会社設立の基礎知識
貯金が少なくても起業できる! 会社設立直後に利用できる助成金・補助金
起業をしたいけれど、お金がない。漠然とした不安を抱えて起業を躊躇していませんか?
確かに、設立費用に開業資金、運転資金と、会社設立の際にはたくさんのお金が必要になりますので、貯蓄は多ければ多いほど安心です。しかし、普段の生活をしながら、すぐに資金を用意することは難しいでしょう。
そのような場合、「助成金」や「補助金」の活用を検討してみてはいかがでしょう?
助成金や補助金は、国や地方自治体からもらえる返済不要の資金援助です。新創業融資制度をはじめとした「融資」は返済をしなければいけないのに対し、助成金や補助金は返済しなくて良いため、気軽に申請ができます。
そこで今回は、これから起業を考えている方に向けて、会社を設立する際に利用できる助成金や補助金についてご紹介します。
※個人事業者・フリーランスになりたい方はこちら。
開業資金に助成金活用!ポイントを徹底解説

そもそも、助成金・補助金とは何か?
国や自治体には、国民に向けて「禁止したいこと」と「推進したいこと」があります。
犯罪や交通違反、路上喫煙など、禁止したい行為については罰則を設けて、罰金や過料、反則金などとして金銭を徴収します。国民の多くは、禁止されていることはそもそも行いませんし、違反した人も「損をするので二度とやらない」と考えを改めるようになります。
逆に、国民に推進したいことには、国民が得をするような制度が作られています。例えば、税金を減免したり、控除枠を設けて節税できるようにしたりするといったものです。
助成金や補助金は、一定額の金銭を支給して、国民を公的に助ける制度です。さまざまな控除より、ずっと直接的な推進政策であり、「納めた税金の一部がキャッシュバックされる」ととらえてもいいかもしれません。繰り返しになりますが、助成金や補助金の最大の特徴は、「返済する必要がない」ことです。これをフル活用することによって、経営を安定させている企業も相当数に上ります。
ところで、助成金と補助金の違いはご存じでしょうか?両者に厳密な意味の違いは定められていませんが、以下のような傾向があります。
助成金
「社会的に困っている人をサポートしたり、従業員が働きやすい環境を整備したりする行為」に対して支給される公的資金で、比較的少額です。定められた条件を満たせば支給されやすい性格があり、基本的にいつでも申請できます。
補助金
「日本の経済活動を明るく前向きに進める行為」に対して支給される公的資金で、大きな金額になる場合もあります。条件を満たしていても支給されないケースが多いなど、審査がきびしいことも特徴で、応募時期も限定されていることがほとんどです。
助成金・補助金は大きく分けて4種類
日本には数多くの助成金や補助金がありますが、主催している団体はおもに4つ。サポートする目的やサポート対象となる事業・企業がそれぞれ違いますので、まずは団体別に助成金・補助金の特徴をチェックしましょう。
経済産業省
日本経済や産業の発展を管轄しているのが経済産業省(経産省)です。小規模な事業者や起業を考えている人を支援する役割を持つ中小企業庁も管轄となっています。経産省の補助金は、地域の活性化や中小企業の振興を目的としたものがほとんどです。
会社の設立直後であれば、創業期の企業や事業規模が小さい企業の成長を助ける目的の補助金が利用しやすくなっています。また、地域にインバウンド旅行客を呼び込む事業や、省エネを促進する事業をしている企業に対して支給される補助金も用意されています。
ちなみに、経産省が管轄しているのは補助金だけで、助成金はありません。
厚生労働省
厚生労働省は、福祉や労働、雇用などを管轄している省庁です。職業能力向上のための補助金や雇用促進を目的とした助成金が用意されています。高齢者や障害者の雇用や第二新卒者を雇ったときに利用できるもの、沖縄県内で若者たちを雇ったときに利用できるものなど、雇用に関する助成金が多いことが特徴です。
会社設立時に限らず、従業員を雇う計画がある場合は、一通りチェックしておくことをおすすめします。
地方自治体
各市区町村の自治体が主催している補助金もあります。それぞれの地域の活性化を目的としていることから、趣向を凝らしたおもしろいものが豊富です。
