会社設立の基礎知識

法人にかかる税金の種類は?税率や計算方法を個人事業主と比較

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

個人事業か?会社か?個人事業開業と会社設立の手続き 税金比較

法人と個人事業主の大きな違いとして「かかる税金の種類」が挙げられます。法人にかかる基本的な税金は、法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税・消費税の5種類です。個人事業主に比べて法人は経費として計上できる範囲が広く、所得によっては法人のほうが節税額は大きくなります。

この記事では、法人化を検討している個人事業主やはじめて会社設立をした方などに向けて、法人と個人事業主それぞれにかかる税金の違いや、計算方法などについて解説します。

目次

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法人と個人事業主にかかる税金の違い

法人と個人事業主の大きな違いのひとつに、「税金」があります。

税金自体は、国に納める「国税」と各地方自治体に納める「地方税」の2つに大きく分けられます。まずは法人と個人事業主それぞれが納める税金の種類を把握しておきましょう。

区分法人個人事業主
国税法人税所得税
消費税消費税
復興特別法人税
※2014年4月1日以降、課税終了
復興特別所得税
※2038年以降、課税終了の予定
特別法人事業税-
地方税法人住民税個人住民税
法人事業税個人事業税
地方消費税地方消費税

法人にかかる税金の種類

法人に対して課せられる税金は、基本的に以下の5種類です。

法人にかかる税金

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 消費税及び地方消費税

会社によっては利子や配当金に対して支払う所得税も発生します。

それぞれの概要について詳しく解説します。

法人税

法人税とは法人の事業活動で得た所得に対して課せられる国税であり、個人事業主の場合の「所得税」のようなものです。

法人税は法人の種類や資本金額、年間所得金額で税率が変動します。

法人税率(普通法人の場合)

区分適用関係
(開始事業年度)
2016年
4月1日
以後
2018年
4月1日
以後
2019年
4月1日
以後
2022年
4月1日
以後
普通法人資本金1億円以下の法人など年800万円以下の部分下記以外の法人15%15%15%15%
適用除外事業者19%19%
年800万円超の部分23.40%23.20%23.20%23.20%
上記以外の普通法人23.40%23.20%23.20%23.20%
出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」

法人税は個人事業主が納める所得税よりも税率の累進が緩く、最大税率も23.20%です。

法人税の計算式

課税所得 × 税率 - 税額控除額 = 法人税額

法人税の計算例

課税所得500万円の普通法人(資本金1,000万円)の場合
5,000,000 × 15% = 750,000(円)

なお、法人の場合は自身の給与(役員報酬)を経費として計上でき、自身の給与から給与所得控除も適用されるため、節税に繋がることもあります。

法人住民税

法人住民税とは、会社の事務所や事業所などを置いている都道府県、区市町村(地方自治体)に対して納める地方税です。

法人住民税は「法人税割」「均等割」という2つの基準から構成されており、それぞれの算出額を合計したら住民税の額が出ます。基準などは各自治体によって異なるため、ここでは、東京都に事務所を置いている法人を例に説明します。

法人税割

法人税割額は、法人税額を課税標準として決まります。

東京都の場合、資本金の額と法人税額に応じて適用される税率の大分類(超過税率もしくは標準税率)が変わります。まずは以下のチャートで、どちらの税率が適用されるか確認しましょう。


法人住民税の法人税割判断チャート

※東京都の場合。他の地方自治体の場合は金額など基準の違いがある
※詳しい基準など、詳細は下記出典(東京都主税局サイト)を参照

適用させる税率の大分類を確認したのち、法人税割額を以下の計算式で求めます。

法人税割額の計算式

法人税額(税額控除前の税額) × 税率

税率は以下の表を参考にしてください。

<都民税法人税割の税率表>

区分税率(%)
2019年10月1日以後に
開始する事業年度
2014年10月1日から
2019年9月30日までに
開始する事業年度
2014年9月30日までに
開始する事業年度
不均一課税適用法人の税率
(標準税率)
超過税率不均一課税適用法人の税率
(標準税率)
超過税率不均一課税適用法人の税率
(標準税率)
超過税率
23区内に事務所等がある場合7.010.412.916.317.320.7
(道府県民税相当分1.0+市町村民税相当分6.0)(道府県民税相当分2.0+市町村民税相当分8.4)(道府県民税相当分3.2+市町村民税相当分9.7)(道府県民税相当分4.2+市町村民税相当分12.1)(道府県民税相当分5.0+市町村民税相当分12.3)(道府県民税相当分6.0+市町村民税相当分14.7)
市町村に事務所等がある場合1.02.03.24.25.06.0
出典:東京都主税局「法人事業税・法人都民税」

