会社設立の基礎知識

【資金調達】会社設立時に活用できる助成金・補助金とは?

最終更新日:2021/08/25

監修 アトラス総合事務所

会社設立には、設立費用のほかにも開業・運転資金など多くの資金が必要になります。自己資金が少ないと、売上を安定させるまでの資金繰りができなくなってしまう可能性もあります。

こうした創業期におすすめなのが国や地方自治体による「補助金」「助成金」の活用です。新創業融資制度をはじめとした「融資」には返済義務がありますが、補助金・助成金は返す必要がありません。

これから起業することを考えている方に向けて、会社を設立する際に利用できる助成金や補助金など資金調達について詳しくまとめました。

会社設立直後に利用できる助成金・補助金

目次

補助金・助成金とは?

補助金や助成金は、国や地方自治体等が公的資金を財源として提供している資金面での支援制度です。

創業時の資金が十分でない場合の調達方法としては、銀行などの金融機関からの融資が代表的ですが、融資は借金であり、返済義務が生じます。これに対して、補助金や助成金は原則として返済の必要がなく、設立してまもない会社の金銭的リスクや負担を軽減できる利点があります。

補助金と助成金の違いとは?

助成金は定められた要件を満たしてさえいれば基本的に給付されます。対して補助金には、予算・件数に上限があり、抽選などによって給付の可否が左右されます。

また、応募の期間についても、助成金では比較的長く、補助金では短く設定されていることが多いことが違いとして挙げられます。

助成金・補助金を主催している4つの団体

日本には数多くの助成金や補助金がありますが、主催している団体は主に以下の4つです。

補助金・助成金を主催している団体

  • 経済産業省
  • 厚生労働省
  • 地方自治体
  • 民間団体・企業

団体によってサポート対象とする事業・企業や支援の目的がそれぞれ異なるので、まずは団体別で特徴を説明します。

経済産業省

日本全体の経済・産業の発展を管轄しているのが経済産業省(経産省)です。小規模な事業者や起業家を支援する役割を担う中小企業庁を管轄しており、その補助金も、地域の活性化や中小企業の振興を目的としたものがほとんどです。

設立直後の会社であれば、創業期の企業や事業規模が小さい企業の成長を助ける目的で設置された補助金を利用しやすいため、経産省が主催する補助金との相性はよいでしょう。また、地域にインバウンド旅行客を呼び込む事業や、省エネを促進する事業を営んでいる企業に対する補助金も用意されています。

なお、経産省が管轄しているのは補助金のみであり、助成金はありません。

厚生労働省

厚生労働省は、福祉や労働・雇用などを管轄しており、職業能力向上のための補助金や雇用促進を目的とした助成金を用意しています。

高齢者や障害者の雇用時や、第二新卒者を雇った際に利用できるもの、沖縄県内で若者たちを雇ったときに利用できるものなど、雇用に関する助成金が多いことが特徴です。

会社設立時に限らず、従業員を雇う計画がある場合はひと通りチェックしておくことをおすすめします。

地方自治体

各市区町村などの自治体が主催している補助金もあります。それぞれの地域の活性化を目的としていることから、趣向を凝らしたユニークな補助金・助成金も豊富です。

たとえば、長野県松本市では、新規に事業を始める方に対して家賃を負担する「新規開業家賃補助制度」があります。これは最大2年間受け取ることができ、上限は1年目が月額140,000円、2年目が月額60,000円です。事業所の近隣にある商店街への活動協力などが条件となっています。

ほかにも東京都港区では、家賃補助だけでなく、Webサイトを新規で作成したいときや販路を拡大したいときに、その費用を補助してくれる制度があります。

しかし、自治体によっては、福祉系の補助金のみ充実していて産業系の補助金が乏しいといったケースや、補助金の設置そのものに注力していない場合も少なくありません。また、その時々の方針によって、制度のあり方や金額が大きく変わることもあります。

いずれにしても、一度は自分が登記した(する予定の)市区町村のホームページを確認しておいたほうがよいでしょう。

民間団体・企業

公益団体や民間企業などが、社会公益を目的として行っている助成金・補助金制度もあります。種類や条件、支給額はその団体によりさまざまです。

たとえば、三菱UFJ技術育成財団には、新技術や新製品の開発に対する助成金制度があります。事業の実現可能性や目新しさ、社会への貢献具合など審査内容は厳しいですが、最高300万円まで助成を受けることができます。

公益財団法人・助成財団センター(JFC)のサイトでは、さまざまな条件から助成金を主催している団体を検索することができます。会社の事業内容や状況と親和性が高い助成金・補助金を探すのにご活用ください。

創業時に確実に知っておくべき助成金・補助金

創業時に申請できる主な助成金・補助金は以下の4つです。

創業時に申請できる主な助成金・補助金

  1. 創業支援等事業者補助金
  2. 小規模事業者持続化補助金
  3. キャリアアップ助成金
  4. 地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】

それぞれの特徴や対象者についてみていきましょう。

1. 創業支援等事業者補助金

創業支援等事業者補助金は、起業する人を支援する補助金として有名な施策のひとつで、創業時にかかる経費の一部について国や地方自治体から補助を受けられる制度です。以前は「創業補助金」や「地域創造的起業補助金」と呼ばれていました。

これは、産業競争力強化法に基づき設けられた補助金で、新たな雇用の創出と地域経済の活性化を促進することを目的としています。

制度の適用は市区町村単位となるので、会社の登記所在地の自治体が対象かどうかを確認する必要があります。

対象 新たに創業を予定する者
補助率 補助対象経費の3分の2以内
補助額 1,000万円(下限50万円)
申込方法 郵送、もしくは電子申請
※申請書類は公式ページから入手可能

2. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象に販路開拓にかかる経費のうち3分の2、最高50万円まで補填を受けられる国の補助金です。

ほかにも販路拡大の方法など、商工会議所の指導を受けられることも大きなメリットです。その地域で事業をスタートしたばかりの人にはうってつけの制度といえるでしょう。

その年の予算規模や、申請数などで難易度が大きく左右されるものの、ほかの補助金に比べれば比較的ハードルは低いと言えそうです。今後も高採択率が継続するとは限りませんが、チャレンジする価値はあるでしょう。

対象 卸売業・小売業・サービス業・製造業など、
従業員数5名以下(製造業は20名以下)の小規模事業者
補助率 補助対象となる経費の3分の2以内
補助額 上限50万円以内
(複数の事業者が連携して取り組む共同事業の場合は50~1,000万円)
申込方法 郵送、もしくは電子申請
※事前に最寄りの商工会議所で「事業支援計画書」を作成・交付してもらう必要があります。

参考:小規模事業者持続化補助金「実施年度メニュー

3. キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員を自社内でキャリアアップさせようと考えたときに申請したい助成金です。

条件は「正社員への転換」に加え、「賃金規定を改定する」など、全部で7パターン用意されています(助成金の額はそれぞれ異なります)。創業時にアルバイトとして雇っていた人を社員化するなど、人材に関する変更を行う際はチェックしておくべき仕組みです。

以下、正社員化コースの例となります。

対象 6ヵ月以上雇用実績のある契約社員・パート社員を正社員に登用し、さらに6ヵ月継続雇用した場合
支給金額 該当者1人につき最大72万円
申込方法 キャリアアップ計画を作成し、労働局またはハローワークに提出

参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

4. 地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】

地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】では、新商品開発、販路開拓、設備投資など、さまざまな経費に対しての助成金を受け取れます。

また、複数年度にわたるプロジェクトや規模が大きめの企業でも応募できるものがあります。東京都中小企業振興公社の助成金一覧はこちらから確認できます。

対象 地域の特産品や観光資源を活用した事業など、地域コミュニティへの貢献度が高い新規事業開発を行う企業
支給金額 各都道府県のファンドにより異なる
申込方法 各都道府県のファンドに申請

参考:中小機構 経営力の強化「助成金(地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】

ほかにも、その年の予算によって新しく生まれる助成金や補助金のほか、金融機関や財団法人などが単発で募集しているものもあるので、創業前~創業直後は、定期的に省庁のプレスリリースをチェックしておくとよいでしょう。気になる助成金・補助金を見つけたときは、主催団体に相談してください。

助成金・補助金を受けるときの注意点

返済義務が生じない助成金や補助金とはいえ、各主催団体に合わせて書類を整えるのは大変な作業です。また、それだけの労力をかけてたとしても、必ず受け取れる保証はありません。

助成金や補助金の申請から、実際に受け取るまでに注意すべきポイントをまとめました。

メリットが大きいものは倍率も高くなりがち

前述のとおり、補助金・助成金は返済義務がありません。さらに、補助金・助成金の中には募集の間口が広かったり、支給額が高額だったりと、受ける側のメリットが大きいものもあります。これらは人気が高く、応募は殺到します。

補助金や助成金をもらうために開業するのではなく、まずは計画をしっかり立てて「サポートする価値が十分にある」と思われる事業を作っていくことが重要です。

提出書類の準備には時間と労力がかかる

事業計画書や収支計画、申請書類など、助成金や補助金の制度に応募する際は、いくつもの書類を用意しなければいけないケースがほとんどです。

もちろん、ただ書類を揃えるだけではいけません。

高い倍率を勝ち抜くためには、主催団体の目的をくみ取って「この事業には価値がある」と認識してもらえるようにアピールすることが大切です。なお、すでに創業している場合は、創業から現在までの各種帳簿が必要な場合もあります。

すべての書類を準備するには、それなりの時間と労力がかかることを覚悟しておくべきでしょう。時には専門家に書類作成の一部を依頼したり、相談をしたりする必要が生じて思わぬコストがかかるケースも考えられます。

しかも、助成金や補助金の採択は約束されたものではありません。どれだけ優れた書類を用意できたとしても、不採択になる可能性があることは頭に入れておきましょう。

複数受給ができないケースもある

税金を財源とする政府系の助成金・補助金は、複数受けられない可能性が高いです。

特に、対象となる同一の経費に対して複数の助成を受けた場合など、実際に拠出した経費よりも受け取るお金のほうが多くなってしまう可能性があるため、厳格にルールが定められています。

なお、応募自体は同時に複数行うことが可能です。申請書類にも共通するものが多いため、同時に書類を作成していくつかのプロジェクトに応募し、採択されてから選ぶという考え方でも構いません。

ある程度の自己資金は必要

これだけ助成金や補助金があれば「自己資金は貯めなくても良い」と考える方もいますが、助成金や補助金はあくまでも「足りない分を補う」制度です。

事業を始める以上、ある程度の自己資金は用意しておく必要があります。特に補助金の場合、実際に使った経費を計算した上で受給額を申請→受給という流れなので、はじめに資金がない状態では事業が運営できなくなってしまいます。

また、融資を受ける場合にも自己資金がゼロというのはマイナスに働きますので、やはりある程度の余裕を持つことが必要です。

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