監修 松浦 絢子(弁護士)
役員の就任や本店移転、支店の設置など、登記簿に記載された事項に変更が生じた場合には、変更登記の手続きが必要になることがあります。
登記事項に変更が生じた日から、原則として2週間以内に管轄の法務局への申請が必要です。登記申請書や株主総会議事録などの必要書類を準備し、書面またはオンラインで手続きを行います。
本記事では、変更登記の概要をはじめ、商業登記と法人登記の違い、変更登記が必要となるケース、具体的な手続き方法を解説します。
目次
- 変更登記とは
- 商業登記と法人登記の違い
- 変更登記の期限は2週間以内
- 変更登記が必要なケースと費用
- ケース1. 取締役や監査役の就任・辞任・退任・解任・重任
- ケース2. 代表取締役の住所変更
- ケース3. 新規事業の立ち上げ・事業撤退
- ケース4. 会社の名称変更
- ケース5. 本店移転・支店の設置、廃止
- ケース6. その他
- 変更登記の手続き方法
- 用意すべき必要書類
- 変更登記の申請方法
- 変更登記の注意点
- 申請期間が短い
- 時間や手間がかかる
- 費用がかかる
- 変更登記は自分でできる
- 変更登記をできるだけ少なくするために考慮すること
- 役員の任期を適切に決める
- 住所は番地までにする
- 事業目的は将来可能性のあるものも含める
- 会社形態(株式会社や合同会社など)は慎重に決める
- まとめ
- 変更登記の書類をかんたんに作成する方法
- よくある質問
変更登記とは
「変更登記」とは、登記簿に記載された内容を変更する手続きのことです。
登記とは行政の仕組みのひとつであり、個人や法人の権利や義務を社会に公示するため、公簿に記載することです。代表的なものとして、法人登記や商業登記(会社登記)、不動産登記などが挙げられます。
登記簿に記載をすることで、第三者に対して権利関係を主張できるほか、取引先や金融機関から社会的信用も得やすくなります。登記簿の記載内容は会社の最新の状態と一致させる必要があり、内容に変更があった際には、変更登記を行わなければなりません。
商業登記と法人登記の違い
商業登記とは、社名・役員情報・資本金・所在地など、会社に関する重要な事項を登記簿に記載する手続きのことです。「会社登記」とも呼ばれ、会社(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社など)の設立や各種変更の際に必要となります。
商法や会社法などの法律に基づき、実態に即した適正な登記を行うことで、取引の安全性と円滑性を確保するための制度です。
一方で法人登記とは、一般社団法人・一般財団法人・宗教法人・学校法人など、会社以外の法人の設立や各種変更の際に必要となる手続きです。
| 商業登記 | 法人登記 | |
|---|---|---|
| 対象 | ・株式会社 ・合同会社 ・合資会社 ・合名会社 など | ・一般社団法人 ・一般財団法人 ・NPO法人 ・宗教法人 ・学校法人 ・社会福祉法人 など |
なお、会社設立時に作成する「定款(ていかん)」に記載事項に変更があった場合、変更登記に加えて定款変更の手続きも必要になります。
変更登記と定款変更はセットで行うケースが多いので、別記事「株式会社の定款変更が必要なケースは?手続き方法・費用・自分でできるかについて解説」もあわせて参考にしてください。
変更登記の期限は2週間以内
変更登記の申請期間は、登記事項に変更が生じた日から、原則として2週間以内です。2週間以内に登記が行われなかった場合、登記懈怠(とうきけたい)となり、代表者などに100万円以下の過料が科されるおそれがあります。
手続き方法は、記事内「変更登記の手続き方法」で解説しています。
変更登記が必要なケースと費用
変更登記とは、登記簿の記載内容に変更が生じた際に必要となる手続きです。社名・役員情報・事業内容などの重要事項に変更があった場合は、速やかに変更登記を行いましょう。
変更登記が必要なタイミングは多数ありますが、よくあるケースとして以下が挙げられます。登録免許税の税額もあわせて示します。
| 変更登記が必要なケース | 登録免許税の税額 | |
