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中小企業の電子申告の義務化はいつから?電子申告の流れを紹介

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

中小企業の電子申告の義務化はいつから?電子申告の流れを紹介

令和2年度より、大規模法人は電子申告が義務化されています。中小企業にはまだ適用されていませんが、いつ義務化されてもおかしくありません。

本記事では、電子申告の義務化の概要や中小企業の電子申告の取り扱い、実際に電子申告をする際の流れをご紹介します。

目次

電子申告の義務化とは?

資本金が1億円を超える大規模法人は、「法人税及び地方法人税ならびに消費税及び地方消費税」の申告を電子で行わなければならないと定められました。

従来は必要書類を郵送で税務署に提出していましたが、義務化の背景にはコストの削減や生産性向上の目的があります。電子申告の義務化は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

中小企業はどうなる?電子申告の義務化となる対象法人とは

現在電子申告が義務化されている法人は、税目によって異なります。

法人税及び地方法人税の場合、内国法人のうち、事業年度開始時に資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人と通算法人、相互会社、投資法人及び特定目的会社などが電子申告の義務化の対象です。

また、消費税および地方消費税の場合、法人税及び地方法人税で義務化されている法人に加えて、国・地方公共団体および資本金1億以上の公共法人も対象です。当てはまる場合は必ず電子申告をしましょう。

税目電子申告義務化の対象
法人税及び地方法人税● 資本金または出資金が1億円を超える法人
● 通算法人
● 相互会社
● 投資法人
● 特定目的会社
消費税および地方消費税● 法人税及び地方法人税で義務化されている法人
● 国・地方公共団体
● 資本金1億円以上の公共法人

中小企業の電子申告の義務化はいつから?

資本金1億円超の大規模法人は、令和2年度に電子申告の義務化がされていますが、資本金が1億円以下の中小企業は今のところ義務化はされていません。

しかし、ペーパーレス化が進んでいく過程で、いずれ中小企業も電子申告が義務化される可能性があります。電子申告はすぐに導入するのが難しい場合もあるため、事前に備えておきましょう。

電子申告の流れ

ここでは、電子申告の流れを順を追ってご紹介します。

電子申告の流れ

1. 利用者識別番号の取得
2. 電子証明書の取得
3. ソフトを選ぶ
4. 申告する
5. 申告結果を確認する

1. 利用者識別番号の取得

電子申告をするためのシステム「e-Tax」を利用するにはまず「利用者識別番号」を取得します。利用者識別番号はWebサイトで取得する方法のほか、書面や税理士に代理で取得してもらう方法などがあります。

すでに利用者識別番号を取得している法人が改めて取得をすると、今までの番号が使用できなくなるため注意してください。

2. 電子証明書の取得

電子申告する場合、データが改ざんされていないかチェックするため、電子証明書の提出が必須です。電子署名をするためには、あらかじめ電子証明書の取得および電子証明書がICカードと一体になっている場合、ICカードリーダーなどのデバイスが必要です。

なお、電子証明書の例としては、法人の代表者のマイナンバーカードなどが挙げられます。

ただし2024年度の税制改正により、一定の認証レベルを有するGビズID(法人共通認証基盤)を入力してe-Taxで申告する場合は、電子証明書の提出が不要になります。

GビズIDとは、ひとつのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスです。

GビズIDに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

【関連記事】GビズIDとは? できることやメリット・デメリット、アカウントの取得方法を解説

3. ソフトを選ぶ

電子申告の手続きを実際に行うためのソフトを選びます。国税庁が提供しているソフトがいくつかありますが、Web上で使用するソフトのほか、ダウンロード版や金融機関専用のソフトなどもあります。

それぞれ利用できるデバイスや電子申告ができる税目などが異なるため、注意が必要です。ご自身の利用環境に合ったソフトを選ぶようにしましょう。

4. 申告する

電子申告ソフトの指示に従い、電子証明書の登録を行います。その後、実際に申請のデータを登録し、そのデータに電子署名を行います。

この際、e-Taxに登録した電子証明書と同一の証明書で、有効期間の過ぎていないものを使用する必要があり、これら以外のものであれば正常に申告ができません。

データ送信直後に、正常に受信されたかどうかの判定や受付番号などの重要な情報を画面上に表示します。無事に電子申告が完了するまでは、印刷やスクリーンショットを撮るなどしてその画面を保存しておくようにしましょう。

5. 申告結果を確認する

申告後しばらくすると、必須項目の入力が漏れていないか、データの改ざんがされていないかの審査結果がメッセージボックスに届きます。申告後は必ずこの申告結果を確認し、無事に申告ができているかチェックを行いましょう。

また電気通信回線の故障、災害などの物理的理由でe-Taxが利用できない場合は、事前に納税地の所轄税務署長に事前に承認を得て、今まで通り郵送で手続きが可能です。

この方法はごく限られた状況の中でしか行えないため、何か不測の事態が起きた際はあらかじめ税務署に状況を説明し、対処方法を確認しておきましょう。

電子申告に必要なもの

電子申告で必要となるものは、主に電子申告で使用するパソコンなどのデバイスです。昨今は、スマートフォンやタブレットでも申告できるように環境が整えられています。

ほかにも、以下のものが必要です。

電子申告で必要となるもの

● 利用者識別番号、暗証番号が記載されている通知書
● 電子証明書印刷
● 郵送する必要がある場合は印刷用のプリンタ
電子証明書がICカードと一体化している場合は、ICチップを読み取るためのカードリーダーも必要です。

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まとめ

現在電子申告の義務化の対象となっているのは、資本金が1億円を超える大規模法人のみですが、これからの情勢次第では、中小企業も電子申告が義務化される可能性も少なくありません。

電子申告の際には必要な書類やデバイスを使うための環境があり、電子申告への迅速な切り替えが難しい企業もあります。

いざ義務化されてから準備をすると、開始に間に合わなくなる可能性があるため、今のうちから電子申告の準備をしておきましょう。

会計ソフトを利用して業務を円滑に行えるようにしましょう。

たとえば、freee会計では、確定申告の書類が簡単に作成でき、確定申告にかかる時間の短縮が可能です。

よくある質問

電子申告の義務化とは?

資本金が1億円を超える法人は「法人税及び地方法人税ならびに消費税及び地方消費税」の申告を電子で行う必要があると定められました。

電子申告の義務化を詳しく知りたい方は「電子申告の義務化とは?」をご覧ください。

中小企業の電子申告の義務化はいつから?

資本金が1億円超の企業は、令和2年度に電子申告が義務化されており、資本金1億円以下の中小企業は現在義務化されていません。

中小企業の電子申告の義務化はいつからなのかを詳しく知りたい方は「中小企業の電子申告の義務化はいつから?」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