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外国人を雇用するメリット・デメリットは?募集方法や注意点、確認事項も解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

外国人を雇用するメリット・デメリットは?募集方法や注意点、確認事項も解説

外国人雇用は、人手不足の解消やグローバル化への対応力向上などのメリットが期待できる反面、日本人雇用に比べて採用コストと手間がかかります。

また、外国人労働者に長期に渡って就労してもらうためには、異文化の受け入れ方法や円滑なコミュニケーションの仕方などを考え、準備しなくてはいけません。

本記事では、外国人雇用の現状を紹介し、雇用するメリットやデメリット、雇用に関わる準備、注意点なども解説します。

目次

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外国人雇用の現状

外国人は、入管法で定められている在留資格の範囲で就労活動が認められており、国内では多くの外国人が就労しています。

令和4年10月末時点の、外国人労働者の数および外国人を雇用している事業所数は以下です。

国内の外国人労働者数と雇用事業所数

● 外国人労働者数:1,822,725人
● 事業所数:298,790所
出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」

外国人労働者の国籍は、ベトナムや中国、フィリピンなどのアジア圏が50%以上を占めています。

また、日本・東京商工会議所が2021年に全国の中小企業およそ6,000社に行った、外国人雇用に関する調査結果は以下です。

外国人労働者の受け入れ割合

● すでに受け入れている:25.6%
● 受け入れ予定・検討中:21.3%
出典:日本・東京商工会議所「「多様な人材の活躍に関する調査」調査結果」

およそ半数の事業者が、外国人雇用をしている、または雇用に前向きであるという調査結果が出ています。また、すでに外国人労働者を雇用している企業の内、「特定技能外国人」の雇用に前向きな事業者は65%超でした。

上記から、外国人雇用は事業者にとって軽視できない状況と言えます。外国人雇用を検討している場合は、優れた人材の確保に向けて、早期の情報収集や雇用態勢の構築が必要です。

外国人雇用で利用できる助成金は「外国人雇用で利用できる助成金ではいくらもらえる? 要件や支給額、注意点も解説」で詳しく解説しています。

外国人雇用のメリット

外国人雇用をする主なメリットは次の4つです。

外国人雇用のメリット

● 労働力を確保できる
● 社内へのよい影響が期待できる
● 語学力が大きな戦力になる可能性がある
● 多様な人材によるシナジー効果が期待できる
各メリットの内容を紹介します。

労働力を確保できる

外国人雇用により、労働者不足が解決される可能性があります。

現在、国内ではサービス業を中心に人材不足が深刻化しています。近年問題視されている少子高齢化も、人材不足が深刻化する要因です。こうした問題のなかでも、安定した労働力の確保は必要です。職場の労働者不足は、外国人雇用により改善されるでしょう。

社内へのよい影響が期待できる

外国人雇用は、社内によい影響をもたらす可能性があります。

母国を離れた他国で就労する意欲があり、かつ、母国語と異なる言語を就労可能なレベルで習得している点は、外国人労働者の意欲および能力が高水準にあると判断できるでしょう。

外国人雇用により、ほかの社員も感化され、社内の活力向上が期待できます。

語学力が大きな戦力になる可能性がある

外国人労働者は、日本語に加え少なくとも母国語を習得しているため、意思疎通が難しい外国人を顧客とする業種では、外国人労働者の語学力が大きな戦力になる可能性があります。

また、海外進出を検討している場合は、進出先の文化や民族性を知る外国人労働者がいると、現地での交渉やマーケティングでも活躍が期待できます。事業拡大も効率的に行えることが期待できるでしょう。

