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サマータイム制度とは?導入の目的・メリット・デメリットをわかりやすく解説

サマータイム制度とは?導入の目的・メリット・デメリットをわかりやすく解説

サマータイム制度とは、夏季など日照時間の長い期間に、標準時刻を1時間程度進めることで、生活や活動の時間帯を前倒しし、明るい時間帯を有効活用する制度です。

欧米を中心に導入されており、省エネルギーや経済活動の活性化、生活の質の向上などを目的として活用されています。

一方で、日本では国としての導入はされていないものの、企業単位で始業・終業時間を前倒しするなど、サマータイムに近い働き方を取り入れることも可能です。

本記事では、サマータイム制度の基本的な仕組みや導入の目的、メリット・デメリットを整理したうえで、企業が導入する場合の影響や注意点について解説します。

目次

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サマータイムとは

サマータイムとは、4月~10月など日照時間が長い時期に、標準時刻を1時間進める制度です。正式には「デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time)」と呼ばれ、欧米諸国を中心に広く導入されており、日本では、「夏時間制度」とも呼ばれています。

日の出が早く日没が遅くなる夏季に、標準時刻を1時間程度進めることで、夕方の明るい時間帯を長く確保できるのが特徴。余暇や活動時間を有効活用できます。結果として、照明使用の削減による省エネルギー効果や、余暇時間の増加による消費活動の促進などが期待されています。

通常は春先に時計を1時間進め、秋にもとに戻す運用が一般的です。毎年あらかじめ定められた時期に、切り替えが行われます。

日本の企業でも、下記のような動機を背景に、サマータイムを導入しているケースも一部あります。

  • 熱中症・暑熱対策(とくに屋外・現場での作業)
  • 夕方の時間確保による育児・介護との両立
  • 「朝活」推進による生産性向上
  • 就業後の余暇時間の増加によるライフワークバランスの改善

ただし、取引先や官公庁とのやりとりが通常時間帯に集中するため、営業・事務系では導入しにくいのが現実です。国全体でサマータイムを導入していないため、個社対応には限界があります。

日本のサマータイム導入の現状

日本では現在、サマータイムは導入されておらず、今後の導入についても具体的な予定はありません。

過去には、1948年から1951年にかけて、連合国軍総司令部(GHQ)の指導によりサマータイムが実施されました。当時はエネルギー効率の向上や生活改善が目的とされていましたが、実際には労働時間の実質的な延長や生活リズムの乱れに対する不満が多く、廃止に至りました。

その後も、日本ではたびたびサマータイム導入の議論が行われています。環境省・経済産業省・日本経済団体連合会などは導入に積極的な姿勢をみせており、2004年にはサマータイム制度推進議員連盟が設立されました。その背景には、地球温暖化防止への取り組みなどがあります。

北海道では、2004年から2006年に、道内の企業や行政機関が参加したサマータイムが実施されました。滋賀県庁でも、2003年に試験的に導入されています。

この実証実験では、夕方の明るい時間が増えることで「行動の選択肢が広がる」「家族との時間が増える」といった効果が確認されました。一方で、取引先との時間のズレや勤務体系の違いによる労働時間の増減など、運用面での課題も明らかになっています。

とくに2018年頃には、猛暑対策や東京オリンピックに向けた施策として導入が検討されましたが、以下のような課題が指摘され、実現には至りませんでした。

  • ITシステムや金融システムの改修コストが膨大
  • 医療・交通・インフラ分野への影響が大きい
  • 高齢者や労働者の健康リスクが懸念される
  • 既存の労働慣行と整合しにくい

日本は緯度的に欧米ほど日照時間の季節差が大きくないため、導入によるメリットが限定的である点も議論されています。

こうした背景から、日本では現時点においてサマータイムの導入は見送られており、今後も慎重な検討が続くと考えられます。

出典:全日本金属産業労働組合協議会「〈報告〉サマータイム制度導入に関する最近の動向」

サマータイムが導入される目的・理由

サマータイムは単なる「時間をずらす制度」ではなく、社会全体の効率性や経済活動を高めることを目的として導入されています。とくに欧米では、生活スタイルや産業構造と親和性が高く、長年にわたって活用されてきました。

