ふるさと納税の2026年10月改正とは、自治体がふるさと納税の対象として指定を受けるための基準の見直しです。寄附する側の手続きと控除の計算は2026年10月の時点では変わらないものの、返礼品の顔ぶれと、寄附先を選ぶときに確認できる情報は変わります。
本記事では、何が変わって何が変わらないのか、いつから適用されるのかを解説します。
目次
- ふるさと納税は2026年10月に何が変わる?
- 変わるのは自治体が指定を受けるための基準
- 2026年に変わることを一覧で確認する
- 募集費用基準から寄附金活用可能額基準へ
- 令和8年指定は52.5%以上
- 測る基準は「費用の上限」から「残る額の下限」へ
- 圧縮の対象は返礼品ではなくポータルサイトの手数料
- 地場産品と認められる線引きが厳しくなる
- 区域内で「価値の過半」が生じている証明が必要になる
- 単なる切断や包装は「工程」と認められない
- 寄附先を選ぶときに確認できる情報が増える
- 募集費用の支払先と返礼品の調達費用が公表される
- 指定の有無は募集ページで確認できる
- 2027年寄附分の特例控除額に193万円の上限
- freee会計でふるさと納税の寄附金控除を申告する
- まとめ
- よくある質問
ふるさと納税は2026年10月に何が変わる?
改正と聞くと、自分の寄附の控除額や手続きが変わると考える人もいます。しかし2026年10月に変わるのは、自治体がふるさと納税の対象として指定を受けるための基準です。
寄附する側の手続きと控除の計算式は変わりません。変わるのは、返礼品の顔ぶれと、寄附先を選ぶときに確認できる情報です。
変わるのは自治体が指定を受けるための基準
ふるさと納税の対象になるのは、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附です。令和8年の指定対象期間は2026年10月1日から2027年9月30日までです。
今回変わるのは、この指定を受けるための条件です。寄附者が行う申告・ワンストップ特例・控除額の計算式に変更はありません。
返礼割合3割以下の上限も変わりません。
2026年に変わることを一覧で確認する
2026年に見直される項目は次のとおりです。適用開始の時期は項目ごとに異なるため、表の「適用開始」列で区別できます。
<表:2026年のふるさと納税制度の主な見直し>
| 見直しの内容 | 適用開始 | 根拠 |
|---|---|---|
| 寄附金活用可能額の法定基準を新設 | 令和8年指定(2026年10月1日開始)から | 地方税法37条の2第2項第2号イ |
| 募集費用総額5割以下の基準を削除 | 2026年10月1日 | 令和8年総務省告示第145号 |
| 地場産品基準の付加価値の算出方法を明確化 | 令和8年指定(2026年10月1日開始)から | 平成31年総務省告示第179号第六条第3号 |
| 募集費用の支払先を公表 | 令和8年指定は2026年9月30日まで | 同告示第三条第2号 |
| 指定取消後に指定を受けられない期間を3年以内に | 2026年4月1日施行済み | 地方税法37条の2第6項 |
2023年10月の改正内容は「ふるさと納税10月から何が変わった?変更点と納税者への影響をわかりやすく解説」で解説しています。
募集費用基準から寄附金活用可能額基準へ
「2026年10月から募集費用の上限が5割から4割になる」という説明を見かけますが、正確ではありません。
告示にあった5割以下の基準は2026年10月1日に削除され、地方税法に定める寄附金活用可能額の基準に置き換わります。令和8年指定に必要なのは52.5%以上で、60%が求められるのは令和11年指定からです。
令和8年指定は52.5%以上
旧第2条第2号にあった募集費用総額5割以下の基準は、令和8年総務省告示第145号の新旧対照表で「削る」とされ、2026年10月1日に削除されます。
代わりに地方税法へ入るのが、寄附金活用可能額の基準です。寄附金活用可能額とは、指定対象期間に受領した寄附金の合計額から、募集に要する費用を差し引いた額を指します。
