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日本版DBSとは?対象事業者・確認内容・導入の流れをわかりやすく解説

日本版DBSとは?対象事業者・確認内容・導入の流れをわかりやすく解説

日本版DBSとは、子どもと接する業務に就く人について、性犯罪歴の有無を国に照会し、採用・配置可否を判断するための制度です。2026年12月の施行に向け、学校や保育所だけでなく、学習塾といった民間事業者にも対応が求められます。

採用前に確認することにより、リスクを抑えられます。また、認定制度への対応は、保護者が施設を選ぶ際の判断材料にもつながるでしょう。本記事では、日本版DBSの対象となる事業者の範囲、確認される性犯罪歴の内容、照会手続きの流れなどを解説します。

目次

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日本版DBSとは

日本版DBSとは、子どもと接する仕事に就く人について、性犯罪歴の有無を国に照会し採用・配置可否を判断するための制度です。

正式には、「こども性暴力防止法」に基づいて運用され、事業者はこども家庭庁を通じて照会を行います。確認できるのは、裁判で有罪が確定した性犯罪の前科です。

イギリスの制度を参考にしつつ、日本の法制度にあわせて設計されており、プライバシー保護と安全確保の両立が前提となっています。人事・総務の実務では、採用前や配置前に照会を実施し、子どもと直接接する業務に就かせるかどうかを判断する場面で使用します。

日本版DBSの目的・導入背景

日本版DBSの目的は、性犯罪歴がある人が子どもと接する業務に就くリスクを、採用・配置判断の段階で防ぐことです。

これまでの採用では、事業者が応募者の性犯罪歴を公的に確認する手段はありませんでした。そのため、採用可否の判断は、従事者本人の申告や職務経歴の確認に依存している状況でした。過去の性犯罪歴を把握できないまま、採用や配置の判断が行われるリスクが課題だったといえます。

日本版DBSでは、国が性犯罪歴の有無を照会し、子どもと接する業務への配置可否を具体的に判断可能です。制度の導入により、採用段階でリスクを把握し、子どもが安心して過ごせる環境を整えることが求められます。

性犯罪歴確認が求められる理由・背景

教育や保育の現場は、指導者と子どもの信頼関係を前提に成り立っています。

一方で、この関係性を利用した性被害が発生しているのも事実です。警察庁の統計によると、2025年に認知された強制性交・強制わいせつなどの性犯罪は、約1万件規模で発生していることがわかります。被害は身近な環境で起きるケースも含まれており、密室や一対一で発生しやすいのが特徴です。そのため、周囲が把握しにくく、発覚が遅れる傾向があります。

また、性被害は一度の事象で終わらず、長期化・反復化しやすい構造的な課題も指摘されています。性犯罪は再犯率が一定程度あるとされ、過去の前歴を把握せずに子どもと接する業務に配置するのはリスクが伴うでしょう。

このような背景から、採用段階で性犯罪歴の有無を確認することが重要です。子どもと接する業務に適さない人を事前に除外することで、被害を未然防止につながります。あわせて、保護者や利用者からの信頼を確保する観点でも、透明性のある採用プロセスの整備が求められています。

出典:警察庁「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」

いつから導入される?施行時期と制度開始までの流れ

日本版DBSは、2026年12月25日から施行されます。

施行日までは準備期間と位置づけられており、国によるガイドラインの策定や研修教材の整備、制度の周知・広報が進められます。

事業者が制度開始に向けて整えるべき主な事項は、以下のとおりです。

  • 対象となる従事者の範囲の確定
  • 採用時における性犯罪歴の確認方法の整備
  • 相談窓口の設置や社内規定の見直し

また、日本版DBS施行後は、以下のスケジュールで性犯罪歴照会を実施します。

  • 新規採用者:採用前に性犯罪歴照会を実施
  • 在職者:施行後3年以内に全員の確認を完了
  • 民間事業者:認定取得後1年以内に対象者の確認を実施

性犯罪歴の照会には一定の期間を要するため、早めの準備が求められます。

日本版DBSの対象となる事業者の範囲

日本版DBSは、子どもと接するすべての事業者が対象となるわけではなく、性犯罪歴照会の実施義務がある事業者と、任意で認定を受ける事業者に分かれます。以下では、日本版DBSの対象となる事業者の範囲を解説します。