|---|---|---|
| 取締役や監査役の就任・辞任・退任・解任・重任 | 資本金が1億円を超える場合:3万円 資本金が1億円以下の場合:1万円 | |
| 代表取締役の住所変更 | ||
| 新規事業の立ち上げ・事業撤退 | 1件あたり3万円 | |
| 会社の名称変更 | ||
| 本店移転・支店の設置、廃止 | 本店移転 | 管轄内なら3万円、管轄外なら6万円 |
| 支店の設置 | 1件あたり6万円 | |
| 支店の廃止 | 1件あたり3万円 | |
| その他 | 増資目的の株式発行 | 増加した資本金額 × 0.7%(最低3万円) |
| 株式の分割 | 1件あたり3万円 | |
| 資本金の減少 | 1件あたり3万円 | |
| 会社の吸収合併 | 資本金の額または増加した資本金の額 × 0.15%(最低3万円)※合併直前の資本金の額として一定のものを超える部分は 0.7% | |
| 有限会社から株式会社への商号変更 | 特例有限会社の解散登記に1件あたり3万円、株式会社の設立登記に資本金額 × 0.7%(1,000分の7)(最低15万円) | |
| 廃業・解散 | 1件あたり3万円 | |
| 定款変更 | 定款変更そのものには登録免許税はかからない(登記事項の変更が必要な場合は1件あたり3万円) | |
ケース1. 取締役や監査役の就任・辞任・退任・解任・重任
取締役や監査役に変更(就任・辞任・退任・解任・重任など)が生じた場合は、変更が生じた日から2週間以内に役員変更登記の手続きを行う必要があります。
現行の役員が任期満了を迎え、同一人物が引き続き役員の地位に就任する「重任」の場合でも、役員変更登記が必要となる点に留意しましょう。
なお、役員変更登記を行う際には、登録免許税がかかります。税額は、会社の資本金の額によって異なります。
- 資本金が1億円を超える場合:3万円
- 資本金が1億円以下の場合:1万円
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役員変更登記とは?必要な書類や自分で申請する方法を解説
ケース2. 代表取締役の住所変更
代表取締役の住所に変更が生じた場合、2週間以内に変更登記を行う必要があります。代表取締役以外の役員は、氏名のみが登記簿に記載されているため、住所変更登記の必要はありません。
なお、一定の要件のもと、代表取締役の住所の一部を登記事項証明書に表示しない「代表取締役等住所非表示措置」は、2024年10月1日から利用できるようになっています。
また、ケース1と同様に申請時には、登録免許税がかかります。税額は、会社の資本金額によって異なります。
ケース3. 新規事業の立ち上げ・事業撤退
新規事業へ参入した場合、または既存の事業から撤退した場合には、目的変更登記が必要です。株主総会を開催し、定款を変更したうえで、登記申請を行います。
目的変更登記の申請書に加えて、株主総会の議事録と株主リストの提出が必要です。なお、登録免許税は資本金の額に関わらず、申請件数1件あたり一律3万円です。
ケース4. 会社の名称変更
会社の名称が変更された際には、商号変更登記が必要になります。商号とは、法律で定められた会社の正式名称を指します。商号も定款に記載されている項目なので、変更するためには株主総会の決議が必須です。
商号変更登記の申請書・株主総会の議事録・株主リストをそろえた上で手続きを行います。登録免許税は資本金の額に関わらず、申請件数1件あたり一律3万円です。
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社名変更の方法とは?手続きの流れや注意点について解説
ケース5. 本店移転・支店の設置、廃止
会社の本店所在地を変更した場合は、本店移転の登記が必要です。同じく支店を新たに設置する場合、廃止する場合も変更登記が必要になります。
申請期限は、本店移転、支店の設置・廃止のいずれのケースも2週間以内です。本店所在地を管轄する法務局で手続きを行います。
