会社設立の基礎知識

合同会社を設立する流れとは?自分一人で手続きする方法や必要書類・費用を解説

監修 松浦 絢子(弁護士)

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

法人設立時に知っておきたい「合同会社」と「株式会社」の違い"合同会社を設立する流れとは?自分一人で手続きする方法や必要書類・費用を解説"

合同会社とは、アメリカの「Limited Liability Company」をモデルとした会社形態で、2006年施行の会社法によって誕生しました。現在、国内では株式会社に次いで設立数の多い会社形態となっています。

手続きは株式会社ほど煩雑ではなく、1人でも設立できるため、小規模事業やスモールスタートで会社設立を検討する人にとって、有力な選択肢のひとつです。また、株式会社と比較すると設立にかかる費用も抑えられます。

本記事では、合同会社を設立するまでの流れや必要な手続き、費用について詳しく解説します。

目次

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合同会社はひとりでも設立できる

合同会社はひとりでも設立可能です。ほかに社員を雇っていない場合や、雇用の予定がない場合でも設立でき、設立者本人が代表社員となって会社を運営します。

合同会社などの法人は、個人事業主とは適用される税金の種類や税率の仕組みが異なり、一定の所得がある場合は、個人事業主に適用される所得税率よりも、法人に適用される法人税率のほうが低くなる場合があります。

そのため、一定以上の事業所得がある場合は、法人化が節税につながるかもしれません。

また、個人事業主が加入する市区町村の国民健康保険に比べ、法人役員として加入する協会けんぽのほうが健康保険料の負担額が少ない傾向があります。そのため、節税だけでなく、社会保険料を含めた全体の負担を見直す目的で法人化を検討するケースもあります。


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合同会社を設立する流れ

合同会社の設立には、準備から登記申請までにおよそ2週間程度かかります。円滑に合同会社を設立するためにも、事前に流れを確認し準備を進めましょう。

①会社の基本情報を決定する

まず、合同会社を設立するために以下の基本情報を決定します。

合同会社を設立するための基本情報

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 資本金(出資財産額)
  • 社員(設立時社員)の氏名と住所
  • 社員構成の決定
  • 会計年度(任意的記載事項)

これらは後述する定款(ていかん)でも必須の記入項目であり、記入がないと定款自体が無効となります。なお、定款とは、会社の基本事項や運営上のルールを定めた書類であり、会社設立でもっとも重要な書類のひとつです。

商号(会社名)

会社の名前となる商号には、いくつかのルールが定められています。

商号には、登記に用いることができる文字や符号に一定の制限があります。また、有名企業の名前や、法律で制限されている業種名(例:銀行・信託・保険など)を商号にすることはできません。

合同会社の場合は、社名の前後に合同会社の文字を入れる必要があります。商号は登記簿に記載されるほか、契約書や請求書などの対外的な文書でも使用されます。

なお、同じ本店所在地で同じ商号の会社は登記できません。同一商号の会社の存在は、法務局のオンライン登記情報検索サービスで確認できます。


出典:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」

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事業目的

会社が行う事業内容を決めます。定款に記載のない事業を行うことはできないため、将来的に行う可能性のある事業も見据えて、記載しておくことが一般的です。

ただし、事業目的が多すぎると、事業の実態がわかりにくくなる恐れがあります。そのため、事業目的の過度な記載は控えることが望ましいです。

事業目的が多くなる場合は、主な事業目的を記載したうえで、「前各号に付帯関連する一切の事業」と記載する例もあります。関連する事業を包括的に表現しやすくなるためです。


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本店所在地

本店所在地は、登記簿上の会社の本拠地であり、特に制限なく自由に決定できます。本店所在地としては、自宅や賃貸事務所などを用いることができ、変更する場合は本店移転の登記を行います。

定款に本店所在地を記載する場合は、番地を含まない最小行政区画までの記載で十分ですが、登記申請の際は番地まで記載が必要です。

本店所在地の記載例

定款の記載例:東京都品川区
登記簿上の記載例:「東京都品川区南大井1丁目2番地3号」

資本金(出資財産額)

