会社設立の基礎知識

【記入例付き】法人設立届出書の書き方・提出方法・添付書類を詳しく解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

【記入例付き】法人設立届出書の書き方・提出方法・添付書類を詳しく解説

法人設立届出書とは、法人を設立した事実や法人の概要を税務署に届け出るための書類です。法人設立日から2ヶ月以内に提出することが義務付けられています。

また、法人設立届出書は、税務署だけでなく、都道府県税事務所・市町村役場にも提出が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、あらかじめ提出方法や提出期限を確認しておきましょう。

本記事では、法人設立届出書の書き方を項目別に紹介し、提出先や提出期限、添付書類も解説します。

目次

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法人設立届出書とは

法人設立届出書
出典:国税庁「法人設立届出書」
法人設立届出書とは、法人を設立した事実や法人の概要を税務署に届け出るための書類です。法務局で法人登記を行った後に必要となる手続きであり、法人税や消費税などに関する税務上の管理に関わります。

法人設立届出書の提出は、法人税法で定められた義務です。未提出であっても罰則は設けられていませんが、提出していないと税務署からの案内や連絡を適切に受けられず、申告漏れなどが生じる可能性があります。

株式会社や合同会社のほか、協同組合などを含む内国法人の設立時には、原則として提出が必要です。忘れずに手続きしましょう。

【関連記事】
【会社設立後の手続き】法人登記だけじゃない!やることリストや必要書類・期限を解説

出典:e-Gov法令検索「法人税法(昭和四十年法律第三十四号)」

法人設立届出書の提出について

法人設立届出書は、税務署に加えて、都道府県税事務所や市町村役場にも提出する必要があります。提出先・提出期限・提出方法は、それぞれ以下のとおりです。

項目国税地方税
提出先納税地の所轄税務署都道府県税事務所や市町村役場
提出期限法人設立の日(設立登記の日)から2ヶ月以内自治体によって異なる
提出方法e-Taxによる電子申告・窓口持参・郵送eLTAXによる電子申告・窓口持参・郵送
出典:大阪府「法人府民税・事業税の法人設立等申告書」
出典:eLTAX「法人設立・設置届出書 記載要領」
出典:eLTAX「eLTAXで利用可能な手続き」

法人設立届出書の入手先

法人設立届出書には、所定の様式があります。この様式は税務署で配布されていますが、国税庁のWebサイトから無料でダウンロードすることもできます。

Webサイトからダウンロードした法人設立届出書は、国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用してオンラインで提出することも可能です。

また、市町村役場に提出する法人設立届出書の様式も、自治体によってはWebサイトからダウンロードできます。

法人設立に伴う税務手続きについては、最寄りの税務署で相談できます。ただし、税務署の閉庁日(土・日・祝日など)は相談を受け付けていません。

法人設立届出書の提出先

法人設立届出書の提出先は、下記のとおりです。

法人設立届出書の提出先

  • 納税地の所轄税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市町村役場

会社設立後は、法人税や消費税に関する税務手続きのため、まず法人設立届出書を税務署に提出します。あわせて、都道府県税事務所や市町村役場にも提出が必要です。

なお、税務署・都道府県税事務所・市町村役場に提出する届出書に記載する基本情報は共通していますが、様式や添付書類、提出先ごとの取扱いは異なります。必要に応じて提出先の案内を確認しましょう。

法人設立届出書の提出期限

税務署に提出する法人設立届出書の提出期限は、法人設立の日(設立登記の日)から2ヶ月以内です。

一方、都道府県税事務所への提出期限は自治体ごとに異なります。基本的には、法務局で法人設立登記を行った後に法人設立届出書を提出しますが、事業開始日が設立登記日より前となる場合は、所轄の自治体が定める提出期限を確認する必要があります。

たとえば、東京都税事務所の場合は、「法人設立の日から15日以内」の提出が必要です。

そのほか、大阪府税事務所や神奈川県川崎市税事務所では「法人設立の日または事務所設置の日から2ヶ月以内」、千葉県税事務所では「法人設立の日から1ヶ月以内」と提出期限が定められています。

このように、自治体によって届出書の提出期限は異なるため、まずは所轄の税事務所の案内を確認しましょう。

出典:東京都主税局「法人設立・設置届出書の記載要領」
出典:大阪府「法人府民税・事業税の法人設立等申告書」
出典:神奈川県「県税Q&A 法人県民税・事業税」
出典:千葉県「新たに法人を設立しましたが、県税の届出はどのようにしたら良いですか。」