義務対象となる学校や保育所

性犯罪歴の確認が法律で義務づけられているのは、「特定こども施設」と位置づけられている施設です。具体的には、主に以下の施設が含まれます。

  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 認可保育所
  • 認定こども園
  • 児童福祉施設
  • 視覚または聴覚に障害がある児童に対する通所支援事業
  • 乳児等通園支援事業

いずれも子どもが日常的に長時間過ごす場であり、継続的に接する業務が発生していることが共通しています。採用時だけでなく、在職者も含めて性犯罪歴の確認を行い、配置の判断に反映させることが必要です。

認定制度の対象となる民間事業者

日本版DBSは、国の「認定」を受けた事業者であれば、法律で定める性暴力防止の取組を行うことで、利用者からの信頼を高めらます。対象となる主な事業は、以下のとおりです。

  • 学習塾
  • スポーツ教室・スイミングスクール・ダンス教室・芸能事務所
  • 放課後児童クラブ
  • 一時預かり事業
  • 病児保育事業

性暴力防止の取り組みは義務ではありませんが、認定を取得するとこども家庭庁の公表対象となり、安全性を示すマークを提示できます。制服やパンフレット、募集案内などに掲載できるため、保護者に対して安全性をアピールする根拠として活用でき、他施設との差別化につながるでしょう。

また、認定を受けるためには、子どもが継続的に利用する事業が前提になります。複数スタッフでの対応体制が整っていることや、日常的に子どもと接する業務があることが、認定の判断ポイントになります。

確認対象となる職種と業務

日本版DBSは、子どもと継続的に接する業務に従事する人が確認対象となります。教育や保育士など、日常的に子どもと関わる職種は一律で対象です。

一方で、次のような職種は、業務内容に応じて対象となるかを現場で判断します。

  • 学校などの事務職員
  • 送迎バス運転手
  • 警備員
  • 清掃職員
  • 教育実習生

対象かどうかは、職種ではなく業務の内容で判断を行います。たとえば、指導や監督を通じて子どもに影響をもつ業務、周囲の目が届きにくい環境で行う業務は対象です。密室や一対一の状況が生じる場合は、とくに注意が必要でしょう。

また、雇用形態の違い・雇用契約の有無などにかかわらず対象となるため、短期間の労働者やボランティアなども含まれます。

実務の運用では、複数人で対応する体制を整え、特定の担当者に業務が集中しないように管理しましょう。配置方法を含めて、従来の体制を見直すことが求められます。

日本版DBSで確認される性犯罪歴と対象期間

日本版DBSでは、子どもと接する業務に就く人に対して、過去の性犯罪歴を確認します。照会対象は、裁判で有罪が確定した前科に限られます。捜査中の事案や、嫌疑の段階にとどまる情報は含まれません。

ここでは、日本版DBSで確認される性犯罪歴と対象期間について解説します。

照会対象となる性犯罪の種類

日本版DBSでは、子どもへの被害につながるおそれがある性犯罪を対象に照会を行います。確認できるのは、裁判で有罪が確定した以下のような前科です。

  • 不同意性交等罪や不同意わいせつ罪
  • 未成年者の誘拐や略取に関する犯罪
  • 児童ポルノ禁止法違反
  • 盗撮行為を取り締まる法律違反
  • 青少年保護育成条例違反(未成年者への淫行など)
  • 迷惑行為防止条例違反(痴漢やのぞき見など)

重い犯罪はもちろん、条例違反も含めて確認できます。過去の行為を幅広く把握することで、子どもと接する現場におけるリスクを、採用前に見極められます。

過去にさかのぼる確認期間の目安

性犯罪歴をさかのぼって確認できる期間は、受けた刑罰の内容によって異なります。

採用や配置の判断につながるため、期間の違いはあらかじめ把握しておくことが必要です。

刑罰の種類確認期間
拘禁刑(懲役・禁錮)刑の終了から20年間
執行猶予付き判決裁判確定から10年間
罰金刑支払い完了から10年間

確認機関は、刑罰の重さに応じて設定されています。重い刑罰ほど長期間確認できる仕組みとすることで、リスクへの対応が可能です。一方で、一定期間を経過した場合は確認の対象外となり、社会復帰への配慮も見込まれています。