ここでは、主な導入目的を3つの観点から解説します。

日照時間の有効活用

サマータイムの導入目的は、日照時間を有効的に活用することです。

夏季は日の出が早く日の入りが遅いため、朝の明るい時間帯を前倒しして活用するよりも、夕方の明るい時間を長く使えるようにするほうが、生活や活動にとって効率的です。

たとえば、時計を1時間進めることで、実質的に「夕方が1時間長くなる」状態になります。すると、仕事終わりの時間帯でも明るさを活かした外出やレジャーが可能となり、生活の質の向上につながります。

とくに緯度が高い地域では、夏と冬で日照時間の差が大きいため、このメリットが顕著に表れやすいでしょう。

経済活動の促進

サマータイムは、消費活動の活性化という経済的な側面も導入目的のひとつです。

夕方以降の明るい時間が増えることで、人々が外出しやすくなり、飲食・観光・小売といったサービス業を中心に消費が拡大する傾向があります。とくに欧米では、サマータイム期間中にレジャーやイベントの需要が高まり、地域経済へのプラス効果が期待されています。

また、企業活動においても、夕方以降の活動時間が伸びることで、生産性の向上や業務の最適化も期待できるでしょう。

エネルギー消費の削減

サマータイムの導入は、エネルギー消費の削減を目的とする側面もあります。

日本生産性本部の2004年に公表した資料によると、サマータイムの導入による省エネ効果は、原油換算で約93万キロリットル、CO2削減効果は炭素換算で約40万トンです。同資料によると、約93万キロリットルの省エネ効果は、「全国民が使用する冷蔵庫の40日分の電力消費量」に相当します。

ただし、これらの試算は2000年代前半の電力消費構造を前提としており、近年は空調機器の使用増加やライフスタイルの変化により、同様の省エネ効果がそのまま得られるとは限らない点には留意が必要です。

夕方の明るい時間帯が延びることで、家庭やオフィス、商業施設などの照明の使用時間を短縮できるため、電力消費の抑制が期待できます。

出典:日本生産性本部「生活構造改革をめざすサマータイム~調査結果の概要~」

サマータイムを会社で導入するメリット

サマータイムは日照時間の有効活用だけでなく、生活の質や社会全体の活動効率にも影響を与える制度です。とくに欧米では、生活習慣や社会構造と相性がよく、さまざまなメリットが期待されています。

ここでは、サマータイム導入によって得られる代表的なメリットを解説します。

生活・働き方の質を向上させられる

サマータイムは、生活スタイルや働き方の最適化につながると期待されます。

明るい時間帯を生活の中心にシフトすることで、日中の活動効率を高めやすくなります。たとえば、朝の通勤ラッシュを回避しやすくなったり、夕方の明るい時間に外回りや打ち合わせを入れやすくなったりと、より合理的に働けるでしょう。

ほかにも、夏季の始業を早めることで、気温が上がりきる前に業務のピークをスライドさせることで、屋外作業や工場・現場系の職場での熱中症リスクを低減できます。

とくに、フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟な働き方と組み合わせることで、より効率的なライフスタイルの実現が期待できます。

結果として、生産性の向上や業務効率の改善、従業員満足度の改善につながるでしょう。

犯罪や交通事故が減る可能性がある

サマータイムの導入によって、犯罪や交通事故の減少が期待される点もメリットのひとつです。

夕方以降の明るい時間が長くなることで、交通事故のリスクが低下する可能性があります。警察庁によると、日の入り時刻と重なる17時台~19時台に多く発生しています。そのためサマータイム導入により、帰宅時間がより明るい時間帯に変わることで、こうした事故の発生を抑制できるかもしれません。

