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失業認定のオンライン化とは?試行内容や背景、手続きの流れを解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

失業認定のオンライン化とは?試行内容や背景、手続きの流れを解説

厚生労働省は雇用保険受給者の利便性を考慮し、失業認定のオンライン化を検討しています。オンライン化の試行内容や背景、手続きの流れを解説します。

失業認定のオンライン化は、2023年7月24日より、地域や対象者を限定して試行開始されました。

本記事では対象地域や対象者失業認定の流れを紹介しているので、参考にしてください。

目次

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失業認定のオンライン化が検討されている

失業認定のオンライン化とは、雇用保険の基本手当受給に必要な失業認定を、オンラインで実施可能にするプロセスです。

これまで失業認定は、対面で働く意思や能力をハローワークの担当者が確認し、実施されてきました。基本手当の受給を受けるには、受給資格者が4週間に1回の頻度でハローワークを訪れなければなりません。

失業認定のオンライン化が実現されれば、ハローワークを訪問することなく失業認定の手続きを行えます。

厚生労働省は、2023年7月24日から、大規模労働局で対象を限定した失業認定のオンライン化を試行しています。

失業給付に関しては「失業給付とは?受給できる人の条件や金額、日数、必要な手続きを解説」をご覧ください。

失業認定オンライン化の対象地域

2023年7月24日から失業認定のオンライン化が開始された、労働局およびハローワークは以下の通りです。

失業認定オンラインの対象地域

● 北海道労働局(函館所)
● 宮城労働局(仙台所)
● 東京労働局(品川所)
● 新潟労働局(新潟所)
● 愛知労働局(名古屋中所)
● 大阪労働局(梅田所)
● 広島労働局(広島東所)
● 香川労働局(高松所)
● 福岡労働局(福岡中央所)
上記のように、全国の主要労働局で、1ヶ所のハローワークに限定して試行されています。

なお、離島などの地域では、7労働局と41市町村が協力し、2023年4月から失業認定のオンライン化が施行されています。

失業認定オンライン化の対象者

2023年7月24日から施行されている失業認定オンライン化の対象者は以下の通りです。

失業認定オンラインの対象者

● 2023年7月24日以降に最初の手続き(受給資格決定)を行う人
● ハローワークへの訪問が困難な人
● 就職支援プログラム事業の支援対象の人
たとえば、子育てをしている人や病気で長期療養中の人など、ハローワークへの来所が難しい人はオンラインでの失業認定の対象です。

また、就職支援プログラムでハローワークとやりとりしている人は、失業認定のためだけにハローワークを訪問する必要はありません。

この場合、初回の失業認定のみハローワークで手続きを実施し、その後はオンラインでの失業認定が可能です。

失業認定オンライン化の背景

失業認定オンライン化が検討される背景は、大きく2つあります。

ひとつは欧米等に比べ日本は失業保険制度のオンライン化が遅れていること、もうひとつは失業者の負担軽減や利便性の向上です。

欧米諸国では、オンラインで失業給付の申請や手続きが一般的であり、効率的なサービス提供が行われています。一方、日本では長らく対面の手続きと面談が主流であり、オンライン化が進んでいなかったため、その遅れが指摘されてきました。

また、雇用保険の基本手当を受けるためには、初めの認定だけでなく、4週間に一度のハローワークでの失業認定が求められます。

「育児中の人」「病気を抱えている人」「離島に住む人」にとって、失業認定のたびにハローワークに出向く負担は大きいです。

これにより、2023年度末までオンライン化が与える影響の検証が行われ、2024年6月を目途に効果検証の結論を得る方針です。

基本手当の受給手続きの流れ

失業認定は雇用保険の基本手当受給に必要な手続きのひとつです。基本手当受給の手続きのうち、以下の部分がオンライン化されます。

基本手当の受給手続きの流れ

1 離職
2 求職申込・受給資格決定
3 雇用保険説明会
4 原則として4週間に1回の失業の認定(この部分がオンライン化される)
5 基本手当の受給
従来は管轄のハローワークで面談を行い、失業認定申告書に求職活動の実績を記入して提出するところ、オンラインでの手続きが可能になります。

オンラインでの失業認定の流れ

オンラインでの失業認定の具体的な流れは以下の通りです。

オンラインでの失業認定の流れ

1 利用者登録を行う
2 受給資格者証の申請と交付
3 失業認定の手続き
各手順を詳しく解説します。

①利用者登録を行う

オンラインでの失業認定は、厚生労働省が提供する「オンライン失業認定システム」で手続きします。

オンライン失業認定システムは、申請用の「電子申請システム」と面談の予約を行う「面談予約システム」から成り立っています。

まず、オンライン失業認定システムのWebページにスマホかパソコンでアクセスしましょう。次に電子申請システムのメニューにある利用者登録から、登録手続きを行ってください。

手続きの際は、ハローワークの連絡を受け取るメールアドレスを準備しておくとスムーズです。

②受給資格者証の申請と交付

次に、電子申請システムで受給資格者証請求を申し込みます。電子申請システムの手続き一覧にある「受給者資格者請求」を選択し、画面の指示にしたがって必要事項を入力してください。

受給資格者請求の手続きでは、「雇用保険の被保険者番号」または「求職番号」の入力が求められます。手続きの前に、どちらかの番号を確認できる書類を手もとに準備しておきましょう。

ハローワーク側での手続きが完了したら、受給資格者証のダウンロードが可能です。電子申請システムのメニューで「申込内容照会」を選択します。申込みの際にメールで通知される整理番号を入力して、添付ファイルからダウンロードしましょう。

③失業認定の手続き

オンラインで失業認定を受ける場合、電子申請システムと面談予約システムの両方を利用します。オンラインでの失業認定の主な流れは以下の通りです。

失業認定の手続き

1 面談予約システムで面談日の予約する
2 事前に電子申請システムで「失業申告書(面談あり)」を入力する
3 認定日当日に電子申請システムで「失業認定本申請(面談あり)」を本申請する
4 面談予約システムでZoomを起動する
5 面談予約システムのZoomで面談を行う
6 次回の面談を予約する
電子申請システムと面談予約システムの切り替えは、各システムの右上にあるメニューから比較的簡単にできます。操作がわからないときは、ハローワークから渡される資料または厚生労働省のウェブサイトで公開されているリーフレットを確認しましょう。

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まとめ

情報通信技術の発達を受け、国は行政手続きのデジタル化を進めています。失業認定のオンライン化はその一例です。

現在は離島にお住まいの人や子育てをしている人などに限定されています。しかし、失業認定のオンライン化が実用化されれば、失業認定が必要な人全員が、基本手当受給にかかる手間や労力を削減できるでしょう。

将来的にはデジタル技術がさらに活用され、行政サービスの利便性向上につながると予想されます。国や自治体などが発信する情報にこまめに接し、有効に活用しましょう。

よくある質問

失業認定のオンライン化とは?

失業認定のオンライン化とは、従来ハローワークへの来所が必要であった失業認定の面談や手続きをオンラインで行うプロセスです。

オンラインでの失業認定を詳しく知りたい方は「失業認定のオンライン化が検討されている」をご覧ください。

オンラインで失業認定する方法は?

国が提供するオンライン失業認定システムで利用者登録を行い、認定日にZoomで面談を行います。

オンラインで失業認定する方法を詳しく知りたい方は「オンラインでの失業認定の流れ」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史