会社設立の基礎知識

創業補助金とは?起業時に活用できる種類と利用方法について解説

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

創業補助金とは?起業時に活用できる種類と利用方法について解説

創業時には、資金の確保が課題になることがあります。資金は投資家や金融機関からの出資だけではなく、国や自治体からの補助金により集めることも可能です。

たとえば、過去には創業時にかかる経費の一部を支援する「創業補助金」などと呼ばれる制度が設けられていました。現在も、創業時に活用できる補助金はいくつか種類があり、状況や目的に合ったものを選べます。

本記事では、創業時に活用できる補助金の詳細や、補助金の種類、補助金が交付されるまでの流れなどを詳しく解説します。

創業の流れや具体的な手続きについて知りたい方は、別記事「会社設立の流れを徹底解説!株式会社を設立するメリットや注意点について」をあわせてご確認ください。

目次

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創業補助金とは

創業補助金とは、創業時にかかる経費の一部を支援してくれる制度のことです。

かつて「創業補助金」として知られていた制度は、「地域創造的起業補助金」に改称され、2018年度を最後にこの名称での募集は終了しました。

しかし、現在でも創業支援を対象とする補助金は、「創業支援等事業者補助金」や「小規模事業者持続化補助金」など、別名の制度に形を変えて継続しています。

それまでの「創業補助金」や「創業支援等事業者補助金」は創業者本人が申請できる仕組みでしたが、新制度では創業者を直接支援する民間事業者などが対象となっています。

そのため、創業者本人が利用できる補助金を探しているなら、小規模事業者持続化補助金など別の制度利用を検討する必要があります。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、いずれも原則として返済する必要がないという点で共通しています。

ただし、補助金は明確な政策目標に基づいて、対象の事業に対して交付される制度です。予算額や採択件数には上限が設定されているため、申請すれば必ず交付されるというわけではありません。

一方、助成金は主に厚生労働省が所管する制度で、企業の雇用環境改善や人材育成、働き方改革などが主な目的です。要件を満たしていれば基本的には交付される可能性が高いことが特長です。

【関連記事】
会社設立時に最適な助成金・補助金は?金額・条件・申請方法を一覧で紹介

創業時に使える補助金の種類

創業支援等事業者補助金は、市区町村と連携して創業支援を行う民間の事業者などを対象とした補助金ですが、以下のように創業者に向けた補助金も存在します。

創業時に使える補助金の種類

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 事業承継・M&A補助金

上記の補助金を活用することで、事業に取り組むうえで生じる経済的な負担の軽減に期待できます。以下で各補助金の内容を解説します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が今後直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大・賃金引上げ・インボイス導入など)に対応するための補助金です。

販路開拓・商品開発・業務効率化などの取り組みにかかる経費の一部を負担します。

創業直後でも申請可能で、開業届の提出などの所定の準備があれば対象となります。

経営計画書などの必要書類を地域の商工会・商工会議所窓口に提出し、「事業支援計画書」(様式4)の交付を受けてください。

出典:全国商工会連合会小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金(一般型)」

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が会計ソフト・業務システム・ECツールなどのITツールを導入する際に利用できる補助金です。

創業直後でも、法人登記や開業届があれば対象です。

申請は、登録されたIT導入支援事業者を通じて行います。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 IT導入補助金2025「IT導入補助金制度概要」

IT導入補助金について詳しくはこちらの記事で紹介しています。

【関連記事】
IT導入補助金の最新スケジュールや申請方法は?実質75%OFFでfreee製品が導入できる!
IT導入補助金を活用してインボイス制度に対応する方法とは?

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業や小規模事業者が取り組む革新的な「サービス開発」・「試作品の開発」・「生産プロセスの改善」を行うための設備投資などを支援する中小企業庁の補助金です。

申請は、GビズIDプライムを作成し、電子申請システムから行います。電子申請システムでは、財務情報や申請内容などを入力します。

出典:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト」

事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金とは、事業承継を契機として経営革新などを行う中小企業や、M&Aによる経営資源の引き継ぎを行う中小企業を対象とした補助金です。