以前は支店所在地での登記が別途必要で、3週間の期限が設けられていました。現在は法改正により廃止され、本店所在地での登記のみで済むようになりました。
ケース6. その他
上記で解説した他にも、以下のようなタイミングで変更登記が必要になります。
上記以外の変更登記が必要になるタイミング
- 増資目的の株式発行
- 株式の分割
- 資本金の減少
- 会社の吸収合併
- 有限会社から株式会社への商号変更
- 廃業・解散
- 定款変更
変更登記の手続き方法
ここからは、変更登記の実際の手続き方法について解説します。
用意すべき必要書類
変更登記に必要な書類は、多くの場合、以下の2種類です。
- 登記申請書
- 株主総会議事録
登記申請書
「登記申請書」は、法務局のホームページからダウンロードして使用できます。原則として、代表者が登記申請を行いますが、代理人を立てることも可能です。ただし、代理人を立てる場合は、委任状が必要です。
株主総会議事録
同じく変更登記に必要な「株主総会議事録」は、株主総会で決議された内容をまとめたものです。議事録に記載すべき内容は、会社法施行規則72条3項で規定されており、株主総会の開催日時・場所や議事の内容、決議結果が主な事項です。
上記以外にも変更登記の内容に応じて、役員の就任承諾書・株主リスト・取締役会議事録などの書類が必要となる場合があります。
| 変更登記の内容 | 必要書類 |
|---|---|
| 取締役や監査役の 就任・辞任・退任・解任・重任 | ・役員変更登記申請書 ・株主総会議事録 ・株主リスト ・就任承諾書 ・印鑑証明書 ・本人確認書類 ・定款 ・辞任届、死亡届(必要に応じて) |
| 代表取締役の住所変更 | ・登記申請書 ・住民票* *法定の添付書面ではないが、住所や移転日をあわせる目的のため |
| 新規事業の立ち上げ・事業撤退 | ・目的変更登記申請書 ・株主総会の議事録 ・株主リスト |
| 会社の名称変更 | ・商号変更登記申請書 ・株主総会の議事録 ・株主リスト |
| 本店移転・支店の設置、廃止 | ・本店移転変更登記申請書 ・株主総会の議事録 ・株主リスト ・取締役会議事録(取締役会設置会社) ※取締役会が設置されていない場合は、取締役の決定書が必要になります。 |
変更登記の申請方法
書類に必要事項を記入した上で、法務局へ提出します。提出方法には、大きく分けて「書面申請」と「オンライン申請」の2種類があります。
- 書面申請
- オンライン申請
書面申請の場合は、会社・法人の本店または主たる事務所を管轄する法務局に直接持参するか、郵送で書類を提出します。管轄の法務局に関しては、法務局のホームページから確認が可能です。
オンライン申請の場合、原則として電子証明書(マイナンバーカードなど)が必要です。法務局が提供する「申請用総合ソフト(無料)」を使用して作成した申請書の情報をインターネット経由で法務局に送信するだけで提出が完了します。
電子証明書をもっていない場合、申請用総合ソフトで作成した申請書情報を送信した後、登記申請書を印刷して登記所に提出することが必要です。
必要書類を提出すると、管轄の登記所の担当者が内容を審査します。審査には約1〜2週間かかり、記載内容に不備があった場合は、担当者から連絡があります。
変更登記の注意点
ここでは、変更登記する際の注意点を詳しく解説します。
申請期間が短い
登記事項に変更が生じた日から、原則として2週間以内に変更登記の申請が必要です。2週間以内に登記が行われなかった場合、代表者などに100万円以下の過料が科されるおそれがあります。
登記事項に変更があった場合はすみやかに準備を進めましょう。
時間や手間がかかる
変更登記には、登記申請書や株主総会議事録の作成などに多くの時間を要します。申請期限は通常2週間であるため、余裕をもった対応が必要です。
費用がかかる
変更登記を行う際には、登録免許税が課されます。変更登記の種類・資本金額・申請件数によって税率が異なります。税率については国税庁ホームページをご確認ください。
変更登記は自分でできる
変更登記は、必ずしも専門家へ依頼する必要はありません。司法書士などの専門家に依頼せず、自分で手続きを行うことも可能です。自分で手続きを完了させれば、専門家へ依頼する費用を削減できます。
