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社会保険の加入条件を解説!20時間を超えたり超えなかったりする人は対象になる?

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

社会保険の加入条件を解説!20時間を超えたり超えなかったりする人は対象になる?

健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入条件や加入するメリット・デメリット、社会保険の適用に関しておさえておくべきポイントを解説します。

お勤め先で加入する社会保険では「労働時間が週20時間以上かどうか」が加入条件のひとつになる場合があります。1週間に働く時間が20時間を越えたり越えなかったりする場合は社会保険への加入が必要になるのか、社会保険の加入条件を正しく理解しましょう。

目次

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健康保険・厚生年金保険の加入条件

健康保険は病気やケガなどに備える公的な医療保険制度です。また、厚生年金保険は会社員や公務員が加入する公的な年金制度です。それぞれ加入する人の条件が決まっています。

以下では各制度の加入条件を解説します。

2022年10月以降の社会保険加入条件

健康保険・厚生年金保険に加入する人の条件は、法改正が行われたため2022年10月以降は従来と変わっています。

2022年10月以降の社会保険の加入条件は以下の通りです。

2022年10月以降の社会保険の加入条件

● 週の所定労働時間が20時間以上
● 賃金が月額8.8万円以上
● 雇用期間の見込みが2ヶ月超
● 学生ではない
● 企業の従業員数が101人以上
5つの条件をすべて満たす従業員は社会保険の加入義務が生じ、加入手続きが必要です。

加入に際して年金事務所(または健康保険組合)に提出が必要な「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の提出期限は、加入要件を満たしてから5日以内です。

また、その従業員が家族の扶養に入っている場合は、家族のお勤め先で扶養から外れる手続きを行う必要があります。「健康保険被扶養者(異動)届」の提出期限も5日以内です。

社会保険の適用条件については、別記事「社会保険の適用拡大とは?2022年10月以降の変更点や企業への影響、手続きを紹介」もあわせてご確認ください。

2024年10月以降の社会保険加入条件

2024年10月からは社会保険の加入対象者がさらに拡大されて、従業員数51人~100人の企業で働く人も対象になる予定です。

2024年10月からの社会保険の加入条件

● 週の所定労働時間が20時間以上
● 賃金が月額8.8万円以上
● 雇用期間の見込みが2ヶ月超
● 学生ではない
● 企業の従業員数が51人以上
今は家族の扶養に入っている人でも、加入条件に該当する場合には2024年10月以降は家族の扶養から外れて自分で社会保険に入り、社会保険料の支払いが必要になります。

雇用保険の加入条件

雇用保険とは、失業した場合や育児・介護で仕事を休む場合などに必要な給付を行う制度です。雇用保険に加入して毎月の給与からの天引きで雇用保険料を払うと、万が一の場合に必要な給付を受けられます。

雇用保険の加入条件は以下の通りです。

雇用保険の加入条件

● 31日以上働く見込みがあること
● 週の所定労働時間が20時間以上あること
従業員が条件を満たす場合は加入手続きが必要です。

加入に際して公共職業安定所(ハローワーク)に提出が必要な「雇用保険被保険者資格取得届」の提出期限は、加入要件を満たした月の翌月10日です。

労働時間が20時間を超えたり超えなかったりする場合は?

社会保険の加入条件のひとつである「週の労働時間が20時間以上」は就業規則や雇用契約書で定めた所定労働時間が20時間以上かどうかで判断します。

実際の労働時間が20時間を超えたり超えなかったりする場合があっても、社会保険の加入条件を満たすかどうかの判断基準となるのは、あくまで就業規則や雇用契約書で定められた所定労働時間です。

たとえば、雇用契約書上の週の所定労働時間が20時間以上で社会保険に加入している人が、20時間未満になる週がときどき発生してしまう場合、すぐに社会保険の加入資格を失うわけではありません。

また、雇用契約書で定めた週の所定労働時間が20時間未満で社会保険に加入していない人が、繁忙期に一時的に20時間を超えた程度であれば社会保険への加入対象ではありません。

ただし、このルールを逆手に取って「実態としては20時間以上だが社会保険に加入しないために雇用契約書上は20時間未満にする」という方法は認められません。

雇用契約書では20時間未満で定めている場合でも、20時間以上の勤務が常態化していれば社会保険の加入対象になる場合があります。

国のサイトでは以下のように掲載・公表されているので、該当する場合は社会保険の加入手続きが必要です。

「週の所定労働時間が20時間に満たない場合でも、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上見込まれる場合には、3か月目から社会保険に加入します。」

出典:政府広報オンライン「社会保険の適用が段階的に拡大!従業員数101人以上の企業は要チェック」

社会保険の適用について知っておきたいポイント

社会保険の加入条件を満たしているのか判断する際に、間違えやすい点や社会保険の適用に関しておさえておくべき点を紹介します。

月額8.8万円以上かどうかの判定に残業代や通勤手当は含む?

