会社設立の基礎知識

その契約書、実はリスクだらけ?はじめての業務委託契約書で失敗しないためのポイント11選

最終更新日:2021/04/26

監修 弁護士法人DREAM

法人・個人事業主ともに、ビジネスをスタートしたら直面する「業務委託契約書」。
深く考えずにハンコを押してしまうと、報酬が正しく支払われない、検品が行われないなどのトラブルを引き起こしてしまう恐れもあります。

今回は受託側からみた、失敗しない業務委託契約書のチェックポイントをご紹介します。

その契約書、リスクだらけじゃない?はじめての業務委託契約書で失敗しないためのポイント9選

目次

そもそも業務委託契約書とは?

業務委託契約書とは、自社の業務を第三者に委託する際に使用する業務内容や条件を書面化させたものです

実は「業務委託契約書」の内容は法律で義務付けられていません。内容は発行者や依頼内容により様々で、自由に決められます。場合によっては民法等の法律上の規定とは異なる内容を盛り込むことも可能です。このように自由度が高いからこそ自分にとって有利な契約内容にもできますし、不利な内容にもなります。

業務委託契約書を締結する目的・理由

民法では、口頭でも契約は締結されるとしており、その意味では業務委託契約書の作成は必須ではありません(民法第522条)。

しかし、何の書類も無い契約では、トラブルがあった際に「言った・言わない」で揉める可能性が高く、そうしたことは避けるために業務委託契約書は必要です。また、下記にあるようなポイントに沿って業務委託契約書を用意することで、注意するべき事柄に事前に気づけ、トラブルの芽を摘むこともできます。

雇用契約と業務委託契約の違い

業務委託契約書について理解するために、「業務委託契約」と「雇用契約」の違いも見ておきましょう。この2つは明確に異なり、雇用契約を結んでいる場合は労働者として、労働法の保護を受けられますが、業務委託契約の場合そのような保護はありません。

(そしてだからこそ、受託者として自分を守るために、適切な業務委託契約書を用意する必要があります。)

◯業務委託契約

  • 仕事や業務に拒否権→ある
  • 事業者からの指揮命令や遂行方法の指示→受けない
  • 労働時間や作業場所が指定→原則受けない

◯雇用契約
  • 仕事や業務に拒否権→ない
  • 事業者からの指揮命令や遂行方法の指示→受ける
  • 労働時間や作業場所が指定→受ける

なお、業務委託契約書を締結したとしても、契約書の内容や業務実態として、作業内容や労働時間・場所などで指示を受け指揮命令下にあるような場合、雇用契約であると見なされて労働法上の保護を受けられる場合があります。

業務委託契約書で気を付けるべきポイント11つ

契約書を作成する際は隅々までチェックをする必要がありますが、ここでは特にトラブルになりやすいポイントをご紹介します。

1. 契約の形態

実は、法律上「業務委託契約」という名称の契約が定められているわけではありません。しかし、民法では「請負契約」と「委任契約」の2つの形態の契約類型があり、これらの契約がいわゆる「業務委託契約」と呼ばれています。

実際の契約では、どちらになるかは明記されていないことも多いので、個別の契約内容から汲み取るのが一般的ですが、どちらの契約なのかはっきり判別できない場合も多いです。

そのため、どちらの契約かはっきりさせたい場合は、契約書のどこかに「この契約は請負(委任)契約である」という内容を一言付け加えてもOKです。もちろん、実際の契約内容がきちんとその契約類型に沿っていることは必要です。

請負契約

請負契約のゴールは「仕事の完成」、つまり一定の成果をあげることです。

納品物や成果物が決まっており、受託者が期日通りに完成させることで報酬の支払いが発生します。完成物の明確な定義を決め、その基準を満たしていない場合には修正を行い、再度納品をする必要があります。

例えば、ライターの記事制作やエンジニアのアプリ開発などの場合に結ばれることの多い契約です。

委任契約

委任契約は、業務をすること自体が報酬の対象になります。

契約した期間・場所において、指定された業務を行います。当然、プロフェッショナルとして責任や誠意が求められますが、成果物そのものが求められる訳ではありません。

例えば、ユーザーサポートやシステムの保守運用、コンサルティング、受付などの業務、また弁護士への依頼等では、この契約が結ばれます。

2. 受託する業務内容

契約書のはじめの部分で、業務内容や範囲を具体的に特定して記載します。

ポイントは業務内容や業務の範囲を細かく具体的に、明確に書くことです。

ここの部分を曖昧のままにすると、行うべき業務の内容をめぐって争いが生じ、「依頼した仕事をきちんと果たしてくれなかった」というクレームを受けかねません。また、「こんな業務内容まで含まれているとは思わなかった」「事前に聞いていた委託内容とは異なる」と双方で認識の違いが発生し、トラブルを招く可能性があります。