例えば、長野県松本市では、新規に事業を始める方に対して家賃を負担する「新規開業家賃補助制度」があります。これは、最大2年間受け取ることができ、上限は1年目が月額80,000円、2年目が月額60,000円です。事業所の近隣にある商店街への活動協力などが条件となっています。
詳しくは「松本市公式ホームページ」を参考にしてください。
東京都港区の場合は、家賃補助だけでなく、Webサイトを新規で作成したいときや販路を拡大したいときに、その費用を補助してくれる制度もあります。
詳しくは「港区公式ホームページ」、及び港区産業観光ネットワーク「MINATOあらかると」を参照してください。
しかし、中には補助金に注力していない自治体もありますので、起業する際は注意してください。また、福祉系の補助金は充実しているものの、産業系は少ないといったところも少なくありません。また、その時々の自治体の方針によって、制度のあり方や金額が大きく異なることもあります。
いずれにしても、一度は自分が登記した(する予定の)市区町村のホームページを確認しておいたほうが良いでしょう。
民間団体・企業
公益団体や民間企業などが、社会公益を目的として行っている助成金・補助金制度もあります。種類や条件、支給額はその団体によりさまざまです。
例えば、三菱UFJ技術育成財団には、新技術や新製品の開発に対する助成金制度があります。事業の実現可能性から目新しさ、社会への貢献具合など審査内容はきびしいですが、最高300万円まで助成してもらうことができます。こちらは、創業後5年以内であれば応募可能となっていますので、技術に自信のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
詳細は、三菱UFJ技術育成財団の公式サイトでご確認ください。
創業時に確実に抑えておきたい助成金・補助金4選
創業時に申請できるおもな助成金・補助金には以下の4つがあります。
1. 創業・事業承継補助金
創業・事業承継補助金は、既存技術の活用や新しいアイディアで、需要や雇用を生みだせる可能性がある事業に対して支給される補助金です。支給額が最高200万円と高額なので、「おもしろいアイディアを思いついた!でも資金が…。」という方はぜひチャレンジしてください。相談会や相談窓口が用意されるなど、公式サイトのわかりやすさもポイントです。
対象 | 新たに創業を予定する者 |
補助額 | 100万円~200万円 |
申込み方法 | 郵送、もしくは電子申請 ※申請書類は公式ページから入手可能 |
参考:平成29年度 創業補助金
2. 小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、補助金の交付だけでなく販路を拡大する方法など、商工会議所の指導を受けられることも大きなメリットです。その地域で事業をスタートしたばかりの人には、とてもありがたい制度といえるでしょう。
対象 | 卸売業・小売業・サービス業・製造業などの小規模事業者 |
補助率・補助額 | 上限50万円以内で、補助対象となる経費の3分の2以内(複数の事業者が連携して取り組む共同事業の場合は100~500万円) |
申込み方法 | 郵送による申請 ※事前に最寄りの商工会議所で「事業支援計画書」を作成・交付してもらう必要があります。 |
3. キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員を、自社内でキャリアアップさせようと考えたときに申請したい助成金です。条件は「正社員への転換」だけではなく、「職業訓練を行う」「賃金規定を改定する」など、全部で8つのコースが用意されています(助成金の額はそれぞれ異なります)。創業時はアルバイトとして雇っていた人を社員化するなど、人材に関する変更を行う際はチェックしておきたいしくみです。
対象 | 6ヵ月以上雇用実績のある契約社員、パート社員を正社員に登用し、さらに6ヵ月継続雇用した場合 |
支給金額 | 該当者1人につき60万円 |
申込み方法 | キャリアアップ計画を作成し、労働局またはハローワークに提出 |
4. 地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】
地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】は、新商品開発、販路開拓、設備投資など、さまざまな経費に対しての助成金を受け取れます。また、複数年度にわたったプロジェクトや企業規模が大きめの企業でも応募できるものもあります。東京都中小企業振興公社の助成金一覧はこちらから見ることができます。
