会社設立の基礎知識

どのプロバイダがいい?会社にネット回線をひく前に知っておきたい、基礎知識とプロバイダ比較

どのプロバイダがいい?会社にネット回線をひく前に知っておきたい、基礎知識とプロバイダ比較

起業をしてオフィスを借りたり人を雇うとなると、新たに通信インフラを整える必要があります。

自宅で一人で開業した人は、当面はこれまで個人で使用していたもので問題ないでしょう。しかし、仕事に支障が出るようなら、見直しが必要です。

今回は主な通信回線やサービスからメリット・デメリット、費用などを比較してみました。

ネット回線の仕組み

まずはインターネットの仕組みからご紹介します。

インターネットに接続するためには、通信回線とプロバイダの2つの機能が必要です。回線は道路、プロバイダは国境での出入国管理の役割をになっています。
つまり、回線は情報が流れる道を確保し、プロバイダはそれぞれの端末に、IPアドレス(Internet Protocol)というパスポートのような固有番号を振り分け、情報の出入りをコントロールするという訳です。
この2つがそろって、はじめてインターネットを使うことができます。

回線事業者・プロバイダ各社のサービスまとめ

では早速、回線事業者とプロバイダはそれぞれどのようなサービスを提供しているのかをご紹介します。
なお記事中で紹介している通信速度や料金などは、調査時点(2016年8月)のおおよその数値・金額になります。居住エリアや住居のタイプ、プランやキャンペーンなどによって異なりますので、詳細は各事業者にご確認ください。

回線事業者 8社比較

まず通信回線には、有線と無線の2つのタイプがあります。
有線はケーブルをオフィスや自宅まで引き、ルータという機器からケーブルを直接PCなどに差し込んでインターネットに接続する方法です。
回線の種類としては電話アナログ回線、ISDN、ADSL、光ファイバー、ケーブルテレビ回線などがあります。

一方の無線は、各地に設置された基地局から回線の情報を無線を通して発信。その発信された情報を携帯端末からアクセスすることで、インターネットに接続ができます。また、オフィスやSOHOまで有線の通信回線を引いて無線ルータを使って回線の情報を無線でとばし、PCなどからその情報にアクセスしてインターネットに接続することもできます。
電波の種類には、Wi-FiやLTE、3Gなどがあります。

上記を踏まえた上で、個別のサービスの一例をみていきましょう。

1. NTT東日本、NTT西日本(有線 / 光ファイバー)

フレッツ光で有名な光ファイバーを介したサービスです。光ファイバー全体の70%以上のシェアがあるといわれています。
サービスエリアも広く(カバー率95%程度)、マンションにはNTTの光回線がすでに導入されている所も。提携しているプロバイダーも多く、プランの選択肢が広いのもポイントです。通信速度は100Mbps〜1Gbps。料金はプロバイダー料金込みで、マンションタイプで月額3,000〜4,000円、戸建てで5,000〜6,000円程度です。

2. KDDI株式会社(有線 / 光ファイバー)

auひかりの名称で光ファイバーのサービスを展開しています。
通信速度は1Gbps。独自回線のエリア、NTTの回線を利用するエリア、東京電力のTEPCOひかりから受け継いだ回線のエリアなどがありますが、かなり広い地域をカバーしています(カバー率70%程度)。
利用料金はプロバイダー料金込みで、マンションタイプが月額4,000円、戸建てが5,000円程度。auの携帯電話やスマートフォンを契約していると割安になるプランもあります。

3. ソフトバンクグループ株式会社(有線 / 光ファイバー)

光ファイバーを介したSoftBank光というサービスを展開しています。
NTTの回線を借りているため、対象エリアはNTTと同じです。利用料金はプロバイダー料金込みで、マンションタイプが月額4,000円、戸建てが5,000円程度です。
KDDIと同様で、ソフトバンクの携帯電話やスマートフォンを併せて契約すると、所定の割引が適用されます。

4. PNJグループ(有線 / 光ファイバー)

各電力会社が出資する通信事業者のグループです。
サービス内容は会社ごとに異なりますが、通信速度は100Mbps〜1Gbps。料金はプロバイダー込みで4,000〜6,000円程度です。複数年契約などを利用すると割引特典があります。
地域によって、以下のような会社が加盟しています。

