会社設立の基礎知識

LLCとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

LLCとは?メリット・デメリットや手続きについて詳しく解説

近年、起業家や中小企業の間で注目を集めているLLC(Limited Liability Company)は、日本では合同会社と呼ばれ株式会社や他の会社形態とは異なる特徴を有し、かつ設立の手軽さや柔軟な運営が魅力です。

本記事では、LLC(合同会社)の基本的な概念から他の会社形態との違い、設立のメリット・デメリット、そして設立手続きや注意点まで、幅広く解説します。これからLLC(合同会社)の設立を検討している方はもちろん、会社形態について理解を深めたい方も、ぜひ参考にしてください。

目次

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LLCとは

LLC(Limited Liability Company)とは、アメリカにおける会社形態のことです。日本では「合同会社」と呼ばれる会社形態であり、会社法が施行された2006年5月1日に誕生しました。

日本においては会社法施行の際、アメリカのLLCにならって合同会社を導入したため、合同会社が日本版LLCと呼ばれることもあります。

日本では合同会社の英語表記の略称としてLLCが使用される場合がありますが、アメリカのLLCと日本のLLCには税制・出資に関する違いがあり、全く同じものではないことも覚えておきましょう。

なお、日本で設立されたLLC(合同会社)は2006年には3,392件でしたが、その後右肩上がりで増加しており、2023年の総数は11万5,000件を超えるほどにまで増加しています。

LLC(合同会社)の特徴

LLC(合同会社)は、資金を出資し会社の経営も行う「社員」で構成され、出資した金額の範囲でのみ責任を負う「間接有限責任」という形式の法人です。また、定款では出資比率に関係なく利益配分を自由に決めることができ、社員一人ひとりが一票の議決権を持っています。

有限責任の場合、会社が倒産したとき出資者は出資した額のお金を失いますが、それ以上の責任は負いません。一方、無限責任の場合、出資者は会社の負債に対して個人の財産でも返済義務を負う義務があります。

中小企業の社長の多くは、会社の借入金に個人保証を求められることが多いため、LLC(合同会社)であっても実質的に無限責任を負っています。

会社形態を選ぶ際は、責任の違いを十分に理解し、状況に合わせた形態を選択することが重要です。

LLC(合同会社)の詳細や適した事業についての詳細は別記事「合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリットについて解説」をあわせてご確認ください。

LLPとの違い

LLPとは「Limited Liability Partnership」のことで、日本語では有限責任事業組合と呼びます。LLC(合同会社)と似た形態を持つ組織で、有限責任であったり、出資比率に関わらず自由に分配を決められたりするなど多くの共通点があります。

ただし、LLPは個人同士の契約関係であり、法人格を有していないただの組合です。LLC(合同会社)は法人の一つであり、株式会社への組織変更を行えますが、LLPは組織変更ができません。

LLCだけではない?会社の英語表記

LLCは、アメリカにおける有限責任会社を指す英語表記であり、日本では合同会社を指します。他にも、さまざまな会社形態を指す英語表記があることを、あわせて覚えておきましょう。


英語表記概要
Co.・「Company」の略称
・あくまで事業形態を指しており、有限責任・無限責任については問われていない
Ltd.・「Limited」の略称
・有限責任を意味する表現
・規模の小さいアメリカの企業で多く使われている
Co.,Ltd.・「Company Limited」の略称
・有限責任を有した企業を指す
・日本では「,」を入れる習慣がある
Inc.・「Incorporated」の略称
・「法人組織」の意味を持つ表現
・多数の株式を有する組織などを示す
Corp.・「Corporation」の略称
・アメリカで多く用いられている表現
・法的手続きのもと法人に求められた組織のこと
PLC.・「Public Limited Company」の略称
・株式公開会社を指す言葉
・イギリスで主に使用されている表現で、株式を公開している上場会社を示している
KK.・「Kabushiki Kaisha」の略称
・日本独自の表現