対象 | 地域の特産品や観光資源を活用した事業など、地域コミュニティへの貢献度が高い新規事業開発を行う企業 |
支給金額 | 各都道府県のファンドにより異なる |
申込み方法 | 各都道府県のファンドに申請 |
参考:中小機構:経営力の強化: 助成金(地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】
ほかにも、その年の予算によって新しく生まれる助成金や補助金、金融機関や財団法人などが単発で募集しているものもありますので、創業前から創業直後は、定期的に省庁のプレスリリースを確認しておくと良いでしょう。そして、気になる助成金・補助金を見つけたときは、主催団体に相談してください。
助成金・補助金を受けるときの注意点
返済義務が生じない助成金や補助金とはいえ、各主催団体に合わせて書類を整えるのはたいへんな作業です。また、それだけの労力をかけても、必ず受け取れるというものではありません。助成金や補助金の申請から、実際に受け取るまでに注意したほうがいいポイントをまとめました。
メリットが大きいものは倍率も高くなりがち
返済義務がある融資に対して、返済しなくて良い助成金・補助金。さらに、募集の間口が広かったり支給額が高額だったりと、受ける側のメリットが大きい助成金・補助金は応募が殺到します。例えば、2016年の「創業・第二創業促進補助金」では、1ヵ月弱の公募期間で2,866件の応募がありましたが、採択されたのはたったの136件。およそ4.7%の事業者しか助成金が得られなかったことになります。
助成金や補助金をもらうために開業するのではなく、まずは計画をしっかり立てて「サポートする価値が十分にある」と思われる事業を作っていくことが第一です。
提出書類の準備には時間と労力がかかる
事業計画書に収支計画、申請書類など、助成金や補助金の制度に応募する際は、数多くの書類を用意しなければいけないケースがほとんどです。もちろん、ただ書類をそろえるだけではいけません。高い倍率を勝ち抜くためには、主催団体の目的をくみ取って「この事業には価値がある」と認識してもらえるようにアピールすることが大切です。なお、すでに創業している場合は、創業から現在までの各種帳簿が必要な場合もあります。
すべての書類を準備するためには、かなりの時間と労力がかかることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。時には司法書士に書類作成の一部を依頼したり、相談をしたりする必要が生じて思わぬコストがかかるケースも考えられます。しかも、助成金や補助金の採択は約束されたものではありません。どれだけ優れた書類を用意できたとしても、不採択になる可能性があることは頭に入れておきましょう。
複数受給ができないケースも
税金が財源になっている政府系の助成金・補助金は、複数のものを受けられない可能性が高いです。特に、対象となる経費が重複してしまうものは、拠出した経費よりも受け取るお金のほうが多くなってしまうことがあるため、厳格にルールが定められています。
とはいえ、応募については同時に複数行うことが可能です。また、申請書類も似た物が多いので、同時に作成していくつかのプロジェクトに応募し、採択されてから選ぶという考え方でも構いません。
自己資金はゼロではNG
これだけ助成金や補助金があれば「自己資金は貯めなくても良い」という考え方もあるでしょう。しかし、助成金や補助金はあくまでも「足りない分を補う」制度です。事業を始める以上、ある程度の自己資金は用意しておく必要があります。特に補助金の場合、実際に使った経費を計算した上で受給額を申請→受給という流れですので、初めに資金がないと事業が運営できなくなってしまいます。
まとめ
創業期の資金が必要なタイミングで、事業資金の足しにできる助成金や補助金。しかも、返済が不要という点は、とてもありがたいものです。一方、応募条件や申請書類が複雑なものがほとんどで、受給までにはかなりの時間と労力がかかります。それでも、資金不足のせいでビジネスチャンスを逃すことがないよう、ぜひ活用を検討してみてください。
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