均等割

東京都の場合は、主となる事務所がある区市町村や資本金等の額・従業員数によって税額が異なります。

それぞれのケース別に、かかる税額を表にまとめました。

(1)特別区(東京23区)内のみに事務所等がある場合

2以上の特別区に事務所等を有する場合は、主たる事務所等所在の特別区の均等割に、従たる事務所等所在の特別区の数に応じた均等割額を加算します。


法人の区分等主たる事務所等が所在する特別区
(道府県分+特別区分)
従たる事務所等が所在する特別区
(特別区分)
特別区内の
従業者数
均等割額
(年額)
単位:円
特別区内の
従業者数
均等割額
(年額)
単位:円
公共法人・公益法人等など70,00050,000
上記以外の法人資本金等の額1,000万円以下50人以下70,00050人以下50,000
50人超140,00050人超120,000
1,000万円超〜1億円以下50人以下180,00050人以下130,000
50人超200,00050人超150,000
1億円超〜10億円以下50人以下290,00050人以下160,000
50人超530,00050人超400,000
10億円超〜50億円以下50人以下950,00050人以下410,000
50人超2,290,00050人超1,750,000
50億円超〜50人以下1,210,00050人以下410,000
50人超3,800,00050人超3,000,000

(2)特別区(東京23区)と市町村に事務所などがある場合

道府県分の均等割額と、事務所などの所在地である特別区の数に応じた特別区分の均等割額と合算します。

法人の区分等道府県分
(年額)
単位:円
特別区分
特別区内の
従業者数
均等割額
(年額)
単位:円
公共法人・公益法人等など20,00050,000
上記以外の法人資本金等の額1,000万円以下20,00050人以下50,000
50人超120,000
1,000万円超〜1億円以下50,00050人以下130,000
50人超150,000
1億円超〜10億円以下130,00050人以下160,000
50人超400,000
10億円超〜50億円以下540,00050人以下410,000
50人超1,750,000
50億円超〜800,00050人以下410,000
50人超3,000,000

(3)市町村のみに事務所等がある場合

法人の区分等道府県分
(年額)単位:円
公共法人・公益法人等など20,000
上記以外の法人資本金等の額1,000万円以下20,000
1,000万円超〜1億円以下50,000
1億円超〜10億円以下130,000
10億円超〜50億円以下540,000
50億円超〜800,000
出典:東京都主税局「都民税均等割の税率表」

均等割の計算例

東京都特別区(23区)内に事務所があり、従業員50名以下・資本金額1,000万円以下の会社の場合

法人税割:750,000※ × 7.0% = 52,500(円)
均等割:一律70,000(円)

法人住民税合計:122,500(円)
※法人税額は、「法人税率(普通法人の場合)」にて例として挙げた額の75万円を使用

個人事業主であれば、赤字経営となってしまった場合には所得税や住民税の負担はありません。ですが、資本金などを基準とした均等割部分が赤字だとしても、法人住民税が発生することに注意が必要です。

法人事業税

法人事業税は、事業所等を有する都道府県で事業を営んでいることに対する地方税です。

法人事業税は、以下の計算式で求めます。

法人事業税の計算式

課税標準額(所得等) × 税率

法人事業税は、法人の種類や資本金額、年所得額などで税率が変動します。以下のフローチャートを参考に、まず自身の法人がどの区分になるかを確認してみましょう。


法人事業税の税率判断チャート

区分がわかったら、税率を調べます。税率は事業や法人の種類によって異なり、開始する事業年度によっても変動するため、東京都主税局のサイトから確認しましょう。

普通法人(資本金1億円以下・年間所得2,500万円以下)で2019年10月1日以後開始の場合、下記の区分の税率になることがほとんどです。

年間所得税率
400万円以下の部分3.5%
400万円超800万円以下の部分5.3%
800万円超の部分7%

特別法人事業税

法人の事業税の税率が引き下げられたことから、2019年10月1日以後に開始する事業年度から特別法人事業税が創設されました。特別法人事業税は国税ですが、地方税である法人事業税と一緒に申告・納付します。