また、暗い時間帯ほど犯罪に遭遇しやすい傾向にあるため、明るい時間帯に帰宅できることは防犯面でも一定の効果が見込まれます。

とくに企業においては、従業員の帰宅時間帯が明るくなることで通勤時の安全性が高まり、事故や犯罪被害のリスク軽減が期待できるでしょう。結果、安心して通勤しやすい環境が整うほか、従業員の不安軽減や満足度向上にもつなげられます。

出典:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」

余暇を有効活用できる

サマータイムの導入によって夕方の時間が延びることで、余暇を有効に活用しやすくなります。

仕事や学校の後でも明るい時間が確保されるため、スポーツや買い物、外食、レジャーなどの活動がしやすくなり、生活の満足度向上につながるでしょう。

また、家族や友人と過ごす時間が増えることで、コミュニケーションの活性化やリフレッシュにもつながり、心身の充実にも寄与します。こうした余暇の充実は、個人の幸福度を高める要素といえるでしょう。

企業にとっても、従業員のリフレッシュ機会が増えることでモチベーション向上や生産性改善につながる可能性があります。福利厚生の一環として、働きやすい環境づくりを進めたい企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。

こうした働きやすい環境づくりや労務管理を効率的に進めるためには、制度運用を支えるツールの活用も重要です。freee人事労務では、勤怠管理や人事労務を一元管理できます。

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サマータイムを会社で導入するデメリット

サマータイムを会社で導入する際、日照時間の有効活用や経済効果などのメリットがあるものの、生活や社会システムに与える影響も大きく、さまざまなデメリットが指摘されています。

とくに日本のように社会インフラや労働環境が複雑な国では、導入による負担が大きくなるリスクも考えられるでしょう。ここでは、代表的なデメリットを解説します。

残業時間が増える可能性がある

サマータイムの導入により、実質的な労働時間が長くなる可能性があります。

時計上は1時間前倒しされるだけですが、自社のみで導入した場合、取引先や顧客、社内会議の時間帯が従来のままとなることで業務時間にズレが生じ、結果的に終業時刻が後ろ倒しになりやすいという構造的な問題があります。

また、業務の終了時間が変わらない場合「明るいからまだ働ける」という心理や企業文化によって、結果的に残業が増えるケースも考えられるでしょう。

過去に日本でサマータイムが導入された際にも、労働時間の延長に対する不満が多く、制度廃止の一因となりました。とくに長時間労働の傾向がある職場では、負担増につながるリスクがあります。

システムなどの変更に手間がかかる

サマータイムを会社で導入するには、ITシステムや社会インフラの大規模な対応が必要です。

具体的には、以下のようなシステムの改修が発生します。

  • 企業の勤怠管理や給与計算システム
  • 金融機関の決済システム
  • 交通機関の運行管理システム
  • 各種予約・スケジュール管理システム

上記は、すべて時刻に依存しているため、サマータイム導入に伴う設定変更やテスト対応が必要となり、多大なコストと工数が発生します。

とくに時刻に依存するシステムが多岐にわたるため、影響範囲が広く、対応には相応のコストと工数がかかると考えられます。

生活リズムの乱れや睡眠不足の原因となる

サマータイムは、体内時計(サーカディアンリズム)に影響を与えるため、健康面でのデメリットも指摘されています。

時計を1時間進めることで、実質的に睡眠時間が削られる形となり、とくに導入直後は睡眠不足や疲労感をおぼえやすくなります。また、生活リズムの変化に適応できない場合、集中力の低下や体調不良の原因となる可能性も否定できません。

海外では、サマータイム切り替え直後に心筋梗塞が増加する傾向があるという研究もあり、2014年にアメリカ心臓病学会(ACC)で発表された研究によると、サマータイムが始まる月曜日に心筋梗塞の発症率が24%増加したと報告されています。

逆に、秋の終了時(1時間を戻す際)には21%減少したという結果も出ています。サマータイムを導入する場合、健康リスクの観点も踏まえる必要があるでしょう。

出典:American College of Cardiology「Daylight Saving Impacts the Timing of Heart Attacks」