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変更登記をできるだけ少なくするために考慮すること
変更登記の回数を抑えるためには、会社設立の段階でいくつかの点を意識しておくことが有効です。
変更登記をできるだけ少なくするために考慮すること
- 役員の任期を適切に決める
- 住所は番地までにする
- 事業目的は将来可能性のあるものも含める
- 会社形態(株式会社や合同会社など)は慎重に決める
役員の任期を適切に決める
役員の任期が満了するたびに、たとえ同じ人が再任される場合でも重任の登記が必要です。
役員の変更が少ないと予想される場合は、任期を最長に設定することで登記の回数を抑えられます。公開会社の場合、取締役は最大2年、監査役は最大4年、非公開会社の場合、取締役・監査役ともに10年まで任期を設定可能です。
一方で、早期の退任や交代の可能性がある場合は、任期を短めに設定することも検討しましょう。解任ではなく任期満了時に再任しない選択が可能となり、トラブルやリスクを回避して交代を進めやすくなります。
住所は番地までにする
本店所在地や代表者の住所を登記する際、ビル名や階数まで細かく含める必要はありません。登記上の住所は地番まで記載されていれば認められます。
ビル名や階数を記載していなければ、ビル内でのフロア移動(3階から5階への移転など)があった際も、住所変更登記の必要がなくなります。
事業目的は将来可能性のあるものも含める
事業目的を追加・変更する際も、そのつど定款変更と変更登記が必要です。実態とかけ離れない範囲で、現在行っている事業だけでなく、将来行う可能性がある事業も含めておくことが望ましいです。
また、許認可が必要な一部の業種では、定款の事業目的に必要事項の記載が求められます。記載が不足していると許認可の申請ができない場合があるため、将来行う可能性のある許認可事業は事業目的に含めておく必要があります。
会社形態(株式会社や合同会社など)は慎重に決める
会社形態をあとから変更する場合、組織変更の登記が必要となり、大きな手間がかかります。
持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)は、株式会社に比べて簡便な手続きで設立が可能です。また、所有と経営が一致しており、少人数で構成されることが多いため、迅速に意思決定できます。
株式会社は、所有(株主)と経営(取締役)が分離しており、社会的信用が高いのが特徴です。株式発行で外部からの資金調達がしやすく、将来的な事業拡大や上場を見据える場合に適しています。
どの形態にするか迷っている場合は、現状の事業状況や将来目指す事業規模、運用コストを考慮し、慎重に検討しましょう。
まとめ
変更登記は内容によって必要な書類や税率が異なるため、あらかじめ確認しておく必要があります。
変更登記の内容によっては、株主総会の決議が必要な場合もあります。申請期限は、登記事項に変更が生じた日から原則として2週間以内であるため、余裕をもって準備を進めましょう。
変更登記の回数を減らしたい場合は、会社設立の段階で会社形態を慎重に決め、役員任期・本店所在地・事業目的などを適切に設定することが重要です。
変更登記の書類をかんたんに作成する方法
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よくある質問
変更登記とは何?
変更登記とは、登記簿に記載された会社や不動産に関する事項に変更が生じたときに、最新の情報に更新するための法的手続きです。
詳しくは、記事内「変更登記とは」をご覧ください。
法人登記の住所を変更するには?
株主総会などで定款変更の決議を行った後、管轄の法務局へ変更登記を申請します。本店所在地を移転した際は、移転日から2週間以内に手続きを行う必要があります。
詳しくは、記事内「変更登記の手続き方法」をご覧ください。
監修 松浦 絢子弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。