法人事業税(所得割・収入割)の納税義務のある法人が対象となり、2019年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

<特別法人事業税の税率>

課税標準法人の種類税率(%)
2022年4月1日
以後に開始する
事業年度
2020年4月1日から
2022年3月31日までに
開始する事業年度
2019年10月1日から
2020年3月31日までに
開始する事業年度
基準法人
所得割額
外形標準課税法人・特別法人以外の法人373737
外形標準課税法人260260260
特別法人34.534.534.5
基準法人
収入割額
小売電気事業等、発電事業等、特定卸供給事業※又は特定ガス供給業を行う法人以外の法人303030
小売電気事業等、発電事業等又は特定卸供給事業を行う法人404030
特定ガス供給業を行う法人62.53030

※特定卸供給事業に係る税率は、2022(令和4年)4月1日以後に終了する事業年度から適用


出典:東京都主税局「特別法人事業税の創設について」
出典:東京都主税局「特別法人事業税の税率表」

特別法人事業税の計算例

普通法人・年間所得金額500万円・資本金1,000万円以下(不均一課税適用法人・軽減税率適用法人)の場合

4,000,000 × 3.5% = 140,000(円)
(5,000,000 - 4,000,000) × 5.3% = 53,000(円)


  • 法人事業税合計:140,000 + 53,000 = 193,000(円)
  • 特別法人事業税:193,000 × 37% = 71,400(円)

消費税及び地方消費税

消費税は個人事業主と同じ計算方法で求められます。

法人の場合、期首資本金が1,000万円未満であれば設立事業年度から1年間は納税が免除されます。

また、特定期間の課税売上高が1,000万円以下、もしくは特定期間の給与支払額が1,000万円以下の法人で、かつ期首資本金額1,000万円未満であれば2年目も免除になります。

なお、2期目前に増資して資本金額が1,000万円以上になった場合、もしくは特定期間の課税売上高と給与支払額がともに1,000万円を超えた場合は課税事業者となります。

そして、2023年10月に始まった「インボイス制度」に関連して、インボイス登録している場合も課税売上高や期首の資本金の額などに関係なく課税事業者となるため、気をつけましょう。

詳しくは、国税庁「消費税法改正のお知らせ(平成23年9月) 」「インボイス制度とは」をご覧ください。

個人事業主にかかる税金の種類

個人事業主に課せられる税金は、大きく分けると以下の5種類です。

個人事業主にかかる税金

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 個人住民税
  • 個人事業税
  • 消費税及び地方消費税

それぞれ詳しく解説していきます。

所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間で得た全ての所得(総収入金額)から控除額を差し引いた所得にかかる国税で、個人が対象です。

所得税の速算表

所得税は速算表が用意されており、課税される所得金額を計算すれば、あとは速算表に当てはめるだけで税額が簡単に求められます。

課税される所得金額税率控除額
1,000円〜1949,000円5%0円
1,950,000円〜3,299,000円10%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

上記速算表と例をもとに所得税額を求めると、以下の通りとなります。

所得税の計算式

売上 - 必要経費 - 所得控除 = 課税所得
課税所得 × 税率 - 控除額 = 所得税

所得税の計算例

課税所得が500万円の場合
※課税所得の計算は割愛

5,000,000 × 20% - 427,500 = 572,500(円)

復興特別所得税

東日本大震災からの復興施策を実施するための財源確保を目的として、2011(平成23)年12月に特別措置法が公布され、それに関連して「復興特別所得税」が創設されました。