資本金には下限がなく、合同会社は法的に1円からでも設立できます。ただし、一般建設業の場合は、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力があることなど、一定の財産的基礎・金銭的信用がないと許認可を受けることができません。

資本金額は、初期費用に加え、約3ヶ月から半年の間売り上げがなくても事業を継続できる程度の金額に設定するのが一般的です。資本金は会社の信用力を示す指標のひとつでもあるため、取引先や金融機関に参照されることを踏まえて合理的な金額を設定しましょう。


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社員(設立時社員)の氏名と住所

合同会社の設立に必要な社員(設立時社員)の氏名と住所を記載します。なお、株式会社でいう「発起人」に相当する役割を担うのが、合同会社の設立時社員です。

社員構成の決定

合同会社では、原則として社員全員が業務執行権を有しています。そのため、同じ立場で経営を行うと、意見の衝突や認識の違いにより会社運営に支障をきたす可能性があります。

事業を円滑に進めるためには、責任と権限を明確にし、役割を定めておくことが重要です。そのため、実際に業務を遂行する「業務執行社員」や、社員を代表して決定権をもつ「代表社員」をあらかじめ定めておきましょう。

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会計年度(任意的記載事項)

会計年度とは、会社が収支を計算する期間のことです。一般的には、1年間(例:4月1日から3月31日までの期間)とされています。国の会計年度にあわせるか、繁忙期を避けるケースが多く見られますが、期間は自由に設定できます。

事業の性格や状況の変化、会計年度が事業活動に与える影響、法改正などを踏まえ、会社設立後に会計年度を変更することも可能です。

②法人用の実印を作成する

実印(代表者印)は、会社が意思決定する重要な場面で使用する印鑑です。具体的には会社設立時やその後の登記申請、重要な契約の締結時などに活用されます。

商号が決まったら実印を作成し、登記申請時に法務局へ印鑑届出書を提出します。法務局のWebサイトに印鑑届出書の記載例があるので、参考にしながら記入しましょう。

なお、2021年の法改正で、オンライン申請の場合には印鑑の提出が任意となりました。実際に事業を行ううえで押印が必要な場面は多くあるものの、オンラインでの登記申請では、手続き上必須ではありません。


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③定款を作成する

定款には、会社の基本情報を記載します。定款の記載事項は、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3種類に分類されます。具体的な項目は、以下のとおりです。


項目内容
絶対的記載事項・目的
・商号
・本店の所在地
・社員の氏名または名称および住所
・社員の全部を有限責任社員とする旨
・社員の出資の目的およびその価額または評価の標準
相対的記載事項・持分の譲渡の要件
・業務を執行する社員の指名または選任方法
・社員または業務執行社員が2人以上ある場合の業務の決定方法
・合同会社を代表する社員(代表社員)の指名または互選
・存続期間または解散の事由 など
任意的記載事項・業務執行社員の員数
・業務執行社員の報酬
・事業年度 など
出典:法務省「合同会社の設立手続について」

絶対的記載事項は定款に必ず記載すべき事項であり、相対的記載事項は定款への記載により効力が発生する事項です。任意的記載事項は、会社法の規定に違反しない範囲で自由に記載できます。

また、定款の作成方法は紙と電子の2種類です。電子定款を選択すれば、収入印紙代が不要となり、コストを削減できます。


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④出資金払込をする

合同会社設立時には、出資者が設立登記までに資本金を払い込む必要があります。しかし、法人口座の開設は登記完了後でなければできません。そのため、実務上は、設立時社員や代表社員の個人口座を用いて払込を行うことが一般的です。

登記申請の際は払込証明書が必要となるため、「通帳の表紙と1ページ目」および「振込内容が記載されているページ」をコピーするなどして準備しておきましょう。

⑤登記に必要な書類を作成しまとめる

合同会社設立に必要な書類は以下のとおりです。

合同会社設立に必要な書類

  • 定款
  • 印鑑届出書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 払込証明書
  • 代表社員、本店所在地および資本金決定書(定款に記載されていれば不要)
  • 代表社員就任承諾書
  • 登記すべき事項を記載した書面、または登記すべき事項を記録したCD-R等の電磁的記録媒体
  • 登録免許税納付用台紙
  • 合同会社設立登記申請書