社会保険の加入条件のひとつである「賃金が月額8.8万円以上かどうか」は基本給や諸手当で判断しますが、従業員がお勤め先から受け取る賃金のうち以下の賃金は含めません。

賃金に含まれないもの

● 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
● 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
● 時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
● 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
通勤手当や家族手当、残業代などを含めてしまうと、社会保険への加入が適用されるかどうかの判断を誤ってしまいます。

加入義務があるのに社会保険に入らなかった場合は?

加入義務があるにも関わらず加入手続きをせず未加入だった場合、発覚すれば罰則を科される可能性があります。

本来加入すべきだった時点からの社会保険料を遡及的に徴収された場合、まとめて何ヶ月分など最大2年間分の従業員及びお勤め先負担分の社会保険料の納付が必要になる場合があり、従業員にもお勤め先にも大きな負担になります。

罰則を科されて負担がさらに重くなる場合もあるため、社会保険への加入手続きは適切に行わなくてはなりません。

社会保険に加入するメリット

お勤め先で健康保険に入れば傷病手当金や出産手当金の支給対象になり、病気やケガ、出産で仕事を休むときに給料の3分の2相当額を受け取れます。

仕事を休んで給料をもらえない場合でも、傷病手当金や出産手当金を受け取れれば生活資金として使えます。

また、厚生年金保険に加入すれば国民年金に比べて将来の年金額が増えるため、老後の生活資金をより多く確保できます。

障害を負った場合や家族が遺された場合に支給される障害年金や遺族年金についても、厚生年金保険加入者の方が国民年金加入者より金額が大きくなります。

そして雇用保険に加入していれば、万が一失業した場合でも失業給付を受けられ、育児休業や介護休業で仕事を休む際に育児休業給付金や介護休業給付金を受け取れます。

このように、働けなくなった場合などに備えた保障が手厚くなる点が、社会保険に加入する大きなメリットです。

社会保険に加入するデメリット

社会保険に入ると社会保険料がかかり、負担が増える点がデメリットです。

月額賃金が8.8万円以上になって社会保険に加入すると、社会保険料が給料から天引きされるため、社会保険に加入する前より手取りが減る場合があります。

手取りの減少で生じる生活への影響を避けたい場合は、週の労働時間を短くしたり月に稼ぐ金額を減らしたりするなど、社会保険の加入条件を満たさないように調整すれば加入せずに済みます。

しかし、上述のとおり社会保険にはメリットもあるので、社会保険に入るかどうかはメリット・デメリットの両方を考慮したうえでの検討が大切です。

まとめ

一定の条件に該当すると社会保険への加入対象になります。条件に該当した場合は、お勤め先に加入手続きをしてもらう必要があります。

加入条件のひとつに「週の労働時間が20時間以上」という条件がありますが、20時間以上かどうかは就業規則や雇用契約書で定めた所定労働時間で判定します。

実際の労働時間が20時間を超えたり超えなかったりする人は、就業規則や雇用契約書で定めた所定労働時間が20時間未満であれば原則として社会保険の加入義務は生じません。

ただし、就業規則や雇用契約書では20時間未満の場合でも週20時間以上の勤務が常態化していると、社会保険加入の対象になる場合があります。

社会保険の加入手続き漏れを起こさないためにも、社会保険の加入条件を正しく理解しましょう。

よくある質問

健康保険・厚生年金保険の加入条件は?

週の所定労働時間が20時間以上、賃金が月額8.8万円以上、雇用期間の見込みが2ヶ月超である、などが加入条件です。

健康保険・厚生年金保険の加入条件を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

雇用保険の加入条件は?

31日以上働く見込みがある、週の所定労働時間が20時間以上であることが加入の条件です。

雇用保険の加入条件を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高