2013(平成25)年から2037(令和19)年までの25年間、所得税を納める義務のある人は併せて納付する義務があります。

復興特別所得税の計算式

基準所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税
※「基準所得税額」とは、所得税額から配当控除やローン控除などを差し引いた後の所得税額のことを指す

復興特別所得税の計算例

基準所得税額が572,500円の場合
572,500 × 2.1% = 12,022(円)

個人住民税

住民税は、住所のある都道府県および区市町村へ納める地方税です。毎年、所得税の確定申告を行うと住民税課税決定通知書が送られてきます。

住民税は、「所得割」と「均等割」から構成されています。

所得割

所得割とは、前年の所得金額に応じて課税されます。所得金額は所得税と同様で、売上合計額から必要経費を引いた事業所得の金額から所得税額控除を差し引いた金額を指します。

税率は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた10%が標準です。


住民税の均等割と所得割 出典:東京都主税局「個人住民税」

所得割額の計算式

各地方自治体の定めた税額(定額) = 均等割額
(事業所得金額 - 所得控除) × 税率 - 税額控除 = 所得割額

所得割額の計算例

東京都在住、所得金額500万円(所得控除50万円)の場合


  • 所得割:(5,000,000 - 500,000) × 10% = 450,000(円)
  • 均等割:1,000 + 3,000 + 1,000 = 5,000(円)

住民税合計:455,000(円)

均等割

均等割とは、納税者の所得に関わらず定額で課税される税金です。

東京都の場合、都民税の税額は1,000円、区市町村民税の税額は3,000円です。

なお、2024(令和6)年度より「森林環境税」として年額1,000円が課税されるため、合計で5,000円(都民税1,000円 + 区市町村民税3,000円 + 森林環境税1,000円)が東京都の均等割額として徴収されます。

この均等割は自治体によって金額が異なるため、自身の住所が登記されている自治体に確認しておくとよいでしょう。


出典:東京都主税局「個人住民税」

個人事業税

個人事業税は、都道府県に納める地方税です。法律で定められている業種の事業を行っている場合のみ、個人事業税の課税対象となります。ただ、ほとんどの事業が課税対象に定められているため、大抵の人は課税対象となるでしょう。

税率は事業によって区分されており、3〜5%と異なります。

個人事業税の計算式

(事業所得 + 青色申告特別控除 - 事業主控除額)× 税率 = 個人事業税
※細かい計算式になることから、詳細項目のプラスマイナスは割愛

個人事業税の計算例

第1種事業(税率5%)、所得金額500万円(青色申告特別控除65万円)の場合

(5,000,000 + 650,000 - 2,900,000) × 5% = 137,500(円)

なお、上記の式の「事業主控除額」について、1年間通して事業を行っている場合に一律290万円が控除されることから、年間事業所得が290万円以下の場合は個人事業税を支払う必要はありません。

納税した個人事業税は経費として計上できるため、忘れずに計上しましょう。


出典:東京都主税局「個人事業税」

消費税及び地方消費税

消費税は、買い手から受け取った消費税から、経費などで支払った消費税分を差し引いた額を納税します。

消費税及び地方消費税の計算式

課税売上高(税抜) × 税率 - 課税仕入高(税抜) × 税率 = 消費税
消費税 × 78% = 国に納める消費税
消費税 × 22% = 地方消費税

消費税及び地方消費税の計算例

課税売上高800万円、課税仕入高400万円の場合

8,000,000 × 10% - 4,000,000 × 10%=400,000(円)


  • 国に納める消費税:312,000(円)
  • 地方消費税:88,000(円)

2021年時点での税率は10%で、10%のうちの7.8%分が国に納める税金である「消費税」、残りの2.2%が地方自治体に納める税金である「地方消費税」にあたります。軽減税率の場合はトータルの税率が8%で、6.24%が消費税、1.76%が地方消費税にあたります。
出典:東京都主税局「消費税(国税)地方消費税(都道府県税)」

なお、個人事業主の場合、前々年における課税対象売上高が1,000万円以下であれば、その年の消費税納税が免除される特例が設けられています。つまり、課税対象売上高が1,000万円超となった事業年度から起算し、2年後に初めて納税義務が発生するわけです。