採用前に行う犯罪歴確認のタイミング

性犯罪歴の確認は、新たに採用するタイミングだけでなく、異動で子どもと接する業務に就く直前にも行います。

配置前に照会を完了させ、その結果をもとに業務の可否を判断します。なお、一度確認して終わりではありません。在職中も5年ごとに再確認が必要です。

ただし、照会には一定の時間がかかります。目安は、次のとおりです。

  • 日本国籍:2週間〜1ヶ月程度
  • 外国籍:1ヶ月〜2ヶ月程度

入社日や配置時期に間に合わせるためには、採用スケジュールから逆算して早めに手続きを進めることが重要です。

制度導入による企業側のメリット

日本版DBSの導入は、採用時に、性犯罪歴を公的に確認できるようになることで、さまざまなメリットがあると考えられます。以下では、企業側の主なメリット3つを解説します。

採用時のリスクを事前に把握できる

日本版DBSを活用することで、採用前・配置前に性犯罪歴の有無を確認できることで、子どもと接する業務に関するリスクを見極められます。

これまでは、公的な確認手段がなく、従事者本人の申告や前職への問い合わせに頼る必要がありました。取得できる情報に限りがあり、採用後に問題が発覚するケースも見られました。

日本版DBSの導入後は、国を通じて有罪が確定した性犯罪の前科を照会できるため、現場に持ち込まれるリスクを抑えやすくなります。採用判断の根拠を明確に示せることも、運用上のメリットといえるでしょう。

保護者からの信頼を得やすくなる

日本版DBSに対応し認定を受けた事業者は、認定マークを提示することで、性犯罪の確認を実施していることを視覚的にも伝えられます。

保護者にとっては、採用する従業員に対してどのような確認を行っているかがわかるため、安心して施設を選びやすくなります。安全管理に取り組んでいる姿勢の証明になるため、子どもの預け先を選ぶ際の判断材料として、差別化や信頼形成につながるアピールポイントのひとつとして機能するでしょう。

また、認定事業者は国の公表情報として一覧で公開され、公式サイトから確認できます。施設名や事業者名で検索できるため、外部からも取り組み状況の把握が可能です。

安全管理体制の見直しにつながる

日本版DBSへの対応は、性犯罪歴の確認にとどまらず、現場の安全管理体制を見直すきっかけになります。

日本版DBSの導入後は、採用や配置の判断だけでなく、日常業務の運用ルールまで含めて整理することが必要です。具体的には、次の対応が求められます。

  • 子どもと一対一になる状況を避けるための運用ルールの設定
  • 不適切な身体接触を防止するための就業規則への明記
  • 職員に対する研修の実施と対応方法の共有

これらを社内ルールとして明確にし、継続的に運用できる体制に整えることが重要です。

また、対応方針が統一されることで現場判断のバラつきを抑えやすくなり、組織として安定した運営ができます。対外的には、保護者や利用者からの信頼の維持や向上にもつながります。

制度導入で企業が直面するデメリット

日本版DBSの導入は、安全確保につながるものの、実務面における負担も発生します。以下では、企業側の主なデメリットを解説します。

採用時の確認工程が増える

日本版DBSの導入により、採用時の手続きにおいて新たな工程が増えます。

主な追加工程は、次のとおりです。

  • 性犯罪歴照会に関する本人同意の取得
  • 照会に必要な書類の回収・確認
  • こども家庭庁への照会申請
  • 照会結果の受領と記録の管理

これらの工程が加わることで、採用業務の負担は増加します。事前に社内フローを整理し、担当者や手順の明確化が重要です。

在職者に対する継続的な管理が必要になる

日本版DBSは、新規採用者だけでなく在職者も対象となるため、継続的な管理が必要です。

義務対象の施設では、施行後の3年以内(2029年12月まで)に全員の照会を終える必要があります。その後も5年ごとに再確認を行い、配置の判断に反映させる必要があります。

また、照会結果の管理体制の整備も大切です。性犯罪歴は機微な情報に該当するため、取り扱い方法の明確化が欠かせません。社内規程を定め、閲覧できる担当者を限定し、保管場所を管理するなどの対応が求められます。