  1. 1.KDDI株式会社
  2. 2.北海道総合通信網株式会社(HOTnet)
  3. 3.東北インテリジェント通信株式会社(TOHKnet)
  4. 4.中部テレコミュニケーション株式会社 (CTC)
  5. 5.北陸通信ネットワーク株式会社(HTNet)
  6. 6.株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)
  7. 7.株式会社STNet
  8. 8.九州通信ネットワーク株式会社(QTNet)
  9. 9.沖縄通信ネットワーク株式会社(OTNet)

5. 株式会社ジュピターテレコム(有線 / CATV)

テレビケーブルを通して提供するインターネット回線サービスです。名称はJ:COM NET
通信速度は上り10Mbps、下り160Mbps程度。料金はプロバイダー込みで月額約4,700円からです。ケーブルテレビの番組をよく見るようなら、インターネット接続や電話サービスを含めてパッケージにすることで、料金上のメリットがあります。

6. ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(有線 / 光ファイバー)

ソニー系の事業者So-netが、NTT東日本の光回線を借りて、関東地方で提供するサービスです。NURO光というサービス名称で展開しています。
最大2Gbpsの通信速度があることが大きなポイント。また無料のセキュリティソフトも提供されます。料金はプロバイダー料金込みで月額4,800円程度。

7. UQコミュニケーションズ株式会社(無線 / WiMAX)

WiMAXの無線回線サービスです。名称はUQWiMAX。料金はプロバイダー料込みで、月間7GBまでの通信料制限があるプランで3,700円程度、無制限プランで4,400円程度となっています。ただしどちらのプランでも通信混雑を避けるため、3日間で3GBの通信制限があります。
auの携帯電話をあわせて申し込むと割引になるサービスがあります。このほか、Yahoo BBやBIGLOBEなどさまざまなプロバイダーが、WiMAX2+とのバンドルサービスを展開しています。

8. スマートモバイルコミュニケーションズ株式会社(無線 / LTE)

LTE/3Gを利用したインターネット回線サービスです。名称はスマモバ。
通信速度は上り50Mbps、下り150Mbpsなど。接続料は月額3,000円程度からです。ただし、月間の通信料制限が2〜3GBとなっており、それを超えると低速モードになります。高速通信にするには別料金でチャージする必要があります。

コラム:ポケットWi-Fiなどの無線回線と有線回線、どちらがいい?

モバイルWi-Fiルーターは、WiMaxかLTEのどちらかの無線回線を契約し、その回線に接続する小型の機器のこと。「ポケットWi-Fi」と呼ぶこともあります。

一人でビジネスをはじめる人は、今までプライベートで使っていたモバイルWi-Fiルーターを、そのまま使おうと思っている人も少なくないのではないでしょうか。しかし今後のビジネスの展開によっては、有線回線を検討したほうが良いケースも。
モバイルWi-Fiルーターと有線回線のメリット・デメリットを比較しながら、選ぶポイントをご紹介します。

まずはモバイルWi-Fiルーターのメリット・デメリットから。

モバイルWi-Fiルーターのメリット

  • ・持ち運びができる
  • ・工事不要ですぐに使える
  • ・有線回線より料金が安い

モバイルWi-Fiルーターのデメリット

  • ・サービスエリア内でしか使えない
  • ・壁や近くの建物の影響を受け、通信速度が遅い。接続が不安定になることがある。
  • ・通信制限がある(月間で7GB、3日で3GBなど)
  • ・バッテリーが切れると使えない
  • ・社内LANを構築できない

一方の有線回線のメリット、デメリットは以下になります。

有線回線のメリット

  • ・通信が安定している
  • ・通信速度がモバイルWi-Fiルーターより速い
  • ・社内LANを構築できる

有線回線のデメリット

  • ・工事が必要なため開通に時間がかかる
  • ・利用料金が割高。工事費がかかる

以上のメリット・デメリットをまとめると、①外で仕事をする機会が多い、②現状は自分ひとりのみの会社で、しばらく従業員が増える予定がない場合はモバイルWi-Fiルーターの方がメリットが多いです。

一方で、①事務所で仕事をする時間が多い、②映像や画像などの大きなファイルを取り扱うことがある、③近いうちに従業員が増える予定があるという場合は有線回線を契約するとよいでしょう。

プロバイダー 7社比較

プロバイダーは、回線事業者の関連会社やOCN、Yahoo BBなどが大きなシェアを持っています。しかし日本インターネットプロバイダー協会に加盟している会社だけで150社を超えていますので、かなりの選択肢があります。

