個人事業主として仕事をしてきた人が、組織を変更して会社を設立し、その代表になることを法人成りといいます。ここでは、法人成りのメリット・デメリット、実際にかかる費用について紹介します。費用を節約するために取り入れたいテクニックも併せて解説します。
・【法人化】個人事業主から法人化するために必要な手続きとは?
個人事業主と法人の違いやそれぞれにかかる税金について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
・【個人事業主と法人】それぞれの違いやメリット・デメリットとは?
・【税金と税率】個人事業主と法人で税金はどう変わる?
目次
まずは法人成りについて理解しよう
法人成りをより詳しく説明すると、個人事業を営んでいたときの資産・負債をそのまま新しく設立した会社(株式会社が多い)に引き継いで、事業を続けていくことを指します。最初から会社を設立する場合は、個人事業の時からの資産・負債を引き継がないので、この点で大きな差があるのが特徴です。
平成18年に商法・会社法が改正される前は、会社を設立するには資本金・役員に関して厳密な規制がありました。株式会社の場合は資本金が1,000万円以上、有限会社の場合は資本金が300万円以上用意できないと、設立できなかったのです。また、役員に関しても、株式会社の場合は取締役3人・監査役1人が条件でした。しかし、平成18年の改正で、株式会社の場合は資本金1円から設立でき、取締役も1人いればいいことになったのです(※1【J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]】Q0021.新会社法って何ですか?資本金1円でも会社が設立できると聞きました。ビジネスQ&A)。そのため、より多くの人が気軽に株式会社を設立したり、法人成りを行ったりできるようになりました。
法人成りのメリットとは?
法人成りのメリットとしては、対外的な信用力が増すことが挙げられます。取引先によっては、個人とは取引せず、会社とのみ取引をする場合もあるので、法人成りをしただけでも、ビジネスチャンスは拡大するでしょう。また、信用力が増すことは、金融機関から融資を受ける場合にも有利になります。個人事業主であれば、別の人を連帯保証人としてたてなくてはいけませんが、会社であれば、代表取締役個人がなればいいので、人を探す必要もありません。また、会社の場合、社会保険への加入が法律で義務付けられているので、新しく人を雇う場合でも、これが十分にアピールポイントになります。やはり、社会保険があるか否かで勤め先を選ぶ人は多いためです。
税務面でも、会社の方が個人事業主より有利になる可能性があります。仮に、年間の所得金額が1,800万円だった場合、個人事業主としてなら440万4,000円(=1,800万円×0.4-279万6,000円)の所得税を払わなくてはいけません。しかし、会社として法人税を払う場合は、税率は所得のうち800万円以下の部分については15.0%、800万円を超える部分については23.4%となっているため、税額は354万円(=800万円×0.15+1,000万円×0.234)となっています。ある程度所得があるなら、法人のほうが税務上は有利です。
法人成りのデメリット
しかし、法人成りにもデメリットがあります。まず、法人成りの場合、会社設立のための登記が必要なため、登記費用がかかります。仮に、資本金が100万円だった場合、15万円を登録免許税として支払わなくてはいけません(※2.【国税庁】No.7191 登録免許税の税額表)。登記の手続きを自分でやらず、司法書士に依頼した場合は、報酬も支払う必要が出てきます。加えて、公証役場で定款の認証手続きを行わなくてはいけませんが、それにも費用がかかります。
また、株式会社の場合は決算公告を行う義務があります。法人の税務申告書も個人事業主のときより非常に複雑になるので、税務申告を自分ですべてこなすのは難しいでしょう。税理士の方と顧問契約を結び、指導・助言を受けながら進めていく場合には、顧問報酬を払わなくてはいけません。
交際費の損金算入額にも決まりが設けられています。資本金1億円以下の会社の場合、1事業年度で損金算入できる交際費の上限は800万円までと決まっています。800万円を上回る部分については、損金算入できません。つまり、法人税の計算にあたって差し引けないのです。また、個人事業主の場合、赤字だと所得税はかかりませんでした。しかし、会社の場合、赤字だったとしても、法人住民税(均等割)は毎年支払うことになります。最後に、会社は社会保険への加入が義務となっています。会社が保険料の半分を支払うことになるので、立ち上げたばかりのときは厳しい出費になる可能性がある点にも注意しましょう。
法人成りの費用を節約するには?
そこで、法人成りの費用を節約するにはどうすればいいのでしょうか?ポイントは、会社設立にあたって、電子定款を用いることです。定款をPDFで作成し、ファイルとして提出することで、公証役場で定款を認証してもらう場合にかかる印紙代を4万円節約することができます。
まとめ
法人成りには費用がかかったり、運営していくうえでの手続きが複雑だったりとデメリットもあります。しかし、信用力が増したり、税務上有利になったりする可能性があるメリットも大きいでしょう。そのメリットを最大限に生かすためにも、節約できるところは節約するのが賢いやり方です。電子定款を使ったり、依頼する司法書士を吟味したりするなどでコストカットに取り組みましょう。
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