一度整備して終わりではなく、継続的に運用していく必要があります。定期的な性犯罪の有無に関する確認と情報管理を組み合わせて、安定した体制の維持を徹底しましょう。

現場でのルール運用が必要になる

日本版DBSは、犯罪歴の確認だけで完結する制度ではありません。現場では、子どもと接する業務における安全確保措置を日常的に運用し続けることが前提です。採用後の対応まで含めて整備する必要があります。

とくに負担となるのは、ルールを現場に定着させる工程です。規程をつくるだけでは機能せず、以下の対応を日常業務の中で継続的に実行できる状態にすることが重要です。

  • 子どもと一対一になる状況を避ける運用の徹底
  • 私的な連絡や不適切な接触を防止するルールの遵守
  • 問題行動が発生した場合の報告・相談フローの実行

また、これらの対応が適切に行われているか、実施状況を定期的に確認し、必要に応じて運用内容を見直す仕組みも欠かせません。ルールの内容だけでなく、実行状況まで含めて管理することが求められます。

現場運用までの制度対応を整えたい場合は、「freee人事労務」を活用し、業務を見直すこともひとつの方法です。具体的な進め方を整理した資料は、以下から確認できます。

犯歴確認の6ステップ

日本版DBSの犯罪歴確認は、こども家庭庁を通じて照会を行い、その結果を受け取る仕組みです。ここでは、犯歴確認の6ステップを解説します。

犯歴確認の6ステップ

  1. 日本版DBSの実施事業者として認定を受ける
  2. 性犯罪歴の照会に関する本人同意を取得する
  3. 国に対して性犯罪歴の照会を申請する
  4. 照会結果を受領する
  5. 結果に応じて配置や業務内容を判断する
  6. 照会結果を社内ルールに基づいて管理する

1. 日本版DBSの実施事業者として認定を受ける

学校や保育所などの義務対象施設は、認定申請を行わずに制度が適用されます。

一方、学習塾やスポーツクラブなどの民間事業者は、こども家庭庁に申請を行い、実施事業者としての認定を受ける必要があります。なお、申請から認定までは、1~2ヶ月程度かかる見込みです。

認定を受けていない場合は、性犯罪歴の照会は行えません。認定を受けると、安全対策に取り組んでいる事業者として公表され、認定マークを提示できます。申請時に確認される内容は、以下のとおりです。

  • 継続的に子どもが利用する仕組みがあるか
  • 複数のスタッフで対応する体制が整備されているか
  • 日常的に子どもと接する業務であるか

認定の可否は、事業の運営体制と安全管理の状況をもとに判断が行われます。

2. 性犯罪歴の照会に関する本人同意を取得する

性犯罪歴の照会は、採用・配置可否を判断するための手続きです。照会対象となる従事者本人から、照会の実施と結果の利用に関する同意を得る必要があります。

事業者は、照会の目的、確認対象となる情報の範囲、照会結果を採用・配置判断に用いることを説明したうえで、書面で同意を取得します。

この段階で従事者本人が提出するのは、本人を特定するための情報や書類です。たとえば、日本国籍の人は戸籍抄本等の戸籍情報を、日本国籍を有しない人は本人特定情報を把握するための書類を提出します。

これらの書類は、従事者本人からこども家庭庁に提出する仕組みです。

3. 国に対して性犯罪歴の照会を申請する

照会対象となった従事者本人の同意を取得した後は、事業者はこども家庭庁に対して、性犯罪歴の照会を申請します。

申請はオンラインで行い、以下の必要事項を提出します。

  • 対象者の氏名・生年月日・住所などの本人特定情報
  • 従事予定の業務内容
  • 勤務先情報

こども家庭庁は、法務省に対して対象者の前科の有無を照会しますが、確認されるのは、裁判で有罪が確定した性犯罪の前科のみです。

捜査中の事案や不起訴情報は含まれず、採用・配置判断に必要な照会範囲を限定して、情報が提供される仕組みです。

4. 照会結果を受領する

照会結果は、まず照会対象となった従事者本人に通知されます。

性犯罪歴が確認された場合でも、直ちに事業者に共有されるわけではありません。従事者本人には、通知内容を確認する期間(通知後2週間程度)が設けられており、その間に訂正請求を行うことが可能です。訂正請求を行わないまま一定期間が経過した場合に限り、事業者に結果が通知されます。