また、書類は以下の順番で綴じ、まとめておきましょう。

登記申請書・登録免許税納付用台紙を綴じる

まず、「登記申請書」「登録免許税納付用台紙」の順番にホチキスで左綴じにします。見開き部分には、会社実印を捺印します。

払込証明書・通帳のコピーを綴じる

次に、会社実印を捺印した払込証明書に、資本金払込をした通帳のコピーをまとめてホチキスで綴じます。こちらも見開き部分の全てに会社実印を捺印します。

登記申請書類をひとつにまとめる

最後に、事前に綴じておいた上記の書類も含め、以下の順番で登記申請書類をひとつにまとめます。

登記申請書類をまとめる順番

  • 登記申請書(登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼付した状態)
  • 定款
  • 代表社員、本店所在地および資本金決定書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 払込証明書(通帳のコピーを添付した状態)

⑥本店所在地を管轄している法務局に登記書類を提出する

必要書類を法務局に提出すれば、設立登記の申請は完了です。法務局への申請方法は、書面申請とオンライン申請の2つの方法があります。


申請方法内容
書面申請・本店所在地を管轄する法務局の窓口へ直接持参もしくは郵送する方法

※QRコード付き書面申請(専用ソフトウェアで作成した申請者情報を送信後、書面を窓口・郵送で提出する方法)も選択可能
オンライン申請申請用総合ソフトウェアを利用して申請する方法
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」

登記申請書や定款などを書面で作成した場合は、法務局の窓口に持参するか、郵送で提出します。オンラインで申請する際は、申請用総合ソフトウェアを利用して申請者情報を作成し、必要書類を添付します。

オンライン申請はオフィスや自宅から申請できますが、電子証明書の取得をはじめとした事前準備が必要です。

登記書類を提出した後、書類に不備がなければ、提出から1週間前後で登記が完了します。このとき、法務局からの完了連絡はありません。

会社設立日は、原則として登記申請をした日です。ただし、2026年2月2日以降は、一定の要件を満たす場合に、土日祝日など行政機関の休日を設立日として指定できる特例も利用できます。


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合同会社設立に必要な費用

合同会社の設立にかかる法定費用は、紙定款で手続きする場合は約10万円、電子定款であれば最低6万円です。合同会社は公証役場での定款認証が不要なため、法定費用としては、紙定款の場合の収入印紙代と設立登記時の登録免許税が中心となります。

そのほか、変動費用として、印鑑の作成費用(銀行印や社判など)・印鑑証明書の取得費用・登記簿謄本の取得費用などがあります。


項目金額
必ずかかる法定費用定款の収入印紙代4万円(電子定款の場合は不要)
登録免許税6万円もしくは、資本金の0.7%(どちらか高い方)
変動する費用印鑑の作成費用(銀行印や社判など)1万~1万5,000円
印鑑証明420~500円
登記簿謄本490~600円
出典:法務省「合同会社の設立手続について」
出典:法務省「登記手数料について」


合同会社設立後にかかる維持費用

合同会社設立後にかかる維持費用は、以下が挙げられます。

合同会社設立後にかかる維持費用

  • 法人住民税
  • 社会保険料(健康保険や厚生年金などの保険料)
  • 定款変更にかかる費用(登録免許税・専門家への依頼費用)
  • 税務申告にかかる費用(専門家への依頼、会計ソフトの費用など)

法人住民税は、法人が事業所を置く地方自治体に納める地方税です。法人にかかる税金には、法人税・法人事業税・法人住民税などがあり、法人住民税の均等割は、事業が赤字であっても原則課税されます。

また、合同会社を含む法人事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用対象となり、役員報酬を支給する場合には、会社側にも社会保険料の負担が生じます。従業員を雇う場合は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入も必要で、その保険料負担も発生します。