多様な人材によるシナジー効果が期待できる

外国人雇用は、日本とは異なる文化や習慣の受け入れを意味します。

文化が違えば価値観も違うため、今まで発想もしなかった業務内容の改善や効率化、新サービスの創出につながる可能性が高いです。

また、外国人労働者にとっても、日本で高水準のサービスや技術を学べるため、シナジーが期待できます。

外国人雇用のデメリット

外国人雇用をする主なデメリットは次の3つです。

外国人雇用のデメリット

● コミュニケーションが難しい場合がある
● 文化・習慣の違いに戸惑う
● 採用コストと手間がかかる
各デメリットの内容を紹介します。

コミュニケーションが難しい場合がある

外国人労働者の言語レベルは、必ずしも同じではありません。労働者によって、スムーズな対話が可能だったり、ゆっくりとした会話ペースが求められたりとまちまちな場合がほとんどです。

したがって、外国人雇用では、いざ業務を行ってからトラブルにならないよう、面接段階で会話力の確認は必須と言えます。

会話力の確認や目安の設定には、厚生労働省が提供している「就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール」などの活用がおすすめです。

文化・習慣の違いに戸惑う

国によって文化・習慣は異なるため、日本ではあたり前と思えるようなサービス内容でも、外国人労働者の母国では違う可能性が高いです。

文化・習慣の違いは意識の違いを生み、従業員間だけでなく、顧客とのトラブルに発展しかねません。

外国人を雇用する場合は、労働者の母国に関しての理解を深め、従業員へ周知するようにしてください。また、外国人労働者にも、日本の文化・習慣に関して理解をしっかり求めることが重要です。

採用コストと手間がかかる

外国人雇用の場合は、書類の確認項目や提出書類など、日本人雇用にない手続きが必要です。

普段やり慣れていないため、外国人雇用の経験が少ない場合は、手続きに時間がかかる可能性が高いでしょう。また、受け入れの準備を含め、さまざまなコストがかかる覚悟をしておかなくてはいけません。

雇用する外国人労働者の募集方法

外国人労働者の主な募集方法は以下です。

外国人労働者の募集方法

● 公的機関(ハローワークや外国人雇用センター)
● 自社ウェブサイト
● 自社SNS
● 留学生向けの企業説明会
● 学校への求人掲載
● 人材紹介会社など
募集方法の選択は、採用計画や募集の予算など自社の状況にあわせて選ぶとよいでしょう。

外国人雇用の準備内容

まずは、外国人雇用を成功させるための重要なポイントを確認しておきます。

外国人労働者雇用時のポイント

● リアリティショックの予防:事前情報と現実の乖離を小さくする
● コミュニケーションの工夫:言語の習得レベルや文化・習慣を理解する
上記を踏まえて、外国人雇用に必要な準備内容を段階ごとに紹介するので、参考にしてください。

➀受け入れ決定後に行う準備

外国人雇用を決定した場合の準備内容は、以下です。

雇用の準備内容

● 異文化の受け入れを理解する
● 外国人雇用に必要な知識を把握する
外国人雇用は、異文化の受け入れなので、文化や習慣の違いを理解することが大切です。また同時に、雇用可能な在留資格や必要な届け出に関わる知識も把握しなくてはいけません。

➁面接までに行う準備

求人に応募があった場合は、面接前に面接参加者の選定やスケジュール調整を行います。

また、リアリティショックの予防として、面接で伝える情報も事前に精査しておきましょう。リアリティショックの予防に関連する項目は、以下のような内容が挙げられます。

リアリティショックの予防項目

● 実際の業務内容
● 職場環境
● 地域の気候
● 生活上の利便性など
採用には、多くの時間とコストがかかります。内定が決まっても雇用が長続きしなくては、採用した意味がなくなってしまいます。長く安心して働いてもらうためにも、外国人が実際に就労した場合は、職場や地域の情報をできるだけわかりやすく伝えましょう。

職場や地域の魅力も同時に伝えられると、入社意欲につながる可能性も高くなります。

➂内定から入社までに行う準備

雇用が確定した場合は以下の準備をしてください。

入社までに行う準備

● メンターの選定
● 必要な資料の準備
● 進捗確認と計画の実行
外国人雇用を効果的にするためには、業務を教えるためのメンターの選定・マニュアル・チャックシート・双方の国を理解するための資料の用意など、受け入れ準備が必要です。