また、この期間中に従事者本人が内定を辞退した場合は、犯罪事実確認書は事業者に交付されません。

通知は「犯罪事実確認書」として交付され、採用可否および子どもと接する業務への配置可否の判断に使用します。なお、対象従事者が派遣労働者である場合は、派遣元ではなく、実際に業務に従事する派遣先の事業者が犯罪事実確認を行います。

5. 結果に応じて配置や業務内容を判断する

照会結果を受領した後は、子どもと接する業務に配置するかどうかを具体的に判断します。

性犯罪歴が確認された場合は、子どもと接する業務への配置を避けることが求められます。主な対応は、以下のとおりです。

  • 子どもと接触しない業務(事務・バックオフィスなど)への配置転換
  • 配置転換が難しい場合の雇用継続の可否の検討

雇用の継続可否は労働法の制約を受けるため、代替業務の有無や配置の可能性を踏まえて、個別に検討することが求められます。

6. 照会結果を社内ルールに基づいて管理する

照会結果は、採用・配置判断に使用する機微情報として、厳格に管理する必要があります。

性犯罪の有無にかかわらず、犯罪事実確認に関する情報はすべて慎重に取り扱うことが必要です。社内では、情報管理責任者を定め、閲覧できる範囲を限定します。主な管理方法は、以下のとおりです。

  • 電子データ:アクセス制限の設定
  • 紙媒体:施錠可能な場所での保管
  • 閲覧権限:必要最小限の担当者に限定

また、在籍中も5年ごとに再照会を行い、性犯罪歴の有無と配置状況の適合性を継続的に確認します。確認結果と運用ルールをあわせて管理することで、長期的な安全確保につながります。

制度対応の運用には、情報管理と労務管理を整えることが必要です。ぜひ「freee人事労務」をご活用ください。

日常業務で求められる安全対策

日本版DBSによる犯罪歴の確認だけでは、子どもと接する業務におけるすべてのリスクを防ぐことはできません。

そのため、採用・配置判断に加え、日常業務に対する安全確保措置を継続的に実施する体制が必要です。ここでは、日常業務で求められる安全対策について解説します。

私的な連絡や接触を制限するルールを整備する

子どもと職員の関係では、業務外の不適切な接触を制限するルールが必要です。

私的なやり取りが増えると、業務上必要な距離を保てなくなり、問題行動の発生リスクが高まります。具体的には、次のような行為を禁止対象として明確にします。

  • SNSアカウントの交換や私的なメッセージのやり取り
  • 休日に個人的に会う行為
  • 保護者の同意を得ない訪問や接触

これらを就業規則に明記し、懲戒や報告などの違反時の対応基準をあらかじめ定めることが重要です。

密室や一対一の状況を避ける運用を徹底する

子どもと職員が二人きりになる状況は、不適切な行為の発生や発見の遅れにつながるリスクがあるため、業務として避ける運用が必要です。具体的には、次の行為を禁止事項として明確にしておきます。

  • 不必要に個室へ呼び出す行為
  • 周囲から見えない場所での指導
  • 介助に必要のない身体接触
  • 着替えを強いる行為

面談や指導は、ほかの職員が確認できる環境で実施することが前提です。また、複数の職員で対応できる体制の整備も重要です。

業務状況を他の職員が確認できる体制を整えることで、子どもと接する業務における「不適切な行為の発生リスク」を抑えられます。

研修や相談体制を整える

安全対策を現場で機能させるためには、日常業務の中で不適切な行為に該当するか判断できるようにしたり、適切に対応できる状態を整えたりする必要があります。

そのためには、次のような内容を学ぶ研修を行いましょう。

  • 子どもと接する業務における禁止行為の具体例
  • 性暴力や不適切な行為が発生する要因
  • 問題発生時の報告手順

これにより、不適切行為に該当するかどうかの判断基準を共有できます。

また、相談体制の整備も重要です。子どもや保護者が不安に感じた際に、直接相談できる窓口を設置すると、担当者を介さずに連絡できる経路が確保できます。

定期的な面談やアンケートを通じて、子どもの様子の確認も不可欠です。急に口数が減る、特定の職員を避ける、通所や通学を嫌がるなどの変化が見られた場合は、まず子どもや保護者の状況をヒアリングし、必要に応じて社内の相談窓口や児童相談所などの関係機関へ連絡します。そのうえで、事実関係を確認して対応することが求められます。