そのほか、定款変更をする場合には登録免許税などの支払いが必要です。また、税務申告に向けては専門家への依頼、会計ソフトの費用などが発生します。


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合同会社設立後に必要な手続き

合同会社設立後に必要な手続き

会社の登記が完了しても、すぐに事業を開始できるわけではありません。設立後、各種の行政手続きを行う必要があります。登記後に行うべき主な手続きは、大きく分けて以下の4つです。

税務について「税務署」に届け出る

合同会社設立後は、会社の本店所在地がある地域を管轄する税務署へ各種届出を提出する必要があります。提出する主な書類は以下の4点です。

税務署へ提出する主な書類

  • 法人設立届出書(必須)
  • 給与支払事務所等の開設届出書(必須)
  • 青色申告の承認申請書(任意)
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意)

出典:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」
出典:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
出典:国税庁「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

提出期限は書類によって異なるため、期限を確認したうえで速やかに準備しましょう。


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地方税について「地方自治体」に届け出る

設立後は、地方税について本店所在地がある都道府県・市区町村へ届け出る必要があります。提出する書類は以下の3点です。

都道府県税事務所へ提出する主な書類

  • 法人設立届出書
  • 定款のコピー
  • 登記事項証明書

出典:eLTAX「法人設立・設置届出書 記載要領」

提出期限は各自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。

社会保険について「年金事務所」に届け出る

法人には社会保険の加入義務があります。社会保険には「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3種類があり、提出すべき書類は以下の3点です。

「健康保険・厚生年金保険新規適用届」および「被保険者資格取得届」は事実発生から5日以内に提出しなければなりません。健康保険被扶養者(異動)届は、被扶養者がいる場合に届出が必要になります。期限が短いため、速やかに対応しましょう。


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労働保険について「労働基準監督署」「ハローワーク」で手続きを行う

会社を設立し従業員を雇用した場合は、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入が義務となります。

労働基準監督署への提出書類は、以下のとおりです。

労働基準監督署へ提出する主な書類

  • 労働保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書
  • 就業規則(変更)届(従業員が10名以上の場合)
  • 適用事業報告書

出典:厚生労働省「労働保険の成立手続」
出典:厚生労働省高知労働局「届出・報告、許可・認定申請の概要」

労働基準監督署で労働保険の保険関係成立手続きを行った後は、必要に応じて管轄のハローワークで雇用保険の手続きを行います。

提出条件や提出期限は各書類で異なるため、事前に確認したうえで対応しましょう。

法人口座を開設する

法人口座の開設は個人口座と比べて時間がかかるため、早めに手続きを進めましょう。法人口座開設の際には、一般的に商業登記簿謄本や定款、会社・代表者の印鑑証明書、代表者の本人確認書類、会社の運営実態がわかる資料などが必要です。

会社設立後に法人口座を開設しておくと、以下のようなメリットがあります。

法人口座を開設するメリット

  • 財務状況の把握がしやすくなる
  • 取引や融資で社会的な信用が得やすくなる
  • 補助金・助成金の申請で必要なことがある

法人設立時に知っておきたい「合同会社」と「株式会社」の違い

合同会社と株式会社の主な違いは以下のとおりです。


項目合同会社株式会社
意思決定機関社員の過半数株主総会
出資者社員株主
経営者業務執行社員取締役
出資者と経営者の関係一致分離
責任の範囲有限有限
決算公告義務なしあり
定款の作成必要必要
定款の認証不要必要
設立に必要な費用の目安約10万円~約22万円~
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「株式会社、LLC、LLPの比較」

合同会社は、登録免許税が6万円~(株式会社では15万円~)など、株式会社と比べると費用を抑えて設立も可能です。設立の手続きも定款認証が必要な株式会社と比較すると、少ない手間で済ませられます。

会社の仕組みとしては、株式会社が出資者(株主)と経営者(取締役)が分かれるのに対し、合同会社では全ての社員が出資者 = 経営者として決定権をもちます。また、定款で自由に組織設計がしやすい点も株式会社と比較したときの特徴です。

一方、合同会社は株式市場に上場ができません。そのため、上場による資金調達などを考えている場合は十分な検討が必要です。なお、合同会社から株式会社への組織変更の方法は、次項で詳しく解説します。