新たに会社を設立したり、自ら店舗を始めたりする場合でも、それが事業承継・M&Aによる創業であれば、対象となる可能性があります。

事業の引継ぎ後に行う設備導入や、販路開拓にかかる費用の一部を補助の対象としています。

申請は、GビズIDプライムを作成し、電子申請システムから行います。損益計算書などの必要書類を用意したうえでjGrantsの申請フォームから申請してください。

出典:事業承継・M&A補助金事務局「事業承継・M&A補助金」

【関連記事】
GビズIDとは?できることやメリット・デメリット、アカウントの取得方法を解説

その他創業支援制度

創業すると地域雇用の促進につながることがあるため、各自治体ではさまざまな創業支援制度があります。

以下は各自治体の創業支援制度の一例です。

自治体ごとの創業支援制度

  • (東京都)商店街起業・承継支援事業
  • (名古屋市)名古屋市スタートアップ企業支援補助金
  • (大阪市)大阪市イノベーション創出支援補助金

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「創業者向け補助金・給付金(都道府県別)」

お住まいの市区町村や都道府県の産業支援課・創業支援窓口のウェブサイトを確認することで、最新情報を得ることができます。

創業時に使える補助金の申請から交付までの流れ

創業時に使える補助金の、申請から交付までの流れは以下の通りです。

補助金の申請から交付までの流れ

  1. 事業計画書と各補助金の申請書を提出する
  2. 資格審査と書面審査を受ける
  3. 採択の可否が通知される
  4. 経費補助期間後に報告書を提出する
  5. 補助金が交付される

①事業計画書と各補助金の申請書を提出する

まずは補助金の募集期間中に、事業計画書と申請書を各事務局に提出します。

なお、提出した申請書に不備がある場合、その時点で審査の対象外となることがあります。申請書に記載漏れや誤りがないかどうか、提出前に入念に確認しましょう。

②資格審査と書面審査を受ける

申請書の提出後は、補助金の募集対象に適合する企業かどうかの資格審査が行われ、資格審査に適合して通過すると書面審査を受けます。

資格・書面審査はおよそ1~2ヶ月かかり、書面で採択の可否が通知されます。

なお、審査は基本的に書面で行われますが、一部の補助金は審査の一環としてオンライン面談を導入しています。

③採択の可否が通知される

審査を通過し採択されると、申請する補助金によっては、交付申請の手続きが必要です。

交付申請が必要な補助金は、採択後に手続きを行わなければ交付決定とならず、交付決定日前の発注や契約、支出行為は原則として補助対象にはなりません。

採択から交付決定を経て、補助事業実施期間となります。

補助事業実施期間は補助金の種類によって異なりますが、6ヶ月程度であることが多いです。

補助事業実施期間内の経費として計上すべきものは、領収書や請求書などの証拠書類を保管し、いつでも参照できるよう整理しておきます。なぜなら、補助金をもらうために、報告書の作成や支出金額および証拠書類の提出が求められるからです。

④補助事業実施期間後に報告書を提出する

補助事業実施期間終了後、使用した経費に関する報告書と証拠書類を提出します。報告書の審査には数ヶ月を要し、途中で不備が見つかった場合は再提出が必要です。

⑤補助金が交付される

報告内容が承認されると、補助金が交付されます。

補助金交付後一定期間は事務局に事業状況の報告が必要です。小規模事業者持続化補助金は補助事業が終了した翌月から1年間、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金では補助事業が終了してから5年間など、報告期間は補助金ごとに異なります。

また、小規模事業者持続化補助金や事業承継・M&A補助金などは収益納付の制度により、一定以上の収益がある場合に交付された補助金の一部返納を求められることがあります。なお、収益納付が求められる収益の額は事業の収益状況によって異なります。

創業時に補助金を利用するメリット・デメリット

創業時に補助金を利用するメリット・デメリットは主に以下の通りです。

創業時に補助金を利用するメリット

  • 融資ではなく交付されるため、返済不要である
  • 補助金の種類によっては、大きな金額がもらえる
  • 事業の信頼性が高まり、今後融資を受けやすくなる可能性がある

創業時に補助金を利用するデメリット

  • 申請から交付までに時間や手間がかかる
  • 採択率が低く、申請しても受給できない可能性がある
  • 即効性がない(申請が通ってもすぐに交付されるわけではない)
  • 補助金交付後一定期間は、事務局に事業状況を報告する必要がある

創業時に補助金の利用を検討する際は、要件を事前にしっかりと確認し、自身のビジネスにもっとも適した補助金を選ぶようにしてください。

創業時に補助金を活用する際の注意点

創業時に補助金を活用するためには、いくつか知っておくべき注意点が存在します。以下の注意点を把握していないと補助金をもらえなかったり、資金繰りに問題が生じたりする可能性があります。