この寄附金活用可能額は、寄附金合計額の60%以上であることが本則の基準です。ただし2026年10月1日開始の令和8年指定で求められるのは52.5%以上で、60%が適用されるのは令和11年(2029年)10月1日開始の指定からです。
<表:寄附金活用可能額の割合の段階適用>
| 指定対象期間の初日 | 寄附金活用可能額の割合 | 募集費用に置き換えた水準 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日 | 52.5%以上 | 47.5%を超えない |
| 2027年10月1日 | 55%以上 | 45%を超えない |
| 2028年10月1日 | 57.5%以上 | 42.5%を超えない |
| 2029年10月1日以降 | 60%以上 | 40%を超えない |
表の「募集費用に置き換えた水準」は、寄附金活用可能額の割合を100%から差し引いた値です。
出典:総務省「令和8年総務省告示第145号(新旧対照表)」
測る基準は「費用の上限」から「残る額の下限」へ
「5割以下」と「活用可能額60%以上」は裏返しただけではないかと感じるかもしれません。
しかし基準の置き場所は、総務省告示から地方税法本体へ上がりました。測る対象も、自治体から出ていく費用の天井ではなく、自治体に残り住民サービスに使える額の下限に変わっています。
圧縮の対象は返礼品ではなくポータルサイトの手数料
返礼割合3割の上限は据え置かれているため、圧縮の余地は返礼品以外にあります。
令和7年度の現況調査によると、募集に要した費用は6,382億円で受入額の47.9%でした。令和6年度の5,901億円・46.4%からは上昇しています。
<表:令和7年度の募集費用の内訳>
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| ポータルサイト経由の受入額 | 1兆2,947億円(受入額の97.2%) |
| 調達・送付を除くポータルサイト運営事業者への支払額 | 1,490億円(受入額の11.5%) |
総務省は2026年5月22日、大手ポータルサイト運営事業者へ手数料の引下げを要請しています。
地場産品と認められる線引きが厳しくなる
返礼割合3割以下の上限は変わりませんが、区域内で価値の過半が生じている証明と公表が要件です。証明できない返礼品は取り下げられる可能性があります。
区域内で「価値の過半」が生じている証明が必要になる
従来の「主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じている」という基準は、「製造等を行うことにより価値の過半が生じている」へ改まります。
標準的な算出方法は「(A−B)/A」で、Aは自治体による返礼品等の調達費用、Bは区域外で生じた費用です。この値が0.5を超えることを製造者が証明し、自治体が一覧表で公表します。
出典:総務省「平成31年総務省告示第179号に基づき総務大臣の定めるものについて」
単なる切断や包装は「工程」と認められない
輸入品がどの国の産品かを決める考え方が、返礼品がどの自治体の地場産品かを決める場面にも持ち込まれています。関税法施行規則が「実質的な変更を加える加工又は製造に該当しない例」として挙げるものが、判断の参照先です。
該当例は次のとおりです。
- 輸送・保存のための乾燥や冷凍
- 単なる切断・選別・包装容器に詰めること・改装・仕分け
- マークやラベルの貼付
- 単なる混合・単なる部分品の組立て
区域外から仕入れたブロック肉を区域内で切ってパック詰めしただけの精肉は認められません。一方、区域外の豚肉を区域内で切断・調理・袋詰めした加工品は認められます。
寄附先を選ぶときに確認できる情報が増える
募集費用の支払先一覧と、付加価値基準の返礼品の調達費用・一般販売価格が、自治体のウェブサイトで誰でも見られる形で公表されます。指定を受けていない自治体への寄附は、ふるさと納税の対象になりません。
募集費用の支払先と返礼品の調達費用が公表される
公表される一覧表は、次の2種類です。
- 1支払先あたり100万円以上の募集費用について、支払先の氏名・名称・住所・所在地・支払額・支払目的の一覧表(令和8年指定は2026年9月30日まで)
