公告(こうこく)とは、株主や債権者など会社の運営に関わる人に一定事項を広く知らせることです。株式会社は会社法で公告が義務付けられており、公告を怠った場合には罰金が課せられます。
公告方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。
本記事では、公告方法や公告にかかる費用など、会社運営において知っておくべき公告について詳しく解説します。
目次
公告とは?
公告とは、会社が株主や債権者に対して一定の事項を広く知らせることをいいます。株式会社は、規模の大小にかかわらず公告が義務付けられており、公告を怠った場合は100万円以下の罰金が課せられます。
公告は、決算公告と法定公告の2種類に分けられます。
決算公告
決算公告とは、その名のとおり決算内容を広く知らせるものです。株式会社は、定時株主総会で承認された決算内容を遅滞なく公告しなければなりません。
また、決算公告では遅滞と判定される具体的な期限は定められていません。
法定公告
法定公告とは、株主に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を知らせるものです。特に、「債権者保護手続き」の観点から、合併・減資・解散など、債権者に重大な影響を与える事項は、官報で公告することが義務付けられています。
なお、前述のとおり、合同会社には決算公告の義務はありませんが、「債権者保護手続き」の観点から、株式会社と同様に法定公告が義務付けられています。
出典:e-Gov法令検索「会社法」
公告方法の種類
公告方法は会社法で定められており、基本的には会社設立時に作成する定款に公告方法を記載します。なお、定款に公告方法を記載しない場合は官報で公告するものとみなされます。
公告方法には以下の3つがあります。
公告方法の種類
- 官報に掲載
- 日刊新聞紙に掲載
- 電子公告
官報に掲載
官報は国が発行する唯一の機関紙で、休日を除き毎日発行されています。官報は一般的な時事新聞などと異なり、法律や法令など国家で決定した事項を知らせる公文や会社からの公告が掲載されています。
定款で公告方法を定めない場合は官報で公告するとみなされます。官報で決算公告を行う場合、貸借対照表や損益計算書の全文ではなく、要旨のみ掲載するだけでよいという特徴があります。
官報に公告を掲載するには、官報販売所に掲載申し込みするだけでよいため、手続きが手軽な点がメリットです。一方、申し込みから掲載までに日数を要する点には注意が必要です。
出典:e-Gov法令検索「会社法」
日刊新聞紙に掲載
日刊新聞紙に掲載する方法で公告を行うことも可能です。ただし、スポーツ新聞などではなく、日本経済新聞などの時事情報を取り扱っているものに限られます。時事情報を取り扱っている新聞であれば地方新聞でもかまいません。
日刊新聞紙への決算公告は、官報への掲載と同様に貸借対照表や損益計算書の要旨のみを掲載するだけで問題ありません。
また、法定公告のうち、官報への掲載および各債務者への通知が義務付けられている官報での公告では、日刊新聞紙の掲載と併用することで各債権者への催告を省略することが可能です。
日刊新聞紙に公告を掲載するには各新聞社によって定められた掲載費用がかかり、一般的に官報への掲載費用よりも高額なケースがほとんどです。
出典:e-Gov法令検索「会社法」
電子公告
電子公告は自社のホームページなど、特定のWebページに掲載する方法です。官報や日刊新聞紙と異なり、自社のホームページへ掲載するだけなので掲載費用がかからない点がメリットです。
ただし、電子公告の場合は、官報や日刊新聞紙のように貸借対照表や損益計算書の要旨を掲載するだけではなく、貸借対照表の全文を掲載しなければいけません。また、電子公告では5年間継続して掲載する必要があります。
出典:法務省「電子公告制度について」
公告にかかる費用
官報の決算公告では掲載枠単位での購入が必要で、最低購入枠数は2枠です。なお、2枠分の掲載費用は74,331円です。法定公告では1行単位で掲載スペースを購入することができ、1行につき3,500円から申し込みが可能です。
日刊新聞紙への掲載費用は各新聞社によって大きく異なり、掲載する新聞や掲載枠により10万円〜100万円ほどの違いが生まれます。
電子公告では、自社ホームページへの掲載であれば掲載費用等はかかりません。
なお、自社ホームページでは事後の内容改ざんが容易であることから、電子公告が適法に行われたことを電子公告調査により証明しなければなりません。電子公告調査は、法務大臣の登録を受けた調査機関に依頼する必要があり、別途調査費がかかります。
出典:官報公告「掲載料金」
出典:法務省「電子公告制度について」
公告方法を変更するには?
公告方法は定款に記載することで定めることができ、変更したい場合は定款変更手続きをすることになります。
定款は会社のルールブックともいえる重要事項が記載されているため、定款を変更する際には特別決議を行う必要があります。
特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席することで実施できます。定款の変更手続きでは、この特別決議に出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
特別決議で定款の変更手続きが承認されたら変更登記申請を行います。なお、変更登記申請では登録免許税(収入印紙)として3万円がかかります。
【関連記事】
株式会社の定款を変更するときに必要な手続きとは?
まとめ
公告は、株主や債権者に一定の事項を知らせることです。
公告には決算公告と法定公告の2種類があり、決算公告が義務付けられているのは株式会社のみですが、法定公告は「債権者保護手続き」の観点により、株式会社と同様に合同会社にも公告の義務が発生するため注意が必要です。
また、公告方法は官報への掲載・日刊新聞紙への掲載・電子公告の3種類から選択が可能です。それぞれのメリットやデメリットを把握したうえで、自社にとって適切な方法を選びましょう。
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よくある質問
公告はどんな時にする?
公告は大きく決算公告と法定公告に分けられます。決算公告は定時株主総会で決算内容が承認された後、遅滞なく行う必要があります。
また、法定公告は債権者にとって大きな影響が及ぶ事項を知らせる際に行うものです。
詳しくは記事内「公告とは?」をご覧ください。
公告をしないとどうなる?
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詳しくは記事内「公告とは?」をご覧ください。