会社設立の基礎知識

個人事業から法人成りするために必要な手続き

個人事業から法人化、いわゆる「法人成り」をする場合は、一定の手続きを行う必要があります。手続きが遅れて狙ったタイミングで設立できなかったといったことが起こらないためにも、法人成りの手続きを正確に理解しておく必要があります。そこで、法人成りの手続きについてお伝えします。

法人設立の手続き

法人成りするためには、事業の受け皿となる法人を設立する必要があります。法人設立の手続きは、定款の作成と認証、資本金の払込、そして登記申請の流れに従って進めていきます。法人には株式会社や合同会社など複数の形態がありますが、株式会社の形態が選ばれることが多いです。

定款の作成にあたっては、発起人となる個人事業主が事業計画を作成したうえで、設立目的やその他会社の基本事項を定めた定款を作成します。その後、定款を公証人役場・法務局へ提出して認証を受ける必要があります。

定款の認証が終了したら資本金の払込を行います。資本金の払込が終了したら、最後に会社設立の登記申請を法務局で行います。提出書類に不備がなければ登記が完了し、会社設立手続きは終了です。登記申請に必要となる書類は定款や出資金払込証明書などで、払込から2週間以内に手続きを行う必要があるとされています。

資産などの移行手続き

法人設立が終了したら、事業内容だけでなく資産などについても個人から法人に移行する必要があります。一般的には、事業に関わるすべての資産などを設立した法人に移すことになります。

移行する方法は3つあります。1つ目は売買契約による方法です。個人事業主と法人間で資産などを特定して売買を行います。手続きがわかりやすいというメリットがありますが、資金移動が発生する点に注意が必要です。2つ目は現物出資という方法です。個人事業主から金銭以外の資産を現物で出資し資本金を増加させる方法です。3つ目は資産を個人事業主の所有にしたまま法人に賃貸する方法です。個人事業主と法人で賃貸借契約を結ぶことになります。

それぞれの方法は手続きの複雑さや資産の種類による税法上の取り扱いなどに違いがあります。また、借入金などの負債の移行については債権者との調整が必要になるケースもあります。税理士などの専門家に相談しながら最適な方法で移行することをおすすめします。

設立後すぐに必要となる手続き

法人の設立が終わり、資産の移行手続きが終了しても、まだやるべき手続きが残っています。新法人に関する税務署や都道府県、労働基準監督署などへの届出書や申請書の提出です。

税務署に対しては、法人設立届出書や青色申告承認申請書を設立から2カ月以内に提出する必要があります。従業員がいる場合は、給与支払い事務所等の開設届出書や源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出も行います。また、都道府県・市町村に対しても法人設立届出書の提出が求められます。東京23区については設立15日以内、それ以外は設立後1カ月以内が一般的な提出期限です。

さらに、社会保険関係の届出書の提出も忘れてはいけません。健康保険・厚生年金に関しては新規適用届や被保険者資格取得届などを原則として設立後5日以内に年金事務所に提出します。労災保険については労働基準監督署に保険関係成立届を、雇用保険に関してはハローワークに適用事業所設置届を提出します。それぞれ加入要件を満たした日から10日以内の提出が必要です。

個人事業の廃業手続き

新法人に関する手続きはここまでにご紹介したものでほとんどが終了しますが、もう1つ最後にやるべきことが残っています。それは個人事業の廃業手続きです。税務署に対して個人事業の開業届出・廃業等届出書を廃業後1カ月以内に提出するとともに、都道府県税事務素と市区町村窓口にそれぞれ事業廃止(廃止)等申告書を提出します。都道府県や市町村に対する廃業に関する申告書の提出期限は自治体によって違いますので事前に確認しておきましょう。また、青色申告をしていた個人事業主は青色申告の取りやめ届出書を、従業員を雇っていた個人事業主は給与支払事務所等の廃止届出書の提出も必要です。

まとめ

個人事業から法人成りすることによってさまざまなメリットが得られる場合があります。そのため、事業が拡大してきたら法人化を検討してみるとよいでしょう。法人成りすることを決めた場合は、各種手続きを滞りなく進めることが大切です。法人設立に必要となる定款認証や資本金払込、登記などの手続きを進め、資産などの移行を行った上で、税務関係や社会保険関係の手続きについても期限までに必要な書類を提出して確実に行う必要があります。また、個人事業を廃業する手続きも忘れずに行うようにしましょう。

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