法人設立届出書の添付書類

法人設立届出書を提出するときは、「定款・寄附行為・規則または規約」の写しを添付します。原則として写しは1部で足りますが、資本金1億円以上の内国普通法人の場合は2部必要です。

また、都道府県税事務所や市町村役場へ提出する法人設立届出書には、定款などの写しに加えて登記事項証明書の添付が必要です。かつては税務署にも登記事項証明書の提出が必要でしたが、2017年4月1日以降は不要になりました。

出典:eLTAX「法人設立・設置届出書 記載要領」

法人設立届出書の書き方

法人設立届出書の書き方

次に、法人設立届出書の書き方を様式に沿って解説します。なお、特別な補足をしない限り、税務署へ提出する様式をベースに説明します。

記入する項目は以下のとおりです。

法人設立届出書で記入する項目

①提出する日付・提出する税務署名
②本店又は主たる事務所の所在地・納税地
③法人名・法人番号・代表者氏名・代表者住所
④設立年月日・事業年度
⑤設立時の資本金又は出資金の額
⑥消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日
⑦事業の目的・「支店・出張所・工場等」
⑧設立の形態
⑨事業開始(見込み)年月日
⑩「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無
⑪添付書類
⑫関与税理士・税理士署名

なお、提出後、不備に気付いた場合は、税務署や都道府県税事務所などに問い合わせ、速やかに再提出などの手続きを行いましょう。

①提出する日付・提出する税務署名

法人設立届出書の左上の提出日欄に和暦で日付を記入し、「〇〇税務署長殿」の欄には納税地の所轄税務署名を記入します。

納税地の所轄税務署名がわからない場合は、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」で確認できます。

②本店又は主たる事務所の所在地・納税地

「本店又は主たる事務所の所在地」欄には、登記事項証明書に記載されたとおりの表記で本店または主たる事務所の住所を記入します。「納税地」も基本的に本店所在地と同じになることが多いため、「同上」と記入できます。

なお、記入する電話番号は、固定電話でも携帯電話でも問題ありません。

③法人名・法人番号・代表者氏名・代表者住所

「法人名」欄には省略名や通称を使わず、登記されているとおりの正式名称をフリガナとともに記入します。

「法人番号」は国税庁の「法人番号公表サイト」で商号・名称・所在地などから検索できます。類似した名称の法人が表示される場合もあるため、所在地や変更履歴を確認したうえで自社の法人番号を転記しましょう。

なお、「法人番号公表サイト」への法人番号の掲載は、設立登記の手続きが完了した日の16時以降または国税庁の翌営業日11時以降です。また、掲載後に発送される「法人番号指定通知書」でも確認できます。

法人設立届出書を提出するタイミングで法人番号が掲載されていない場合は、空欄で問題ありません。

「代表者氏名・代表者住所」欄には、代表者の氏名・住所・電話番号を記入します。電話番号は「本店又は主たる事務所の所在地」欄と同様に、固定電話と携帯電話のいずれでも記入できます。

出典:国税庁「法人番号に関するお知らせ」

④設立年月日・事業年度

「設立年月日」には、登記事項証明書に記載されている「法人を設立した年月日」を和暦で転記します。設立年月日は、法人登記を申請した日となるのが一般的です。

「事業年度」には、定款で定めた会計期間を記入します。

⑤設立時の資本金又は出資金の額

「設立時の資本金又は出資金の額」の欄には、法人登記申請時に定めた資本金または出資金の額を転記します。

⑥消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日

「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」欄は、法人の状況に応じて記入の要否が異なります。

設立時の資本金が1,000万円以上の法人は消費税の新設法人に該当するため、当該欄の記入が必要です。「設立年月日」欄と同様に、登記事項証明書に記載された「会社を設立した年月日」を和暦で転記します。

設立時の資本金が1,000万円未満の法人は消費税の新設法人に該当しないため、空欄で問題ありません。

⑦事業の目的・「支店・出張所・工場等」

「事業の目的」欄のうち、上部の「定款等に記載しているもの」の欄には、定款に記載された事業目的をそのまま記入します。法人設立届出書の提出時には定款などの写しも添付するため、書ききれない場合は概要を簡潔に記載すれば問題ありません。