また、実際に従業員として働き始めるまでの計画立てや、準備の進捗具合も確認するようにしてください。

なお、業務開始後は、業務面や精神面でのサポートが重要なので、定期的な面談を行い労働者の状態を確認する場を設けることが大切です。

外国人雇用の注意点と確認事項

外国人雇用は、日本人雇用と手続きが異なります。具体的には、以下の内容を確認する必要があります。

入社ま外国人雇用時の確認事項

● 外国人雇用状況の届け出について
● 募集・採用について
● 外国人労働者の労働条件等について
● 外国人労働者の安全衛生の確保について
● 労働保険・社会保険について
● 人事管理・生活支援等について
● 解雇予防・再就職援助について
● 労働者派遣・請負について
● 雇用労務責任者の選任について
● 在留資格に応じた措置について
それぞれの注意点と確認事項を紹介するので、参考にしてください。

外国人雇用状況の届け出について

外国人雇用をした場合は、「外国人雇用状況の届け出」を期限までにハローワークへ提出する義務があります。

雇用した外国人労働者の氏名・在留資格・在留期間・在留カード番号などの記載項目を、在留カードなどで確認のうえ、漏れなく記入しなくてはいけません。

外国人雇用状況の届け出について

出典:厚生労働省「外国人雇用は ルールを守って適正に」

なお、外国人労働者が離職した場合も同様に、「外国人雇用状況の届け出」を提出しましょう。

募集・採用について

外国人労働者の募集や採用の際は、以下を確認してください。

募集・採用時の確認事項

● 外国人労働者が、職業紹介事業者などから違約金や、保証金の徴収などを行う斡旋を受けていないか確認する
● 採用する外国人労働者に従事させる予定の業務が在留資格上、問題ないことを確認する
なお、在留資格を有していない、不法就労となる外国人を雇用すると、懲役3年以下または300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

また故意でない場合であっても、状況から確認を怠ったと判断され、不法就労者を雇用したと認められた場合も処罰の対象となるため、注意しましょう。

外国人労働者の労働条件等について

外国人労働者の労働条件に関しては、以下の内容を遵守する必要があります。

外国人労働者の労働条件

● 労働者の国籍を理由に、労働条件の差別的取り扱いをしない
● 賃金や労働時間などの労働条件に関して、外国人が理解できる方法で明示する
● 賃金を適正に支払うとともに、食費や居住費などを控除する場合に不当な額とならないようにする
● タイムカードなどの客観的な方法により、上限規制の遵守を含め、労働時間を適正に管理する
● 労働者名簿、賃金台帳や年次有給休暇管理簿を作成し、適切に管理する
● 外国人労働者の旅券や在留カードを保管しないようにする
● 短時間や有期雇用労働者または派遣労働者の外国人労働者に関して、通常の労働者と同様に取り扱いをする
なかには法違反に該当し、罰則を課せられる場合もあるので注意してください。

