会社設立の基礎知識

株式会社の定款を変更したいとき、どのような手続きを取ればいい?

最終更新日:2019/09/30
003_株式会社の定款を変更したいときに取るべき手続きまとめ

定款とは、会社の組織や活動についての基本的なルールを明文化したものです。株式会社を設立するときには必ず作成し、発起人が署名(発起人が法人の場合は記名押印)しなければなりません(会社法26条1項)。一度決めた定款を変更する機会はそれほどないようにも思えますが、実は変更手続きが必要な場面はいくつかあります。

では、定款の変更が必要になった場合、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。この記事では、定款の基本知識を振り返りつつ、変更の方法や注意点などについて紹介します。

目次

定款に記載する内容

定款に記載する内容として重要なものに、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」という3つの項目があります。

絶対的記載事項

1つ目の「絶対的記載事項」は必ず書き入れておかなければならない項目。これが記載されていない定款は無効になるため、株式会社の場合は認証時に指摘を受け、受理されない可能性もあります。

  • 目的
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金)
  • 発起人の氏名または名称及び住所

相対的記載事項

義務づけられているわけではないものの、以下のことを有効にするために予め定款に記載すべきなのが、2つ目の「相対的記載事項」です。

  • 金銭以外の財産を「現物出資(*1)」する場合、その者の氏名または名称、当該財産及びその価額、その者に対して割り当てる設立時発行株式の数
  • 設立後に株式会社が譲り受けることになっている財産及びその価額、その譲渡人の氏名または会社名
  • 株式会社の成立によって、発起人が受ける報酬や利益、及びその発起人の氏名または会社名
  • 会社設立に関して株式会社の負担する費用

*1:一般的には自己資金を準備して出資を行いますが、現金ではなく、自動車や不動産などの資産を出資金に充てることもできます。これが現物出資です。現金を使わずに、現物出資のみで会社設立を行うこともできます。

任意的記載事項

上記の2つ以外に、「株式の譲渡制限」や「取締役会」「監査役会」「代表取締役の設置」「取締役の任期の延長・短縮」などを行うときは、任意的記載事項として定款に記載します。



▶︎参考:e-Gov「会社法」

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会社設立に必要な定款とは?概要や必須記載内容を解説

「定款変更」は、定款の書き換えではない

こうした重要事項を定めた定款を変更すると聞くと、多くの人は「会社設立時に提出した定款の内容を変更する手続き」だと思うのではないでしょうか。しかし、会社設立時に提出した定款は「原始定款」と呼ばれ、これ自体が変更されることはありません

議事録の添付で新旧定款を照合可能に

定款の変更とは、変更点をまとめた議事録などを、原始定款に添付して提出することです。単に定款を書き直すのでなく、新旧の定款のどこが違うのかを照らし合わせられるようにします。

何者かが勝手に自分の都合のいい内容に書き換えないよう、最初の原本とその後の株主総会による議論と議決をすべて保管しておき、あとで履歴をさかのぼれるようにしておくのです。

登記申請の要否

定款の変更には2つのパターンがあります。1つ目は、定款を変更する際に登記申請が必要なもの、2つ目は定款変更の際に登記申請が不要なものです。
登記申請が必要なものとしては、以下のような変更があてはまります。以下は代表例となりますので、定款に変更を加える場合は手続きが必要か否かを調べることをおすすめします。

■登記申請が必要な定款変更事項

  • 商号を変更する場合
  • 事業目的を変更する場合
  • 本店の住所を変更する場合
  • 発行可能株式総数を変更する場合
  • 公告方法を変える場合(官報に載せる、法務省の電子公告制度を利用するなど)

また、登記申請が必要ないものとしては「決算月の変更」が挙げられます。


【関連記事】
会社設立時に必要な法人登記について

定款を変更する際には、株主総会での特別決議が必要

定款の変更は、登記申請の必要・不要を問わず、株式会社の最高意思決定機関である株主総会での「特別決議」が必要となります。

特別決議とは? 決議の基準と定款変更の条件

特別決議とは、決議事項の中でも比較的に重要な承認事項を決定します。
ほかの決議との違いは、

  • 決議に必要な定員数
  • 賛成数

の2点です。

定款変更のような特別決議が求められる議題では、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成がなければ否決されます。

※定款で「3分の2以上」よりも厳しい変更条件を設定していれば、それも有効です。

株主総会の議事録の保存と提出

株主総会は年に1回必ず開かなければならず、「資本的多数決」で賛否が決められます。

株主総会での資本的多数決とは、1人1票ではなく「1株1議決権」です。要は、その株式会社に最も出資している(最も経済的に貢献している)大株主に、強い決定権を持たせているのです。通常はその会社の社長や創業者が最大の株主でしょう。

定款変更にあたって登記申請が必要な場合は、株主総会で変更点について決定が下されたという議事録を法務局に提出し、登記申請をする必要があります。そして、変更が受理された場合、定款とともに、株主総会の議事録を保存しておかなければなりません。

登記申請がいらない定款記載事項は、決算月の変更です。この場合は、税務署への「異動届出書」の提出に株主総会の議事録を添える必要があります。

法務局へ登記申請する場合は費用がかかる

法務局へ定款変更の登記申請をしなければならない場合は、変更に費用がかかります。基本的には、登録免許税として3万円費用がかかりますが、法務局の管轄外に本店を移転する場合や、支店の設置・移転する場合は、金額が変わってくる場合があります。

また、変更内容によって書類も異なります。詳細は法務局のサイトからご確認ください。

司法書士へ登記申請手続きの代行を依頼する場合は、別に報酬が必要です。


▶︎参照:法務局

まとめ

定款の変更には、株主総会での特別決議と、その議事録が必要となります。費用がかかる場合もあり、気軽に変更できるものではないため、会社設立をする際には定款の記載事項を十分に吟味し、当分のあいだは変更の必要がなくなるようにしておきたいものです。

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