サマータイムの期間

サマータイムの期間は国や地域によって異なりますが、多くの国では春から秋にかけて実施されます。

一般的には、春先に時計を1時間進めてサマータイムを開始し、秋に元の標準時へ戻す運用が採用されています。たとえば、アメリカでは「3月の第2日曜日に開始し、11月の第1日曜日に終了」といったように、開始日と終了日があらかじめ定められているケースが一般的です。

ただし、すべての国が同じ期間で運用しているわけではなく、緯度や気候、社会事情によって導入期間は異なります。近年では、健康面や運用負担を理由にサマータイムを廃止する国や地域もあり、制度の見直しが進んでいる点も特徴です。

サマータイムの導入方法

サマータイムは、国や地域ごとにルールを定めたうえで、毎年同じスケジュールに基づいて実施されます。基本的な仕組みはシンプルですが、社会全体で統一して運用する必要があるため、事前の準備や周知が重要です。

ここでは、代表的な導入方法を解説します。

時計を1時間進めることで時間帯を調整する

サマータイムの基本的な仕組みは、標準時よりも時計を1時間進めることです。

たとえば、午前2時を午前3時に変更することで、その日以降の生活時間が1時間前倒しされます。そのため、実質的に夕方の明るい時間帯を長く確保可能です。

終了時には、逆に時計を1時間戻して元の標準時に戻します。

開始日と終了日をあらかじめ設定して毎年切り替える

サマータイムは、毎年同じタイミングで開始・終了するように制度化されています。

多くの国では、「○月の第○日曜日」といった形で開始日と終了日が設定されており、国民や企業が混乱のない対応が可能です。

このようにルールを固定することで、交通機関や金融機関、企業のシステムなども計画的に対応できる仕組みとなっています。

国や地域ごとに制度の有無や期間を確認する

サマータイムの導入状況は、国や地域によって大きく異なります。

同じ国でも地域によって実施していないケースや、過去に導入していたものの廃止されたケースもあるため、海外渡航や国際取引の際には事前に確認が必要です。

とくにビジネスにおいては、時差の変動によって会議時間や締切に影響が出ることもあるため、サマータイムの有無・期間を正確に把握しておきましょう。

海外出張やオンライン会議を行う場合は、以下のような対策を講じることが重要です。

  • 会議設定時に「現地時間」と「日本時間」を併記する
  • GoogleカレンダーやOutlookなどのタイムゾーン機能を活用する
  • サマータイム切り替え日前後は、会議時間の再確認を行う
  • 重要な商談や締切は、時差変動の影響を受けにくい時間帯に設定する
  • 海外拠点や取引先と事前に運用ルール(時間認識)をすり合わせる

上記を徹底することで、時差のズレによる認識違いや業務遅延のリスクを防ぎやすくなります。

サマータイムの各国での導入事例

サマータイムは世界中で広く導入されてきた制度ですが、すべての国が採用しているわけではありません。地理的条件や社会事情、エネルギー政策などによって導入状況は大きく異なります。

ここでは、北半球・南半球・非導入国に分けて代表的な事例を紹介します。

北半球のサマータイム採用国

北半球では、日照時間の季節差が大きいことから、多くの国でサマータイムが導入されています。

代表的な採用国としては、以下が挙げられます。

  • アメリカ・カナダ:3月の第2日曜日~11月の第1日曜日まで
  • ヨーロッパ:3月の最終日曜日~10月の最終日曜日まで

上記の国では、一般的に春(3月頃)にサマータイムを開始し、秋(10月~11月頃)に終了するスケジュールが採用されています。

とくに欧州連合(EU)では、多くの加盟国が同じタイミングで切り替えを行うため、国境をまたぐ移動やビジネスにおいても混乱が起きにくい仕組みになっています。

南半球のサマータイム採用国

南半球でも、季節が北半球と逆になる形でサマータイムが導入されています。

代表的な国としては、オーストラリアやニュージーランドなどがあります。これらの国では、夏にあたる10月頃からサマータイムを開始し、翌年の3月~4月頃に終了するのが一般的です。

