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景品表示法とは?不当表示規制・景品規制の対象や事例をわかりやすく解説

公開日:2023/10/26

監修 松浦絢子 弁護士

景品表示法とは?不当表示規制・景品規制の対象や事例をわかりやすく解�説

景品表示法は、不当表示・不当景品から消費者の利益を保護する法律です。本記事では、景品表示法の概要や、違反になる事例などを解説します。

商品の販売やサービスの提供を行う事業者や担当者は、景品表示法とはどのような法律なのか理解しておかなければなりません。

景品表示法違反にならないよう、法律の規定を正しく理解し、商品やサービスに関する表示を適切に行いましょう。

目次

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景品表示法とは?

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、不当表示・不当景品から消費者の利益を保護する法律です。

景品表示法の規定は「不当表示の禁止」と「景品類の制限及び禁止」の2種類です。商品・サービスの品質・内容・価格等を偽って表示することを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額等を制限する規定です。

商品を実際より良く見せかける表示(不当表示)や、過大な景品類の提供(不当景品)が行われると、消費者は質の良くない商品やサービスを買ってしまうおそれがあります。

消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るため、景品表示法ではさまざまな規定が設けられています。

商品・サービスを販売・提供する事業者は、景品表示法による規制内容を理解し、商品・サービスの表示を適切に行わなければいけません。

なお2023年10月からは、法改正によってステルスマーケティングも規制対象になります。ステマ規制に関して詳しく知りたい方は、「ステルスマーケティングの規制が10月から開始!ステマ規制で企業が取るべき対応は?」をご覧ください。

不当表示の禁止

景品表示法では、嘘や大げさな表示など消費者を騙すような表示(不当表示)を禁止しています。不当表示として禁止されている表示は、大きく分けて次の3つです。

“不当”表示として禁止される表示類

● 優良誤認表示の禁止
● 有利誤認表示の禁止
● その他誤認されるおそれがある表示の禁止
以下でそれぞれ解説します。

優良誤認表示の禁止

優良誤認表示とは、商品やサービスの品質・規格などの内容を事実に相違して、競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示です。

優良誤認表示に当たるか否かは、以下の内容などをもとに表示全体から判断されます。

優良誤認表示を判断する基準

● 商品の性質
● 一般消費者の知識水準
● 取引の実態
● 表示の方法
● 表示の対象
事業者は、消費者庁から表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められた場合、資料を提出しなければなりません。資料が提出できないと、不当表示とみなされるため注意が必要です。

有利誤認表示の禁止

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格などの取引条件に関して、事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示です。

有利誤認表示として、不当な二重価格表示も禁止されています。不当な二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示することです。

二重価格表示は、その内容が適正であれば一般消費者の適正な商品選択に役立ちます。一方で、比較対照価格の内容の表示が適正に行われていない場合には、有利誤認表示に該当するおそれがあります。

その他誤認されるおそれがある表示の禁止

優良誤認表示や有利誤認表示以外にも、商品またはサービスの取引に関する事項に関して一般消費者が誤認するおそれがある表示をしてはなりません。

景品表示法に基づく告示は、以下の6つです。

景品表示法に基づいて定められている6つの告示

● 無果汁の清涼飲料水等についての表示
● 商品の原産国に関する不当な表示
● 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
● 不動産のおとり広告に関する表示
● おとり広告に関する表示
● 有料老人ホームに関する不当な表示
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止ガイドブック」

各表示に関する規制の内容は、消費者庁が公開している以下の資料で確認できます。景品表示法に違反しないよう、景品表示法で禁止されている事項とは何なのかを理解し、商品・サービスの表示を適切に行いましょう。
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止ガイドブック」

景品類の制限及び禁止

景品表示法では、消費者に対する過大な景品類の提供を禁止しています。

景品類とは、顧客を誘引するために取引に付随して提供する物品や金銭など、経済上の利益のことです。経済上の利益とは以下のようなものを指します。

経済上の利益にあたるもの

● 物品及び土地、建物その他の工作物
● 金銭・金券・預金証書・当せん金附証票及び公社債・株券・商品券その他の有価証券
● きょう応(映画、演劇、スポーツ、旅行その他の催物等への招待または優待を含む)
● 便益、労務その他の役務
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止ガイドブック」

