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財政検証とは?検証結果や年金制度への影響をわかりやすく解説

監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

財政検証とは?検証結果や年金制度への影響をわかりやすく解説

財政検証は日本の公的年金制度をチェックするための仕組みです。本記事では、財政検証の概要意義財政検証が年金制度に与える影響を紹介します。

国民年金や厚生年金の財政にかかわる現況と見通しの作成が、原則5年ごとに実施されています。

直近で財政検証の結果が公表されたのは2019年です。財政検証の結果や年金制度への影響をわかりやすく解説するので、ご自身が受け取れる公的年金の金額が今後どのように変化する可能性があるのか確認してみましょう。

目次

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財政検証とは

財政検証とは、公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェックするために行う検証のことです。おおむね100年にわたって年金財政の均衡を図ることを目的として財政検証が行われます。

公的年金制度は長期的な制度であり、持続可能な制度になっていることが重要です。社会・経済の変化を踏まえながら、適切な年金数理に基づいて長期的な年金財政の健全性を定期的に検証する必要があるため、原則5年ごとに財政検証が実施されています。

財政再計算との違い

財政再計算とは、年金制度を維持するために年金財政の将来見通しを再度計算して、収入と支出の長期的な均衡が図られるように保険料率を見直すことです。

2004年に年金制度が改正されて財政検証の仕組みが導入される前は、公的年金の保険料率を見直す財政再計算が実施されていました。

現在採用されている財政検証では、財政再計算とは違い、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれれば、給付や負担のあり方に関して検討を行って所要の措置を講ずることとされています。

所得代替率とは公的年金の給付水準を示す指標で、現役世代の収入に対する年金額の比率で表される指標です。財政検証を通じて所得代替率を確認し、公的年金の給付水準を確認すれば、年金受給者がどれだけの年金を受け取っているのか確認できます。

次回の実施予定

財政検証は原則として5年に一度実施され、国民年金・厚生年金の財政の現況及び見通しに関する検証が行われます。前回の財政検証は2019年に実施されました。

次回も同じサイクルで5年後に実施される場合、次に財政検証が実施されるのは2024年です。

財政検証の意義

財政検証では下記の2点に関して検証が行われます。

財政検証によって検証するポイント

● 長期的な給付と負担の均衡が確保されるか
● 均衡が確保される給付水準はどの程度になるか
財政検証では、今後の社会・経済の変化に関して一定の前提を設定したうえで、年金財政の持続可能性の検証が行われます。長期的に持続可能な制度として、公的年金制度を存続させるために役立つのが財政検証です。

均衡が取れる給付水準の年金額がいくらになるのか、年金受給者が生活に困らず暮らせるだけの水準の年金を受け取れるのかを確認できます。

財政検証が年金制度に与える影響

財政検証では所得代替率が指標として使われます。

所得代替率とは公的年金の給付水準を示す指標です。以下の計算式で表されます。

所得代替率 =(夫婦2人の基礎年金 + 夫の厚生年金)/ 現役男子の平均手取り収入額
所得代替率を計算すれば、現役世代の収入額・生活水準に比べて年金額が十分なのかを確認ができます。前回の財政検証が実施された2019年度時点の所得代替率は61.7%です。
2019年度の所得代替率 =(夫婦2人の基礎年金13.0万円 + 夫の厚生年金9.0万円)/ 現役男子の平均手取り収入額35.7万円=61.7%

2019年に発表された財政検証の結果

財政検証では、新しい将来推計人口と幅広い経済前提の設定に基づいて、複数のパターンで試算が行われます。2019年に実施された財政検証での主な試算のパターンは下記の3つです。

財政検証の試算パターン

1. 経済成長と労働参加が進む場合
2. 経済成長と労働参加が一定程度進む場合
3. 経済成長と労働参加が進まない場合
以下では、2019年の財政検証で示された各ケースの検証結果を紹介します。

ケース1:経済成長と労働参加が進む場合

経済成長と労働参加が進むケースとして、2019年の財政検証では、2029年度以降20~30年の実質経済成長率が0.9%・0.6%・0.4%の3つのケースを想定して検証が行われました。

現役男子の手取り収入の推移や夫婦の年金額の推移、所得代替率の変化など、各ケースの試算結果は以下の通りです。

【実質経済成長率が0.9%の場合】

グラフ1

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

【実質経済成長率が0.6%の場合】
グラフ2

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

【実質経済成長率が0.4%の場合】
グラフ3

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

3つのケースでは、経済成長が進んで賃金も年金受給額も上昇します。2019年度時点の所得代替率61.7%に対して、2024年度の所得代替率の試算結果はそれぞれ60.9%・60.6%・60.2%です。

2060年度でも所得代替率は50~51%台であり、何らかの措置が必要になる50%を下回らないとの検証結果が示されました。

ケース2:経済成長と労働参加が一定程度進む場合

経済成長と労働参加が進む程度がケース1より小さいケースとして、2019年の財政検証では、2029年度以降20~30年の実質経済成長率が0.2%・0.0%の2つのケースを想定して検証が行われました。各ケースの試算結果は以下の通りです。

【実質経済成長率が0.2%の場合】

グラフ4

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

【実質経済成長率が0.0%の場合】
グラフ5

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

2つのケースでは、賃金は上昇するものの年金受給額はほぼ横這いで推移する検証結果が示されました。2040年代半ばまで所得代替率は50%以上を維持できますが、以降は50%を下回るため、年金額として十分な額とはいえない状態になります。

ケース3:経済成長と労働参加が進まない場合

経済成長と労働参加が進まないケースとして、2019年の財政検証では、2029年度以降20~30年の実質経済成長率が▲0.5%のケースを想定して検証が行われました。試算結果は以下の通りです。

【実質経済成長率が▲0.5%の場合】

グラフ6

出典:厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」

経済成長が進まない中で年金財政は厳しい状況に陥り、2052年度には国民年金の積立金がなくなるとの見通しが示されました。賃金は伸び悩み、年金受給額は徐々に減っていき、2040年代半ばには所得代替率が50.0%にまで下がります。

国民年金の積立金がなくなった後、保険料と国庫負担で賄うことができる給付水準は所得代替率38~36%程度との検証結果も示されています。現役世代の収入に比べると、受け取れる年金額は3分の1程度の水準にまで落ち込むとの検証結果になりました。

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まとめ

財政検証は、公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェックするための仕組みであり、直近では2019年に行われました。

財政検証を実施し、さまざまなケースを想定して年金の給付水準をシミュレーションすることで、公的年金制度の持続可能性をたもつ仕組みです。

財政検証は原則5年に一度実施され、次回は2024年に実施される予定です。検証結果は厚生労働省HPなどで確認できるので、ご自身の年金が今後どうなるのか、確認してみるとよいでしょう。

よくある質問

財政検証とは?

財政検証とは、公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェックするために行う検証のことです。

財政検証を詳しく知りたい方は「財政検証とは」をご覧ください。

財政検証の結果が年金制度に与える影響は?

財政検証を行った結果、所得代替率が50%を下回る見通しが示された場合、給付と負担の在り方に関する検討が行われて年金制度で何らかの変更が行われる可能性があります。

財政検証の結果が年金制度に与える影響を詳しく知りたい方は「財政検証が年金制度に与える影響」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