LLC(合同会社)と混在する会社形態との違い

ここでは、LLC(合同会社)と混在しやすい以下の会社形態との違いについて解説します。

  • 株式会社
  • 合名会社
  • 合資会社

株式会社との違い

LLC(合同会社)と株式会社の大きな違いは、株式会社は利益配分や意思決定のプロセスが出資比率によって決定されるのに対し、LLC(合同会社)は前述したように出資比率に関係なく自由に利益配分を決めることができる点です。

そのほかの主な違いについては、以下を参考にしてください。


株式会社LLC(合同会社)
意思決定株主総会社員総会
所有と経営原則完全分離原則同一
出資者責任間接有限責任間接有限責任
役員の任期原則2年任期なし
代表者の名称代表取締役代表社員
決算公告必要不要
定款認証必要認証不要
利益配分出資比率に応じる定款で自由に規定
設立費用約20万円〜6万円〜

このように、共通しているところもありますが、会社の所有と経営の面や設立費用等で、株式会社とLLC(合同会社)には違いがあります。

LLC(合同会社)と株式会社の違いについての詳細は別記事「株式会社と合同会社の違いとは?それぞれのメリットとデメリットまとめ」をあわせてご確認ください。

合名会社との違い

LLC(合同会社)と合名会社はいずれも持分会社の一種ですが、社員の責任範囲に大きな違いがあります。

LLC(合同会社)は、すべての社員が有限責任を負うのが特徴です。つまり、会社が倒産しても、社員の責任は出資額に限定されます。

一方、合名会社では、すべての社員が無限責任を負います。会社の負債が資産を上回った場合、社員は個人の財産で返済しなければなりません。

そのため、LLC(合同会社)は比較的設立しやすく、リスクを抑えたい起業家に注目されます。反対に、合名会社は家族や信頼関係の強い仲間同士で設立されることが多い傾向にあります。

合資会社との違い

LLC(合同会社)と合資会社の主な違いは、社員の責任範囲です。

すべての社員が有限責任を負うLLC(合同会社)に対し、合資会社では有限責任社員と無限責任社員が混在しています。LLC(合同会社)では原則としてすべての社員に業務執行権がありますが、合資会社では無限責任社員のみが業務執行権を有しています。

なお、LLC(合同会社)は出資額に応じた利益配当を強制されることはありませんが、合資会社の場合は定款で自由に規定することが可能です。

LLC(合同会社)設立のメリット・デメリット

LLC(合同会社)を設立する主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

LLC(合同会社)設立のメリット

  • 合名会社や合資会社とは異なり「間接有限責任」である
  • 出資比率に関係なく利益の配分ができる
  • 役員の任期がなく、決算公告の義務もない
  • 株主総会を開催する必要がない
  • 6万円で法人を設立できる

LLC(合同会社)設立のデメリット

  • 設立認可から日が浅く認知度が低い
  • 小規模な会社形態が中心なので信頼性が低い
  • 出資比率に関係なく1人1票の議決権があるため、対立が生じやすい
  • 株式という概念がないため、資金調達の範囲が限定される

LLC(合同会社)設立のメリット・デメリットについての詳細は別記事「合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリットについて解説」をあわせてご確認ください。

LLC(合同会社)設立の手続きに関して

ここでは、LLC(合同会社)設立の手続きについて、基本的な流れや必要書類、設立後必要な手続きについて簡単に解説します。

それぞれの詳細は別記事「自分で合同会社を設立するには?用意する書類から必要手続きまで解説」にて紹介しています。あわせてご確認ください。

LLC(合同会社)設立の流れ

LLC(合同会社)設立に必要な手続きは、以下のとおりです。

  1. 会社の基本情報を決定する
  2. 法人用の実印を作成する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金の払い込みを行う
  5. 登記に必要な書類を作成・まとめる
  6. 本店所在地を管轄している法務局に登記書類を提出する

LLC(合同会社)設立に必要な書類

LLC(合同会社)設立に必要な書類には、以下が挙げられます。

  • 定款
  • 印鑑届出書
  • 代表社員の印鑑登録証明書
  • 払込証明書
  • 代表社員、本店所在地及び資本金決定書(定款に記載されていれば不要)
  • 代表社員就任承諾書
  • 登記用紙と同一の用紙(CD-Rも可)
  • 登録免許税納付用台紙
  • 合同会社設立登記申請書