なお、業務内容や範囲に関して、全てを書ききれない場合は「関連業務並びに付随業務の一切を含むものとする」という条項を追加するのが一般的です。また、想定外の業務も発生することも見越して、「その他、甲乙間で別途合意した業務」を付け加えておくとよいでしょう。

記載例

第◯条(業務内容)
本契約において委託する業務内容は、次のとおりとする。ただし、委託業務の履行に必要な関連業務並びに付随業務の一切を含むものとする。
(1) ○○○○(業務内容を詳しく記載)
(2) 関連業務並びに付随業務の一切を含むものとする
(3) その他、甲乙間で別途合意した業務

3. 支払いタイミングと方法

受け取る報酬の金額や算出方法、支払日と支払い方法について明記します。

大規模なシステム開発の場合は下記のような項目を決めておくと、後々のトラブルを防げます。

  • 着手金があるのか
  • 分割で支払われるのか、その支払時期はいつか
  • 納品後に一括で支払われるか

受託者側はなるべく早く支払ってもらえるよう、納品月の月末締め翌月末支払いで交渉するとよいでしょう

記載例

第○条(報酬)
委託者は本契約に関わる報酬として、以下の通り受託者に支払うものとする。

(1)○○○(支払条件や金額について記載)
(2)受託者は、受託業務に基づく報酬の請求書を委託者に対して発行するものとする。
(3)委託者は、受託者に対して前項の請求書に従い、報酬を○○年○月○日までに受託者の指定する金融機関に振込むものとする。
(4)前項の振込手数料は、○○の負担とする。

4. 業務に関わる経費について

受けた業務を遂行するにあたって、生じる諸経費をどこまで請求ができるのかを確認します。

受託側としては旅費や通信費などの経費は、できるだけ報酬とは別に請求ができるようにしておいた方がベターです。

記載例

第○条(諸経費)
受託者が受託した業務を遂行するにあたり、要した諸経費については○○の負担とする。

5. 損害賠償

万が一、損害の絡むトラブルが発生してしまったときに備えた項目です。受託側は、損害賠償の金額をできるだけ小さくするよう交渉しましょう。

具体的には責任の範囲、期間、金額の制限をしっかりと設けておくことで、無制限に賠償を請求されるリスク回避できます。

記載例

第○条(損害賠償)
本契約の当事者が、本契約に違反して相手方に損害を及ぼした場合、当該当事者はその損害を賠償する責任を負う。
但し、1.本契約に関する受託者の賠償責任は、直接もしくは通常の損害に限る。逸失利益、事業機会の喪失等、間接的な損害は含まないものとする。
2.受託者の賠償責任は、損害賠償の事由が発生した時点から遡って過去○ヶ月に委託者から現実に受領した業務委託料の総額を上限とする。

6. 知的財産権

システム開発や記事の執筆などの業務委託では、下記のように知的財産権をクライアントに譲渡するケースが多いです。

記載例

第○条(知的財産権)
本件の過程で生じた知的財産権(著作権、特許権、実用新案権、商標権、これらの権利を取得しまたは登録を出願する権利、技術情報等を含む。著作権については著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)及び成果物に含まれる知的財産権は、成果物の納入と同時に委託者に移転するものとする。

ほとんどの場合で、知的財産権は譲渡する前提での契約になります。

しかし、独自の技術や知識などを譲渡したくない場合、知的財産権が委託者に移転することを認めたうえで、一定の範囲内で留保できるよう交渉してみましょう。システム開発などの著作権に関しては、下記のような条項を加えられるかもしれません。

記載例

第○条(知的財産権)
受託者が本件業務の着手前から有している知的財産権ならびに業務の成果物と同種のシステムに共通で利用されるノウハウ、ルーチン及びモジュールに関する知的財産権は受託者に留保されるものとする。受託者はこれらを利用して自由に他のシステム開発を行うことができるものとする。

7. 秘密保持条項

秘密保持条項は、業務の過程で双方が入手した情報の流出や流用を防ぐためのもので、多く場合委託側から受託側に一定の内容を要求してきます。

もちろん、個人情報や業務上知り得た機密などを漏らしては行けないので、この条項があるのは当然なのですが、契約終了後にも過剰な義務を課されていないかなどを、チェックしましょう。また、自分が委託者に渡す情報で秘密を保持して欲しいものがある場合、委託者側の義務も盛り込んでおくと良いでしょう。

記載例

第◯条(秘密保持)
(1)乙は本契約に関して知りえた情報を一切他に漏洩させてはならない。
(2)甲も乙から提供された◯◯と◯◯に関する情報は一切他に漏洩させてはならない。
(3)秘密保持義務の有効期限は甲乙ともに、契約終了から◯年以内とする。