景品類は以下の3種類に分類されます。

景品類の分類

● 一般懸賞:商品・サービスの利用者に、くじ等の偶然性や特定行為の優劣等によって景品類を提供すること
● 共同懸賞:商品・サービスの利用者に、一定の地域や業界の事業者が共同して景品類を提供すること
● 総付景品:商品・サービスの利用者に、もれなく景品類を提供すること
また景品類の限度額は、それぞれ以下のように定められています。

最高額総額
一般懸賞5,000円未満取引価額の20倍懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上10万円
共同懸賞取引価額にかかわらず30万円懸賞に係る売上予定総額の3%
総付景品1,000円未満200円
1,000円以上取引価額の10分の1
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止ガイドブック」

自社の商品やサービスに景品類を付随する場合は、限度額を超えないよう注意しましょう。

景品表示法違反になる事例

続いて景品表示法違反になる具体的な事例を紹介します。産地・原材料・製品の性能・価格など、商品やサービスに関する表示で景品表示法違反となる表示とはどのようなケースなのか、確認してみましょう。

優良誤認表示の事例

たとえば、国産有名ブランド牛ではない国産牛肉であるにもかかわらず、「国産有名ブランド牛の肉」であるかのように表示させると、優良誤認表示にあたり景品表示法違反です。

実際とは、異なる産地・原材料であると消費者に誤認させる表示は行ってはいけません。

有利誤認表示の事例

たとえば、携帯電話通信料金などで、自社に不利となる他社の割引サービスを除外した料金比較であるにもかかわらず、あたかも「自社がもっとも安い」かのように表示させると、有利誤認表示にあたります。

取引条件を著しく有利にみせかける表示は行ってはいけません。

その他誤認されるおそれがある表示の事例

たとえば、商品に原産国以外の国名や国旗等の表示があり、消費者が商品の原産国の判別が難しい場合は、その他誤認されるおそれがある表示にあたります。

商品には、一般消費者に原産国を誤認させないよう文字などを表示しなければなりません。

景品表示法違反で行われる処分

景品表示法を違反して行われる処分は「措置命令」と「課徴金納付命令」です(※)。

景品表示法に違反する行為が行われている疑いがある場合、違反行為の差止めなど必要に応じた「措置命令」が出されるケースがあります。また「課徴金納付命令」では、金銭的な不利益が課せられます。

措置命令とは、たとえば以下のような内容の命令です。

措置命令の例

● 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
● 再発防止策を講ずること
● その違反行為を将来繰り返さないこと
課徴金納付命令では、原則として商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額の課徴金が科されます。なお、これらの命令に違反した場合などには、懲役刑や罰金刑の対象となります。
※2023年9月現在

景品表示法に違反しないために事業者がやるべきこと

事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置に関して、適切かつ有効な実施を図るための指針を消費者庁が定めています。

指針では、事業者が講ずべき措置の事項の基本的な考え方のほか、以下の7つの事項に沿った具体的事例などが示されています。

事業者が講ずべき措置の事例

● 景品表示法の考え方の周知・啓発
● 法令遵守の方針等の明確化
● 表示等に関する情報の確認
● 表示等に関する情報の共有
● 表示等を管理するための担当者等(表示等管理担当者)を定めること
● 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
● 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止ガイドブック」

景品表示法の内容や考え方を社内で周知・啓発を行い、社内規定や行動規範を作成するなど法令遵守のための方針を明確にすることが大切です。

また景品表示法に違反しないためには、表示等に関して必要な情報を社内で共有できる体制を構築し、表示等を管理する担当者・担当部署の設置も有用といえます。

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まとめ

景品表示法とは、商品・サービスの品質や内容等を偽って表示することを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐための法律です。景品表示法には「不当表示規制」と「景品規制」の2つの規制があります。

産地や原材料、製品の性能・価格に関して消費者が誤認する表示は、景品表示法違反になる場合があるので注意が必要です。実際の商品・サービスの中身と異なる内容であるかのようにみせかける表示は行ってはいけません。

景品表示法の考え方を社内で周知し、表示等を管理するための担当者を定めるなど、必要な対応や措置を講じたうえで事業経営を行いましょう。

よくある質問

景品表示法とは?

景品表示法とは、商品・サービスの品質や内容等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐための法律です。

景品表示法について詳しく知りたい方は「景品表示法とは?」をご覧ください。

どんなケースが景品表示法違反になる?

産地を誤認させたり商品・サービスの価格が他社より安いと誤認させたりすると、景品表示法違反になる可能性があります。

景品表示法違反になるケースについて詳しく知りたい方は「景品表示法違反になる事例」をご覧ください。

監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

監修者 松浦絢子