外国人労働者の安全衛生の確保について

安全衛生教育や健康相談の実施は、法律により定められているため、外国人労働者にも必要です。

したがって、安全衛生教育や労働災害を防止するための標識や掲示などに関しては、母国語や図解などを利用し、外国人労働者が理解できる方法で行ってください。

また健康診断や面接指導、ストレスチェックも定期的または必要に応じて実施する必要があります。

なお、女性の外国人労働者に対しては、産前または産後休暇など母性保護に関する措置も必要です。

労働保険・社会保険について

外国労働者には、労働保険や社会保険も日本人と同じように適用されます。

適切に労働保険や社会保険の適用手続きを行うようにするとともに、必要に応じて、外国人労働者の労働保険、社会保険の給付請求などに関わる援助を行うようにしてください。

人事管理・生活支援等について

外国人労働者は、日本語を完全に理解しているわけではないため、社内規程の多言語化など円滑なコミュニケーションのための環境整備が大切です。

ほかにも、外国人雇用を行う事業者は、以下の人事管理および生活支援に努めなくてはいけません。

外項人労働者への人事管理・生活支援

● 賃金決定や配置などの人事管理を公正に行い、外国人労働者の適切な待遇を確保する
● 外国人労働者に対して、日本社会に円滑に適応できるよう支援を行う
● 帰国する場合にも必要な支援を行う
適格な管理や支援を行い、外国人労働者が安心安全に生活できるような体制作りを心がけてください。

解雇予防・再就職援助について

事業主は、外国人労働者に対して、安易な解雇や雇止めを行わないように努めなくてはいけません。

事業主側のやむを得ない事情で外国人労働者を解雇する場合は、外国人労働者が再就職できるよう、関連企業への斡旋や職業訓練の実施、または受講斡旋などを行うようにしてください。

なお、業務上の負傷または病気療養のために休養した場合、休養期間および休養後30日間は、解雇が禁止されています。

労働者派遣・請負について

派遣労働者を受け入れる場合は、労働者派遣事業の許可を受けていない事業者からの労働者派遣を受けてはいけません。

労働者派遣や請負は、職業安定法および労働者派遣法を遵守し、適切な雇用管理を行うように注意してください。

なお、派遣元事業主は、派遣先での業務や就業場所などの具体的な内容を、派遣される外国人労働者に明示する必要があります。

雇用労務責任者の選任について

外国人労働者を常時10人以上雇用しているときは、人事課長を始め役職にある者を雇用労務責任者に選任してください。

在留資格に応じた措置について

外国人雇用では、在留資格に応じて必要な措置を確認する必要があります。在留資格別の必要な措置は以下です。

在留資格必要な措置
特定技能● 出入国管理や難民認定法の規定に基づく特定技能雇用契約の基準や受入れ機関の基準に留意する
● 適切に支援および必要な届け出を実施する
技術実習● 「技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する基本方針」などの内容に留意する
● 技能実習生に対し実効ある技能などの修得が図られるように取り組む
留学生● 新卒者を採用する際は、留学生を理由に対象から除外しない
● インターンシップや職場体験は、企業などに対する理解の促進や職業意識の形成支援などであることに留意する
● アルバイトの雇用は資格外活動許可が必要になる


なお、外国人留学生の資格外活動は、原則週28時間以内の就労になるので注意してください。

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まとめ

外国人雇用は、事業者が抱えている労働力不足の問題を解決する手段となり得ます。

ただし、日本人を雇用する場合とは異なり、確認項目や手続きが多いため、採用までのコストと手間がかかる可能性が高いです。

また外国人雇用では、外国人労働者の母国文化への理解やコミュニケーション、教育方法などを考慮する必要があるため、ハードルが高いと感じるかもしれません。

しかし、外国人雇用に前向きな企業も多いため、後手になると実際に人材が必要なときに、よい人材の確保が難しくなる可能性も考えられます。

いざ雇用が必要なときに慌てないように、今の段階から理解を深め、準備を始めましょう。

よくある質問

外国人を雇用するメリットは?

外国人雇用のメリットは、「労働力の確保」「社内へのよい影響が期待できる」「語学力が大きな戦力になる可能性がある」「多様な人材によるシナジー効果が期待できる」などです。

外国人を雇用するメリットを詳しく知りたい方は「外国人雇用のメリット」をご覧ください。

外国人を雇用するためにはどうすればよい?

外国人労働者の雇用は、「公的機関」「求人広告」「大学や専門学校」「紹介会社」などを利用しての募集が一般的です。採用計画や予算などにあわせて適切な媒体を選んでください。

外国人を雇用する方法を詳しく知りたい方は「雇用する外国人労働者の募集方法」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史