- 付加価値基準の返礼品について、名称・区域内で生じた価値の割合・算出方法・製造加工地・自治体の調達費用・一般販売価格の一覧表
ログインが必要な形式での公表は認められません。
指定の有無は募集ページで確認できる
指定を受けた自治体は、指定を受けた旨を募集ホームページ等に表示します。
指定が取り消されると、総務大臣が3年以内の期間を定めて指定を行わない決定をします。これは2026年4月1日施行済みで、10月の改正内容とは別の制度です。
令和8年の指定対象期間に寄附金活用可能額の割合が52.5%を下回った自治体は、2027年10月1日から始まる指定対象期間で取消の対象になり得ます。
寄附先の確定申告での進め方は「ふるさと納税の確定申告のやり方は?必要書類やワンストップ特例制度についても解説」で解説しています。
2027年寄附分の特例控除額に193万円の上限
令和9年(2027年)の寄附分から、特例控除額の上限は193万円です。2026年の寄附には適用されません。
寄附額そのものに上限はなく、特例控除額の上限を超えて寄附しても、基本分の控除は適用されます。上限に届くのは、給与収入1億円の人が438万円を寄附した場合の水準です。
寄附金控除の全体像は「寄附金控除で節税・税金対策!確定申告のやり方や計算方法、対象となる寄附を解説」で解説しています。
freee会計でふるさと納税の寄附金控除を申告する
自治体側の基準が変わっても、寄附者が行う確定申告での寄附金控除の申告手順は変わりません。freee会計では、次の手順で入力します。
- [確定申告]メニュー→[確定申告(所得税・消費税)]→[所得税申告書類の作成]
- 「収支」ステップの「ふるさと納税などの寄附をしましたか?」を開く
- ポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」の電子データがあれば[寄附金控除に関する証明書を取り込む]で取り込む
自治体発行の「寄附金受領証明書」の取り込みには対応していません。取り込んだ場合でも、自治体から受領した控除証明書の保管は必要です。
寄附先が5自治体以内で確定申告をしない場合の進め方は「ふるさと納税がより身近に!ワンストップ特例のメリットと注意点」で解説しています。今回のように自治体側の基準は今後も見直される可能性があり、その動きはfreee法対応ガイドで随時確認できます。
まとめ
2026年10月に変わるのは、自治体がふるさと納税の対象として指定を受けるための基準です。寄附者の手続きと控除の計算式は変わりません。
令和8年指定に必要な寄附金活用可能額は52.5%以上で、「10月から募集費用が4割になる」という説明ではありません。60%が求められるのは令和11年指定からです。
自治体サイトには募集費用の支払先一覧と、地場産品の調達費用・一般販売価格の一覧が公表され、寄附先を比較する材料が増えます。
よくある質問
控除の仕組みは2026年10月に変わりますか?
変わりません。2026年10月1日に見直されるのは自治体の指定基準で、寄附の申し込み方法・控除の計算式・返礼割合3割以下の上限はそのままです。
詳しくは「ふるさと納税は2026年10月に何が変わる?」で解説しています。
2026年10月に募集費用は4割になりますか?
2026年10月時点では4割ではありません。令和8年指定では寄附金活用可能額52.5%以上、募集費用に換算して47.5%を超えない水準が求められます。
4割相当の60%が求められるのは、2029年10月開始の指定からです。
詳しくは「募集費用基準から寄附金活用可能額基準へ」で解説しています。
返礼品はもらえなくなりますか?
返礼品制度はなくなりません。返礼品の調達費用を寄附額の3割以下に抑える基準も変わらず、返礼品の水準を一律に下げる改正ではありません。
ただし、区域内で価値の過半が生じたと証明できない加工品は、地場産品として提供できなくなります。
詳しくは「地場産品と認められる線引きが厳しくなる」で解説しています。
自治体の指定が取り消されたらどうなりますか?
指定を取り消された自治体への寄附は、ふるさと納税の対象外です。指定を受けている自治体かどうかは、募集ホームページ等の表示で確認できます。
詳しくは「寄附先を選ぶときに確認できる情報が増える」で解説しています。
