会社設立の基礎知識

法人成りした場合の社会保険についてわかりやすく解説

法人成りした場合の社会保険についてわかりやすく解説

法人成りすると、それまで加入義務がない場合もある社会保険が強制加入となる場合があります。そのため、法人成りを検討している人は、社会保険についてある程度理解しておく必要があるでしょう。そこで社会保険とは何か、法人成りするとどんな影響があるかについてお伝えします。

社会保険の基礎知識や最新情報は以下の記事にまとめています。

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社会保険の種類

法人成りを検討する場合、社会保険の知識は欠かせません。事業者として関わりが深い社会保険には、労働者災害補償保険と雇用保険、厚生年金保険、健康保険さらには介護保険があります。

労働者災害補償保険は略して「労災保険」と呼ばれているもので、従業員の業務上、または通勤中の病気やケガに関して補償する保険です。雇用保険は育児休業や介護休業などで収入が減少してしまう場合や離職した場合などに一定の給付を行うものです。厚生年金保険からは2種類の年金支給があります。原則として65歳以降に全国民共通の老齢基礎年金の上乗せとなる「老齢厚生年金」と、労働者の死亡時の遺族厚生年金そして障害状態になった場合の「障害厚生年金」です。健康保険は、業務上以外の病気やケガに関する給付を行う制度で、治療代や薬代の現物給付や出産休業や病気などでの休業時の手当金給付などのサポートがあります。介護保険は、介護状態になった場合に介護業者のサービスを原則として1割の負担で利用できるといった形でサポートが行われます。

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法人の加入義務と保険料負担

個人事業であれば、社会保険への加入義務はないと思いがちですが、個人事業でも社会保険への加入義務が生じる場合があります。労災保険は原則として個人事業でも強制加入ですし、特定の業種を除き、一定以上の従業員がいるなどの条件を満たすと厚生年金保険や健康保険、雇用保険などの適用事業所となります。加入条件を満たさない個人事業については、労災を除く社会保険は任意加入です。実態としては、厚生年金保険や健康保険などについては加入義務がなければ社会保険に加入していない個人事業も多いといわれています。

一方で法人の場合、労災保険はもちろん、雇用保険、厚生年金保険、健康保険そして介護保険すべて加入が義務付けられています。つまり、個人事業から法人成りすると、従業員数などにかかわらずすべての社会保険制度について加入が必要です。会社は従業員の給料から労災保険以外の保険料について定められた保険料の天引きを行い、会社としても一定の保険料を負担して天引き分と合わせて納付することになります。つまり、法人成りによって社会保険料の会社負担という新たなコストが発生することになるのです。

法人成りを検討する場合は、会社負担分の社会保険料についても正確に把握したうえで判断をすべきでしょう。社会保険料は、従業員の給料やボーナスなどに対する一定率で決められています。ただし、年度ごとに料率が変わる可能性がありますので、最新の保険料率を確認したうえでコスト試算を行うことをおすすめします。

社会保険加入のメリットとは?

法人成りによって社会保険が新たなコスト負担として発生するのはデメリットと言えるかもしれません。しかし、社会保険に加入することによって、会社に生じるメリットもあります。社会保険に加入することによって会社の福利厚生が充実し、社員の採用がしやすくなったり、離職率を低下させたりするなど、人材確保面で有利になると期待できることがあげられます。

また、事業主本人にとってもメリットがあります。そのメリットとは老後の年金が増えることです。厚生年金保険に加入することによって、事業主本人分の厚生年金保険料負担が発生しますが、国民年金保険料は支払わなくてよくなります。どれくらいの事業主が役員報酬を受け取るかによって変わりますが、保険料の負担だけを考えると、国民年金保険料よりも厚生年金保険料のほうが負担は大きくなるのが一般的です。しかし、老後は国民年金からの老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金も受給できるようになり年金収入を増やせます。また、国民健康保険には事業主が病気などで仕事ができなくても収入保障はありませんが、健康保険には病気などで休業した場合の収入保障にあたる傷病手当金の給付がある点もメリットと言えます。

まとめ

法人成りするかどうかは、メリットとデメリットを理解したうえで冷静に判断する必要があります。その判断要素のひとつとして社会保険があげられます。個人事業では加入していなかった社会保険でも、法人になると強制加入になり、保険料の負担が発生します。どの程度のコスト負担になるかについて、まずしっかり試算しておく必要があるでしょう。また、社会保険が強制加入になることによる会社や事業主のメリットもあります。社会保険制度やコスト負担について詳しく知りたい場合は、社会保険労務士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

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