活用時の注意点

  • 補助事業実施期間を正しく理解しておく
  • 支払の証拠書類は確実に保管する
  • 補助対象の経費や要件はよく確認する
  • 補助金は基本的に後払い
  • 計画変更時は手続きと対応が必要

補助事業実施期間を正しく理解しておく

補助事業実施期間以外の支出については、補助金をもらうことができません。

条件を把握し、創業に必要な物品や備品などの購入は期間内に完了できるよう、計画的に実施することが必要です。

支払の証拠書類は確実に保管する

補助事業実施期間において支出した補助対象経費は、支払伝票や領収書などの証拠書類を保管し、いつでも参照できるよう整理しておきましょう。

なぜなら、補助金をもらうためには、報告書の提出や、支出金額・証拠書類との整合性が必要だからです。万が一、支出内容に不備があると、補助金の返還を求められたり、不正受給として処分されたりする可能性もあります。

会計検査院の調査で経費の使い方や証拠資料に不備が見つかると、補助金の一部返還や企業名公表などのペナルティを課される可能性があります。

補助対象の経費や要件はよく確認する

補助金の支給対象となる経費の種類や必要な要件は補助金の種類によって異なります。

たとえば、ITツールの導入が支援されるIT導入補助金は、ソフトウェアやハードウェアの購入費、クラウド利用料などが対象経費です。また、業種ごとに要件が設けられており、一定の資本金と従業員数を下回る場合に申請できます。

出典:経済産業省「サービス等⽣産性向上IT導⼊⽀援事業『IT導⼊補助⾦2025』の概要」

補助金の対象経費や要件を細かく把握していないと、「対象外だった」「要件を満たしていなかった」などの事態が発生する可能性があります。申請前に対象経費や要件をよく確認しましょう。

補助金は基本的に後払い

補助金は基本的に後払いです。申請後、審査を通過し認定された事業者が、実際に経費を支出してからその内容を報告することで、補助金が支給されます。

つまり、補助金の支給を受けるにしても、まずは申請者が自費で事業を進めなければいけません。補助金が支給されるまでの間、どのように資金繰りしていくのかを考える必要があります。

計画変更時は手続きと対応が必要

補助事業の計画を変更する際は、事務局に変更を承認してもらうための申請書を事前に提出する必要があります。補助金の種類や変更内容によって提出が必要な申請書は異なるため、特設サイトなどから詳細を確認しましょう。

計画の変更内容が承認されるのは、補助事業を行うために必要な変更であると事務局が認めた場合のみです。

また、変更内容によっては承認されないだけでなく、補助金をもらう権利を失う可能性もあります。計画の変更はあくまで止むを得ない場合の措置として考え、基本的には変更なしで事業を進められるように調整しましょう。

創業時に使える補助金は個人事業主でも申請できる?

要件さえ満たしていれば、個人事業主でも創業者に向けた補助金に申請できます。個人事業主が申請できる補助金の例としては、以下のようなものが挙げられます。

個人事業主が申請できる創業補助金の例

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

個人事業主が申請できる補助金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
個人事業主が活用できる給付金や助成金・補助金を紹介!申請時のポイントも解説

まとめ

小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など、創業時に利用できる補助金にはさまざまな種類があります。現在の状況に適した補助金を活用すれば、コストのかかる事業運営も行いやすくなるでしょう。

ただし、申請から交付までには多くの時間や手間がかかるうえ、補助金交付後も事務局に事業状況を報告しなければいけません。これらのメリット・デメリットを踏まえ、申請するかどうかをよく検討してください。

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よくある質問

創業時に使える補助金はどのような種類がある?

補助対象者や対象経費などが異なる4つの補助金があります。

創業補助金の種類

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 事業承継・M&A補助金

詳しくは記事内「創業時に使える補助金の種類」をご覧ください。

創業時に使える補助金の申請に必要な書類は?

創業時に使える補助金の申請には、事業計画書と申請書類が必要です。

補助金の募集期間中に各事務局に提出します。

詳しくは記事内「創業時に使える補助金の申請から交付までの流れ」をご覧ください。

補助金を受ける条件は?

補助金を受ける条件は、補助金の種類によって異なります。

対象経費は交付決定日以降に発生したものに限られ、支出の証拠書類や報告書の提出も必要です。詳しくは以下の記事で解説しています。

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監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高

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