8. 納品の期限や検収期間・条件

納品の前後は、一番トラブルの多い時期です。契約段階で無理のないスケジュールで交わすことがまず重要でしょう。

なお、納期に間に合わなかったケースも考慮して「納入遅延の恐れがある場合、委託者に対しその旨を遅延理由とともに直ちに通知し、新たな納入予定日等について指示を受ける。」といった旨の一文も入れておきましょう。

また、成果物を納品したのに、チェックしてもらえず報酬を請求できない事態を避けるため、検収の期限も設定しておきましょう。

ここをしっかり抑えておかないと、悪質なクライアントが報酬の支払いを遅らせるために検収をしない、といったトラブルが起きる可能性もあります。受託側としては2週間〜1ヶ月程度に設定ができるように交渉をしましょう

万一、検収期間がすぎたにも関わらず何も連絡がない場合に備え、自動的に報酬を請求できる契約を取り交わしておくと安心です。

記載例

第○条(納入)
受託者は、仕様書に基づき成果物を作成し、納期である○○年○月○日までに納入する。納入に関しては、所定の成果物とともに納品書を提出する。

第○条(検収)
委託者は、前条の納入がなされた場合には、同日から○ヶ月を検収期間としその間に検収を行うこととする。

検収にて成果物に不具合が確認された場合、受託者はその不具合に対応し、再度、成果物を納入しなければならない。再度の納入日は協議のうえ定めるものとし、検収期間は再度の納入日から○ヶ月とする。

第○条(引渡)
委託者から検収確認完了の通知がなされた場合はその日、もしくは通知がない場合、検収期間満了日をもって成果物が引渡なされたものとする。

9. 瑕疵担保(かしたんぽ)期間

検収を終了したあとで、成果物に瑕疵(欠陥やミスのこと)が見つかる場合があります。その瑕疵に対応する期間をこの項目で定めます。

受託側にとっては、瑕疵担保期間は短ければ短いほど安全です。通常は1ヶ月程度で設定されることが多くなっています。

記載例

第○条(瑕疵担保)
検収後に成果物に瑕疵が発見された場合には、当該瑕疵が委託者の責に帰すべきものである場合を除き、受託者が無償で補修を行うものとする。
但し、受託者の無償補修は、当該瑕疵のかかる成果物の検収完了日より○ヶ月以内とし、委託側から瑕疵補修の請求が受託者になされた場合に限られるものとする。

10. 有効期限と中途解約

勤務し続けることが前提の雇用契約と異なり、業務委託契約では契約の終わり=終了条件についても意識しなければなりません。

まず、有効期限に関しては請け負う業務の内容によってまちまちでしょうが、どれくらいの期間の業務なのかをきちんと協議し、業務委託契約に反映させましょう。特に委任業務で長期的に仕事を請け負いたい場合、自動更新についても入れておくと安心です。

また、中途解約についてですが、委託側は請負契約に関しては、損害の賠償と引き換えにいつでも契約の解除をすることができると法律上なっています(民法第641条)。しかしこの場合の損害の賠償とは、本来の業務委託料を支払うということであり、請負人側に負担はありません。そこで、委託側が請負側に不利な条件で自由に解約を申し出ることができるような条文を入れていないか、注意することが大切です。

なお請負人からの中途解約は、民法上は委託側が破産開始手続きの開始決定を受けたときに限定している(民法642条2項)ので、もし請負人側からも自由に解除したい場合は、その旨の規定も設けるようにしましょう。

そして委任契約に関しては、民法上は、当事者のいずれからでも中途解約できることになっている(民法651条1項)ので、有効期限の間は契約解除できないとするか、解除を希望する場合一定の事前予告期間を設けるような契約を結びましょう。

記載例

第◯条(有効期間)
(1)本契約の有効期間は、◯◯年◯月◯日から◯◯年◯月◯日までとする
(2)本契約の期間満了の○ヶ月前までに、甲及び乙からも書面による意思表示がない場合、本契約は同条件にて○ヶ月間延長されるものとし、以降も同様とする。

11. 所轄裁判所

何らかのトラブルが発生したときのために、裁判を行う裁判所を記載します。

裁判中には、何度も裁判所に出向く必要があります。遠い場所の裁判所を指定されていると、移動にかかる手間や費用も膨大になってしまいます。

クライアントと同じ地域で業務を行う場合は特に気にする必要はありません。しかし、リモートで業務をするなどクライアントの所在地と自分の勤務地が離れている場合は、なるべく自分の勤務地に近い裁判所を指定しましょう

記載例

第○条(管轄裁判所)
本契約に関する訴訟については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

終わりに

クライアント・受託者にとって不測の事態が起こったとき、話し合いによって解決できればベストです。しかし、巨額のコストや多くの人物が関わっていたりすると、一筋縄ではいかないケースが多いもの。そんなときに双方が合意した契約書があると、安心して交渉に挑めますよね。

あらゆるケースを想定しながらも、お互い気持ちよく仕事を遂行させられるようにするのが業務委託契約の役割なのです。

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