性犯罪歴が確認された場合の対応

日本版DBSの照会により、性犯罪歴が確認された場合、事業者は子どもと接する業務への配置可否を判断し、配置を防止する措置を行う必要があります。対応の流れは、以下のとおりです。

  • 子どもと接する業務への配置可否を判断する
  • 子どもと直接接触しない業務への配置転換の可否を検討する
  • 配置転換が難しい場合は、雇用の継続可否を判断する
  • 被害の申告があった場合は、不適切な行為の有無を確認するための調査を実施する
  • 調査期間中は、安全確保を目的として一時的な自宅待機を検討する

被害の申告があった場合は、社内の相談窓口や外部の専門家(弁護士・社会保険労務士など)に相談しながら調査を進めましょう。また、調査中は当事者同士が接触しないよう配置を調整するといった、安全確保のための対応が必要です。

これらの対応は、労働法に基づいて行います。子どもと接しない業務があるか、実際に配置できるポジションがあるかを確認したうえで、個別に判断することが不可欠です。

子どもの安全と、従事者本人の権利保護の両方を考えながらの対応が重要です。具体的な対応については、社会保険労務士や弁護士に相談することをおすすめします。

日本版DBSの個人情報管理で求められる対応

日本版DBSで扱う性犯罪歴は、漏えいした場合に従事者本人に対して重大な影響を与える情報です。採用・配置可否の判断に使用するため、厳格な管理が必要です。

情報管理規程を整備し、誰が、どのような目的で情報を扱うのかを明確にしましょう。管理方法は、以下のように具体化しておくとよいでしょう。

  • 閲覧できる担当者を必要最小限に限定する
  • 電子データはアクセス制限を設定する
  • 紙媒体は施錠できる場所で保管する

また、不要となった情報は破棄し、復元できない方法で処理をすることが重要です。たとえば、電子データなら専用のデータ消去ソフトや物理破壊で対応し、紙媒体ならシュレッダー処理やセキュリティ破棄業者への依頼を行います。

情報管理は、一度整備して終わりではありません。管理方法が適切に実施されているかを確認し、継続的に見直していく必要があります。

まとめ

日本版DBSは、子どもと接する業務に就く人の性犯罪歴を確認する制度です。

2026年12月の施行に向け、学校だけでなく塾や習い事教室などの民間事業者も対応が求められます。

実務では、照会手続きの整備に加え、子どもと接する業務における安全対策や、性犯罪歴の適切な情報管理を整える必要があります。

制度への対応は、採用・配置判断にとどまらず、日常業務の運用を見直すきっかけになるでしょう。制度開始に備えて、必要な対応を整備し、段階的に準備を進めていくことが重要です。

採用管理や従業員情報の管理体制を見直す場合は、業務の効率化もあわせて検討することが求められます。「freee人事労務」を活用することで、従業員情報の一元管理や各種手続きの効率化が可能になり、制度対応に必要な体制整備をスムーズに進められます。

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よくある質問

DBSとは何の略?

DBSとは、「Disclosure and Barring Service」の略称です。イギリスで運用されている制度であり、犯罪歴の開示と就業制限を扱う仕組みです。

日本版DBSは、この制度を参考にして導入されました。子どもと接する業務に就く人について、性犯罪歴の有無を公的に確認することが共通しています。

日本版DBSの概要については、記事内「日本版DBSとは」でも解説しています。

日本版DBSは誰が見られるの?

日本版DBSで確認される性犯罪歴は、誰でも閲覧できる情報ではありません。取り扱いに対して厳しく制限されています。

照会を行えるのは、学校や塾などの事業者です。事業者は、こども家庭庁を通じて性犯罪歴有無の結果を受け取る仕組みで、警察や裁判所のデータに直接はアクセスできません。

照会の前には、必ず照会対象となった従事者本人の同意を得る必要があります。犯罪歴が確認された場合も、まずは本人に通知され、手続きが継続された場合に限り、採用・配置判断に必要な範囲で事業者に通知される仕組みです。

閲覧できる範囲については、記事内「4. 照会結果を受領する」でも解説しています。

参考文献

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