  • オーストラリア:10月第1日曜日~翌年4月第1日曜日まで
  • ニュージーランド:9月最終日曜日~翌年4月第1日曜日まで

ただし、南半球でもすべての地域が導入しているわけではなく、オーストラリアでは州ごとに導入の有無が異なるなど、国内でも運用が分かれているケースがあります。

サマータイムを導入していない国

一方で、サマータイムを導入していない国も多く存在します。

たとえば、以下の国・地域では、現在サマータイムを採用していません。

  • 日本
  • 中国
  • インド
  • ロシア
  • アフリカ諸国 など

上記の国では、緯度の関係で日照時間の季節差が比較的小さいことや、制度導入によるメリットが限定的であることが主な理由とされています。

また、過去にサマータイムを導入していたものの、健康への影響や社会的コストを理由に廃止した国もあります。

サマータイムは一律に有効な制度ではなく、各国の環境や政策に応じて導入・見直しが行われているのが現状です。

サマータイムを企業が導入する際の注意点

サマータイムは生活や業務の効率化につながる可能性があるのに対して、労務管理や取引関係において注意すべきポイントも多く存在します。とくに企業が導入を検討する場合は、従業員への影響や業務上のリスクを十分に考慮することが大切です。

ここでは、企業が導入する際の実務上押さえておきたい注意点を解説します。

時間外労働など労働強化につながらない工夫をする

サマータイムを企業が導入することによって、実質的な労働時間が増加しないよう注意が必要です。

単純に始業・終業時間を前倒しするだけでは、業務量や終業時刻が変わらない場合、結果的に長時間労働につながるリスクがあります。そのため、労働時間の適正管理や業務配分の見直しが不可欠です。

また、雇用形態ごとに労働条件や就業時間の扱いが異なるため、アルバイト・パートタイマー・派遣社員・契約社員など、それぞれに応じた就業規則の整備も必要になります。就業規則の整備方法やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

サマータイムに適応できない労働者に強要しない

サマータイムは体内リズムに影響を与えるため、すべての人がスムーズに適応できるとは限りません。

とくに高齢者や持病のある人、育児・介護をしている人などにとっては、生活リズムの変化が大きな負担となる可能性があります。

そのため一律に適用するのではなく、フレックスタイム制を併用して始業時間を柔軟に選べるようにしたり、本人から申し出があった場合にはサマータイムの適用を除外したりなど、個別に対応できる仕組みを設けることが必要です。

企業としては、従業員の健康や多様な働き方に配慮した制度設計を行うことを意識しましょう。

海外や証券会社などの取引先との連絡に支障が出る場合がある

サマータイムを企業が導入することにより、海外との時差が変動する点にも注意が必要です。

とくに海外企業や証券会社との取引がある場合、サマータイムの有無や期間によって時差が1時間前後変わるため、会議時間や取引タイミングに影響が出る可能性があります。

とくに証券会社をはじめ金融業界では、取引開始・終了時刻が厳密に定められており、時差のズレがポジション管理や決済業務に直接影響するため、より注意が必要です。

また、国や地域によってサマータイムの導入状況が異なるため、取引先ごとに対応を調整する必要があります。こうした時差のズレを把握しておかないと、業務の遅延やミスにつながるリスクも少なくありません。

海外取引における税務や実務対応については、以下の記事も参考にしてください。

サマータイム廃止に関する議論について

サマータイムは長年にわたり多くの国で採用されてきた制度ですが、近年ではその必要性や効果に対する見直しが進んでいます。とくに欧米では、健康面や経済効果、システム負担などの観点から、廃止や恒久化(通年適用)を含め議論されています。

ミニ時差ボケによる悪影響が指摘されている

サマータイムの切り替えは、体内時計に影響を与えるため「ミニ時差ボケ」とも呼ばれています。

ミニ時差ボケにより、寝つきが悪くなる・日中の強い眠気・集中力の低下・疲労感の蓄積といった症状がみられることもあり、業務効率の低下や判断ミスにつながる可能性があります。