ただし、前々年の課税対象売上高が1,000万円以下でも、課税事業者となるケースがあります。それは、その翌年の1月1日から6月30日までの特定期間に課税売上高または給与支払額が1,000万円を超えた場合です。

また、2023年10月1日から始まったインボイス制度に関連して、課税売上高などに関係なく、インボイス登録を行う場合は課税事業者となります。


個人事業主にかかる消費税の仕組み
出典:国税庁「消費税のしくみ」

なお、課税期間ごとの受け取った消費税額よりも支払った消費税額のほうが多い場合には、消費税の還付を受けられることもあります。

そのほかの税金

これまでに紹介したものは、法人・個人事業主それぞれに必ず課せられる税金です。しかし、ほかにも税金の対象になるものを所有している場合は、その税金も納める必要があります。

ここでは、所有物に応じて発生する税金のうち、代表的なものを2つ紹介します。

自動車税

法人でも個人事業主でも、自動車を保有している場合は、それに対する自動車税が課せられます。

自動車にまつわる話でいうと経費の話になりますが、法人名義で購入した自動車は本体購入費のほかに、ガソリン代や車検費用など維持費も全て経費として計上できます。しかし、個人事業主の場合はプライベートと事業の線引きが難しいため、家事按分(かじあんぶん)を行い、仕事で使用されたとされる金額のみ経費として計上します。

固定資産税

固定資産税は、会社で保有している土地や建物など、有形減価償却資産となる固定資産に対して課せられる税金です。税率は基本的に1.4%と定められています。

個人(・個人事業主)の場合も、土地や建物を所有していれば固定資産税が課せられます。

<固定資産税として納める額>

土地課税標準額 × 税率1.4%
家屋課税標準額 × 税率1.4%
償却資産課税標準額 × 税率1.4%
出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

法人の納税遅延や申告漏れなどで発生するペナルティ

納税の遅れ、申告漏れなどを起こすと、「附帯税」である以下のようなペナルティを課されることがあります。

発生するペナルティの例

  • 延滞税(納税遅延に関係)
  • 各種加算税(申告漏れ、申告内容の不備、納税遅延などに関係)

また、上記のような遅延・不備によって、青色申告が取り消されることもあります。

納税遅延により延滞税が課される

税金は、それぞれ定められた納付期限があります。その期限までに納付がされなかった場合には、原則として、期限後から納付する日までの日数に応じて「延滞税」と呼ばれる利息のような追加の税金が課されます。

延滞税は、税金を納付するタイミングによって以下のように割合が変わります。

納付タイミング計算式
①納付期限の翌日~完納日
または
納付期限の翌日~2ヶ月を経過する日
(納付期限から2ヶ月以内に完納)
本来の納付額 × 延滞税の割合(「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低いほう) × 期間(日数) ÷ 365(年間日数) = 延滞税
②納付期限後2ヶ月を経過する
翌日~完納日
(納付期限から2ヶ月を超えて完納)
本来の納付額 × 延滞税の割合(「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほう) × 期間(日数) ÷ 365(年間日数) = 延滞税

※2021(令和3)年1月1日以後の割合
※詳しくは国税庁のサイト「延滞税の計算方法」を参照

もし①のタイミングまでに完納できておらず、延滞日数が①と②にまたがっている(完納までに2ヶ月を超えた)ときは、①と②の計算金額を足した合計額を支払わなければなりません。


出典:国税庁「No.9205 延滞税について」
出典:国税庁「延滞税の計算方法」

申告漏れなどにより各種加算税が課される

申告自体が漏れていたり申告内容に不備があったりするなど、一定の事由に該当する場合、ペナルティとして「加算税」が課される可能性があります。

加算税は4種類あり、それぞれの課税要件は下記のとおりです。

名称課税要件
過少申告加算税 期限内の申告について、申告額が本来の額より少なく、修正申告・更正があった場合
※以下の要件に該当する場合は不適用となる可能性あり
・正当な理由がある
・更正を予知せず自発的に修正申告を申し出た
無申告加算税 ①期限後の申告となった(期限内に申告をしなかった)場合
②期限後の申告について、修正申告・更正があった場合
※以下の要件に該当する場合は不適用となる可能性あり
・正当な理由がある
・法定申告期限から1ヶ月以内に申告を行った
不納付加算税 源泉徴収等による国税(所得税)について、法定納期限後に納付・納税の告知があった(期限内に納付をしなかった)場合
※以下の要件に該当する場合は不適用となる可能性あり
・正当な理由がある
・法定納期限から1ヶ月以内に納付した
重加算税申告内容などに隠ぺい・仮装があった場合
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」
出典:財務省「加算税の概要」

