会社設立の基礎知識

個人事業主と法人どちらがオトク?会社設立・事業運営にかかるコストまとめ

会社から独立して自分で事業をスタートさせるとなると、多くの決断をしていく必要があります。「個人事業主か法人か」もその数ある決断のひとつ。 今回は費用・手続き、社会的な立場などの面から、個人事業主と法人のメリットとデメリットを比較しました。

設立の「コスト」「手間」は個人事業主に軍配

設立のコストと手間で選ぶならダンゼン個人事業主。法人は手続きも面倒です。

個人事業主

個人事業主として開業する場合は、申請費用はゼロ円。手続きは開業届を税務署へ提出するだけなので1日で終了します。

法人

一方、法人を設立する場合は株式会社で約24万円、合同会社で約10万円が必要になります。

株式会社・合同会社の設立に必要な費用一覧
株式会社 合同会社
<定款にかかる費用>
収入印紙代 40,000円
※電子定款を作成する場合は無料
40,000円
※電子定款を作成する場合は無料
認証手数料 50,000円
謄本手数料 2,000円 2,000円
<登記にかかる費用>
登録免許税 150,000円〜
※厳密には資本金の額×0.7%
60,000円〜
※厳密には資本金の額×0.7%
合計 242,000円 102,000円

また会社設立時には複雑な手続きが発生します。定款の認証を得るために公証人役場へ出向いたり、登記をするために法務局や税務局へ出向いたり。書類の用意だけでなく、移動も多くすべて自分で行う場合には登記申請まで1週間はかかります。

「税金」は種類が多いものの法人のほうがおトク

それでは税金の面ではどうでしょう。実は、個人事業主と法人では、法人のほうが税金がおトクになることが多いんです。

個人事業主

個人事業主が支払う税金は「所得税」「住民税」「消費税」「個人事業税」の4種類です。

1. 所得税

1年間の「もうけ」に対して課される税金。

もうけとは、1月1日から12月31日までの売上げの合計額(総収入金額)から、必要経費を引いた金額のこと。また必要経費以外にも、配偶者控除や扶養控除などの所得控除額を売上げの合計額から引くことができます。

しかし所得税は法人に比べて必要経費として認められる幅が狭く、もうけが増えれば増えるほど税率が上がってしまいます。高収入の場合は収入の半分が税金として徴収されてしまうということも。

所得税の税率一覧
課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円〜330万円 10%
330万円〜695万円 20%
695万円〜900万円 23%
900万円〜1,800万円 33%
1,800万円〜4,000万円 40%
4,000万円〜 45%
2. 住民税

住民税は住所のある都道府県と市町村へ納める税金。 1の所得税の確定申告を行うと、住民税納税額の通知書が送られてきます。住民税は均等割と所得割から構成され、それぞれ各都道府県と各市町村へ納める必要があります。均等割はおよそ5,000円、所得割は所得の10%が標準として定められています。

3. 消費税

売上げた時に買い手から受け取った消費税分から、自分が仕入れや経費で支払った消費税分を差し引いた額を納税します。しかし開業して2年間は納税する必要はなく、また売上が1,000万円以下の場合もかかりません。

4. 個人事業税

個人が事業を行っていることに対して課せられる地方税。 業種によって税率は違いますが、ほとんどの業種で4%となっています。しかし1年間の事業につき一律290万円が控除されるので、年間事業所得が290万円以下の場合は個人事業税はかかりません。

法人

一方の法人の場合は納めるべき税金は「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」「消費税」「固定資産税」と最低でも6つ。また会社によっては利子や配当金に対して支払う「所得税」や、「自動車関連税」があります。

1. 法人税

法人の所得に対して課せられる税金。個人事業主でいうと所得税にあたります。法人税は所得税よりも税率が穏やかで、最大税率も約24%。例えば所得800万円に対する中小企業の法人税は15%なのに対して、個人事業主の所得税は23%と割高になっています。

法人税の税率一覧
課税される所得金額 税率
800万円以下 15%
800万円以上 23.9%
2. 法人住民税

会社が登記してある都道府県、市町村に対して納める税金です。

個人事業主だと住民税のこと。法人住民税も法人税割と均等割から構成されています。東京都23区内で従業員50名以下の会社の例をあげると、法人税割は約17%、均等割は一律5万円/となりますので個人事業主よりは割高になっていますね。

3. 法人事業税

法人事業税は登記をしている都道府県で事業を営んでいることに対する税金。

税率は所得に応じて3段階に分かれており、年間所得が400万円以下であれば3.4%、400万以上800万以下であれば5.1%、800万円以上であれば6.7%になります。