LLC(合同会社)設立後の手続き

LLC(合同会社)は設立時だけでなく、設立後(登記後)の手続きも必要になるため、注意してください。LLC設立後に必要な手続きは、以下のとおりです。

  1. 税務について税務署に届出をする
  2. 地方税について地方自治体に届出をする
  3. 社会保険について年金事務所に届出をする
  4. 労働保険関係について各所へ届出をする

法務・税務に関する手続き

LLC(合同会社)設立後に重要な手続きの一つが、決算書の作成と提出です。決算書は会社の財務状況を示す重要な書類で、確定申告にも必要となります。

具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 帳簿書類の整理:日々の取引を正確に記録し、整理する
  2. 決算整理仕訳:期末に必要な会計処理を行う
  3. 決算書の作成:貸借対照表、損益計算書などを作成する
  4. 計算書類の承認:社員総会で決算書の承認を受ける
  5. 確定申告・納税:法人税等の申告と納付を行う

上記の手続きは、会計ソフトを利用すると効率的に行えます。

注意点として、確定申告書の提出期限を守っても、納付を忘れるとペナルティが課されることを覚えておきましょう。

LLC(合同会社)を設立する際のポイント

LLC(合同会社)を設立する際のポイントは、以下の3つが挙げられます。

  • 事業目的を明確にする
  • 出資者の人選は慎重に行う
  • 株式会社への変更ができる

事業目的を明確にする

定款の作成段階で事業目的を明確に設定しておきましょう。定款には、会社名や本店所在地のほかに事業目的を記載する項目があります。そもそも定款に記載されていない事業を行うことはできず、設立後に追加で記載するには手間がかかってしまうため、設立前の段階で事前に決めておくことが重要です。

出資者の人選は慎重に行う

出資者(社員)の人選は慎重に行いましょう。LLC(合同会社)は資金の出資者がそのまま会社の経営にも携わる会社形態で、会社の意思決定には出資者である社員全員の合意が求められます。

そのため、万が一対立が起こってしまった場合には一気に運営体制が崩れてしまう原因にもなるため、慎重な人選を行うことが重要です。

株式会社への変更ができる

LLC(合同会社)は株式会社に移行することが可能です。開業時はLLC(合同会社)としていても、経営が軌道に乗ってきたタイミングで株式会社への組織変更をすることができます。

特に事業の規模を拡大したり、さらなる増資を募ったりする場合には株式会社の方が都合が良い場合もあるので、組織変更を視野に入れておくことも大切です。ただし、LLC(合同会社)から株式会社に変更する際は手続きの完了まで2ヶ月近い時間を要します。

まとめ

LLC(合同会社)は、株式会社や他の会社形態とは異なる特徴を持つ会社形態であり、設立の容易さや運営の柔軟性が特徴です。小規模ビジネスや新規事業の立ち上げに適した会社形態であり、有限責任や税制面でのメリットがあります。一方で、資金調達の難しさなどのデメリットがあることも覚えておきましょう。

LLC(合同会社)の設立を検討する際は、ビジネスプランや展望に合わせて慎重に判断することが重要です。また、設立後の法務・税務手続きについても十分に理解し、適切に対応することが求められます。

LLC(合同会社)が最適な選択肢かどうかは、個々の状況によって異なります。本記事の情報を参考に、最適な会社形態を選択してください。

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よくある質問

LLCは何の略称?

「Limited Liability Company」の略称であり、日本では「合同会社」とも呼ばれています。

詳しくは記事内「LLCとは」をご覧ください。

LLC(合同会社)と株式会社の違いは?

LLC(合同会社)と株式会社の違いには、利益配分や意思決定、出資者の責任範囲や役員の任期が挙げられます。あわせて、合名会社や合資会社との違いも覚えておくと良いでしょう。

詳しくは記事内「LLC(合同会社)だけではない?会社の英語表記」をご覧ください。

LLC(合同会社)のメリット・デメリットは?

経営の自由度や設立費用の安さといったメリットがあるのに対し、認知度や信用度が低いなどのデメリットがあります。

詳しくは記事内「LLC(合同会社)設立のメリット・デメリット」をご覧ください。

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