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競馬の利益には税金がかかる?確定申告が必要な金額や計算方法を解説

監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP

競馬の利益には税金がかかる?確定申告が必要な金額や計算方法を解説

競馬による払戻金(配当金)がどの所得区分として扱われるのか、また申告が必要となる金額や計算方法を解説します。

競馬では、応援したい騎手を選んだり、レースに勝てそうな馬を予想したりして、馬券を購入します。予想が的中すると、払戻金が支払われます。

馬券を買って競馬を楽しむ場合は、競馬で生じる利益にかかる税金について知っておく必要があります。

目次

競馬の利益に税金がかかる?

一般的に、競馬で得た払戻金は「一時所得」に区分され、税金がかかる場合があります。しかし、最高裁の判決により、馬券購入の期間や頻度などを考慮して「雑所得」として区分されたケースもあります。

「一時所得」および「雑所得」として扱われる場合の計算方法を説明します。

一時所得の税金計算方法

一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得」です。

一時所得として代表的な所得は、懸賞や福引の賞金品・生命保険の一時金・損害保険の満期返戻金などがあります。競馬の払戻金も、基本的に一時所得として扱われます。

一時所得の金額は下記のように算出します。

● 一時所得の金額=総収入金額−必要経費−特別控除額(最高50万円)
必要経費とは、収入を得るために支出した費用を指します。競馬の払戻金で必要経費と認められるのは、当たり馬券の購入費です。

さらに、「一時所得の金額×1/2」で算出した額を、給与所得など他の所得と合算して総所得金額を求め、税額を計算します。

雑所得の税金計算方法

雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。代表的な所得は、公的年金や副業などによって生じる所得です。

雑所得の金額は下記のように算出します。

● 雑所得の金額=総収入金額―必要経費
平成29年12月15日に最高裁判所で、馬券購入の期間・回数・頻度・その他の態様・利益発生の規模などの事情を総合的に考慮したうえで、競馬の払戻金を「雑所得」と認められる判決が下されました。

独自の条件設定や計算式に基づいた購入パターンに従い、年間を通じてほぼすべてのレースの馬券を購入し、年間の収支で利益を得られるように多数の馬券を買っていた点などが、「営利を目的とした継続的行為」と判断された理由です。

この判決では、競馬の払戻金が雑所得と認められたため、外れ馬券の購入費も必要経費に含まれています。

競馬で勝った! 確定申告が必要になるのはどんな場合?

競馬で得た払戻金は課税対象ですが、必ずしも確定申告が必要なわけではありません。

一般的な会社員である場合と個人事業主やフリーランスである場合に分けて、確定申告が必要なケースを解説します。

会社員は毎月の給与から源泉徴収され、お勤め先で年末調整をしてもらえるため、基本的には自分で確定申告は行いません。

会社員が確定申告しなければならないのは、給与以外の所得が20万円を超える場合です。

したがって、会社員が得た払戻金が「一時所得」の場合、他の一時所得(特別控除前)との合計額が90万円を超えない限り申告不要です。

また、払戻金が「雑所得」に該当する場合は、必要経費を差し引いた額が20万円以下であれば申告は必要ありません。

ただし、住民税には「20万円以下の申告が不要」というルールはありません。よって20万円以下の所得があり所得税の確定申告をしなかった場合はお住まいの役所・役場で住民税の申告手続きが必要です。

一方で、年間の所得が48万円以上の個人事業主やフリーランスなどは、所得税の確定申告が必要です。確定申告を行う場合は、払戻金の額に関わらず、あわせて申告を行います。

競馬で利益を得たときに知っておきたい税金の知識

馬券を買って競馬楽しむ際に知っておきたい税金に関する知識を紹介します。

競馬で購入した馬券は経費にできるのか

購入した馬券を、経費にできるかどうかは所得区分や事業性の有無によって決まります。

先述の通り、一時所得の場合は当たり馬券の費用は経費にできますが、外れ馬券は経費にできません。一方、雑所得の場合、外れ馬券も含めて、馬券の購入費を必要経費として計上できます。

一般的な馬券購入者であれば、受け取った払戻金は一時所得として扱われます。懸賞や福引の賞金品のような、労働以外で得た偶発的な収入であるためです。

しかし、馬券の購入頻度や期間、継続的に利益を発生しているかなどを考慮した結果、「雑所得」として認められるケースもあります。

競馬で得た利益を申告しないとばれるのか

オンライン購入などは履歴が残るなど、何らかの形で税務署に知られる可能性があります。

過去に、インターネットの自動購入ソフトで馬券を購入して多額の利益を得た人が、「脱税した」として告発された事例があります。

納税は国民義務とされています。申告の必要がある所得を得た場合は、ばれるばれないに関わらず、しっかり申告し納税する必要があります。

申告漏れがばれるとペナルティがあるのか

確定申告漏れが発覚した場合、下記のようなペナルティを課せられる可能性があります。

● 無申告加算税

無申告加算税は、原則、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%を乗じて計算した金額を納めなければなりません。ただし、自主的に期限後申告を行なった場合、無申告加算額は5%まで軽減されます。

● 延滞税

支払うべき税金が期限までに納付されない場合、原則として、法定納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が課されます。

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まとめ

競馬で得た払戻金には、税金がかかる場合があります。

競馬の払戻金の一般的な所得区分は「一時所得」ですが、営利を目的とした継続的行為から得た所得と判断された場合は「雑所得」として認められる可能性もあります。所得区分に応じて、必要経費にできる項目が変わります。

また、会社員で競馬の払戻金を受け取っている人は、給与以外の所得が20万円を超える場合には確定申告を行わなければなりません。

申告漏れがあると、ペナルティを課せられるケースもあるため、注意が必要です。

よくある質問

競馬の利益に税金はかかる?

一般的に、競馬で得た払戻金は「一時所得」に区分され、税金がかかる場合があります。所得の区分や金額により対応が異なるため、確認が必要です。

競馬で得た利益にかかる税金を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

監修 内山貴博(うちやま たかひろ) 1級FP技能士・CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

監修者 内山貴博