4. 地方法人特別税

地域間の税源格差を是正するため、法人事業税の一部を分離して生まれた国税。

平成26年に新設される際には法人税の税率が下がっているので、納付する総額には変更ありません。法人税額の4.4%を納付します。

5. 消費税

会社が消費者から預かって国に納付する消費税。現在は8%です。

出資金が1,000万円以下の場合は創業して2年間は納税が免除されます。また課税対象の期間中の売上高が1,000万円以下の会社も免除になります。

6. 固定資産税

会社で保有している土地や建物など、有価償却資産となる固定資産に対して課せられる税金です。基本的に税率は1.4%と定められています。

個人事業主は4種類の税金の納税義務があるのに対して、法人は6種類。

一見、個人事業主の方が納める税金額が少ないように思いますが、事業の規模によっては法人の方が少なくなる場合もあります。その特徴が一番に現れているのが個人事業主の所得税と法人の法人税。課税対象の所得が330万円以上になる場合には会社設立をした方が税率が低くなります。(一部、所得が800万円〜900万円の場合のみ個人事業主の方が税率が低くなりますのでご注意ください。) また社員がいる法人は「所得の分散」が可能になることも法人のメリット。一人で多くの所得を得るのではなく、社員何人かに分散して所得を小さくした方がそれぞれの税率が低くなる分、納める税金が少なくなります。

「費用計上が可能な範囲」は法人の方が広い

個人事業主

事業に関連したものであれば、様々な出費が経費とみなすことができます。事業内容によっては自分の理美容代なども経費として計上できますし、事業に必要であるものであれば図書代や新聞も。インターネット接続にかかるプロバイダ料金や携帯電話代なども計上してOKです。

消耗品費

仕事で使用する文房具やコピー用品、PC用品等の消耗品で10万円未満(10万円以上は資産として計上します)もしくは使用可能期間が1年未満のもの。事業で使う自動車のガソリン代も含まれます。

旅費交通費

取引先との打ち合わせにかかる交通費や通勤費、出張旅費など。高速道路を使った場合やコインパーキングに駐車した場合の出費も経費としてOK。

ちなみに事業に使う自動車の自賠責保険や任意保険、海外出張時の傷害保険なども経費として認められます。

接待交際費

打ち合わせの時の飲食代や新年会・忘年会等の会食代も経費として認められます。仕事関連でお付き合いしている方の冠婚葬祭に支払った慶弔費なども含まれます。法人と違い経費として認められる交際費の限度額はありません。

水道光熱費

事務所の水道光熱費はもちろんのこと、自宅を仕事場として使っている場合は事業用に使う割合に応じて経費とみなしてOKです。

その他

事務所の引っ越し費用(敷金除く)、事業促進のためのセミナー参加費なども経費として計上することができます。

法人

法人は基本的には個人事業主が計上できる経費をすべて計上できる上、プラスアルファでさらに幅広い出費も経費として計上することができます。

給料

個人事業主との一番の違いは自分や家族従業員への給料が経費と認められていること。また退職金も経費になるのでかなりの節税になります。

保険料

個人事業主は生命保険料は所得控除として所得額から引かれる事はありますが、経費としては認めらません。また12万円が限度です。一方、法人の場合は生命保険は経費として上限なく計上できます。

住宅費

法人の場合は自宅の賃料も必要経費として計上することが可能になる場合も。

法人になると会社名義で物件を借り、社宅として経営者に貸し出せるので、家賃の8割程度を経費とすることができます。また自宅を会社名義で購入した場合は、その住宅を社宅として住宅にかかる借入金の利息、不動産所得税や固定資産税、修繕費などの費用が経費として計上する方法も。

一方の個人事業主の場合は、賃貸マンション等を自宅兼事務所としても、事業で使用する割合の家賃しか経費で落ちません。

日当

長距離の移動や宿泊が伴う出張など、通常業務以上の肉体的・精神的の疲労がある場合にその労をねぎらう意味で支給される日当。個人事業主は経費として認められませんが、法人の場合は事業主の分も経費として認められます。

「確定申告で控除できる費用」は法人が大

経費として計上できる項目が多い分、もちろん法人の方が確定申告で控除を受けられる費用が多くなります。

特に法人は「給与所得」を控除できることがとても大きなメリット。個人事業主の所得は事業所得になりますが、法人のオーナー社長の場合は給与所得となります。つまり自分の給料を利益ではなく費用として計上ができます。また個人事業主が青色申告控除を受たとしても65万円まで。法人の給与所得控除でいかに高額な費用を経費として計上できるかが分かりますね。

社長個人の場合でも給与所得控除が受けられるので、課税対象となる所得額が個人事業主の場合よりも低くなり納める税金が少なくなるメリットも。

社会から得られる信頼を考えると、とにかく「法人」がおすすめ

これまでコスト面でのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、社会からの信頼が得られるという面を考えると会社設立の魅力は大きいです。

開業届1枚で事業をスタートできる個人事業主に対して、法人はいくつものステップを経て国から法人として認められた存在。個人事業主よりも厚い信頼を得ることができ、取引の際もスムーズな交渉が見込めます。企業によっては個人事業主とは取引を禁止している場合もあるほど。また銀行から融資を受けたい場合にも社会的信用が高い法人の方が融資を受けやすいようです。

これからビジネスを拡大していきたい方にとっては会社設立をして法人として事業をスタートさせる方を強くオススメします。

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