロナウイルス感染症予防接種証明書
全国のコンビニエンスストアに設置している端末から発行できるため、いつでも簡単に取得可能です。利用できる時間は6:30から23:00で、市区町村窓口が開いていない時間でも受け取れます(※)。

※書類の種類や市区町村によっては、利用時間が制限されている場合があります。

民間サービス

銀行や証券会社で新規口座開設する際、マイナンバーカードの署名用電子証明書により、本人確認を行います。本人確認時に口座開設・取引開始が可能なので、スムーズに利用できる点がメリットです。

また、マイナンバーカードの公的個人認証サービスによって、住宅ローンの契約手続きや不動産売買契約、不動産の登記手続きなどもオンラインで済ませられます。

従来の方法では、契約書(紙面)への記入・押印、収入印紙の貼付など、店舗へ来店する必要がありました。各手続きがペーパーレス化すると、契約者は来店の手間がなくなり、企業側にとっても契約書(紙面)を管理するコストを削減できます。

なお携帯電話購入時の本人確認にも、マイナンバーカードの利用が可能です。申込書の自動生成ができるため、顧客の記載ミスなどヒューマンエラーを防ぐ効果があります。

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まとめ

認証スーパーアプリ(新認証アプリ)とは、デジタル庁が開発を進めるマイナンバーカードを使った個人認証ツールのことです。

マイナンバーカードによる本人確認手続きやログイン認証は、行政や民間サービスごとに異なっています。認証スーパーアプリが完成すれば、国・自治体・民間サービスで横断的に利用可能になります。

認証スーパーアプリの利用でさまざまな手続きがスムーズになり、マイナンバーカードの利用場面はさらに増えるでしょう。

よくある質問

認証スーパーアプリとは?

認証スーパーアプリ(新認証アプリ)は、2024年にリリースが予定されているマイナンバーカードを使った個人認証ツールです。

認証スーパーアプリについて詳しく知りたい方は、「認証スーパーアプリ(新認証アプリ)とは?」をご覧ください。

マイナンバーカードの公的個人認証とは?

公的個人認証サービスとは、電子証明書をマイナンバーカードなどのICチップに記録することで、第三者による「なりすまし」や「改ざん」を防ぎ、オンライン上の本人確認手続き・電子申請などを可能にするサービスです。

公的個人認証サービスについて詳しく知りたい方は、「マイナンバーカードの公的個人認証サービスとは?」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