会社設立の基礎知識
LLC(合同会社)とはどういうもの?メリット・デメリットを解説
最終更新日:2020/10/06
現在、日本での法人設立時には「株式会社」の他、「合名会社」や「合資会社」、そして「LLC(合同会社)」という会社形態を選択することができます。日本では比較的新しい会社形態である「LLC(合同会社)」はあまり聞き慣れないかもしれません。
今回は、LLC(合同会社)の特徴、株式会社との違いやメリット、デメリットについて解説していきます。
目次
LLC(合同会社)とはどういうものなのか
LLCとは「Limited Liability Company」の略で、アメリカでは「株式会社」と同じくらい普及している会社形態です。日本では「合同会社」と呼ばれ、会社法が施行された2006年5月1日に誕生しました。
日本で設立されたLLCは2006年には3,392件でしたが、その後右肩上がりで増加しており、2019年に設立された法人総数118,532件のうちLLCは30,566件と全体の約25%を占めています。
参考:e-Stat 「登記統計 商業・法人 年次 2019年」
LLCは、資金を出資し、会社の経営も行う「社員」で構成される法人であり、出資した金額の範囲でのみ責任を負う「間接有限責任」という形式になります。一方、定款では出資比率に関係なく利益配分を自由に決めることができ、社員一人ひとりが一票の議決権を持っています。
一般的にLLCは中小企業に向いていると言われていますが、西友、アマゾンジャパン、アップルジャパン、グーグルなど、大企業でも合同会社の形をとる会社もあります。
LLC(合同会社)と株式会社の比較
株式会社とLLCの大きな違いは、株式会社は利益配分や意思決定のプロセスが出資比率によって決定されるのに対し、LLCは前述したように出資比率に関係なく自由に利益配分を決めることができる点です。
また、株式会社は出資者である株主と取締役が別々に存在するのに対し、LLCは出資者である社員が経営の意思決定を行います。そして、株式会社は会社法で株主総会の開催が義務付けられており、定款による株式の譲渡制限のない公開会社の場合は取締役会の設置と開催が義務付けられています。
もう一つの違いは、株式会社には役員の任期があり、改選のたびに登記が必要であるのに対し、LLCには役員の任期がないことです。さらに、株式会社は決算公告(財務情報の開示)が義務付けられているのに対し、LLCは決算公告の必要がありません。
次に費用面を見てみると、株式会社は法人登記を申請するときに発生する登録免許税が15万円なのに対し、LLCは6万円しかかかりません。また、株式会社は定款認証で5万円ほどかかりますが、LLCは定款は必要ですが認証は不要なので費用はかかりません。
そのため、株式会社の設立費用は合計で20万円ほどかかるのに対し、LLCは6万円で済みます。
LLC(合同会社)と株式会社の比較表
株式会社 | LLC(合同会社) | |
意思決定 | 株主総会 | 社員総会 |
所有と経営 | 原則完全分離 | 原則同一 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
役員の任期 | 原則2年 | 任期なし |
代表者の名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
定款 | 認証必要 | 認証不要 |
利益配分 | 出資比率に応じる | 定款で自由に規定 |
設立費用 | 約20万円〜 | 6万円〜 |
LLC(合同会社)にするメリットとデメリット
それでは、LLCのメリット、デメリットを経営や会社設立費用、認知度などの面から見ていきましょう。
LLC(合同会社)のメリット
間接有限責任
LLCのメリットの一つは、無限責任が生じる合名会社や合資会社とは異なり、株式会社と同様の「間接有限責任」であることです。会社が倒産した場合でも、自己の財産を弁済にあてる義務はありません。
経営の自由度
LLCは一人でも会社の設立が可能ですが、出資比率に関係なく利益配分が可能で、経営の自由度が高いこともメリットの一つです。そのため、優秀な社員の利益配分比率を高めるということも可能です。
そして、役員の任期がなく、決算公告の義務もありません。また、定款は必要ですが認証の必要はないため、記載内容は自由に定めることができます。
意思決定のスピード感
株式会社では、方針や重要な事項を決定するためには「株主総会」を開催しなければなりませんが、LLCでは所有と経営は一致しており、出資者(社員)=経営者であるため、株主総会を開催する必要がなく、迅速な意思決定が可能になります。
設立費用の安さ
前述したように、株式会社の設立には約20万円の費用がかかるのに対し、LLCはわずか6万円で設立することができます。(定款の印紙代は4万円ですが、電子定款であれば印紙代は不要です)
LLC(合同会社)のデメリット
認知度・信用度の低さ
日本でもLLCの設立数は増えてきていますが、設立が認められるようになってからまだ日が浅いこともあり、一般の方にはまだまだ認知されていないのが実情です。
また、LLCという形をとっている大企業も実際にありますが、LLCは決算公告の義務がなく、小規模で閉鎖的な会社形態が中心なので、株式会社に比べて信頼性が低いのが現状です。中には「株式会社」でなければ取引しないというルールを設けている会社もあり、信用度の課題も残ります。
さらに、株式会社の代表者は「代表取締役社長」ですが、LLCでは「代表社員」という名称になり、そこにデメリットを感じる人もいます。
このように認知度や信用度が低いことにより、採用時に良い人材を確保することが難しいことも考えられます。
出資者の対立リスク
LLCは、出資者は出資比率に関係なく一人一票の議決権を持って意思決定を行う「人に重きを置く組織体」ため、出資者である社員同士で意見の対立が起こると経営や業務に大きな影響を与える可能性があります。
なおLLCでは、代表社員の継承、事業継承、出資者の権利譲渡については社員全員の同意が必要であり、経営に関する事項では社員の過半数、業務執行社員を選出している場合には業務執行社員の過半数の同意が必要です。
また、メリットで利益配分を出資比率によらずに決めることができると紹介しましたが、見方を変えると利益配分比率に不満が出ると内部対立が生じる可能性もあります。
資金調達の制限
株式会社の場合は、株式を発行することで社外の幅広い投資家からの資金調達が可能ですが、LLCの場合は株式という概念がないため、国や自治体の補助金・助成金や借入(融資)となり、資金調達の範囲が大きく限定されます。
まとめ
LLC(合同会社)は、経営の自由度が高く、設立費用を抑えられることが大きなメリットです。会社を設立する際には、信用度や資金調達の面など株式会社との違いを考慮して、自分の事業に合った会社形態を選択しましょう。
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