申告ミスに関して本当に悪気はなかったとしても、場合によっては悪質だと判断され、加算税が課される恐れもあります。また、当然のことながら意図的な申告不備や遅延、隠ぺいなどはあってはなりません。

もし、申告の不備や遅延などに関して何かしらの理由があれば、まずは「それが正当なものだと認められるかどうか」の判断をある程度事前にしておいたほうがよいでしょう。

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青色申告が取り消される

以下のような一定の事由に該当すると、承認が取り消されて青色申告が行えなくなる恐れがあります。

青色申告が取り消されるおそれのあるケース

  • 税務調査時に帳簿書類の提示を求められたが、提示を拒否した
  • 帳簿書類の用意などについて税務署長から指示を受けたが、従わなかった
  • 隠ぺいまたは仮装があった所得金額が、本来の所得金額の50%を超えた
  • (法人の場合)2事業年度連続で、申告書の提出が期限を過ぎたもしくは期限内に申告を行わなかった など

上記のような取り消し事由に当てはまると判断され青色申告の承認が取り消された場合、「承認取消通知書」が届きます。

通知書の到着後、承認の再申請をすることは可能であるものの、取り消し(通知)を受けてから1年間は再申請ができません。また、青色申告が適用されるのは申請の翌期となるため、再び青色申告を適用できるのは法人の場合最短でも翌々期からとなります。

青色申告には「特別控除が受けられる」「欠損金(赤字)の繰越控除ができる」などといったメリットがあり、節税効果も高いことから、できれば取り消しは受けたくないものです。自身の会社が取り消しを受ける事由に該当していないかどうか不安な場合、税理士など専門家に相談することをおすすめします。


出典:国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
出典:国税庁「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
出典:国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」
出典:国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」


【関連記事】
青色申告とは? 知っておきたい基礎知識、 白色申告との違いについて解説

まとめ

法人にかかる税金は、法人独自のものというよりは「個人事業主にかかる税金に似たもの」が多いといえます。そのため、かかっている税金について個人事業主のときからしっかり把握していた場合、「初めて聞くことばかりで混乱する!」「何が何やらわからない……」と頭を抱えてしまうことは少ないかもしれません。

とはいえ、法人と個人事業主で課税にかかる条件や税額の計算方法は異なるものがほとんどです。納税の遅延や申告内容の不備が起きてしまった場合には、ペナルティが課される恐れもあることから、正しい申告・納税が行えるかと不安を抱く人もいるでしょう。

ペナルティを受けることを未然に防ぐためにも、会計業務、税務に自信がない人は税理士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

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よくある質問

法人と個人事業主にかかる税金の違いは?

法人と個人事業主にかかる税金の違いには「税金の種類」が挙げられ、国に納める「国税」と各地方自治体に納める「地方税」の2種類それぞれで、法人・個人事業主にかかる税金が異なります。

ただ、違いがあるといっても基本的には似たようなものが多く、「本質は同じで、課税にかかる条件や税額の計算方法が違う」という状況です。個人事業主にはない法人ならではの税金がたくさんあるというわけではありません。

詳しくは記事内「法人と個人事業主にかかる税金の違い」「法人にかかる税金の種類」「個人事業主にかかる税金の種類」をご覧ください。

法人にかかる税金の種類は?

法人にかかる税金の種類は、主要なものだと以下の5つが挙げられます。

  1. 法人税
  2. 法人住民税
  3. 法人事業税
  4. 特別法人事業税
  5. 消費税(国に納めるものと地方に納めるもの)

詳しくは記事内「法人にかかる税金の種類」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。

税理士・CFP® 宮川真一

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