「現に営んでいる又は営む予定のあるもの」の欄には、「定款等に記載されているもの」と同じなら「同上」と記入します。「定款等に記載されているもの」以外の事業も行う予定の場合は、追記が必要です。

「支店・出張所・工場等」の欄は、本店以外に支店・出張所・工場などがある場合は、その名称と住所を記入し、該当しない場合は空欄のままとします。

⑧設立の形態

「設立の形態」欄では、下記から当てはまる項目に○を付けます。

「設立の形態」欄の区分

  1. 個人企業を法人組織とした法人である場合
  2. 合併により設立した法人である場合
  3. 新設分割により設立した法人である場合(分割型・分社型・その他)
  4. 現物出資により設立した法人である場合
  5. その他

個人事業主が法人成りした場合は、「1.個人企業を法人組織とした法人である場合」を選択します。個人事業主のときに確定申告書を提出していた所轄税務署および整理番号も記入しましょう。

それ以外の新設法人の場合は「5.その他」を選択し、「新規設立」と記入します。

⑨事業開始(見込み)年月日

「事業開始(見込み)年月日」欄には、すでに事業を開始している場合、原則として「設立年月日」欄と同じ日を和暦で記入します。まだ事業を開始していない場合は、開始予定日を記入しましょう。

⑩「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無

「給与支払事務所等の開設届出書」とは、会社が従業員に給与を支払う場合に必要となる書類です。給与の支払いが発生する場合は、選択肢の「有」に○を付けた法人設立届出書とあわせて、給与支払事務所等の開設届出書を提出します。

なお、給与には従業員に支払うものだけでなく、代表者に支払う役員報酬も含まれます。

出典:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」

⑪添付書類

「添付書類」の欄には、法人設立届出書に添付する書類の有無を記入します。

定款などの写しである「定款・寄附行為・規則または規約」は必須書類のため、「1.定款等の写し」に○を付けましょう。

定款・寄附行為・規則または規約とは、法人設立時に作成する基本書類のひとつであり、会社の基本事項を定めるものです。

【関連記事】
定款の作り方とは?起業時に作成する際の記載事項や注意点を解説

⑫関与税理士・税理士署名

「関与税理士」欄には、会社設立時点で関与税理士や顧問税理士がいれば、氏名および事業所所在地を記入します。

また、「関与税理士」欄に署名した税理士がこの届出書の作成を代行した場合は、「税理士署名」欄にも署名が必要です。以前は税理士の署名に加えて押印も必要でしたが、2021年4月以降は押印欄が廃止され、原則として不要となりました(押印しても問題ありません)。

なお、法人設立届出書を自身で作成した場合や、関与税理士・顧問税理士ともに不在の場合は空欄とします。

出典:国税庁「新旧対照表」

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まとめ

法人設立届出書は、法人設立後に税務署や都道府県税事務所へ提出する重要な書類であり、法人税や消費税などの各種税務手続きに必要です。

税務署への提出期限は法人設立日から2ヶ月以内とされていますが、都道府県税事務所への提出期限は自治体ごとに異なるため、一律ではありません。

さらに、提出先によって必要書類や取扱いが異なる場合もあるため、事前に所轄官公庁の案内を確認し、記入漏れや提出漏れが生じないよう、余裕をもって準備を進めましょう。

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よくある質問

法人設立届出書の提出が遅れたら罰則はある?

法人設立届出書を期限内に提出しなかった場合の罰則は設けられていません。

ただし、法人設立届出書の提出は法人税法で定められている義務であるため、期限を過ぎてしまった場合でも速やかに提出しましょう。

詳しくは記事内「法人設立届出書とは」「法人設立届出書の提出期限」をご覧ください。

法人設立届出書はどこでもらえる?

税務署に提出する法人設立届出書の様式は、税務署で配布されているほか、国税庁のWebサイトでも取得可能です。市町村役場に提出する法人設立届出書の取得方法は、各自治体やeLTAXの案内を確認しましょう。

詳しくは、記事内「法人設立届出書の入手先」をご覧ください。

法人設立届出書に必要な添付書類は?

税務署に提出する法人設立届出書に必要な添付書類は、「定款・寄附行為・規則または規約」の写しです。地方税の法人設立届出書は提出先によって取扱いが異なるため、自治体やeLTAXの案内を確認しましょう。

詳しくは、記事内「法人設立届出書の添付書類」をご覧ください。

参考文献

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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