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合同会社設立後に株式会社に組織変更する方法

合同会社を設立した後、資金調達方法の拡充や社会的信用の向上、組織拡大などを目的に株式会社に変更するケースも少なくありません。
以下では、組織変更に必要な手続きの流れと費用を解説します。

組織変更に必要な手続き

合同会社から株式会社へ組織変更するには、法律で定められた正式な手続きを踏む必要があります。株式の発行や債権者対応など、関係者に影響する事項が多いため、流れに沿って正確に進めましょう。

主な手続きは、以下のとおりです。

組織変更に必要な手続き

  • 組織変更計画書を作成、社員全員の同意を得る
  • 組織変更の公告を行う
  • 株式会社の設立登記
  • 組織変更の登記申請
  • 税務署、市区町村、年金事務所等に変更の旨の届出書を提出
  • 債権者保護の手続き

組織変更に伴う費用

合同会社から株式会社に変更するには、以下の費用が必要です。


事項発生費用
官報への公告掲載費約3万円
(掲載する発行部数や会社概要によって異なる)
登録免許税合同会社解散登記:3万円
株式会社設立登記:資本金額×0.7%(最低3万円)
出典:全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」


合同会社から株式会社への組織変更では、債権者保護の手続きのため、少なくとも40日ほどの期間を要します。

また、組織変更に際して債権者が異議を申し立てる場合がありますが、弁済や担保の提供など必要な措置を講じれば、株式会社への変更手続きを進めることが可能です。

合同会社の設立を検討すべきタイミング

事業形態やライフステージの変化など状況によって異なりますが、個人事業主が法人化を検討すべきタイミングは主に以下の2つです。

事業を拡大したいとき

事業が軌道に乗り拡大を検討する段階では、資金調達や取引の面で個人事業主より法人のほうが有利に働く場合があります。

今後、事業拡大を目指して取引先を拡大する場合や新しく社員を雇用する予定がある場合は、法人化を検討しましょう。

年間売上が800万円以上となったとき

法人化すると個人事業主より経費として認められる範囲が広がるため、年間売上が800万円以上であれば法人化したほうがメリットを得られる可能性があります。

また、所得が増えると個人事業主が加入する国民健康保険の負担は重くなるため、比較的負担の少ない協会けんぽに加入する目的で法人を設立する場合もあります。

各種控除や経費の割合によっても判断は変わりますが、将来的に法人化を視野に入れている場合は、早い段階で法人化を検討するとよいでしょう。


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合同会社を設立するメリット

合同会社を設立するメリットには、以下のような点が挙げられます。

社会的信用を得られるため融資が受けやすい

法人化の際は、商号・住所・資本金などの情報を登記する必要があります。登記により会社の基本情報が公示されるため、対外的な信用面でプラスに働く場合があります。これにより、金融機関からの融資審査で有利に働く場合があります。

さらに、大企業や公的機関などとの取引では、法人であることが信用に関わるケースも少なくありません。法人化によって得た信用により、個人事業主のときは取引できなかった企業とも取引できる可能性があります。

連帯保証をしていない限り有限責任になるため経営悪化時のリスクが低下する

経営が傾いた場合でも、合同会社では法人の負債は出資の範囲内でのみ負担する有限責任となります。原則として代表者や役職員が法人の負債を全額支払う責任はありません。

一方、個人事業主は無限責任を負うため、借入金や仕入れ先への未払い金などの負債は、原則として全て自己負担です。そのため、個人で返済できない場合は自己破産をせざるを得ません。

このように、法人化をすれば、個人保証などがない限り、出資額を超えて責任を負わない点が大きな特徴です。ただし、中小企業の場合は、法人の借り入れに対して法人の代表者個人の連帯保証を求められることがあります。

連帯保証をしている場合は、法人が倒産すると、連帯保証人個人が法人に代わって負債の全額を支払う義務を負うことになります。

経費として認められる範囲が広がるため節税効果が高まる

経営者自身の報酬を役員報酬として損金に算入できる点は、個人事業主では得られないメリットのひとつです。

また、合同会社にかかる法人税率と個人事業主の所得税率を比較すると、所得が900万円以上であれば法人税のほうが低くなります。

これは、個人事業主に課される所得税が超過累進課税であるためで、所得の増加に応じて法人化が有利に働く場合があります。

社会保険に加入できる

個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金の加入が基本となり、原則として社会保険には加入できません。