時計を1時間進めることで実質的に睡眠時間が削られるため、とくに切り替え直後は睡眠不足や集中力の低下が起こりやすくなるでしょう。こうした健康リスクを背景に、サマータイムの見直しや廃止を求める動きも広がっています。たとえば、2019年に欧州議会がサマータイムの廃止を支持する決議を採択しており、制度の是非が議論されてきました。

また、睡眠や生体リズムの観点からは、時間変更そのものが健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があるとして、医学・睡眠研究の分野でも見直しを求める意見が出ています。

省エネ効果が限定的といわれている

サマータイムは、もともと照明使用の削減による省エネルギーを目的として導入されましたが、近年ではその効果が限定的であると指摘されています。

とくに現代では、照明よりもエアコンなどの空調機器の電力消費が大きくなっており、サマータイムによって夕方の活動時間が延びることで、かえって電力消費が増加するケースもあります。

このように、エネルギー消費構造の変化により、従来期待されていた省エネ効果が十分に得られない可能性がある点が、制度見直しの理由です。

ITシステム・社会インフラへの負担が大きい

サマータイムは、単に時計を変更するだけでなく、社会全体のシステムに大きな影響を与えます。

企業の勤怠管理・給与計算システム・金融機関の決済システム・交通機関の運行管理など、多くのシステムが時刻に依存しているため、サマータイム対応には大規模な改修が必要です。

とくにデジタル化が進んだ現代では、システム間の連携も複雑化しており、設定ミスや不具合が発生するリスクも高まっています。こうしたコストやリスクの大きさが、サマータイム廃止を検討する要因のひとつといえるでしょう。

まとめ

サマータイムは、日照時間の有効活用や経済活動の促進といったメリットがあるものの、健康リスクやシステム負担などのデメリットも指摘されている制度です。

とくに近年では、省エネ効果の限定性や社会インフラへの影響の大きさから、廃止や見直しを検討する国や地域が増えています。

日本では現時点で導入予定はありませんが、今後の社会環境や働き方の変化によっては再び議論が進む可能性もあるでしょう。

サマータイム制度は、働き方の柔軟性や生産性向上を目的とした取り組みとして注目されるものの、労働時間の管理や給与計算、就業規則の整備など、実務面での対応が欠かせません。とくに導入時には、勤怠管理や残業時間の扱い、法令遵守の観点から慎重な設計が求められます。

こうした人事労務の対応を効率化し、ミスなく運用するためには、専門知識とツールの活用が重要です。クラウド型の人事労務ソフトであるfreee人事労務を活用すれば、勤怠管理や給与計算、社会保険手続きまで一元管理でき、制度変更にも柔軟に対応できます。

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よくある質問

サマータイムとは?

サマータイムとは、夏季の日照時間を有効活用するために、標準時よりも時計を1時間程度進める制度のことです。

これにより、夕方以降の明るい時間が増え、余暇の充実や経済活動の促進などが期待されます。一方で、体内リズムの乱れやシステム対応の負担といったデメリットも指摘されています。

サマータイムについて詳しく知りたい人は、「サマータイムとは」をご覧ください。

会社にサマータイムを導入するメリットは?

企業においてサマータイムを導入することで、業務効率の向上や働き方の最適化につながる可能性があります。

たとえば、日中の明るい時間帯を活用して業務を行うことで、生産性の向上が期待できるでしょう。また、終業後の時間を有効に使えるようになるため、従業員の満足度向上やワークライフバランスの改善にも寄与します。

さらに、夕方の消費活動が活発になることで、業種によっては売上増加につながる可能性も高まるでしょう。ただし、労働時間の管理や従業員の健康面への配慮が不可欠であり、導入には慎重な検討が必要です。

サマータイム導入による効果を知りたい人は、「サマータイムを会社で導入するメリット」をご覧ください。

参考文献

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