仕事で利用する場合は料金だけでなく、セキュリティ対策、トラブル時のサポート体制なども考慮して選択すると◎。また回線事業者はプロバイダーとのパッケージで割引を設けていますので、そうした割安なサービスを利用するとよいです。

1. NTTコミュニケーションズ株式会社(OCN)

シェアNo.1を誇るNTT系のプロバイダーです。
国内最大級の基幹回線を持ち、その監視体制も整っているので安定性がウリ。無料で使えるウイルス・スキャン・サービスも付帯しています。
無料メールアドレスは1つですが、有料で最大29個のメールアドレスの追加設定が可能。料金は最初の追加アドレスが250円、2〜29個目までが1つにつき100円となっています。接続料は光回線とセットで月額5,000〜6,500円程度です。
OCN光 公式サイトへ

2. ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)

Sonyグループのプロバイダーです。
「NURO光」という2Gbpsの通信回線サービスも展開しています。その他NTT、KDDIなどとも提携してており回線事業者が幅広く選択できます。
料金は光回線とのセット契約で、月額2,000程度〜。無料のメールアドレスは1つですが、ファミリーパックを申し込むと最大3つ無料で追加できます。また有料で最大10個のメールアドレスを追加でき、料金は1件100円となっています。メール・ウイルス・チェックは有料で月額300円です。
So-net 公式サイトへ

3. 株式会社Hi-Bit(Toppa!)

NTTの回線利用であれば、NTTの請求書で一括して支払えるというメリットもあるプロバイダ。
接続料はNTTの光回線とセットで月額1,870円程度となっています。ホームページ・ディスクスペースも無料で100MBまで利用可能。光回線とのセット契約の場合、無料メールアドレスは3つで、追加1つにつき200円かかります。
Toppa! 公式サイトへ

4. ヤフー株式会社(Yahoo BB)

ソフトバンクグループが運営するプロバイダーです。
「SoftBank光」や携帯とのパッケージで申し込むと所定の割引があります。またメールアドレスが10個まで無料、メール容量が無制限であるなどの会員特典も充実しています。
接続料は基本サービスと光回線セットで月額4,100円程度〜です。
Yahoo BB 公式サイトへ

5. ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)

無料メールアドレスが最大5つ利用可能のプロバイダ。総合ウイルス対策ソフトが月額980円で3台のパソコンまで利用できるサービスもあります。
接続料は光回線とのセットで月額3,400円程度〜。
BIGLOBE 公式サイトへ

6. 楽天コミュニケーションズ株式会社(楽天ブロードバンド)

楽天スーパーポイントを毎月100ポイント付与。年中無休のサポートセンターもあり、法人契約も10年以上の実績があります。無料メールアドレスは10個で、接続料は光回線とのセットで月額3,000円程度〜。
楽天ブロードバンド 公式サイトへ

7. ニフティ株式会社(nifty)

富士通グループが運営する老舗プロバイダーです。
NTTの「フレッツ光」、KDDIの「auひかり」、中部テレコミュニケーションの「コミュファ光」などとも提携し、幅広いエリアをカバーしています。
接続料は光回線とのセットで月額3,400円ほど〜です。無料メールアドレスは1つですが、同じメールボッックスに月額100円で10個までアドレスの追加が可能です。別のメールボックスを設ける場合は、メールボックス1つにつき月額200円で容量は10GBとなっています。
nifty 公式サイトへ

コラム:SOHOであれば光回線の家庭用プランでOK

インターネット回線は、今や光回線などの高速回線が標準。 光回線であれば上り下りとも100Mbps程度の通信速度が確保されていることが一般的です。通常業務であればストレスなく利用できる速度ですが、大量のデータをやり取りする場合は、高速の1〜2Gbpsのサービスを選ぶと◎。

どの事業者も1回線で5〜6台の接続を想定している場合が多いので、従業員が3名以下のスモールビジネスであれば、家庭用プランでOK。光回線とプロバイダーのセットで、金額は月額4,000〜5,000円を目安にしてください。

おわりに

一口にインターネットに接続する、といってもタイプや組み合わせは様々。
インターネットは毎日の業務に直結しますし、一定のコストが毎月発生するので、慎重に選ぶことをおすすめします。
現在の事業規模やこれからの展開予定にぴったりな1つをみつけてくださいね。

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