一方、合同会社を設立すると、社会保険への加入が義務付けられます。健康保険や厚生年金保険などの社会保険の加入は、従業員だけでなく代表社員をはじめとする役員も対象です。

社会保険は国民健康保険より扶養制度や手当が充実しており、国民年金より将来受け取る年金額を増やすことも可能です。そのほか、所得次第では、国民健康保険の保険料よりも協会けんぽなど社会保険の健康保険料の負担が軽くなることがあります。

合同会社を設立するデメリット

合同会社を設立する際には、デメリットも把握しておく必要があります。

恒常的な事務負担が増加する

法人化することで信用は高まりますが、会計業務・税務・法務などの業務がより厳格なものとなります。

決算処理などは、通常の業務に加えて行う必要があるため、慣れていない場合は事務作業が通常業務の負担になる恐れがあります。

特に1人で会社を設立した場合は、全てを自身で行わなければなりません。そのため、税理士などの専門家へ依頼する、または各種ツールを活用するなどの対策が必要です。

設立に手続きの手間や費用がかかる

合同会社の設立には、紙定款であれば法定費用として約10万円、電子定款であれば最低6万円がかかり、登記手続きや各所への届出などの手間も要します。そのほか、登記事項を変更する場合は登記申請が必要となり、費用も発生します。

これらの手続きは、日々の仕事の合間に行わなければならないため、負担となる点がデメリットのひとつです。

赤字でも納税が必要

個人事業主は赤字の場合、原則として確定申告が不要となるため、所得税は課税されません。ただし、純損失の繰越控除などを受けるために確定申告をするケースもあります。

一方、法人は事業が赤字であっても、法人住民税を納税しなければなりません。

事業が安定していない、余剰資金が少ないなどの場合には、負担が重くなる点を十分に考慮する必要があります。

まとめ

合同会社の形態が新たに設けられて以来、小規模な会社がより設立しやすくなりました。

合同会社を設立する最大のメリットは、設立費用の低さと経営の自由度の高さです。特にスピーディーな意思決定が求められる創業期には、合同会社のメリットが大いに発揮されます。

事業が軌道に乗り、事業拡大や資金調達を検討する段階になれば、合同会社から株式会社への組織変更も可能です。

各種メリットやデメリットを理解したうえで、合同会社の設立を検討しましょう。

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よくある質問

合同会社は自分で設立できる?

合同会社はひとりでも設立可能です。合同会社をひとりで設立した場合は、設立した本人が代表社員として会社の事業を運営します。

詳しくは、記事内「合同会社はひとりでも設立できる」をご覧ください。

合同会社設立に必要な書類は?

合同会社設立に必要な書類は、以下のとおりです。

合同会社設立に必要な書類

  • 定款
  • 印鑑届出書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 払込証明書
  • 代表社員、本店所在地および資本金決定書(定款に記載されていれば不要)
  • 代表社員就任承諾書
  • 登記すべき事項を記載した書面、または登記すべき事項を記録したCD-R等の電磁的記録媒体
  • 登録免許税納付用台紙

合同会社設立に必要な書類について詳しくは記事内「⑤登記に必要な書類を作成しまとめる」をご覧ください。

合同会社がダメといわれるときの理由は?

合同会社を設立するデメリットは、恒常的な事務負担が増加すること、設立に手続きの手間や費用がかかること、赤字でも納税が必要な点などです。

一方、メリットは、社会的信用を得られるため融資が受けやすい、倒産時のリスクが低下する、節税効果が高まる、社会保険に加入できるなどの点が挙げられます。

合同会社を設立するデメリット・メリットについて詳しくは記事内「合同会社を設立するデメリット」「合同会社を設立するメリット」をご覧ください。


【関連記事】
合同会社はやばい?やめとけといわれる理由や設立に向いている人・メリットを解説

参考文献

監修 松浦 絢子弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

松浦 絢子弁護士

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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